第八話「最後の一人」
一刀が巴郡に帰ってきてから一週間が経った。一刀の予想だともうそろそろ思春が帰って来てもいい頃だ。その間に一刀達は義勇兵を募集し来た人から鍛錬を始めた。門の外からは、咲の罵倒の声が絶えず続いていた。
「そこ!!陣形が崩れている。左翼はもっと周りに合わせて」
「頑張っているな。咲」
「なによ。わたしに兵の鍛錬を押し付けて」
「しかたがないだろう。焔耶は新しく来た人の鍛錬。俺は資金や兵糧集めに忙しいんだから」
「だからって、陣形の鍛錬を全て私だけにするのはおかしいわよ」
「まぁ、まぁ。思春が帰って来るまでは我慢して」
「その甘興覇は、一刀よりも陣形に詳しいわけ?」
「うん。俺が指揮なら思春は統括。焔耶は何も考えない猪だったけど・・・最近は考えて行動しているよ」
「それならいいのだけど・・・どうしたの?」
「いや。ただ、義勇兵の数が意外に集まったな~~て」
「確かにそうね。それだけ鈴の三人集が有名だって事じゃないの」
「そうかな・・」
「報告があります」
「なんだ!!」
「南の門兵より『甘寧殿が帰ってきた』と情報が入りました」
「わかった。咲。悪いけど俺は思春に会って来るよ」
「やっと最後の一人が来たのね」
咲は肩の荷が取れて様に息を吐いた。
「じゃ、行って来る」
一刀は思春が城に行くと予想し、城に向かった。
「厳顔様。甘興覇、ただ今帰ってきました」
「どうだった。久しぶりの里帰りは」
「はい。母上もお元気だったので一安心でした」
「それはよかったな。それで例の物は?」
「あっ、はい」
「すまんのう」
思春は厳顔に持って帰ってきたお酒を渡した。
「それは、そうと。門の外にいる義勇兵はなんですか?」
「あぁ、あの集団に付いては本人が来てからのほうがいいだろう」
「本人?」
「桔梗様。北郷がいらっしゃいましたが」
「噂をすればなんとやらか。通せ」
「はっ」
一刀は侍女に連れられて玉座に来た。
「思春。おかえり」
「・・・・ただいま」
「「・・・・」」
「・・・ええ~~い。二人で何見つめているのだ。「「!?」」北郷。貴様は甘寧に話があるからここに来たのだろうが、さっさと話さんか」
「お!!そうだった。思春、俺はこの邑を出ようと思うんだ」
「なぜだ!!一刀もこの邑の事が気に入っていただろう。それなのに・・・」
「ち、違うんだ。思春、最後まで話を聞いて。門外にいた義勇兵がいただろう」
「あぁ」
「彼らを集めたのは俺達なんだ」
「なぜ?」
「俺が陳留に米の買い付けに行ったのは覚えているだろう。その帰り道にある邑が襲われていたんだ。邑にいた兵や太守は逃げて、残された人だけが殺されていた。だからこんな世の中じゃおかしい。だから俺は、義勇兵を使って名を上げて、いずれは天下を取る。その為には思春。君の武も必要なんだ。武を貸してくれる?」
「・・・わかった。だけど一つ聞かせてくれ」
「なに?」
「それが例へ覇王の道でも一刀は前に進むか?」
「必要とあればこの北郷一刀。どんな道だろうと通ってみせる」
「なら、私も流儀で答えよう。・・・我が名は甘興覇。我は貴方の剣となり敵を斬ろう。これより我が身、我が心は貴方様のも。いかなる時も貴方の傍でいることをここに誓う」
「その誓い。受け取ろう」
「一刀・・・」
「思春・・・」
「なにしているんだ。二人とも」
「「!?」」
一刀と思春が自分達の世界に入ろうとした瞬間に後ろから声がして、二人が振り向くと。そこには黒いオーラを出している焔耶の姿があった。
「思春が帰ってきたと聞いて来て見れば。これはどうゆう事だ。一刀、思春」
「こ、これはただ思春が俺に忠義を示してくれてだな」
「その通りだ。なにもめましい事はなにもないぞ」
「ほ、ほ~~。なら、どうして桔梗様が口を隠して笑っているのだ?」
「「!?」」
いつもは猪みたいな焔耶だが、なぜかこういう時は一刀にも勝る洞察力をもつ。
「どうしてなんだ」
「・・・すみません。ほんの少しだけ二人の世界に入っていました」
「・・・すまん」
大概は一刀と思春が根負けして謝る事が多い。
「思春。少し付き合ってもらえるか?」
「あ、あぁ・・・・」
「桔梗様。少し席を外させてもらいます」
「あぁ・・」
桔梗から許可を出て、焔耶は思春を連れて玉座を出た。
「北郷。お前も大変だのう。これからは」
「はぃ・・・」
「どうゆうことだ。思春」
「すまん」
「約束したよな。ワタシもお前も一刀の事が好きだから愛してもらう時は二人一緒だと」
「あぁ・・」
「もういい!!しかし、次は無いぞ」
「・・・」
焔耶は思春に言いたい事を言って玉座に戻った。
「それで、北郷。この邑にはいつ出発する予定だ」
「思春も加わりましたので、明日か明後日にはここを出ようかと」
「そうか。なら、この乱世。しっかり正してこいよ」
「はい」
一刀の返事の後、三人はすぐさま玉座を後にした。
咲が訓練の終了を告げると、一刀達が咲の所へやって来た。
・・・これが鈴の三人集と言われる。三人か。まさに一騎当千の武人達ね
咲が三人を見ると。彼らは体から溢れんばかりの闘気を出していた。武の心得のある自分から見ても彼らは別格である事を感じさせられ。咲は改めて、彼らのすごさを目の当たりにした。
「遅くなって、ごめんね。咲」
「一刀。こいつがさっき言っていた。司馬
懿か?」
「そうだ。咲、彼女が鈴の三人集の最後の一人」
「甘興覇だ。一刀が認めたのなら、これからは思春と呼んでくれ」
「初めまして。わたしの真名は咲よ。これからよろしくね。思春」
思春と咲が真名を交換し合うとそのまま四人は一刀の家で、宴を始めた。明後日の旅立ち祝うように
第八話 完
「第八話終了。そして新年明けましておめでとうございます」
「「「「「おめでとうございます」」」」」
「新年一発目という訳なので、愛しき人の一刀さんと華琳さんにも来て貰いました」
「よろしくおねがいします」
「よろしく」
「それでは、まずは鈴の方の一刀さん。とうとう全員揃いましたね」
「そうですね。やっとこれから世の中を直す旅が出来る」
「本当だな」
「これからが楽しみだ」
「・・・」
「咲?」
「あの、曹操さん。なにを?」
「あなたが可愛いのが悪いのよ。私を・・(ゴン!!)何するのよ?一刀」
「なに?華琳。俺何もして無いぞ」
「曹操さん。俺の咲に変な事しないで下さい」
「あぁ~~~もう!!ややこしいわね。一刀が二人もいると」
「しかたがありません。二つの作品の主人公とヒロインをここに連れて来ましたから。それと愛しきの一刀さんには謝らないといけませんし」
「なにを?」
「最近投降できなくてすみません」
「それはそうね。どうしてなの?」
「第25章は大体出来てきてますが一刀の技の名前を考えている途中なのです」
「一刀の技?」
「そうです、一刀流剣術水鏡や一刀流剣術鎌鼬以外の技を考え中です」
「それは楽しみだわ」
「えぇ、楽しみにしてください。それじゃいつもののあれをして終わりにしましょうか」
「そうね」
「そうだな」
「しかたがないな」
「焔耶。お前も楽しんでるだろう」
「べ、別に楽しんでなど」
「はいはい。先が進まないからここめでよ」
「咲も焔耶の扱いが慣れてきたな」
「どうでもいいから、早くしてよ」
「わかりました。それでは皆さん。また会う日まで、BY]
「「BY]]
「「「「バイ」」」」
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とうとう思春が帰ってきた。事真相を話す一刀。思春の決意はいかに?