「そんじゃ~さっさと残りの荷解き終わらせて、
挨拶回りのお菓子くばっちまおうぜ?
どんな人達が住んでるか俺も気になるし……」
優斗に言う通り俺もどんな人達が住んでいるかきになるし……。
俺たちは車に残る小物と菓子折を取りに戻った。
「ね~ね~、大家さんのペットってアパートにいるのかな~~」
一度車まで戻り菓子折を取ってきた俺達は、その足で自室へと戻る所だった。
その最中、二階へと続く階段を昇終えた折、気になってしょうがないと言う様子の琴音がドキドキと期待の眼差しを向けていた。
どうやら朝、俺が言った大家のペット『親指サイズの猫』がずっと気になっていたようだ。
今思えば二階の奥の部屋……大家である鳴海伯斗の表札を見るなり何度も気になる様子で足を止め見つめていた様に思える。
唯一大家にあった日の事を思い出す。あの時は確か……。
「残念ながら今頃大家さんと共にお仕事中」
そう「仕事の時も何時も連れ歩く」と、始めて会ったその日に、聞いていたのだ。きっと大人しくしていれば親指程の大きさ、邪魔にはならないのだろう。
「う~~残念――」
――ゴト
「「!?」」
部屋の方から物音がしたように思い、俺と優斗が反射的に顔を前に向けると――
「見た……きゃっ!!」
――ゴトゴト!
「おまっ、大丈夫か? 怪我無い!?」
その音にやや遅れて後ろを歩く琴音の悲鳴が後を追っていた。
琴音の短い悲鳴に急いで振り返ると、壁に身をゆだね、『躓いて壁に寄りかかりました。』と無防備な体制がそれを悠然と語っていた。
「うぅ~、なんとか大丈夫。
ごめんね、荷物落としちゃった……」
壁にもたれかかるように躓いたものの、持っていた紙袋を床に落とし、入っていた
歯磨きやら洗顔クリームが散らばっていた。
「いやそれは別にいいんだけど、怪我もないみたいだし。
それにしても何時もより激しく躓いたな!?」
「まぁ……いつもの事だからな……」
「ち、違うよ~!?
今のは床が水で濡れてたから滑ったんだよ~!」
琴音が躓く事は日常茶飯事で何時もの事。
その為今日の荷解きにおいても重い物は勿論のこと、運ぶ際どちらにとっても安心なものを持たせていたのだが、俺の言葉に対し琴音は顔を赤らめ必死で床を指さしている。
どうやら今回に関しては躓く理由が存在していた様だ。
「マジか!? 雨漏り、欠陥か?
おい、武弥このアパート平気か?」
「いや、事前に調べたけど……、
結構細かくメンテナンスしてるみたいだしそれは無いと思う。」
冗談交じりに苦笑する優斗。
そこでお俺も笑いながら上を指を指さし、答えて見せた。
琴音と優斗はその指につられ天井に視線を向ける。
もし雨漏りが有るならば、天井にシミの一つも有るだろうが、指の先にはシミどころか汚れ一つなく、むしろ築数十年にはそぐわない綺麗さを保っていた。
現に大家と一緒に下見をした時にも大掛かりの改装工事をしていた。
それで雨漏りがしているとは思えない。
何より雨漏りならば何度も行き来しているのだからたれ落ちる滴に気付いても良いように思えるし、徐々に床が濡れて行く段階で気付かないわけがないのだ。
「ちなみに琴音がコケる前に何か零したりした?
変な音もしてたし。」
「コケてません!?
音の事はわかんないけど滑る前にも零してないもん!」
少しの間沈黙が流れる……が、考えても答えが出ないと判断したのか優斗が沈黙を破った。
「取りあえず怪我もなくてよかったっつう事で、部屋行こうぜ。」
優斗が出した答えは『破棄』だった、様は面倒臭くなったようだ。
「あ、おい! いいけど別に……」
俺も実際ここでどうこう考えるのも仕方がないと思い、その場では優斗に賛成することにした。
といってもこれから住む人間としてみれば気になってしまう物で、部屋に向かう間についつい考えてしまう。
先程の優斗がいった雨漏りではまず無いだろう。
しかし、荷運びそっちのけで床が濡れていたら……。
もしそうだとするならば考えられるものとして第一に結露。
しかし春先に結露はあり得るだろうか?
北国とかであればまだしも温かいこの地域で結露は考えにくい。
第二に人が濡らした可能性……。
これは大いにある。
他の住人が出てきてないだけで部屋に居るのだろう。
実際水が零れていた一件とは別にどこからか物音がしたため、まだ部屋に居るのは確かのようだし。
住人とまだ一人とも会っていないのだって、別におかしくは無い。
いくら共同スペースが充実しルームシェアの形に近いとはいえ、こちらはまだ挨拶に伺ってもないのだ。
それなのに態々向こうから挨拶に来るわけがない。
誰かが実際引っ越してきたからといって出てきたりするなど、今時無くてもおかしくないのだから……。
そう、この時はそう思っていた……しかし――
――ガチャガチャ
「のわっ!? 武弥鍵かかってんぞ」
部屋の前まで着くと優斗がドアノブを引くが鍵がかかっているらしく開く事が出来ない。
「あれ、俺鍵かけたっけな?」
不思議に思いながも特に気にすることなく鍵を開けた。
「ぬわっははは……!
早く現れないものかねー……?」
「にしししし……。
ぜ~ったい、驚くもんね~……」
何なのだろうこの状況は……。
武弥は部屋にあいるなり困惑していた。
居るはずもない男女が居た。
それも昼間から酒盛りをしていた。
男性の方を見ると、どこから持ってきたのか、木製で豪華な彫刻と粧飾がふんだんにあしらっており、そのデザインは◯◯調とか大層な名前が付きそうだが……。
いかんせ、そういった知識も興味もない武弥はゴージャス椅子(仮)と名付けた。
そしてそのゴージャス椅子(仮)に座る男性。
ゴージャス椅子(仮)に負けず劣らすの風格、王気とでも云うのか、なんとも近寄り難い風格を放っていた。
置いた椅子とは対照的の質素な木製の小さなテーブルに『伊吹殺し』と銘打たれた酒をワイングラスになみなみと注ぎ嗜んでいた。
なんともアンバランスだが、本人は気にしていない様だ。
また、その下には女性が寝転んでいた。
茶の長い髪が美しく波打ち、たわわに実る胸と、その艶めかしい身体のラインそしてそのセクシーなラインを緩めのワイシャツが包む。
また、寝転びながら缶ビールを煽る時に酒精でほんのりと赤くなった喉が上下する光景は扇情的だった。
しかしゴージャス椅子(仮)に座る男性とは対象的にどちらかというと気品というよりは、やや退廃的で親しみやすい雰囲気を放ち上の男性とはある意味対照的な空気を身に纏っていた。
しかしそのギャップこそが異様な空気を作り出し、武弥を固まらせた。
「…………。」
――ガチャン
何もかも呑みこめないまま思わず武弥は部屋から出る。
「えっと……ここ、俺の部屋だよな……?」
表札を見て確認する。
気の所為か部屋に入ると知らない二人が酒を飲んでいた気がする。
そう言えば何か言っていた気も……。
「早く入れよ……」
ドアの前で入れずにいる優斗。
「あっあぁ……、わるい、わるい。」
うん、きっと気のせいだ。
そう言い聞かせながら再びドアを開ける。
「クゥアンパーイ!!」
「にひひ、早くこ~い~」
男性は再び満たされたグラスを掲げ、女性は新しい缶のタブに指を掛けた。
どうやらこちらには全く気付いていない様子だ。
「――やっぱいる!?」
ここ俺の部屋だよな? 何故人の部屋で飲んでいる!? そもそも誰だよ?
様々な疑問が頭をめぐる。
その間もまるで自分の部屋化の様に寛ぎ、グイグイっと喉を潤す。
「さっきから出たり入ったり、何やってんだよ!?」
「あっいやっ……!」
思う事は山ほどあるも、何も言う事も出来ずにただその場に立ち尽くしていると後ろから優斗が顔を覗かせる。
「なんか居たのか? って素敵おねぃ様~~ッ!!」
俺に突っ込みを入れるやいなや、優斗は目の前の闖入者の片割れにだらしなく鼻の下を伸ばし、先程の艶めかしい姿に釘付けとなっていた。
「ぬわぁはっはははは……遅かったではないか待っていたぞ若人よ!
しかし実に面白いよ君―、えっと誰だっけ?」
「にひひひひひっお腹痛い!
も~やっと来た~~えっ、えっと……あれ~何だっけ?
えぇぇ~っと~……」
何を持って面白いのか理解に困るが、どうやら俺達の存在に気付いた二人。
「あっ、あのう……一応聞きますがここ俺の部屋ですよね?」
俺は恐る恐る二人の闖入者に質問を投げた。
分かり切っていた事ではあったが、聞かずにはいられなかったのだ。
「おいおい固いではないか若人よッ、
その通り、そして私が中山銀治だー!
気軽にギンジさんと呼ぶがイイぞッ!
何を隠そう隣さんなのだッ!」
カッカと豪快に笑いだす銀治。
「で~……私が~102号室の~中島知子ちゃんで~す!
トモちゃんって呼んでね?
よろしくね~」
知子さんはしなを作りながら両腕を前によせコチラを上目遣いで挨拶をしてくれた。
こう……胸が強調されて……なんというか、すごく慣れてる!
その通りって……しかもいきなり自己紹介ですか!?
思はず突っ込みを入れそうになるも、何とか抑える。
こういう場合はどうすればいいのか……。
まずは挨拶か?
取りあえず俺も自己紹介をした方がよいのであろうか。
突然の事に動揺を隠せずたじろいでいると……。
「はい! 宜しくお願い致します知子さん。
そしてギンジさん!
オレは岡沢優斗って言うっす!
どうぞお近づきお願いしまっすッ」
……出遅れた。
フェロモンたっぷりの女性もとい知子さんを前にした優斗は正に餌を与えられた鯉の如く喰いつく。
「えと……、自分は今日からこの部屋に引っ越してきました羽賀武弥です。
よろしくお願いします。」
慌てて優斗に続き自己紹介をする。
「あら~、いい子ね、宜しくね~」
「うむ、苦しゅうない。」
何ともぎこちなく、動きの固い挨拶に対し言葉を返すギンジさんと知子さん。
取りあえずは住人として受け入れてもらえたと捉えていいのだろうか。
しかし、待ってただの、やっと来ただの、どういう事なのだろう……。
顔を上げ改めて二人へと視線を移す。
挨拶を終えた所で冷静に自分の置かれた状況を詳しく分析してみた。
改めて二人を見ると、ゴージャス椅子(仮)に座っているのギンジさんは大きな背もたれに寄りかかり、今度はワイングラスで高そうなウィスキーを飲んでいる。
そして多少体勢は変わったが変わらず寝転びながら缶ビールを煽る知子さん。
酒も纏う雰囲気を違うが一つだけ共通点がある。
それは俺たちをみて終始ニヤニヤとしているという事。
そんな事を知ってかしらずか優斗は知子さんの艶めかしい姿に俺やギンジさんが居ることをそっちのけで鼻の下を伸ばしに伸ばしず。
どこか俺達の反応を肴に飲んでいるように見える。
いったいこういう場合はどうすればいいのであろう。
何故部屋に来たのかを聞くべきか……。
そもそもどうして鍵を掛けたんだろう?
いや、だけどどう見ても酔っぱらっている。そもそも此処にいる意味合い、言動にこれといった理由は無く、酔った勢いでの状況なのではないか?
そう考えると濡れていた廊下も酔っぱらった二人の仕業の様な気がしてくる。
いや、むしろそのほうが自然で、謎の物音も二人が関係していると考えるのが妥当でないか。
武弥は立ち尽くしたままこれまでの点を線でつないでいく。
「ギンジさんて、小説家さんなんですか。」
「――ッ!?」
聞きなれた声にふと我に帰る。
外から俺達のやり取りを見ていた琴音がいつの間にかに、ギンジさんの輪に溶け込んでいたのだ。
「なっ、何時の間に……優斗と言い順応性高すぎにも程があるだろう!」
流石に、場に溶け込むのが早すぎるだろう!?いつの間にかに住人と溶け込んでいる二人に対し思わず口に出る。
「……いや、まて、まずそもそも何故人の部屋で昼前からお酒を飲んでいるんですか?」
落ちつけ俺!
頭をいったん落ち着かせるのだ。
俺は自分に言い聞かせ聞こう聞こうと思って聞けずにいた一番の疑問をぶつける。
「行けない、行けな~い、忘れてたよ~。
タケちゃん呼びに来たんだけど~、
居なかったから待ってたの~~。」
――はぃ?
知子から思いもしなかった言葉が口に出る。
「待ってたって俺をですか??」
先ほども言っていたが『待ってた』とはどういう事なのだろうか。
まさか挨拶に来てくれたのだろうか……。
「うむ、そうだ待ってたのだ!
それより友ちゃんよ、ちゃんと床は拭いたのか?」
「――あッいっけな~い、
拭くの忘れてた~……でもいいっか」
なんというか予想した通りだった。
どうせ興味本位でどんな奴か確認しに来たのだろう……。
俺は呆れながらも思考をめぐらせる。
しかし、その矢先の事だった――
「わっ」
「あぶなっ」
ガタン……。
「――なッ!? ちょっ、すいません!!」
女の子の悲鳴!?
気付くと体が反応し部屋から飛び出ていた。
廊下の方から……。
その声と共に女性の悲鳴、更に大きな何かが落ちたような音に体が反応していたのだ。
武弥はギンジさん達の事は気になるものの、音のなる方へと向かっていた。
あそこだ!!
その場所は、琴音が零れていた水に滑り壁に寄りかかっていた正にその場所だった。
「いった~……」
声の主に目をやると、そこには白いワンピース、そしてビーズをあしらったブラウンベストを羽織った女性いた。
どうやら尻もちをいたようで痛そうに眉をゆがめている。
子供を抱えながら目に涙を浮かべおる姿は少し幼さを感じたが、見た目は武弥と同じぐらいだろうか?
すらりと整った顔立ちに長い綺麗なカッパーブラウンベージュの髪が少しかかるが、それがまた彼女を引きたて魅力的に演出し目を引きつけられる。
「大丈夫、希咲!?」
やはり、あの濡れた場所で……。
彼女の言葉で我に帰る武弥。
どうやら申し訳ない事に、濡れた床を未だ拭いていなかった為、そこで足を滑らしたのだろう。
女性は幼稚園生位の少し茶色みがかった髪を肩まで伸ばした小さな女の子を右手で抱え、左手でバランスを取っていた。
前に滑ったのではなく尻もちをついている所から、おそらく希咲と呼ばれる女の子を庇ったが為に尻もちをついたのであろう。
実際その為か、女の子に怪我は無かったか心配そうに怪我の有無を聞いている。
「うん、ごめんねアイリちゃん。」
希咲と呼ばれる女の子に怪我は無かったようで、自分をかばったであろう女性の心配をしている。
「大丈夫ですか??」
少し乱れた服を直し立ちあがる二人に声を掛ける。
「えっ、あっ、うん、なんとか……」
照れた様子でワンピースを整えるアイリちゃんとよばれた女性。
あまり見られたくはない場面を初対面の俺に見られたのだから当たり前か……。
その様子に俺まで照れてしまう。
「あのね、キサはね……じゃなくて、初めまして、坂下希咲5歳です。
キサをね、抱っこしてたのがママ代わりのアイリちゃんです。」
ウサミミが付いた白いパーカーに赤いスカートを履いた希咲ちゃんがぎこちないながらも一生懸命に挨拶をする。
その小動物の様な動きと格好は何とも可愛らしい物だ。
「あっ、隣の201号室に住んでる坂下愛梨です、よろしくねっ」
希咲ちゃんの言葉に付け足すように答える愛梨さん。
あとがき
「KADENですッ」
「らいれんですッ」
「「二人合わせて、KADEN@でざーとですッ!」」
ら「説明しますと、KADEN@でざーとは一人ではなく、KADENが企画、原案そしてらいれんが構成おこなって一つの作品を作っています。」
ら「あとがきでは原作者であるKADENさんにらいれんが少しずつインタビューをして行たいと思います。」
ら「最初に行っておきますが、以下の文章はスカ◯プのチャット文をそのまま転載しております。
悪しからず。」
ら「え~では先ず最初になぜ、この作品を企画しましたか?」
K「ん~なんとなく?」
ら「……質問をかえます。
どんなフォーマットで発表するつもりで企画しましたか?」
K「最初はゲームの企画を書いてたんですよ(笑)
それがいつの間にかに小説になってしまいました^^;」
ら「hmhmではこの作品の見所は?」
K「希咲ちゃんのかわいらしさですかねw
希咲さん萌え!っていうねwというのは冗談で……」
K「そもそも……(以下長いの割愛。」
ら「ん~ちょっと長いと載せられないので一言でまとめると!?」
K「主人公とヒロインの愛そして家族の形ですかね?
とりあえずトイレを綺麗に使いましょう!」
ら「それって、あの糞長い歌ですよね!?
いきなりなんですか!?」
K「だっていま録画してた紅白みてるし……。」
ら「…………。」
K「とりあえずあれだ、鴨南蛮も……と言う事で」
ら「え……?
もしやまだ某神様引っ張てます?」
ここで、スカ◯プが途切れる。
え~と……、まぁこんな感じです!
いかがだったでしょうか?
、(てん)プロローグと1話をお送りしました!
ご感想ご指摘等々ありましたら遠慮無くコメントにてお願いします!
それではまた会いましょう!
さらばでぃす!
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後半です。
今日もいってみよ~!