1
そこは閑静な高級住宅地にある一戸建ての家、時間は深夜、主人公の中村義ヲは少し広めのその家でたった一人で睡眠をとっていた。
彼は19歳で専門学校生である。彼の部屋の中にはフィギュア・コミックなど”萌え”系のグッズであふれていた。
彼は夢を見ていた。それは彼がまだ幼かったころの夢であった。
晩秋の夕暮れ、広い枯野の中を彼より少しだけ幼い少女と手をつないで家路を急いでした。あたりは暗くなり始めていたので、寂しさ暗くなる恐怖と不安でいっぱいであった。ただ握り締めている暖かい手だけが心の支えだった。
彼は良くこの夢をみる。しかし、彼が生まれ育ったのは都会で枯野なんてなかったし、手をつないでいた少女の記憶もない、彼はそれが思い出なのかどうか良く分からなかった。ただ、彼の母親の実家が田舎なのでもしかして、幼いころそこへ行ったことがあるのかもしれないと推測していた。しかし、写真も残っていないし、聞きたい母ももうこの世にはいない、
彼は高校二年の時、事故で両親を一度に失った。彼には、兄弟もいないし、少ない親戚も彼の家からは遠く離れている。若くして一人ぼっちになった彼は、何もする意欲がなくなりヒキコモリとなった。しかし、彼を助けてくれる人もいてなんとか高校を卒業し、今は美術系の専門学校に通っている。
2
夜が明けて、もう「おはよう」と挨拶をするのには遅い時間になっていた。中村義ヲはまだ寝ていた。昨晩はお気に入りのアニメを見ていて床につくのが遅かった。その日は土曜日で専門学校が休みなので、寝坊の心配はなかった。
一方、家の外は、さわやかな秋晴れであった。中村義ヲの家の玄関脇にたるドウダンツツジが真っ赤に紅葉していた。その玄関に珍しく訪問者が立ったいた。年は高校生ぐらいに見える少女だった。彼女はしばにく何か考えている様子で玄関のドアを正面にしてたっていた。およそ五分ぐらいして、なにか決心を決めたかのように両手を握り締めて気合を入れた後、インターフォンのボタンを押した。
「ピンポーン」
とチャイムがなったが、反応はなかった。少しだけ間をおいてもう一度ボタンを押してみた。しばらくして、テレビ画面つきのインターフォンに、寝ぼけ姿の中村義ヲが写し出された。
「はい」
と彼は答えた。そして、少女が
「こんにちは、あれ、いいえおはよう、お兄ちゃん!お久しぶりです。」
「あれっ?えっと?」
「唯ですっ!」
「あっ!・・・・今あけるよ」
彼はすぐには思い出せなかったが、親戚の南野唯であった。彼女は彼よりもひとつ年したでたしか、今年、大学生になったと聞いたような気がした。今から十年ほど前、何度か遊んだことがある。その後は、両親の葬儀の時に顔を見たぐらいであった。
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書きかけの妄想小説です。