見上げた空
今日は快晴・・・降り注ぐ太陽の光が、何とも心地よい
うん、絶好の警邏日和だ
「良い天気だなぁ、凪」
「わんっ」
隣を歩く凪も、そう思っていたのだろう
ニコニコとしながら、俺の言葉を肯定する
「今日は、気持ちよく警邏できそうだな」
「わんっ」
元気のいい凪の返事に、俺は笑顔を浮かべていた
うん、本当にいい天気だ
いい天気すぎて、なんだか涙が出てきそうだよ
「く、くぅ~ん?」
「いや、大丈夫だよ凪
ちょっと・・・現実から逃げてただけだから」
そうだよな
そろそろ、現実と向き合わないとね
そう自分に言い聞かせ、俺は隣にいる凪の方へと視線を向けた
当たり前のことだが、そこにいるのは当然凪だ
凪なんだけど・・・
「あぁ、うん・・・心のどっかで、夢だったらよかったのにとか思ってた俺の馬鹿」
彼女の格好を見てほしい
彼女は今頭には犬耳をつけ、尻尾までつけている
さらにトドメとばかりに、大きめな首輪が装備されている
その首輪につけられた紐の先は、俺がしっかりと握っていた
「わ、わふ?」
うん、可愛いなぁ凪は
こういうの、すっごい似合うもんね
凪ちゃん、マジ凪ちゃん
でもね・・・
「街中でこういうことするのは、絶対にダメだと思うんだ・・・」
そう、ここは街中だ
冒頭で言っていた通り、見事に外で御座います
しかも、これから警邏なんだぜ?
「おい、あれ見てみろよ?」
「また御遣い様が何かやってるぜ」
「お母さん、あれ・・・」
「こら、見ちゃだめよ!!」
「流石・・・“天の種馬”の名前は伊達じゃねぇなぁ・・・」
先生・・・視線が、すごく痛いです
そして、いつの間にか“天の種馬”にクラスアップしています
はい、嬉しくないです
「う・・・胃が痛くなってきた」
駄目だ、このままジッとしていても辛いだけだ
「・・・行こうか、凪」
「わん!」
俺の一言に、元気よく返事をしてくれる凪
そんな彼女を引き連れながら、俺は街の中を歩いていく
「はぁ・・・」
こぼれ出た溜め息
俺は頭を抱えながら思った
ああ、どうしてこうなったんだろう・・・と
≪忠犬でいこうっ!!≫
~わんダフルDay♪~
昨日
それは、城内でささやかな宴をひらいていた時のことだった
「ねぇ、一刀
天の国にはさぁ、こういう時にお酒を飲みながら楽しめるようなことってないの?」
「お酒を飲みながら楽しめること?」
皆が好きに酒を飲み楽しんでいる中、隣に座る雪蓮がそう言ったのだ
いきなりだなぁ・・・
「あら、それは私も興味があるわね」
「華琳まで・・・う~ん
お酒飲みながら、楽しめるようなことかぁ」
その会話に興味引かれたのか、華琳もこの会話にまじってくる
天の国のことが気になったのだろう
他にも何人か、チラホラとこっちを見てる子もいるし
しかし、何かあったかなぁ
そもそも俺って向こうじゃ普通に高校生だったわけで・・・お酒飲んでワイワイしてたら、犯罪なんですけど
逮捕余裕ですよ?
「う~ん・・・」
「ねぇ、何かあるでしょ?
もったいぶらずに教えてよ♪」
別にそんなつもりじゃないんだけど・・・う~~~~ん
なんか、あったかぁ?
「あ・・・」
・・・あった
一つ、思いつくものがあったぞ
いや、実際にはやったことないけどさ
よく話は聞くよな・・・お酒を飲みながら楽しめる遊びだって
「えっと、一つ心当たりがあるんだ
こういう時にやる、天の国の遊びなんだけど」
「ええ、なになに!?」
俺の言葉に、雪蓮が目をキラキラとさせながら食いついてくる
凄い、期待してる目だな
「そんな期待しないでよ
なんか、変に緊張しちゃうじゃないか」
「するわよ
なんたって、天の国の遊びだもんね♪」
そう言って、無邪気に笑う雪蓮
その可愛さにクラッときてしまうが、何とか堪えた
いや、だって皆見てるんだもん
華琳なんて、俺の背中を抓ってるしね☆
ツンデレ、美味しいです
背中、千切れそうだけどねww
ごめん、そろそろ笑えない(痛みで)
さて、冗談は置いといてだ
とにかく、言うだけ言ってみるか・・・
そう思い、俺は口を開く
その時は、まだ気づいていなかった
「えっと・・・“王様ゲーム”っていうんだけど」
この言葉が、あんなことにまで発展してしまうなんて
俺は、気付けなかったんだ
数分後・・・俺は、自身の体の震えを止めることが出来ないでいた
「な、なんでこんなことに・・・」
呟き、俺は眼前に広がる光景へと目をやる
中心に置かれた、何本もの木の棒
その棒を睨み付けるよう、囲む“修羅”達
ええ、恋姫な皆さんのことです
皆さんご自分の武器を構えたまま、ジッと機会をうかがっております
「王様ゲームって、こんな殺伐としたものだっけ?」
あれから、簡単にゲームのルールを説明
そんで準備もして、“よし、じゃあ軽くやってみよっか”ってノリでゲームスタート
ていうかその時点で、気付くべきだった
だって皆して一斉に、武器を出し始めるんだもん
その時は、“ま、こんなこともあるよね☆”ってスルーしちゃってたけど
俺の馬鹿、普通に考えたらおかしいじゃないか
何処の世界に、武器を構えて殺気を出し合う王様ゲームがあるんだよ
いや、目の前にあるんだけどさ
しかし、まさかこんなことになるなんて・・・
「というか、皆してどうやって俺のことをピンポイントで狙ってるんだ?」
特に華琳が恐い
この中では一番王様になった回数が多いうえに、未だピンポイントで俺のことを当ててくる
まだ王様になった子が何人かいないにも関わらず、だ
あれか、覇王的な補正でもかかってるんじゃないのか?
しかも、命令されることはどれも人前では恥ずかしいことばっかりだし
それに対して、俺は未だに王様になれていない
正直もう、桂花以外なら誰でもいいやとか思ってる
要するに、捨てゲーですねわかります
まぁ桂花以外だったら、割と安全だし・・・
「どぅふふ、次こそは私が頂いちゃうわよん」
「ぬぬぬ、儂だって負けんぞい!」
・・・前言撤回!
あいつ等だけは勝たせたら駄目だ!!
俺の貞操的な意味で!
「もう夜も遅い・・・分かってると思うが、次が最後だ」
気持を入れ替えて、俺は静かに言う
その言葉に、皆が無言でうなずいていた
よし・・・
「始めるぞ・・・最後のゲームを」
皆が、無言で棒を引いていく
目を瞑り、棒についている印が見えないように
そして・・・俺を含め、皆が引き終わった
さぁ、これで最後だ
「王様・・・だぁれだあああぁぁぁぁぁああああ!!!!!!!」
“カッ!”と、皆が一斉に目を見開く
辺りが、凄まじい程の殺気で包まれた
その殺気に押しつぶされそうになりながらも、俺は自身の持つ棒を睨み付ける
こい!こい!!こい!!!
「キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
叫び、俺は大きくガッツポーズをとっていた
その手に握りしめた棒には、王様を表す王冠のマーク
ついに・・・ついに俺の時代が来たんだ!!!!
っていうか王様になったことよりも、貂蝉や卑弥呼を王様にしなかったという事の方が嬉しいんだけどね☆
「一刀が王様、ねぇ」
「うわ、御主人様凄い!」
ともあれ、俺が王様になったということは紛れもない事実!
つまり、なんでも命令出来ちゃうわけで・・・
「御主人様の命令・・・どぅふふ、ワクワクしちゃうわん♪」
「うむ、儂のハートがムネムネするのだ」
オゥ、シット・・・第二の壁が立ちふさがってきたぜ
すっかり忘れてたよ、神様
だ、大丈夫だ
此処には何十人もいるんだ
あの二人をうまくかわして、何とか美味しい思いをしなくては・・・!
「行くぞ・・・」
俺の言葉に、全員が息を呑んだ
俺はそんな皆の顔を見つめ、すっと棒を前へと突き出した
「三番が・・・犬耳に尻尾をつけて、さらに犬の真似をしながら明日一日中王様について歩く!!!!」
ザワリと・・・周りが慌ただしくなった
皆が一斉に、自分の番号を確認しだしたのだ
もう皆、目がマジである
「ぐああああぁぁぁぁあああ、違ったあああぁぁぁぁあああ!!!!」
そう叫びながら膝をついたのは愛紗だ
少し、大げさすぎやしないか?
いや、軍神って言われるくらいだしこれが普通なのか?
「あぁん、私じゃないわん!!」
「ぬうううう、悔しいぞい!!」
そして、本当に安心しました☆
よかった・・・バッドエンドは回避したようだ
ていうか、あれ?
「あのさ、三番の子は?」
そう、未だに三番の子が名乗り出ないのだ
この一言に、皆がそれぞれ番号を見せ合いだす
そんな中・・・
「あの・・・私、です」
一人の少女が、恐る恐るといった様子で手を上げたのだ
彼女は・・・
「凪・・・?」
「はい・・・あっ、いえ、わん!!」
「いや、ちょ、明日から!
明日からだからね!!?」
そう・・・三番の女の子は、北郷隊一の“忠犬”
楽進こと凪だったのだ
ーーーー†ーーーー
「・・・で、現在に至ると」
「わふ?」
「ああ、いや何でもないよ
ただちょっと、昔のことを振り返ってるだけだから」
回想終了
まぁ、つまりそういうことだ
事前に“王様の命令は絶対”とか言っちゃったのが不味かった
今日一日は、絶対にこうやって過ごさなくちゃいけないのだ
因みに・・・先ほどからずっと、“鈴の音さん”と“御猫様love”が見張っているから不正は絶対にできない
例えば凪が間違って普通にしゃべりそうになると、“チリン♪”と音がしたり
俺が恥ずかしさのあまり仕事を投げ出そうとすると、“チリン♪”と音がしたり
たまに、“御猫様~~”という声が聞こえたり
・・・いや、明命ちゃんと仕事しろよ
まぁそんな感じで、彼女たちの監視のもと仕事をしてるわけです
「ま、仕方ないよな」
自分で言ったことだ
それに、凪のこんな可愛い姿が見れたんだ
そう思えば、少しは楽になってきたかな
うん、これが外じゃなければ本当に最高なのに
「ま、早く仕事を終わらせればいいことだよな」
「わん!!」
「ははは、凪は可愛いなぁ」
ていうか、律儀だよね凪って
こんな恥ずかしい命令を、こんな一生懸命になってやってるんだもん
「ああ、そうか・・・」
今更気づいたよ
良く考えたら、俺なんかより凪の方が恥ずかしいんじゃないか?
そうだよ・・・こんな格好で街中を歩き回るんだもん
それなのに、彼女はこんなに頑張ってるんだ
こんなに、一生懸命なんだ
はは、恥ずかしがってた俺が馬鹿みたいじゃないか
「よっし、凪!
今日も一日、頑張って仕事するぞ!」
「わふーーーーー!」
二人して、大きな声で叫んでみた
周りからの視線は、先ほどまでとは違い気にならない
ようは、気のもちようなのだ
そう思い、俺たちは二人並んで警邏をしていった・・・
ーーーー†ーーーー
「ふいー、疲れた~」
ドサリと、俺は勢いよくベッドに倒れこむ
その瞬間、仕事が終わったという解放感もあってか一気に眠くなってきた
あ~、ヤバい・・・このまま寝ちゃいそうだ
「ふぁ~・・・」
「わ、わふ?」
そんな俺の様子を察したのか、凪は可愛らしく首を傾げていた
大方、“私はどうしたらいいのでしょうか?”と聞きたいのだろう
「決まってるだろ
今日はずっと一緒にいなくちゃダメなんだ・・・だから、一緒に寝るんだよ
それとも、俺と寝るのは嫌?」
「わ、わん!!!!」
猛烈に首を横に振ってから、凪は俺の寝台に腰を下ろす
心なしか、耳がピクピク動いてるように見える
「わふ・・・」
や、やべぇっす・・・凪、可愛いよ凪
「も、もう我慢できない!
いっただきm≪チリン♪≫はい、冗談です!!超冗談です!!」
鈴さんのこと、すっかり忘れてたあぁぁぁあああ!!!!
マジで危なかったあぁぁぁぁあああ!!!
今日聴いた鈴の音の中でも、一番近くで聴こえましたよ!?
あと一歩遅かったら、俺の“艶王”が切り落とされてたかもしんないね☆
しゃ、シャレにならん・・・
「仕方ない・・・今日は、健全に寝よっか」
「わん」
仕方なしに、俺はそのまま凪と一緒に寝台の中に入った
そのまま、凪の体をギュッと抱きしめる
うん、今日はこれで我慢しよう
「凪、おやすみ」
「わん・・・」
ああ、本当に凪は可愛いなぁ
俺は、凪の頬を撫でる
凪は、気持ちよさそうに目を細めていた
うん、我慢とか無理だ
「キスくらい、いいy≪チリン♪≫すんません、言ってみただけです」
ちくしょう、判定が厳しすぎるよ思春さん
「はぁ、仕方ない・・・朝なら≪チリンチリンチリン!!!!≫朝はやっぱ、健全にいかないとね!!
うん、そうしよう!!!」
うおおおお、めっちゃ鳴ったあぁぁぁああああ!!!!??
今のは、本当にギリギリだったろ!!?
ていうか、屋根裏から殺気がダダ漏れてたもん!!!!
殺る気満々でしたよね!!?
「はぁ~・・・寝よ」
「くぅ~ん?」
「いや、大丈夫だよ
さぁ明日も早いし、もうぐっすりと寝よう
煩悩が湧き出る前に、さっさと寝よう」
「わん」
そう言って、俺たち二人は目を瞑る
直後、ゆっくりと意識が闇に落ちていくような感覚を感じた
ああ、そっか・・・仕事で疲れてたんだ
凪が可愛くて、すっかり忘れてたよ
でもこれなら、案外早く・・・寝れそう・・・・・・
「ぐ~」
「す~~~・・・」
翌日
目が覚めた瞬間、俺は犬耳をつけたままで眠る凪の姿に欲情
朝から“いただきます”といこうとした途端、天井から降ってきた“鈴音”に危うく下半身の“宝慧”を切り落とされそうになりました
・・・思春さん、寝ずの番ご苦労様です
~後日談~
「よし、それじゃぁ三人とも
早速、警邏に行こうか」
「はいなの~」
「了解や」
「わん!!」
ーーーー間ーーーー
「「「・・・え?」」」
「え、あ、こここここれはその・・・!!!」
すっかりクセになっていました☆
可愛いから、いいけどね!!
★あとがき★
どうも、月千一夜です♪
“年明け記念SS五本連続投稿”という無謀な企画の記念すべき二本目は、“saiさん”のリクエストで、【凪と一刀】のSSですw
特にジャンルの指定がなかったんで、一応“ほのぼの”で書きました
そこ、カオスとか言わない
しかし・・・うん、やっちまったZE☆
いや、凪可愛いよ凪
本作はあれですね、“欲望ダダ漏れ”ですねw
リクエストにかこつけて、作者の妄想がダダ漏れてますねww
次はリトバスSS、投稿となります
“え、恋姫以外書けんの?”とか思わずに、どうか見てやってくださいww
それでは、数分後にまたお会いしましょう♪
Tweet |
|
|
60
|
18
|
追加するフォルダを選択
ども、数分ぶりでっすw
二本目は、リクエストにお応えしたSS
“一刀と凪”でいきます
それでは、どうかお楽しみくださいww