この作品の一刀は、性格、武力ともに原作とは異なっています。
また、一部キャラを否定する場面もございます。
ご理解をお願いいたします。
まだまだ誤字、脱字や分かりにくい表現などもあると思いますが、
こんな自分の作品でも楽しんでいただけたら幸いです。
一刀「これで軍議は終了する」
差し出した手を下げ、少し微笑みを携えたまま一刀はそう言った。
一刀「各々、今日も天の為に尽くしてくれ」
「「「ぎょ、御意」」」
多くの者がその様子に戸惑いながらも王座の間を出ていく。
劉備達もまた、離宮へ戻ろうとするが、一刀が振り返り劉備達に語りかけた。
一刀「ああ、それと、もうひとつ言っておくことが有る」
関羽「なんですか、、」
劉備が答えようとするのを押しのける形で関羽が不機嫌そうに答えた。
その様子に、一刀は苦笑を浮かべる。
一刀「今日から外出を許可する。まあ、洛陽内でのことだが」
関羽「なっ、、何故です」
一刀「そう疑った目で見るな。理由なら、、黄忠」
黄忠「はい、なんでしょう」
一刀「君に近しい人物に文句を言われてな。何でも、部屋に居るだけじゃ暇らしい」
黄忠「はあ、、」
一刀「街にでも連れて行ってやれ。俺が言うのもなんだが、治安は良いぞ。じゃあ、また後日」
劉備「鳳薦さん、」
一刀「なんだ?」
劉備「ありがとうございます」
一刀が去ろうとすると、劉備はそう言って頭を下げてきた。
一刀「ああ、」
劉備達が去った後、一刀の周りに人が集まってくる。
凪 「一刀様、、随分と劉備にお優しいのですね」
真桜「やな、、あれはやり過ぎやろ」
沙和「うう~、なんか恋人同士にみえたの~」
風 「風も文句がありますが~、久しぶりに素のお兄さんが見れたので良しとするのです」
麗羽「はぁ、私としては魔王の一刀さんの方が好きなんですけど」
斗詩「麗羽様、、それは趣味悪いですよ」
猪々子「そうか?私も良いと思うけどな?」
小蓮「麗羽と猪々子はそっちの方が好きなんだ。シャオは今の一刀の方が好きだけどなー」
恋 「恋も、、、優しい方が好き」
一刀「なに勝手なことを言っているんだ。どっちも俺だぞ?」
みんなの言い分を聞いていた一刀が少し眉をひそめる。
小蓮「だって一刀、最近忙しかったからずっと本性隠してたじゃない」
一刀「権力が安定するまで気が抜けなかったんだ。それに、あれも俺の本性の一つだぞ」
風 「分かっては居ますが~、みんな寂しかったのですよ?ねえ、凪ちゃん」
凪 「わっ私ですか!、、まあ、その、、、はい」
一刀「わかった、ごめん。だからそんな目で俺を見るな」
小蓮「あ、一刀、照れてる。可愛い♪」
一刀「照れてなどいない。俺は執務に戻る。お前達も働けよ」
「「「はい(はーい)」」」
一刀「まったく」
麗羽「ふふ、、」
一刀「まだ笑い足りないのか?」
麗羽「ええ、相変わらず嘘が上手いですね」
一刀「嘘、ね。何のことだ?」
麗羽の言葉に、一刀はさして気にした風もなく、首をかしげる。
麗羽「はぁ、わかっていますわ。貴方は私の前でも嘘を付こうとする。けど、無駄ですわよ?」
一刀「、、、、、」
麗羽「私の美麗眼を持ってすれば貴方の本質なんて透けて見えますの」
一刀「、、、、はは、」
麗羽「始めて対峙した時から、私には貴方が悪魔に見えてなりませんの」
一刀「悪魔か、陳腐だな」
麗羽「魔王然り、覇王然り、物事の本質に近づく言葉は全て陳腐ですわ。真の美麗は言葉で語れるものではありませんもの」
一刀「麗羽、やはりお前は馬鹿かも知れない。俺の本性をしってなお、俺のそばに居るのか?」
麗羽「ええ、言ったでしょう?私は貴方が、魔王だから好きなんですの。黄金の輝きは、闇の中でこそ、輝きますのよ。ふふ、、」
一刀「そうか、、」
麗羽「それで、劉備達は役に立ちそうですか?」
一刀「ああ、きっと俺の役には立ってくれる。その為に、あんな茶番を組んだんだ。また俺の大義が近づくよ」
麗羽「劉備に言った言葉、全てが嘘だったんですの?」
麗羽は微笑を浮かべ一刀を見る。一刀は苦笑を浮かべ答える。
一刀「まさか、俺に救えない者が劉備に救えるのは事実。劉備に救えない者を俺が救えるのも事実。もし、劉備が手を取り合ってくれるなら、救うさ、約束だからな。全てでは、、無いがな」
麗羽「、、、つまり、貴方の都合の良い者だけ救うということですの?」
一刀「約束は違えていない。救えるもの全てを救うとは、言っていないだろ?」
顔に笑顔を貼り付け、そう言って去っていく一刀を麗羽は笑顔で見送る。
麗羽「、、、ふふ、ふふふ。人を、甘い言葉で誘惑し闇に引きずり込む」
徐々に、笑顔は憂いを帯びていく。
麗羽「その後ろに隠した獣の顔を気取られぬように、巧みに、甘美に、密やかに」
笑顔の全てが憂いを帯び、消える前に麗羽は瞳を瞑る。
麗羽「似合いの二つ名ですわ。魔王、、、」
一刀が去り、皆が仕事に向かう中、蒲公英はポカンと立ちつくしていた。
蒲公英「ね、ねえ、お姉様。あれ、誰?」
翆 「蒲公英、お前大丈夫か?誰って一刀だろ?」
蒲公英「そりゃ、御主人様だってことは分かるけど、感じが違うじゃん」
翆 「そりゃ、なんて言うのかな?うーん「一刀様は顔を使い分ける方ですから」そう、それ!、
って、、、一蝶か」
一蝶「どうも、」
何処から現われたのか、一蝶が翆達の近くに立っていた。
蒲公英「それって、どういう意味?」
一蝶「敵には力を、味方に愛を、それが一刀様の考え方です。まあ、力の部分が行き過ぎて魔王などと呼ばれていますが、元来、お優しい方なのですよ。それこそ、あの劉備と変わらぬほどに、、」
蒲公英「そうなんだ、、、」
一蝶「ええ、平穏な街を見て笑うのも一刀様。笑いながら人を殺すのも、また一刀様。もはや、二重人格と言っても良いかもしれませんね。しかし、どちらも変わらず一刀様」
蒲公英「お姉様は、、知ってた?」
翆 「ん?ああ、まあ、なんとなくは。優しい奴だってことは知ってたかな」
蒲公英「そっか、、、蒲公英は知らなかったな」
一蝶「まあ、一刀様も忙しく魔王である時間が長かったですし、あまり本心を見せたがらない人ですから」
翆 「そうだぞ。落ち込むなよ蒲公英」
蒲公英「うん、、、良く考えれば、本当に酷い奴なら蒲公英もお姉様も生きて居なかったもんね」
蒲公英は笑顔でそう答える。
蒲公英「でも、、もう少し、早くあの笑顔を見たかったな、、そうすれば、こんなことしなかったのにな、、、、もう、遅いよ」
唇を噛み締めながら呟かれる蒲公英の言葉は、広い王座の間に溶けていく。
一刀「 チビチビ 」
一日の執務を終えた一刀は、城壁の上で酒を舐めるように少しずつ飲んでいた。
一刀「なあ、これで良いのかな?」
周りには誰も居ない、しかし、夜空に放った呟きに野太い声が返ってくる。
「さ~、私には分からないわよ。私はご主人様じゃないもの~」
一刀「冷たいな、貂蝉」
貂蝉「あら、私だって本当は力になりたいのよ?けど、」
一刀「お前の役目は外史を見守ること、分かってるよ」
貂蝉「御免なさいね。ご主人様、、」
一刀「いや、良いよ。、、、ところで貂蝉、趙雲との勝負の時、妙な夢を見せたのはお前か?」
貂蝉「あらん、それは私じゃないわ。たぶん、卑弥呼じゃないかしら」
一刀「卑弥呼?知り合いか?」
貂蝉「ええ、一応師匠よ。私に劣らずの漢女ね」
一刀「そうか、それで、あんな妄想を見せて。そいつはなにがしたかったんだ?」
貂蝉「見極めたかった、のかしら。この外史、いえ、御主人様を、、」
一刀「肯定するか、否定するか、か?」
貂蝉「ええ、けど、形振り構わず否定しようとする左慈ちゃんや于吉よりは話の分かる人よ」
一刀「そうか。けど、最悪戦うことになるか?」
貂蝉「それは無いわね。卑弥呼も私と同じ、見守るだけよ、、」
一刀「そうか、良かったよ。正直、華琳達だけでも手一杯だ」
貂蝉「けど、不利になることはしてくるかもね~」
一刀「どちらにせよ、動くのは華琳達だろ?なら、問題は無い」
貂蝉「そう、、、」
一刀「ああ、、、」
貂蝉「、、、、、、、、」
一刀「、、、、、、、、」
貂蝉「、、、、、、、ねえ、ご主人様、、がんばってね」
一刀「なんだ、、いきなり」
貂蝉「私には分からない。見ているだけの私じゃ、御主人様の苦しみは、理解できないの」
一刀「、、、、、、」
貂蝉「いくつもの外史を紡いだ疲労も、外史という世界に使い捨てにされる苦しみも」
一刀「、、、、、、」
貂蝉「そして、、その疲労、苦しみ、紡いできた外史全ての記憶を、あの子達への愛情を、全てを一度に思い出した時の苦悩、絶望も、、」
一刀「、、、そうだな。苦しかった、いや、死にたくなった。だって、ある外史で愛した子を、別の外史では本気で殺そうとしているんだ。貂蝉が拾ってくれなきゃ、自壊していたよ」
貂蝉「あの時の御主人様は、、見ていられなかったもの、、、」
一刀「、、、そっか」
貂蝉「ええ、、、、」
一刀「、、、、、俺の心配をしてくれるのは嬉しいが、お前も大丈夫なのか?」
貂蝉「なにがかしら?」
一刀「俺がお前に頼んだことは、確実に管理者の役目を逸脱しているだろ。大丈夫なのか?」
貂蝉「あらん、心配してくれるのかしら。嬉しいわ、ぐふふ」
一刀「そりゃ、心配もする。お前は色々教えてくれた、恩人だからな」
貂蝉「ぐふふ、大丈夫よ。なにも心配しないで、御主人様は歩けばいい。誰も観なくても、私は見ているから」
一刀「そうか、、、ありがとう。貂蝉」
貂蝉「いいえ、、、誰か来たみたいだし、私は戻るわ。また、会いましょう。始まりの地で」
一刀「ああ、終末の間で」
一刀がそう呟くと、なにか大きな気が消え去った。
一刀「さて、、、、」
一刀が集中すると、確かに誰かが近づいてくる気配がする。
一刀「だれか居るのか?」
「えっ、あっ、、ほ、鳳薦さん?」
暗がりから現われたのは、劉備だった。
一刀「こんな時間に、何やってるんだ?」
劉備「あはは、その、眠れなくって、、」
一刀「そうか、、、少し飲むか?」
一刀はそういうと、となりに置いてあった自分のとは別の杯を差し出す。
劉備「えっ、、じゃ、じゃあ、少しだけ、、」
劉備は少し間を開け、一刀の隣に座る。
トクットクッ
一刀「ん、、、」
劉備「はい、ありがとうございます」
一刀「 チビチビ 」
劉備「 コクコク 」
一刀「、、、、、、」
劉備「、、、、おいしい」
一刀「そうだろ。俺もあまり酒は飲まないが、この酒は好きなんだ」
劉備「そうなんですか。 コク 、、本当においしいですね、、、」
一刀「この酒、作ってるのは劉備の領で盗賊団やってた奴らなんだ、、」
劉備「えっ、、本当、ですか、、」
一刀「ああ、、どこに才能が沈んでるか、わからないよな」
劉備「そう、、ですね」
一刀「ああ、、、、、」
劉備「、、、、、あの、誰か一緒に飲んでたんですか?」
一刀「、、、なぜ?」
劉備「だって、杯が二つありますし」
一刀「ああ、さっきまでいたよ。けど、結局あいつは飲めなかったから」
劉備「そうですか、、 コクコク 」
一刀「 チビチビ 」
一刀は夜空を見上げ、劉備もまた、空を見る。
劉備「星が綺麗ですね」
一刀「ああ、そうだな。黒い空でも、、輝いてる」
劉備「鳳薦さん、、聞きたいことがあるんですけど、良いですか?」
一刀「、、、、ああ」
劉備「大義って、なんですか?」
一刀「、、、、」
劉備「鳳薦さんは言いました。平和を目指すのは、大義を行うのに都合が良いからだって、なら、平和より先で目指す、鳳薦さんの理想って、なんですか?」
一刀「、、大義、、大いなる正義、多くの者はソレだと勘違いしているが、そうじゃない」
劉備「違うんですか?」
一刀「ああ、大義とは即ち天啓、そして天刑、、」
劉備「天啓と、天刑、、?」
一刀「ああ、天の導くただ一つの平和、そして天の行う無二の戦。人の語る正義が小義なら、天の語る正義こそ、大義」
劉備「天、、ですか。、、、私は、そんなモノ無いと思います」
一刀「、、、、、」
劉備「知っていますか?随分前に、大陸に流れた天の御使いの噂」
一刀「ああ、、」
劉備「本当に天が、そんな人が居たらきっと、戦いなんて起きないはずなんです。でも大陸は戦いに飲まれている。それは私が、鳳薦さんが、みんなが起こしたこと。そして、それを止めようとしてるのも、天じゃない。大陸のみんなです」
一刀「そうだな、、」
劉備「昔なら、信じられたかも知れない。けど、もう無理ですよ、、」
一刀「そうだ、劉備。君は正しい。天なんて、信じても無駄だ」
劉備「えっ、、」
一刀の瞳は、ただ夜空を映す。
一刀「世界の真実を知った時、俺は悟った。、、この世界に、、天なんてない」
劉備「、、、、、、、」
一刀「故に俺は天を憎む、天に焦がれ、天を欲する。俺が知っている世界の支配者、完全無欠の物語。天を敬い、黒となって天を穢す。それが、、、」
劉備「、、、、、」
一刀「正しいとは思わない。だが、間違っているとは言わせない。俺は奪われ続けてきた、記憶も、愛も、なら、次は俺が奪う番だ、、、」
劉備「、、、鳳薦さん?」
一刀「俺はね、劉備、、、神になるんだ」
呟きが、静かな夜に木霊する。
劉備「鳳薦さん、、、」
一刀「、、、、、」
劉備「酔って、るんですか?」
一刀「ふっ、はは、ははは、、そうだな。少し、飲み過ぎたかな、、」
劉備「お酒、あんまり強くないんですね」
劉備はそう言って一刀に笑顔を向ける。
一刀「ああ、俺はもう行くよ。劉備も遅くなるなよ。関羽あたりが心配するだろ?」
劉備「はい、わかってます」
一刀「じゃあ、また、、、、それと返事、待ってるから」
劉備「はい、、、わかってます」
一刀と劉備がその場を去り、動く影が二つ。
「なんなのだ、あの男は?」
一つの影は劉備を追い。
「はぅわ、なにやら聞いてはいけないことを聞いてしまったのでしょうか、、、」
一つの影は任務に戻る。
数刻後、、洛陽、某所
「つけられてはいないな?」
「うん、大丈夫だよ」
「そうか。なら、」
「わかってる。はい」
一人が手を差し出すと、もう一人が書簡を手渡す。
「確かに受け取った」
「ねえ、甘寧」
思春「なんだ?」
「あのこと、ちゃんと曹操と孫策に言っといてよ」
思春「わかっている。曹操は知らんが、雪蓮様に二言は無い。涼州の件は、任せておけ」
「そう、なら良いけど、、、なに?」
思春「いや、、渡すのはこの書簡であっているんだな?」
「そっか、信じてないんだ」
思春は手に持った書簡をじっと見つめていた。
思春「、、、お前の姉はこの裏切りに加担してないのだろう?疑いもする」
「ふーん、信用されてない、悲しいなー。、、大丈夫だよ。そこに書いてある天の機密情報、全部本当だから」
思春「、わかった。なら、私はもう行く」
「うん、じゃあね」
背を向け、一旦は立ち去ろうとした思春が立ち止まる。
思春「これは呉の将としてではなく、一個人として聞きたい。、、姉を裏切るというのは、どんな気分だ?」
「それは、嫌味かな?」
思春「いや、、、小蓮様のことはお前も知ってるだろう。、、純粋な興味だ」
「そっか、、、、最悪な気分だよ」
思春「なら、何故お前は裏切るのだ」
「だって、頼まれちゃったんだもん。、、、おば様に、お姉様を、、涼州を頼むって、、」
思春「そうか。くだらぬことを聞いて悪かったな、、、」
そんな呟きを残し、思春は闇に溶けて行った。
「、、、、、くだらなく、ないよ、、いっぱい、悩んだもん」
呉への道を駈けながら、思春は思案する。
思春「あやつと小蓮様は違うか。少なくとも、小蓮様は裏切りを後悔はしていまい。その点、あやつは、、」
思春は嘲笑する。
思春「馬鹿な奴だ。自分の心すら裏切る裏切りで、一体だれが笑えるというのだ。馬岱」
「はぅわ、、任務、完了です」
明命「一刀様、一刀様、」 ユサユサ
一刀「んっ、んん、、誰だ?、、、、、明命か、、」
揺すられ、起こされた一刀は目を擦りながら明命を見る。
一刀「どうしたんだ?」
明命「はい、、それが、ひゃっ、、はぅ、、」
真剣な顔をしていた明命は、突然奇声を上げ、顔を赤らめる。
一刀が明命の視線を追うと、布団の上で生れたままの姿なり寝ている恋が映る。
一刀「気にするな。それで、何なんだ?」
欠伸をしながら一刀がそう言うと、再び明命は真剣な顔に戻る。
明命「はぅ、、気にしないのは無理なのです、、、。任務の件で話が、、」
一刀「誰が裏切っているか、分かったのか?」
明命「はい、、確証も得ました。間違いは無いと思います」
一刀「それで、、誰だった、、」
明命「、、、、蒲公英、です」
一刀「、、、、そうか」
そう呟くと、一刀は片手で顔を覆い隠し、黙り込む。
明命「あの、、一刀、様」
一刀「、、、、、、、、」
明命「はぅ、、大丈夫ですか、、、」
一刀「、、、、くっ、っっ、」
明命「そんなに、、悲しまないで欲しいのです」
一刀「、、、くっ、くく、はは」
明命「一刀、様?」
一刀「くく、ははは、はっははは、そうか、そうか、裏切っていたのは蒲公英だったか。納得はできる。叔母を殺し、故郷を奪ったんだ。恨んでいない方がおかしい」
覆っていた手を外せば、一刀は笑みを浮かべていた。
明命「はぅわ、一刀様が魔王になってしまったのです、、」
一刀「こんな俺は嫌いか?明命」
明命「いえ、私は一刀様が笑っているなら、それで良いです!」
一刀「そうか、」
明命「はい!」
満面の笑顔を浮かべる明命。
一刀「報告、御苦労だった。礼を言うぞ、明命」
明命「いえ、それで蒲公英の処遇はどうしますか?、、、消せというなら、今からでも」
眼を細め、殺気を出す明命。
そんな明命に、一刀は手を伸ばし頭を撫でる。
一刀「よくもまあ、そこまで表情を変えられるな」
明命「はぅ~~~、えへへ」
一刀「蒲公英の処罰は俺が行う。あまりやりたくはないだろう?」
明命「はい、、、それはそうですけど。一刀様がやれと言うなら!」
一刀「そうか、従順だな。良い子だ、明命。だが、やりたくないことはやらなくていい」
明命「はぅ、わかりました。でも、どうするのですか?」
一刀「そうだな。明日にでも、皆の前で処罰しよう」
明命「わかりました。なら、私はそのことを皆さんに」
一刀「ああ、伝えるのは麗羽と風、音々と後は獅堂だけで良い」
明命「はい。では、行って参ります!」
そう言って音も立てずに部屋から出て行った明命を見送った一刀は、
隣で眠る恋の頭を撫でる。
一刀「、、、、、」
恋 「んっ、、、かず、と、」
一刀「悪い、起こしたな」
恋 「 フルフル 、、、」
一刀「どうした?」
首を振り、じっと見つめてくる恋に一刀は首を傾げる。
恋 「一刀、泣いてる、、」
一刀「泣いてなど、いる筈がないだろう」
涙一つ零さぬ眼を細め、一刀は歪んだ笑みを浮かべる。
一刀「むしろ、喜んでいるよ。これでまた、大義への障害が一つ減る」
恋 「 ギュッ なら、いい スウスウ、、」
一刀「寝ぼけてたのか?」
抱きついて、再び眠りに落ちた恋。
一刀「泣いてなど、いる筈がないだろう。裏切っているのが誰かがわかったんだ。涙が出るほど、嬉しいよ」
そう呟き、一刀もまた恋を抱きしめ眠りに落ちる。
諸事情(睡眠不足)により今回の後書き?はありません。
じ、次回こそは、書きます、、
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真恋姫無双夜の王第41話。
第40話の続きです。