No.197225

遥か彼方、蒼天の向こうへ-真†魏伝-序章・第二話

月千一夜さん

どうも、こんにちわ
作者の月千一夜です
序章の二話となる、今回
未だに、物語は始まっておりません
物語を始める、その為の物語

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2011-01-22 17:08:47 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:14524   閲覧ユーザー数:11589

一人の少女がいた

 

大切なモノを失ってしまった、一人の少女が

 

それは、本当に大切なモノ

もう二度と、手に入らないもの

 

 

 

≪一刀・・・・・・≫

 

 

 

物語は、そこで終わりを迎えた

 

そのはずだった・・・

 

 

 

 

 

≪ねぇ・・・もう一度、彼に会いたくない?≫

 

 

 

 

 

深い暗闇の中

少女の心に響いた、聞き覚えのある声

その声が、その言葉が

終わったはずの“物語”を、再び動かしたのだ

 

そして、少女は再び歩み始める・・・

 

 

 

 

≪私は、絶対に“貴方”を奪い返してみせる!!

たとえ天を、“全て”を敵にまわしたとしてもっ!!≫

 

 

 

 

 

その先に待つ“真実”に、気づくことなく・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

≪遥か彼方、蒼天の向こうへ-真†魏伝-≫

序章 第二話【歩み始めた少女】

 

 

 

「さて、皆集まったわね」

 

 

玉座の間

私の言葉に、集まった者達は頷く

その様子を見つめた後、私は玉座から立ち上がり声をあげる

 

 

「私は・・・明朝より、泰山へと向かうわ」

 

 

“ザワリ”と、場が騒然となった

無理もない

突然このようなことを言われれば、誰だって驚いてしまうだろう

 

 

「か、華琳様!

それはいったいどうしてですか!?」

 

 

私の前に、一人の少女が歩み出る

桂花・・・我が魏が誇る、王佐の才の持ち主

そんな彼女でさえ、私の考えは読めないのだろう

もっとも・・・話したところで、理解することはできないでしょうけど

 

 

「詳しくは、今はまだ話せないの

今はただ、私に従いなさい」

 

「華琳様・・・!?」

 

 

だからこそ、私は何も言わない

言う必要がない

理解してもらおうなんて、微塵も思っていないのだから

 

 

「春蘭と凪、それと霞は私について来なさい!

出発は明朝、兵は五百もあれば十分よ!

他の者は、私がいない間の留守を頼むわ!」

 

 

それだけ言うと、私は足早に歩き出す

 

 

「お待ちください、華琳様っ!」

 

 

桂花が何か言っているが、私は足を止めない

止める時間はない

早く、行かないと・・・

 

 

 

「早く、一刀を・・・迎えに行かないと」

 

 

 

ああ、そうだ

早く“迎えに行ってあげないと”

きっと、寂しがってるはずよ

彼は、寂しがり屋だから

 

 

「ふ、ふふ・・・」

 

 

だから、行かないと

そして・・・抱きしめてあげましょう

そしたらまた、見せてくれるのでしょう?

 

あの・・・太陽のような、温かな笑顔を

 

 

 

「待ってなさい、一刀・・・すぐに、迎えに行くから」

 

 

 

呟き、見つめた先

“彼女”は、私を見つめ笑っていた

それにつられ、私も笑う

 

 

 

 

「さぁ、始めましょう・・・もう一度、私と彼との物語を」

 

『さぁ、始めましょう・・・もう一度、私と彼との物語を』

 

 

 

 

さぁ、始めましょう

 

私の物語を

 

私と、彼との物語を

 

もう二度と失うことのない

 

 

 

 

“永遠に続く物語”を・・・

 

 

 

ーーーー†ーーーー

 

「姉者・・・」

 

「ん?」

 

 

それは、あの玉座のまでの出来事から少したったころのことだった

部屋で明日の準備をしていた私のもとに、秋蘭がやって来たのだ

 

暗く、不安げな表情を浮かべながら

 

 

「秋蘭、どうかしたのか?」

 

 

私が聞くと、秋蘭は僅かに表情を歪めた後・・・ゆっくりと口を開いた

 

 

「先ほどの、華琳様のことなのだが・・・」

 

 

ああ、やっぱりか

そう思い、私は思わず苦笑してしまう

 

わかっている

秋蘭の言いたいことは、全部わかっている

だから、私は秋蘭の肩を叩き笑って見せた

 

 

「大丈夫だ」

 

「姉者・・・」

 

 

秋蘭の表情が、驚きに染まる

私は、そんな彼女のことを真っ直ぐに見据えたまま言葉を続ける

 

 

「華琳様に何があったかは、私にはわからん

だがしかし、私がやることなど一つしかない

華琳様の身に何があったとしても、私が必ず守って見せる

だから、そう心配するな」

 

「姉者・・・ああ、そうだな」

 

 

そう言って、秋蘭はようやく笑った

未だぎこちない笑みだったが、先ほどよりはだいぶマシになっている

なら、問題はないはずだ

 

 

「よし、それでは私は明日の準備をしないとな」

 

「私も手伝おう・・・ちょうど、今は手があいているしな」

 

「うむ、助かる」

 

 

顔を見合わせ軽く笑い、私たちは準備に取り掛かる

明日の・・・泰山への、出立のための準備

 

いったい何故、急にあのようなことを言ったのか

いったい何が、華琳様をああさせるのか

 

何もわからないままに

私は、得体の知れない“不安”を隠したまま・・・準備を進めていった

 

 

「ふぅ・・・」

 

 

だけど、私にはこんなことしかできないから

華琳様に従い、守ることしかできないから

だから・・・

 

 

「北郷、お前なら・・・」

 

 

言い掛けて、私は慌てて首を横に振った

 

いかんな・・・私としたことが

そう思い、苦笑しながら準備を進めていく

 

このような姿・・・お前が見たら、笑うのだろうな

そして、私が追い掛け回すと慌てて逃げるのだ

温かな笑顔を浮かべながら・・・

 

 

 

「早く・・・帰ってこい、馬鹿者」

 

 

 

ポツリと、小さく呟く

隣にいる秋蘭に、聞こえなかっただろうか?

そう、少しだけ不安に思いながらも

 

私は・・・そう呟かずには、いられなかった

 

 

 

ーーーー†ーーーー

 

薄暗い、どこか古ぼけた神殿

その中に、“彼ら”はいた

 

 

「やれやれ・・・もうしばらく、かかってしまいそうですね」

 

 

そう言って、一人の男がワザとらしく溜め息を吐き出す

眼鏡をクイとあげ、自身の隣を見つめながら

 

 

「はっ・・・やってられんな

どうして俺たちが、“アイツ”の為にここまでしてやらなくちゃいけないんだ」

 

 

その視線の先、もう一人の男が舌打ちをした

それから、乱暴に壁を殴りつける

 

直後・・・“ゴン!”と、鈍い音が辺りに響き渡った

 

 

「んもう、あんまりイライラしちゃお肌に悪いわよん」

 

 

そんな中、響いたのはやたらと野太い声だった

その声を聞いた瞬間、二人の男は一瞬頬をひくつかせた後・・・同時に溜め息を吐き出す

 

 

「貴方はまた、いつの間に・・・」

 

「あらん、さっきからずっといたわよん?

ただ、気配を消してただけよ♪」

 

「いや、消すなよ」

 

 

思わずツッコんでしまった、と男は再び溜め息を吐き出した

さて・・・そんな彼の目の前にいる人物

見た目は筋骨隆々なオッサンだ

ピンクのビキニパンツ一丁でもみあげおさげな、変態だ

だがしかし、先ほどの会話でもわかるとおり話し方は“うふん♪”とか平気で言いそうな感じである

 

 

 

「どぅふん♪」

 

「「ぅっ・・・」」

 

 

二人同時に、口元をおさえる

どうやら、込み上げるものがあったようだ

至近距離で、“アレ”をくらったのだから・・・まぁ、無理もない話だが

 

 

「って、ふざけてる場合じゃないわよん二人とも!」

 

 

“お前のせいだよ”と言いたくなる衝動を必死におさえ、二人は意を決して変態を見つめた

 

 

「マズイことになったわん」

 

「不味いこと、ですか?」

 

 

男の言葉に、変態は“ええ”と頷く

その真剣な様子に、2人もまた表情を変えた

 

 

「いったい、何があったんだ?」

 

「それがねぇん・・・」

 

 

薄暗い神殿の中

三人の声だけが、小さく不気味に響いていく

 

 

そんな三人を見守るかのように

その空間の中心

 

 

そこに置かれていた古ぼけた銅鏡が・・・妖しく光っていた

 

 

 

 

 

 

夢、だ

 

また、同じ夢

 

青い青い空の下

 

聴こえてくる・・・“言葉”

 

 

 

“遥か彼方、蒼天の向こうへ”

 

 

 

■と■■との・・・■■の言葉

 

 

 

ーーーー†ーーーー

 

 

“彼”は、夢を見ていた

 

 

見たこともない場所

見たこともない景色

 

そして・・・見たこともない“少女”と“少年”

 

そこが何処なのか、“少女”が誰なのか

ここが何処なのか、“少年”が誰なのか

 

何もわからない、不思議な夢

 

 

 

『・・・ぁ』

 

 

 

ふと、何かが聴こえてきた

だがしかし、ハッキリとは聴こえない

 

しょうがない、と“彼”は思った

“いつものことだ”

そう、いつものこと・・・今までこの二人の会話が、ハッキリと聴こえたことなどなかったのだから

 

だけど・・・

 

 

 

『は・・・そ・・・・・・へ・・・』

 

 

 

ただ、一言

 

 

 

“遥か彼方、蒼天の向こうへ”

 

 

 

この一言だけは、“彼”には聴こえていた

 

これが、何を意味するのか

そのようなこと、“彼”にはわからない

だがしかし、それでもいいと思っていた

漠然としたままだったが、“彼”は思ったのだ

 

今はまだ、わからなくてもいんだと

 

 

ふと夢の中、見あげた空

青く澄んだ空を見つめながら、“彼”は笑う

 

何故自分は、笑ったのか

何故自分は、空を見上げたのか

何故自分は・・・“夢”を見ているのか

 

何も、わからないまま

“彼”は、笑う

 

 

そうすることを、“誰か”が望んでいる

そんな気がしたから・・・

 

だから、“彼”は笑うのだ

 

 

そうしてまた・・・“彼”は、同じ夢を見続ける

 

 

「遥か彼方・・・蒼天の、向こうへ・・・・・・」

 

 

呟き、伸ばした手

理由などわからない

何もかもが、“彼”にはわからない

 

 

「■■・・・」

 

 

目覚めの時は、未だ訪れない・・・

 

 

★あとがき★

 

序章、二話目です

 

ついに動き出した華琳達

物語の初めを彩るだけあって、短いながらもしっかりと丁寧に書いていきます

 

序章は、あと2~3話くらい?

まだ曖昧ですが、きっとその時のテンションで決まるかと

多分、二話ww

 

さて、最初のパーティーは華琳・凪・春蘭・霞となりました

序盤では、彼女たちの出番が多くなるでしょう

地味に戦闘特化な人たちなのには理由があります・・・ww

また皆さまから“華琳様、ヤンデレ?”という質問が多数きていますが、今はまだお答えできません

というのも、今後の展開に大きくかかわってくるからです

序章での主人公は華琳なので、今はまだ詳しくはお話しできないのですよww

 

ただ雲君内での“北郷一刀”の台詞を覚えている方がいらっしゃったなら、きっと“大丈夫だろ”とか思いながら読んでいるかとww

まぁ、今後の展開にご期待ください

 

そして、今はまだ眠る“彼”の今後にもww

 

 

それでは、またお会いしましょう♪


 
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