No.197481 黒猫さん。tanakaさん 2011-01-23 22:05:09 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1348 閲覧ユーザー数:1218 |
「…………♪」
「黒猫さん……? これは一体、どういう事なんでしょうか?」
心なしか嬉しそうな顔をしている黒猫に疑問をぶつける。
「なにかしら先輩」
「あ、いや、何でお前は俺の膝の上に座ってるんだ?」
俺の部屋に来るなり、いきなり俺の膝の上に座ってきやがった。
突然の行動にどうしたらいいか分からねぇし、黒猫からいい匂いがするし、変に柔らかい
感触がするしで、どうにかなりそうだ。
「先輩の膝の上に座るのが、おかしいかしら?」
おかしいに決まってるだろ。
誰がどう考えてもおかしいだろ!
「でも、実は私に座られて嬉しいのでしょ?」
ニヤリとイヤらしい笑みを浮かべる黒猫。
「ぐ……っ、それは――」
正直な話、メチャクチャ嬉しいよ。
ああ、それは認めよう。だがな――
「年頃の女の子が、こんな事をするんじゃねぇよ」
俺だから、まだどうにか耐える事が出来るが、これがもし他の男だったら…………
俺が全力でその男をぶん殴ってやる。
殴って、二度と黒猫に近づけないようにしてやる。
「……別に誰にでもするわけじゃないわ」
「そ、そうか……」
それはよかった。
「……」
「…………」
「……」
「…………」
くそっ。なんだ、この変な沈黙は。
急に気まずくなりやがった。
なんでこんな空気になったんだ? 黒猫に疑問をぶつけたのが悪かったのか?
あークソッ! どうすりゃいいんだ?
「……ねぇ、先輩。何か面白い話をしてちょうだい」
「はぁ?」
いくらなんでも無茶ぶり過ぎるだろ。
いきなり面白い話なんか出来るわけないだろ。
「ほんっと、先輩は役に立たないわね」
「おま――っ!?」
そこまで言うか? 明らかに言い過ぎだろ。
「何も出来ないのなら、大人しくしてなさい」
そう言って、俺に身体を預けてくる黒猫。
「お、おい――」
「ふぁ……なんだか眠くなってきたわ」
身体を預けたまま、目を閉じる黒猫。
お、おい。マジで寝るつもりなのか?
「お休みなさい先輩」
「く、黒猫? おい、黒猫!?」
「……」
なんつー寝付きの早さだよ。
これじゃ、動くに動けないじゃないか。
はぁ。諦めるしかないか。
動かない。その代わり、黒猫の寝顔を見るくらいは許されるよな?
俺は黒猫が起きるその時まで、黒猫の寝顔を堪能していた。
その代償として、足がメチャクチャ痺れたけどな。
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京介視点による黒猫の話です。
黒猫の話を何個か書いてますが、実は京介視点は初だったり……