仮面ライダー×真・恋姫†無双 feat そらのおとしもの
ここは異空間。
その異空間に漂う四枚のメダル。メダルの色は3枚が茶色、もう一枚は灰色のメダルであり、
茶色のメダルはそれぞれ動物が描かれており、茶色のメダルにはそれぞれイヌ、ムササビ、ネズミらしき動物が描かれており、茶色のメダルにはウマらしき動物が描かれていた。
それらのメダルは突如と異空間から姿を消した。
そしてメダルはとある世界へと流れ着いた。
そのメダルはポツリと道路の端に落ちていた。
「……」
メダルは誰にも気付かれていなかった。
しかし……。
「なにかしらこれ?」
一人の女がそれらのメダルを拾った。
その女は酔っ払っていた。
「これおもちゃのメダルみたいね、拾っても問題ないわね」
女はポケットにメダルを入れた。
「それにしても部長め! 私をクビにするなんて……ああ、世界なんて滅ぼしてやりたい! 征服してやりたい!」
女は酔っ払っていたためにそんなことを口走っていた。
すると……。
『その欲望……』
「え?」
女の耳には何かの声が聞こえてきた。
『お前の欲望、解放しろ!』
「え? 何?」
女は辺りを見回すもその場には自分に話しかける人が見当たらなかった。
『欲望を解放しろ!』
「きゃああああああ!!」
女の体が光り始めた。
仮面ライダーディケイド×新・恋姫†無双 果てしない欲望
ここはとある正史。
その正史はかつて仮面ライダーディケイドとして戦った北郷一刀がいた世界で、戦いの中でその正史はかつて一刀がいた外史と隣り合った世界となっていた。
「お前達、まだ買うのか?」
「当たり前でしょ、まだ足りないくらいよ」
一刀の手には買い物で買った荷物があった。それはすごい量であり、腕にも紙袋に入っている荷物がかけられており、両手で支えている荷物は一刀の顔を隠しかけるほどに…。
そんな一刀は月と詠の買い物につき合わされていた。
「あんた、最近はこの世界に留まりぱなしっでしょ。
前まではそんなに買い置きは必要なかったけど、そうもいかないの。
それにこれからする紅葉狩りで皆行くんだから、荷物は多くないといけないでしょ」
「まあ、そうだけど……」
「あの、やっぱり私も少し持ちましょうか?」
「月はいいよ。これ結構重いぞ」
「そうそう。荷物持ちくらいこいつにさせても罰は当たらないわよ」
「でも不幸は来たりしてな……」
一刀は笑いながら、月と詠に言う。
「そんな不吉な事言わないでよ……」
「でもあの日はもう過ぎてるよね」
月が言うあの日というのは詠は周期的にものすごく不幸になる日が来るのだ。
しかもその不幸は詠ではなく周りの人間に降りかかると言う物であった。
「あの時はひどいめにあったな…」
一刀は思い出す。その時は一刀は写真館で仕事中であり、仕事で使っていたカメラが突如とバラバラに壊れてしまうという異常事態に見舞われたのだ。
「でもいつものカメラは無事なんでしょ」
「まあな」
そんなこんなで買い物を続けようとすると……。
『きゃああああああ!!』
突如と女性の悲鳴が聞こえてくる。
「な、何!?」
「あっちの方からだ!」
一刀達は荷物を持ちながら、叫び声が聞こえてくる場所に走っていった!
一刀達が現場に付くが、その叫び声を上げていた女性は血を流して倒れていた。
「大丈夫か?」
一刀は荷物を置いて、女性に駆け寄るが、女性は既に息絶えていた。
「死んでる……」
「そんな……ひどい…」
「うん? 誰だ!」
一刀が側に誰かがいることに気付き、叫んだ。
すると建物の陰からなにやら怪人が姿を現した。
その怪人は狼のような姿をした女性態の怪人であった。
「な、何よあれ!?」
「怪人?」
「だが、怪人なら管輅や東王父が気付くはず……」
「でも現にいるわよ!」
「そんなこと分かってる。月、詠、お前達は離れてろ」
「一刀さん、頑張ってください……」
「ああ」
月と詠は置いてある荷物を持ってその場から離れる。
一刀はディケイドライバーを腰につけ、ディケイドライバーを展開させる。
そしてライドブッカーからディケイドのライダーカードを取り出す。
「変身!」
一刀はディケイドのカードをディケイドライバーに入れる。
「カメンライド」
ディケイドライバーに変身待機音が鳴り響き、一刀はドライバーを正位置に戻す。
「ディケイド」
一刀の周りにはいくつものカードの壁が現れ、一刀の体を包み、姿を変える。
そしてドライバーの中心から赤いものが出てきて、その変身した一刀の頭につく。
一刀は仮面ライダーディケイドに変身した。
「いくぜ!」
「うああああああ!!」
ディケイドとその怪人が激突する!
ディケイドはパンチを繰り出し、怪人は片手でそのパンチを受け止め、怪人がキックするとディケイドも脚でそれを受け止めた。
「うりゃあ!」
ディケイドが空いている足で怪人の残った足を払い、怪人は倒れそうになる。
「でやっ!」
ディケイドが空いている手で怪人の顔面にパンチを入れようとするが、怪人は突如逆立ちするかのように宙に浮く。
それと同時にディケイドの体は捻られるように、地面に落とされる。
「うわっ!」
ディケイドはギリギリ受身を取る。
「くそ、空飛べる狼……」
ディケイドがその怪人を見ると、脇から羽みたいなものが出ていることに気付くが、その羽はどちらかと言うとムササビの皮膚についているものみたいなものだった。
「ムササビのか? けど、ムササビはそんなに飛べるわけないっても怪人じゃあまり関係ないか」
「きしゃあああああ!」
怪人は何処かへと飛び去ろうとする。
「待ちやがれ!」
ディケイドがライドブッカーから一枚のカードを取り出す。
それをディケイドライバーに挿入した。
「カメンライド、ファイズ」
ディケイドはディケイドファイズに変身した。
そこにマシンディケイダーが来る。
ディケイドファイズは新しいカードをディケイドライバーに挿入する。
「アタックライド、オートバジン」
マシンディケイダーはオートバジンに変身し、その怪人の後を追うように機関銃を撃つ。
「ぎゃっ!」
弾は怪人にいくつか命中し、ふらつく。
しかし怪人はそのまま建物に隠れながら飛び去っていった。
「待て!」
ディケイドファイズは一枚のカードをさらに挿入した。
「フォームライド、ファイズ、アクセル!」
ディケイドファイズはアクセルフォームに変身した。
アクセルメモリーを押す。
「Start up」
ディケイドファイズアクセルは高速でその怪人を追った。
しかしディケイドファイズアクセルは怪人が通ったとされる場所をくまなく探すが、怪人の姿が見当たらない。
「くそ…隠れて逃げられたか……」
「Time out」
タイムアウトと同時にディケイドライバーを展開させ、変身を解除する。
「どこ行きやがった……」
一刀がまだ辺りを捜索していると……。
「きゃあ!」
「また悲鳴か!」
一刀がその場所に行ってみるとそこには一人の女性が倒れていた。
「大丈夫か?」
一刀がその女性を抱える。
「うう……」
「息はあるか……病院……怪人の事は話したくないな。仕方ねえ」
一刀は適当なドアを見つけ、そのドアを開ける。
そして一刀は正史から外史へと移動した。
「うう……」
倒れていた女性は目を開ける。
その女性には見知らぬ天井が映し出されていた。
「ここは?」
「あ、目が醒めました?」
その女性の隣には月がいた。
「ここは?」
「病院です」
病院とは言っても外史で作った病院ではあるが……。
その病室に一刀がやって来る。
「お、目が醒めたか」
「あの人は?」
「この人があなたを運んでくれたんですよ」
「そうだったんですか……」
「ところであんた、何者だ?」
「私は……智代……。押葉智代(おしば ともよ)」
「智代ね……それでなんであんな場所に居たんだ?」
「なんで……、思い出せない!?」
智代と言った女性は頭を抱えるも、何も思い出せないでいた。
「何で!?」
「もしかして記憶喪失でしょうか?」
「まあ怪人に襲われたらなくなる可能性もあるってことか…」
「怪人?」
「あ、こっちの話だ気にするな。しかし怪我はたいしたことないみたいだ」
その女性は片足を捻っただけとのことであった。
「とりあえずあんたの名前が分かれば住所を割り出すのも簡単だろ。送るぜ」
それからすぐに一刀は智代の住所を割り出し、智代の家へと運んだ。
家の近くには近所のおばさんが心配してそうにいた。
「智代ちゃん、大丈夫? あなたは?」
「この人、道端で足を捻らせちまったから病院に連れてったんです」
「そうだったのですか…」
「それと何故か分からないけど、記憶喪失になっちまったようで……」
「……そうなるのも仕方ないわね」
「? 何かあったんですか?」
「実はその子、一昨日くらいに会社をリストラされたのよ」
「リストラ……大変だな」
「ええ。一生懸命頑張ってたのに……可哀想に…」
「まあ、俺はどうすることもできんな……。とりあえずは…」
「ええ」
近所のおばさんに智代を引き渡した。
「それじゃあ」
「ありがとうございます」
一刀はその場から去って行った。
その日の夜である……。
「♪~♪~」
ある男が一人で道を歩いていた。
その男は東王父。管輅と同じ元管理者であり、仮面ライダーディエンドに変身できる人間であった。
「うわああああああ!!」
「何だ?」
東王父は男の叫び声を聞き、その声が聞こえてきた方に走っていく。
東王父がその場所に行ってみると、男が血を流して倒れていた。
「死んでるな」
東王父は見ただけその倒れている男が死んでいることが分かった。
その男から少し離れた場所には一体の怪人がいた。
その怪人は一刀が見た怪人と同じ女タイプの怪人であった。
東王父はディエンドライバーを出し、怪人に向ける。
「何者だ! お前……」
「きしゃあああああ!!」
「答えられないか…」
東王父はディエンドのライダーカードを手に持ち、ディエンドライバーを展開させ、ディエンドライバーに挿入する。
「カメンライド」
ディエンドライバーに変身待機音が鳴り響く。
「変身!」
東王父はディエンドライバーの引き金を引く。
「ディエーーーンド!」
東王父は仮面ライダーディエンドに変身した。
「はあっ!」
ディエンドは怪人にディエンドライバーを向け、引き金を引き、エネルギー弾を発射させる。
怪人にその攻撃は命中するもあまりダメージはない様に見えた。
「あまりダメージはなし……」
「きしゃあああああ!!!」
怪人は両脇の飛膜(ムササビの持つ滑空するためのもの)のようなものでその場から飛び去っていった。
「くっ! 空に逃げたか……とりあえず、こんなものにしておくか……」
東王父は変身を解除する。
「しかし、この世界に怪人が来ればすぐに分かるはずなんだけど……」
東王父はそう言ってその場を去っていった。
東王父は翌日、月の写真館に現れ、一刀達に昨日の夜に起こったことを話した。
「お前も会ったのか」
「お前もと言うことはお前もか」
「ああ、しかし何でお前や管輅は気付かなかったんだ?」
「昨日の時に管輅に聞いてみたんだが、一つの答えが出てきた」
「一つの答え?」
一刀が深刻な顔をする。
「ああ、あの怪人はこの世界で生まれたんじゃないかってことだ」
「この世界で生まれた怪人…」
「でもどうやってこの世界で怪人は生まれるの?」
蒲公英が東王父に聞く。
「そうだね。その怪人の元となっている核がどこかの世界から流れ着いて成長したらこの世界で生まれたことになるんだ」
「でもその核が来たら気付くんじゃ…」
「ところがその核が小さすぎるとなかなか気付かないんだ。まあ前にT2ガイアメモリが流失した時は26個と言う量と多かったから感知できたんだ。
もし一つだけだったら気付けなかっただろうね」
「そうか…」
「それで気付けるとしたら何個くらいから?」
「5個以上で気付けるくらいになる」
「つまりはこちらの世界にその怪人の核になるものは4個以下と言う事ですね」
話を聞いていた凪が答えた。
「そういうこと。昨日戦ってみて思ったけど、あれはメダルで出来た怪人だ」
「メダル……ってことはヤミーか?」
「ヤミー……多分グリードだな。それも元々は外史で生まれたものだ」
「なるほどな。俺じゃあ気づけなかったわけだな」
「昨日戦ったんじゃないのか?」
「戦ったけどダメージらしいものはほとんど与えられなかった。
それにダメージを与えたのはオートバジンだからな」
「そうか。俺は昨日は直接撃ってみたけど、その時わずかにだけどメダルがなる音が聞こえた。
それでオーズの怪人タイプだって気付いた」
「なるほど…。ってことはあの怪人は誰かの欲望で動いているってことか…」
「量産タイプか、人から出てくるタイプか…、はたまた人そのものを取り込むタイプ…」
「一番最後のタイプは出来ればやりたくないな…」
「何にせよ、欲望の元となった人間を探さないといけない」
「と言っても手がかりは無しか」
「しらみつぶしに探してみるしかないな。一応、管輅にも連絡しておく」
「頼む」
東王父は用件を終えて、写真館を出て行った。
「俺も探ってみるか」
「私達も探すよ」
「私ならそう言うの得意ですよ」
翠達もその怪人の元となった人間を探そうと提案する。
「……頼むわ。ただし怪人が出てくる可能性があるから見つけたら俺にすぐに連絡しろ」
『分かった(分かりました)』
そして一刀は破の将達と一緒に怪人の元となった人間を探しに行った。
数日が経つが、元となった人間が見つからない。
その間に怪人は何人もの人間を襲い殺した。
「見つからねえ~」
「弱音を吐くな、なのです!」
「根気よく、探す」
一刀はたまたま合流した恋とねねと一緒に歩いていた。
「うん? この通りは…」
「どうしたのです?」
ねねが一刀に尋ねる。
「ああ、ここは前に助けた智代って人の家がある通りだ」
「その人、怪人に襲われたことがある」
「何か思い出したかも知れませぬな。恋殿、さっそく調べに行くのです!」
「俺を差し置いていくな。それにその智代って人は俺や月に詠くらいしか会ってないから、お前達が行っても困るだろ」
一刀達は智代の家に行ってみた。
すると一刀は驚いた。
「なんだこりゃ」
「どうしたの?」
一刀が驚いた理由、それは智代の家がとても豪華になっていたのだ。
「一体何があったんだ?」
「何がどうしたのですか?」
「前に来た時はこんな豪華な家じゃなかったぞ」
「とりあえず、話を聞いてみるです」
一刀達は智代の家のインターホンを鳴らす。
すると玄関から智代が出てくる。
「あなたは……確か北郷さん」
「体調どうかなって思ってきたんだけど、これ…どうなってるんだ?」
「ああ、これわね。私が社長になったのよ」
「社長?」
「上がってく?」
智代の好意により、一刀達は家に上がらせてもらった。
「なるほど……だいたい分かった。株で自分をリストラした会社を乗っ取ったてことか」
「言い方は悪いけど、そうなるわね」
「下克上なんて簡単に出来るものじゃないですぞ」
「あれから色々勉強したのよ。お陰で記憶も大分戻ったし…」
「……」
「まあ運もあったんだけどね。あの会社の人間の何人かが死んだの」
「死んだ?」
「ええ。最近ニュースになってた思うけど、見てないの?」
「…あんまり見てないんだよな」
一刀はそう言いながら、手をあごに添える。
「どうしたのでありますか?」
「いや……、まあこの前近所のおばさんに仕事無くしたばっかりだと聞いたけど、問題ないようで安心した」
「心配してくれてありがとう。でももうこっちは大丈夫ですので……」
それからしばらくして一刀達は智代と別れた。
「しかしリストラされた人間がシストラした会社の社長にまで上り詰めるなんてすごいですな~」
「ああ……」
しかし一刀は考えこむようにしか答えなかった。
「どうしたのです?」
「何考えてる?」
「いや、あの人の会社の人間が死んだことだ……」
一刀はそれからすぐに智代の人間関係および、会社での出来事をすぐに調べた。
そしてある事実にたどり着いた。
翌日、智代が家に出てくるところに一刀が声をかけてきた。
「よう」
「何か用ですか?」
「ああ。あんた、メダルの怪物に何かされただろ?」
「……いえ、なんです? メダルの怪物なんて…」
智代は否定するが、一刀は智代のわずかな顔の歪みと声色から疑念から確信に変わったのだ。
「あんたのこと、悪いけど調べた。
それで分かったよ。最近怪人に殺されてる人間が全てあんたの会社の人間やその会社の株を持つ人間やその親族だってことがな」
「そ、そうよ。でも私がそんな殺人事件に関わってるなんて……」
「全部あんたの欲望から生まれた事件だ。今はまだ関係ないって言い切れても後々言いきれなくなるぞ。
それはどういう……」
その時であった。突如と智代の家から何かが壊れる音がしたのだ。
「何? 今の音」
「くっ!」
一刀が無理矢理智代の家の玄関のドアを壊して入ろうとする。
「待ってよ、今開けるから…」
智代は家の鍵を取り出し、急いで玄関の鍵を開けた。
すぐさま一刀は家の中に入っていく。
一刀が家に入ってみる。
部屋は壺のようなものが割れており、散らかされていた。
そしてその部屋には一刀や東王父が見た女タイプの狼のような怪人がいた。
「手前……」
「あら? あなた、依然見たことあるわね」
「喋れたのか」
一刀や東王父が遭遇した時は叫び声のみで喋る事は一切してなかっため、多少困惑しても無理はない。
「喋れたのかじゃないわね。ようやく喋れるようになったのよ。セルメダルがたくさん集まったお陰でね…」
「お前の目的は何だ?」
「その前に名前を名乗らせてもらうわ。私の名はホー。グリードよ」
「悪いが俺は名乗る気はない」
「別に構わないわよ」
「もう一度聞く、お前の目的は何だ?」
「あら、私はあの女の欲望通りに動いていただけよ」
「え?」
ホーと名乗ったグリードが一刀の後ろにいた智代に指差して答えた。
「あいつの欲望?」
一刀が智代の方を向く。
「そうよ。私はこの世界に来たときはメダルのみの存在だった。そんな時私を拾って、こんな事を言ったのよ。
『世界なんて滅ぼしてやりたい! 征服してやりたい!』ってね」
「……」
「私そんなこと……あ」
「心当たりがあるのか?」
「あの時は相当酔ってた……。まさかあの時のことを!?」
「そうよ、思いだしてくれたのね」
「違う……私はそんなこと望んでない!」
智代が酷く動揺する。
「いえ違わないわ。あなたは今でも心の中で征服したいと思っているわ。
だから私は手始めにあなたの会社を征服できるように協力してあげたのよ」
「そんな……」
智代はその場で膝をつく。
「でもあなたは用済み。後は私だけで世界を滅ぼしてあげるわ」
「悪いが、それはさせない」
一刀が智代を庇うように立つ。
「あら? あなた、何のつもり?」
「お前を倒すつもりだ」
「おかしなことを言う人ね。私はその女だけでなく周りの人間の欲望も吸収してるのよ。
あなたにもあるでしょ? 支配欲とか…」
「……」
一刀は黙り込むが、すぐに答えを出した。
「ああ、あるぜ。だがな、それがどうした?」
「?」
「誰にだってこうしたい、ああしたいって言う欲はある。だがそれは夢でもある。
何かで聞いたことがある。人は夢があるから生きてられる。夢を無くしたら生きてられない。
だが俺はそうだとは思わない。昔の俺は夢はなかった。だが夢を守ることは出来た。
そんな俺でも今は夢があるぜ。俺を大事に思ってくれてる奴らと一緒に生きるって夢をな……」
一刀の頭には自分を助けてくれた破国の将達の姿がよぎってくる。
「それにな。お前のやろうとしてることは欲じゃない。ただの衝動だ。
だから俺はその衝動を破壊してやる。俺は破壊者でもあるからな」
「貴様……何者だ?」
「通りすがりの仮面ライダーだ、覚えておけ!」
一刀はディケイドライバーを腰につけ、展開させ、ディケイドのカードを手に持つ。
「変身!」
一刀はディケイドのカードをディケイドライバーに挿入させ、ディケイドライバーを正位置に戻す。
「カメンライド、ディケイド」
一刀はディケイドに変身した。
ディケイドは手をはたく。
そしてディケイドはライドブッカーをソードモードにする。
「行くぞ」
「ふん!」
ディケイドとホーが部屋の中で激突する!
ディケイドがライドブッカーでホーを攻撃しようとすると、ホーは片手の爪でライドブッカーを防ぐ。
ホーは残った片手の爪でディケイドを攻撃しようとするが、ディケイドはライドブッカーが防がれている事を利用し、ライドブッカーを軸にして体を回転させ、攻撃を回避した。
そしてライドブッカーを敵から離すと同時にホーの背中に蹴りをくらわせた直後に戻したライドブッカーで背中を斬りつけた。
「ぬっ! くそ!」
ホーは飛膜を広げる。
「待て!」
「待ってあげるわ!」
ホーはそう言いながら、ディケイドに向かって飛んで行き、ディケイドを掴む。
「ぐわっ!」
ホーはディケイドを掴んだまま、家の天井を破壊し、外へと飛んでいく。
「何する気だ?」
「場所換えよ」
ディケイドはホーに捕まれたまま、採掘場へと運ばれてしまう。
「くっ! 放しやがれ!」
ディケイドがライドブッカーで攻撃し、何とかホーが怯んだ隙を見てディケイドは脱出した。
「くそ」
ディケイドは着地する。
ディケイドは空中に浮くホーを眺める。
「言っておくけど、場所移動はあなたのためじゃないわよ。私のスピードを生かすためよ!」
「何?」
そういうとホーは高速移動でディケイドに襲い掛かってきた!
「ぐわっ!」
ディケイドが立ち上がろうとすると、ホーが再びディケイドに襲い掛かる。
「早いな……」
ディケイドは倒れながら、あるカードを手に持つ。
「倒れてるなら、トドメと行くわよ!」
ホーが倒れているディケイドに襲い掛かろうとする。
「まだだ!」
ディケイドはディケイドライバーを展開させ、手に持ったカードをディケイドライバーに挿入し、ディケイドライバーを正位置に戻した。
「フォームライド、オーーーーーズ! ガタキリバ! ガーッタガッタ! ガタキリッバ! ガタキリッバ!」
ディケイドはディケイドオーズへと変身した。
「はっ!」
ディケイドオーズはクワガタヘッドから稲妻を走らせ、わずかに頭を上げて襲い掛かろうとしたホーに直撃させた。
「きゃあ!」
ホーはわずかに揺らぐものの、地面に落とすまでにはいかなかった。
「よっと、だが少しはスピードは落ちたな」
電流のせいでホーの動きがわずかに鈍っていた。
ディケイドオーズはファイナルアタックライドカードを手に持ち、ディケイドライバーに挿入した。
「ファイナルアタックライド、オ、オ、オ、オーーーーーーズ!!」
ディケイドオーズは分身し始める。その数はざっと20人。
そのうちの9人が肩車を組む。そして10人目が一番上に乗り、空に飛ぶホーの足を掴んだ。
「なっ!」
「たああああああああああ!!!」
本体を含めた残りの10人がガタキリバキックをホーに向かって放つ!
「きゃあああああああああああ!!!」
10人ものディケイドオーズのガタキリバキックをくらい、ホーはその場で空中爆発した。
ホーの足を掴んだり肩車をしていたディケイドオーズ達は消え、ディケイドオーズも爆発の中からディケイドの姿に戻る。
ディケイドは地面に着地し、空中爆発の最後を見る。
そして爆発から大量のメダルが地面に落ちてくる。
「ふぅ…」
ディケイドは変身を解除する。
一刀は落ちてきたメダルの方に歩み寄り、メダルを数枚手に持つ。
「欲望で出来た怪人か……」
そう思っていたときであった。
地面にまだある大量のセルメダルの中から三枚のコアメダルが突如と宙に浮いてきたのだ。
「何!?」
そして三枚のコアメダルは何処かへと飛び去ってしまう。
「待て!」
一刀はすぐに近くにやって来ていたマシンディケイダーに乗り、コアメダルを追った!
それは世界を超えるもので、コアメダルは次元のオーロラの壁を通り抜け、別の世界に行く!
一刀はそのオーロラをくぐり、異世界に飛んだコアメダルを追うのであった!
THE NEXT EPISODE
「どっせええええい!」
ここは空。
アストレアが自身の持つ剣「chrysaor(クリュサオル)」を秋山に向けて斬ろうとする。
「甘いな」
秋山はなんとchrysaorを片手で受け止めた。
chrysaorは超振動光子剣であり、イカロスの「aegis(イージス)」をも切り裂くことが出来る剣。
それを素手で受け止めているのだ。しかも出血もしていない。
「『Artemis(アルテミス)』」
遠くにいるイカロスが「Artemis(アルテミス)」と呼ばれる永久追尾空対空弾を秋山に向かって放つ!
「ふん」
秋山は空いている片手から氣弾を連射し、Artemisを迎撃しようとするが、Artemisは氣弾に当たる直前に軌道を変える。
実は今周りにはニンフのジャミングフィールドが展開されており、Artemisはニンフが操っているのだが……。
「まだまだだな」
秋山の氣弾は急な方向転換したと同時にスピードが増し、秋山に近づこうとしたArtemisを全て撃ち落とした。
「嘘」
「俺もコントロールは出来る。ふん!」
秋山は手に掴んでいるchrysaorを持ったままアストレアをニンフ達の方へ投げ飛ばす。
「きゃああああああ!!」
飛ばされたアストレアは何とかイカロスが抱きとめた。
「すみません、イカロス先輩」
「あ、アルファー! デルタ!」
アストレアが受け止められたと同時に秋山が高速移動で三人に近づいていた。
秋山は三人の元に行き、手を銃のような形にする。
「これでバン……だな」
秋山は銃の形にした手を下ろす。
「終了だ」
秋山がそういうと空間が歪みはじめ、元の空間に戻る。
先ほどの場所は秋山が作った異空間であり、実際は智樹の家の中庭にいたのだ。
「カオス、どうだった?」
秋山が中庭にいるカオスに尋ねる。
「とても強かったです」
「そういうこと聞いてるんじゃないんだが……」
秋山は頭をかく。
「ちょっと、秋山。いくらなんでもやりすぎじゃない?」
ニンフが秋山に文句があるように言う。
「やりすぎ?」
「そうよ。デルタのchrysaorは素手で受け止めるは、氣弾で私がコントロールしてるArtemisを破壊するはで明らかにやりすぎでしょ」
「俺はやりすぎだとは思わないぞ」
「何でよ?」
「カオスがこっちにいる以上、あちらはカオス以上を送り込んでくる可能性がある。
そうなるとカオスの時のように行くとは限らん。だからどんな事があっても大丈夫なように俺が力を入れて特訓してるんだ。逆に感謝して欲しいな」
「はいはーい! それじゃあ、何か食べさせてください!」
アストレアが間抜けな事を聞く。
「後でだ」
「ええ~~~~~~!」
アストレアがとてもがっかりする。
「さっきの模擬戦はお前達の成長だけでなく、カオスの中にある『Pandora(パンドラ)』って奴を成長させるためのものでもあるんだ。
もしカオスが戦闘に参加しても良いようにな」
秋山がカオスを見る。カオスはかつて敵として現れた。
ニンフやアストレアも元々は敵として現れたが、どちらもあまり敵対していなかった。
しかしカオスは完全に敵対し、ニンフを精神的に苦しめ、イカロスも肉体的にも苦しめられたことがあり、秋山は思わず今の長い白髪の真モードを越える闇のモードを発動しかけるほどであった。
だが今のカオスはイカロス、ニンフ、アストレアの開発者であるダイダロスの技術、そして智樹の優しさに触れたことより、悪意と心の闇がなくなった存在になったのだ。
とは言ってもまだ生まれて間もない為子供らしいところはかなりあり、子供ゆえの残酷さも多少ある。
秋山も今のカオスには完全に敵意と憎悪はない。
「まあなんかあったら俺がこいつを止めるさ」
この秋山と言う男、名前は秋山総司郎。
秋山はこの世界の人間ではなく別の世界からやって来た人間。
それもただの人間でない、秋山が元居た世界とは更に別の世界からやって来た「邪悪なる闇の魂」と呼ばれていたものを取り込んだために異世界移動だけでなく、先ほどのようなありえないほどの力を手に入れたとの事。
そして最初にこの世界に来たときは黒色の短髪であったが、今は白色の長髪である。秋山はこの状態を「真モード」と呼んでいる。
ちなみに戦闘力は全力同士で比べ場合でだが、最初の状態と比べると10万倍ほど違うらしい。
とは言っても秋山は手加減なしで戦う事はあっても異世界では全力を完全には出し切れない。
それでも戦闘力は半端ではない。
「今の俺と今のこいつならこの状態で充分止められると思うしな」
そんな話をしていた時、空から一枚の落ち葉が落ちてきた。
その落ち葉は秋の紅葉によって赤くなっていた。
「綺麗」
カオスはその赤いもみじの葉を掴む。
「うん? どうしたんだ?」
そこにその家の家主の智樹がやって来た。
「あ、智樹」
「お兄ちゃん、見てみて」
カオスがもみじの葉を智樹に見せる。
「もみじか。どこから?」
「空から降ってきた。まあ風で飛んできたのがこっちに来たんだろ」
(もみじ、もみじ……揉み……ぐへへへへ)
智樹がとてもエッチな事を考えている顔をする。
「マスター」
イカロスが声をかけた。
「なんだよ」
智樹の声が歪んでいた。
「お前の考えている事は分かるが、あえて聞かないとく」
「な、なんだよそれって……」
「まあ、そんなことより皆で一緒に紅葉狩りに行かないか?」
「紅葉狩りか」
「いいわね~。ついでに山も焼き払おうかしら~」
そこにそはら、守形、美香子の三人もやって来た。
「何で全員来るんだ!」
智樹がツッコミを入れた。
「まあ皆といった以上、ここにいる全員で行こうぜ。
後、山を焼はらったら俺が速攻で直してやるが、止めろ」
「あら~残念ね~」
そんなこんなで智樹達は山に紅葉狩りに出かけた。
とは言っても紅葉狩りと言ってもアストレアと守形は山にある木の実や栗を拾っていたり、美香子は木を斬ろうとして秋山に止められたりとまじめに紅葉狩りをしていたのは、そはらとニンフとカオスくらいであった。
そんな姿を見てシートに座る智樹とイカロス。
「はあ~、皆子供だな~」
「マスター、お茶です」
イカロスが水筒に入っているお茶を智樹に渡す。
「サンキュー、イカロス」
智樹が紙コップを受け取ろうとイカロスの手に触れた。
「あ…」
イカロスの顔が赤くなる。
そのショックで紙コップは二人の手から落ち、お茶はシートにこぼれる。
「あ」
「申し訳ありません、マスター」
イカロスが慌てて布巾で茶をふき取ろうとする。
「俺がやる」
智樹が布巾を取ろうとすると再びイカロスの手と触れる。
「ああ……」
イカロスは思わず手を放してしまう。
「どうしたんだ、お前?」
「いえ……」
「?」
シートにこぼれた茶は智樹がふき取った。
「洗ってきます」
イカロスが布巾を取り、川へと飛んでいった。
「あいつ、どうしたんだろうな……」
智樹が飛び去って行ったイカロスの後姿を見てそうつぶやいた。
そんな智樹の近くで雲に隠れていた太陽の一部の光が現れ、光が当たり、何かがわずかに光る。
「うん?」
智樹はその近くに行ってみる。
「なんだこりゃ? メモリ?」
その物はUSBメモリのような形をしており、「M」と言う文字が書かれていた。
「M……まさか!」
智樹はそのUSBメモリの形と「M」と言う文字を見て、とても卑猥なことが頭によぎる。
「とりあえず拾っておこう」
智樹がそのUSBメモリみたいなものを手に取ると……。
「メモリー!」
USBメモリみたいなものから音声が出てくる。
「何だこの声」
すると突然そのUSBメモリが緑色に光だし、それは智樹の体を包む。
「! 何?」
その異常にニンフは感知する。
ニンフが感知したと同時に他の皆も智樹の方を見る。
「何だあれは?」
「智ちゃん!」
「くっ!」
秋山が急いで智樹のところに走ろうとするが、それよりも早く緑色の光が止む。
智樹はその場で倒れてしまう。
秋山達は急ごうとするが、それよりも先に飛んできたイカロスの方が早かった。
「マスター!」
イカロスが智樹の体を揺さぶるが、智樹に返事はない。
「マスター、マスター」
イカロスが何度も呼びかけるも智樹は返事をしない。意識がないのだ。
「マスター……」
イカロスの目から涙が流れ始める。
「そんな……」
イカロスだけでなく、ニンフ、そはらからも涙が流れる。
「おいおい、お前達エンジェロイドだろ。もう少し智樹のことを見ろよ」
秋山が動揺しているイカロス達を落ち着かせるように言う。
「生体反応はあるはずだぞ」
秋山がそう言って、イカロスとニンフは急いで生体反応を確認する。
「生体反応は……ある!」
「トモキはまだ生きてる!」
「良かった~」
皆が安堵する。
「でも、どうして意識だけがないんです?」
アストレアが尋ねてみる。
「これは寝ている状態に近いけど、少し違うわね……」
「? イカロスお姉様、ニンフお姉様。これ…」
カオスが智樹の手にある「M」と書かれているメモリを見せる。
「これは『ガイアメモリ』!」
秋山がそのメモリのようなものの正体を知っていた。
「ガイアメモリ?」
「この世界にはない代物だぞ。どこかの世界から流れてきたのか? しかもこの色と文字……『メモリー』のメモリか」
「メモリーのメモリ? 何か変じゃないですか?」
「ごろ的には変だが、おかしくないぞ」
「それで、そのガイアメモリと言うのはどういうものなんだ?」
守形が秋山に尋ねる。
「簡単に言うと地球の記憶が封じられている。
地球の記憶と言っても地球で存在するものの事象が詰め込まれたものだ。
実際ある物では炎のヒート、疾風のサイクロン、切り札のジョーカー。
それだけじゃない、恐怖のテラー、理想郷のユートピアとかも存在した」
「もはや何でもありね」
「そしてそれを生きてるものの体のどこかに差し込むことで異形の怪物、怪人になる」
「怪人にね~」
「あんたには絶対に渡したくない」
美香子を警戒しながら言う秋山。
「まあこのメモリーはガイアメモリの中でも特殊で体に刺すタイプじゃないな。
その場で発動させるタイプだ」
「それでどんな力があるの?」
「その使用者、もしくはそのメモリの効果の対象にしようとする生き物をかつてこの地球で起こった時に飛ばすものだ。
っても過去に飛ばすわけじゃない。かつて起こった記憶の世界に意識が行くだけで、あって過去改変は出来ない。
俺なら意識だけでなく、存在全てをその記憶の世界に飛ばせるけどな。
まあそれでも過去改変にはならないな」
「でも智ちゃん、どんな記憶の世界に行ってるんだろ?」
「ここ? どこだ」
メモリーの力で記憶の世界に飛ばされた智樹。
智樹は次第に自分がいる場所が分かった。
「前にダイブゲームで来た場所だ」
つまりはシナプスにいるのだ。
しかしそのシナプスは今のシナプスではない。過去のシナプスである。
智樹は現在意識だけの存在なので、体は緑色に透けている。
そして智樹はある場所に飛ばされる。
それはとても広い広間であり、そこにはイカロスがひざをついていた。
「アルファー、今日もご苦労だったな」
「はい……」
アルファーと言ったのはかつてのイカロス達のマスターであり、その男の近くには似たような男達がいた。
「今日は下がっていいぞ」
「はい」
イカロスは無表情のままその場を立ち去っていった。
「あいつら……」
智樹はイカロスに対して何にも思っていないシナプス人達に怒りを覚えた。
しかしそんな智樹は再び飛ばされる。
その理由は智樹がイカロスに付いて行っているからだ。
「なんだこりゃ? 俺はどうなるんだ? それにあのイカロスは……」
歩きながら広間を去るイカロスを追いかける智樹。
そらのおとしもの メモリーforマスター
イカロスが廊下を歩くと一人の女性エンジェロイドがいた。
そのエンジェロイドは髪は灰色で長さは肩に掛かるくらいの長さで、胸の大きさはイカロスより若干小さめであり、格好と翼はイカロスとよく似ていた。
顔つきもイカロスに似ていたが、若干悪女の顔をしていた。
「派手にやったみたいね、イカロス」
「何のよう? アトレウス」
イカロスがアトレウスと呼んだエンジェロイド。
彼女の正式名称は『殲滅戦闘用エンジェロイドタイプF(本来の文字は違うが便宜上ディガンマと呼ぶ)アトレウス』。
イカロスと使用目的は被るが、イカロスとの違いは性格がイカロスとは違いかなり残虐であり、その場にいた人間を完全に皆殺しにするというものであった。
生体反応探査レベルにおいてはイカロス以上であった。
「別に、ただ呼び止めただけよ」
「そう…」
イカロスが再び歩き出そうとする。
「さすがはウラヌス・クイーンね。うらやましいわねあなたのその力」
「……私はそう思ったことはない」
イカロスは小さい声でそう言いながらその場を去っていった。
「なにが私はそう思ったことはないよ」
アトレウスは先ほどのイカロスの小さい声を聞き取れており、アトレウスは柱に拳を当てる。
「ふざけるんじゃないわよ……」
アトレウスは明らかに怒りを顕わにしていた。
その様子は意識だけの智樹は見ていた。
「こえ~」
智樹はそう思っていた。
戻って現実世界
「どうすればいいの?」
ニンフが秋山に尋ねる。
「俺ならその記憶の世界に介入できる。ってもメモリーの見せる記憶の世界がひとまずの区切りを終えない限りは智樹は戻ってこないぞ」
秋山が意識の無い智樹の頭に手をやる。
「じゃあ何しに行くんだ?」
「こいつが見ているもの、少し気になってな。それを見に行くだけだ。
まあ介入しても過去改変にはならないから気にするな。それじゃあ行ってくる」
秋山はそう言うと体がその場から消える。
記憶の世界
智樹は最初に飛ばされた日から突然数日後に飛ばされていた。
「これって、記憶なのか?」
ようやく智樹は記憶の世界にいることに気付いた。
「そうだ」
そんな智樹の側に実体のある秋山がやって来る。
「秋山」
「ここは記憶の世界だ。そしてお前は意識だけがこの世界に来ている。その体がその証拠」
「お前は?」
「俺は俺の意思でこの世界に来た。だから実体はある。っても今はお前以外には見えないようにしてるけどな」
「そうか……。それでこの記憶の世界は…」
「過去のイカロスの記憶とその周りの記憶だ」
「イカロスの……」
「ああ。俺は前にイカロスが記憶を取り戻す時の記憶を覗いているからな。っても全部見たわけじゃないけどな」
「そうか……」
「それはそうとあいつは?」
秋山が広間にいるアトレウスの姿を見て、智樹に尋ねる。
「さっき、イカロスがアトレウスって言ってたな」
「アトレウス……」
秋山がすぐにアトレウスの事を調べ上げる。
「あいつは……殲滅戦闘用エンジェロイドタイプF(ディガンマ)のアトレウスだ」
「殲滅戦闘用…」
「かなりむちゃくちゃだな。イカロス以上の兵器だ。完全に人殺しさせるための奴だ」
「なんだって……」
「くそ…」
イカロスとアトレウスはどうやらマスター達に呼び出されていたようであった。
「最近、あの土地で地蟲(ダウナー)共に動きがあるようだ。殲滅して来い。今回は二人でな」
「はい、マスター」
「了解しました」
イカロスとアトレウスはシナプスから飛び去っていった。
それを追う様に智樹と秋山もその場所に飛んでいく。
その場所と言うのは今の空美町に当たる集落であった。
そこではようやく人が外国の人間みたいに生活を始めようとしていたところだった。
「お、おい!」
「何だあれ!?」
そこの人々が空に飛んでいるイカロス達を目撃する。
「Artemis」
イカロスはウラヌス・クイーンモードになり、Artemisを発射させる。
Artemisは全てその場にいた人間を殺していった。
「酷い…」
智樹はイカロスの行動に嫌悪を覚える。
しかし正確に憎悪を覚えているのはイカロスにそれを命じたマスターである。
「甘いな、イカロス」
アトレウスはイカロスを叱責すると同時に、地面に着地する。
「な、こいつ……」
「死になさい」
アトレウスは自身の剣『Hatesu(ハテス)』を出し、その場にいた人々の胴体を真っ二つにする。
斬られた人々はその場に倒れる。
「う…」
ほとんどの人間が即死であったが、何人かはまだ息があった。
「あら、まだ生きていたのね。褒めたいわね……」
アトレウスはまだ息がある人間のところにやって来て、しゃがみこむ。
「あなた、まだ生きたい?」
「ああ……」
「助かりたい?」
「たす…け……て……」
その人間は最後の力を振り下ろすかのように手を上げて、アトレウスに命乞いをする。
「そう。助けてあげるわ」
アトレウスは笑いながら、その人間の顔に向かって剣を突き立て、殺した。
「……」
まだ息のあった人間達はその様子を見て絶句した。
「さてとあなた達も助かりたいわよね?」
「い、いえ…」
「助けてあげるわよ」
アトレウスは不気味な笑みを浮かべながら倒れている人間達を殺そうとした時!
「いい加減にしろ」
アトレウスのHatesuの剣先を秋山が掴んでいた。
秋山は完全な実体としてその場に現れたのだ。
「お前……」
「この世界じゃ何しても元の世界には何の影響がないから珍しくきちんと傍観者を決め込むつもりだったが、止めだ」
「私の剣を放せ! 地蟲!!」
秋山はHatesuを放す。
それと同時に秋山は倒れている人間の体を完全に治し、その人間達をすぐに避難させた。
「貴様、地蟲のくせに我らにはむかうと言うのか!?」
「地蟲、地蟲って地上の人間をそうとしか見れないお前達の感覚、狂ってると思うぜ」
「狂ってる? シナプスから見れば貴様らは地上ではいずるだけの蟲だ!」
「俺から見たらお前達の方がその地蟲にしか見えないぜ」
「貴様、何様のつもりだ?」
「異世界の闇の神の魂を持った……人間だ」
秋山は氣を高める。秋山の足の周りの地面はひびが入ってくる。
そして秋山とアトレウスが激突する!
アトレウスはHatesuを秋山に対して振るが、秋山はそれを片手で受け止める。
「同じ事しか出来んのか?」
「甘いな。これは超振動刃にすることも出来る」
つまりは常にのこぎりのようにすることも出来るのだ。
アトレウスはHatesuを超振動刃に変える。
するとHatesuを止めている秋山の手から血が流れてくる。
「アストレアのもの以上か」
この記憶の世界の時間ではまだニンフとアストレアはいない。
そのためアストレアと言われても誰のことか、アトレウスは知る由もなかった。
秋山は手から血が出ているのにも関わらずHatesuを放そうとしない。
「貴様、その手を犠牲にする気か」
「いや、犠牲にする気はない」
そう言うと秋山はさらに強い力でHatesuを握る。
すると当然のように秋山の手の出血はひどくなる。
「だがお前はこの後どうする気だ?」
それなのにも関わらず秋山は冷静であった。
「馬鹿め、私の武器はHatesuだけではない!」
そう言うとアトレウスは口を大きく開く。
(こいつはニンフの……)
「くらえ!」
アトレウスから強力な高熱圧縮砲が放たれ、秋山に直撃する。
その強力な高熱圧縮砲により、斜線上の地面が完全に溶けていた。
「ふん、どうだ。こいつをくらえばいくら強い地蟲でも……」
アトレウスはそう思っていた。
しかし煙が止むと秋山は平然と立っていた。
Hatesuから手を放していてその出血は止まっていないものの、秋山はそれ以外は変わらない。
「結構強力なの持ってたの調べてたのに忘れてたぜ」
「馬鹿な、私のpersephone(ペルセフォネ)を受けて……無傷だと!?」
「とあるキャラの台詞を使えば、なんなんだぁ、今のはぁ?」
秋山はかなり余裕であった。
「くっ!」
アトレウスはHatesuを構えようとすると……。
「もういい、ディガンマ」
シナプスにいるマスターが攻撃中止を命令する。
「しかし、マスター!」
「その地蟲はこちらも想定外だ。一度、ウラヌス・クイーンと一緒に戻れ」
「……分かりました」
アトレウスはあまり納得してない顔で、空に飛ぶ。
「貴様は必ず私の手で殺す! 必ずだ!」
アトレウスはそう言いながら、飛び去っていった。
「………俺は闇の魂と対になった魂持ってる奴じゃない限り殺せねえよ」
秋山はそうつぶやいた。
そんな秋山のところに意思の存在の智樹がやって来る。
「おい……」
「大丈夫だ。あっちの世界には何の影響もない。既に確認済みだ。それにお前もあれ以上の血は見たくないだろ」
「そうか…。それとあれ…」
秋山はそう言うが、智樹は別のことも言いたいのだ。
智樹が指差すほうにはまだイカロスがいた。
「イカロス、まだいたのか」
「………」
イカロスが飛び去ろうとするが、イカロスの前に秋山が立ちふさがる。
「どいてください」
「嫌だね、お前だってあんな人が死んでいくさまを見るのは嫌だろ?」
「私は……」
イカロスは昔から不器用なところがあった。
それは自分の気持ちをうまく言えない所であった。
「仕方ねえ……」
秋山がイカロスとインプリンティングによってシナプスにいるマスターを繋ぐ鎖を破壊しようと片手で掴むと、秋山の体に衝撃が走る。
「いけない!」
「それがどうした?」
秋山は片手でその鎖を粉々にした。
「………」
「これでOKだ」
秋山は手を払う動作をする。
「でも……」
イカロスは秋山の怪我を気にする。
「気にするな」
秋山の怪我はすぐに治った。
「俺はどんな怪我をしてもすぐに治る。致命傷でもな」
秋山はそう言うと、辺りを見回す。
「とりあえずは復旧作業でも手伝ってやるか。お前も手伝うか?」
「……命令?」
「その考えも変わらんのだな。命令じゃない。お前の好きにすれば良い」
秋山はそう言って現地の人達と話し始める。
現地の人間からは神様だとか言われ、ちやほやされていたが、秋山はいつもと変わらずに復旧作業を手伝った。
イカロスはただ黙ってみていた。
「イカロス」
智樹の声はイカロスには届かない。
智樹はそれもあるが、昔からイカロスがつらい目にあっているのを見て、自分もつらくなった。
シナプスでは秋山の突然の出現とイカロスが帰還しなかったことにより、色々な対策会議がされていた。
その結果、アトレウスの大幅改造をすることが決まった。
「アトレウス、お前の改造が決まった。
次はあの地蟲を殺し、ウラヌス・クイーンを取り戻せ。いいな」
「了解しました」
アトレウスは不気味な笑みをしながら、命令に従った。
空美町となる場所では、秋山が現地住民達と協力して集落の復興をしていた。
そんな中で秋山はひとまず集落で暮らす家を作った。そこにイカロスも住まわせていた。
「♪~♪」
イカロスは黙って座り、秋山は調子の良いようにコーヒー豆を焼いていた。
理由としては最近見たものの影響とのこと。
そんな秋山にイカロスは興味が少しだがわいていた。
エンジェロイドにも匹敵するほどの力を持つ存在が何故地上人の味方をし、そして自分の鎖を壊したのかと……。
「あの……」
「よし、良いな」
秋山は適当にコーヒー豆をとぐものを出し、そこからコーヒーを作り出し、コップに入れる。
「出来たぜ。飲みな」
秋山がイカロスにコーヒーを差し出す。
「………それでは……」
イカロスは出されたコーヒーをそのまま飲む。
「……………」
「何か言って欲しいな。お前が感情とか出しにくいのは知ってるけどな…。それとわざとブラックのままにしたんだが、そのまま飲むとはな……」
ニンフやアストレアだったら確実に苦いと言って来るだろうと秋山は思った。
しかしイカロスは何も答えてくれない。
「……」
「まあ戸惑うのも無理ないさ。無理矢理マスターを無くさせたんだからな…」
「あの…」
「うん?」
「何でそのようなことを?」
「お前にはあんな殺人があわないと思ったからだ」
「……それだけ?」
「いや、それだけじゃない。お前のことを気にしてるやつが後々から出てくるさ。その時に俺の行為の意味が分かるさ」
「?」
イカロスには秋山の言葉の意味が分かっていなかった。
「おい、秋山」
「うん?」
智樹が秋山に声をかける。
「何でイカロスを入れてんだよ?」
「別に…。今のイカロスには居場所がないからな。とりあえずは居場所を作ったって所だ」
「後さ、もうこれって記憶の歴史と随分違うんじゃ…」
「ああ、随分違うな」
「だったら俺達そろそろ出れるんじゃ……」
「いや、どうやらまだのようだな」
「何でだよ?」
「どうやら俺の介入もあって区切りの部分が変わったようだ。もうしばらくはこの世界だ。
まあ何かあったら俺が強制的に出してやるさ。ただしやばそうだからしたくないけどな」
「ふぅ~ん」
「さてと少し出て行くか」
秋山が家から出て行こうとする。
「あの、私も……」
「別に良い。だがこれだけは言っておく。自分の事は自分で決めろ。
俺の知っている奴の受け売りだ」
秋山はそう言って家を出て行った。
「………」
秋山は外に出て、近くの山で狩りをしようとしていた。
「まあ俺は狩りの必要はないけどな……」
「なら私が狩ろうか?」
秋山の後ろ近くにはなんとアトレウスがいた。
「お前……」
「ウラヌス・クイーン、イカロスはどこだ?」
「さあな……」
秋山はアトレウスを背にする。
「「………」」
二人は黙り込む。
「お前はイカロスを取り戻すだけじゃないだろ?」
「ああ、貴様も殺すことも目的だ」
「出来るのか?」
「肉体的には難しいかもしれんが、精神的には簡単に出来るかもな」
「何?」
アトレウスはそう言うと肩や腰からArtemisのようなミサイルが発射される。
しかしそれは秋山が狙いではなく、秋山が先ほどまでいた集落の方に飛んでいった。
「くっ!」
秋山が急いでそれらを全て氣で破壊するも秋山がそちらに気をとられている隙にまた別のミサイルを発射し、集落を火の海にした。
「手前……」
「どうする? 早くイカロスを出さないと……」
「私はここ……」
なんと秋山のさらに後ろにはイカロスがいた。
「イカロス」
「私が目的なんでしょ」
「ああ、そうだ」
「「ダメだ、イカロス!!」」
秋山だけでなく、それを見ている智樹も叫んだ。
「あなたは私のマスターじゃない。それにこれは私が決めたこと」
「………」
「私をシナプスに連れて行きなさい」
「そうね……、でもその前にこの地蟲を殺さないといけないわ!」
「!」
アトレウスはイカロスを掴み、飛び去ろうとする。
「待て!」
「そこの山で待っているわ。死ぬ覚悟をしなさい」
アトレウスは少し離れた山へとイカロスを連れて飛び去って行った。
「ちっ……、俺の怒りに油どころかダイナマイトを投げるとはな……」
秋山は少しその場で沈黙する。
「やってやるか」
秋山はそう言ってその山の方へと飛んで行った。
「っておい待てよ!」
智樹は秋山に付いていく形で飛んでいった。
イカロスはアトレウスが用意した鎖により、木に縛り付けられていた。
「さてと、この姿のあんたを見たらあの男はどうなるのかしら?」
アトレウスはぞくぞくしたような笑いをする。
「精神的に壊れるかしら? もうあいつの目の前で何人もの人が死んだようなものからね……」
アトレウスは笑う。
そんなアトレウスのところに秋山が歩いて近づいてきた。
「きたか……」
アトレウスは秋山の存在を確認し、秋山と対峙する。
「やる前に言いたいことがある」
「何かしら?」
「元々は他人の台詞だが、今の俺にはピッタリだな。だから言うぞ。俺はこの世界で3つの罪を作った。
1つ目はお前を逃がしたこと。2つ目はあの集落から離れなかった事。3つ目はそのせいであの集落を酷い目にあわせたことだ。
俺はこの世界での罪を数えた。今度はお前が自分の罪を数える番だ。
さあ、お前の罪を……数えろ」
秋山が右腕を伸ばして、右手の人差し指と中指をわずかに伸ばして、アトレウスに向けて言う。
(私の罪……)
その言葉はイカロスの心の中にも届く。
「私に罪などない!」
アトレウスはそう言いながら、秋山に突撃して行き、Hatesuを秋山に向け、斬りかかろうとするが……。
「もう手加減する気はないぞ」
秋山はそう言って拳一つでHatesuを粉々に砕いた!
「なっ!」
アトレウスはかなり驚く。
「だが、この威力の上がったpersephoneとminos(ミノス)なら!」
アトレウスは体からpersephoneとminosを発射させようとする。
「ふん!」
秋山はジャンプする。
「逃げられんぞ」
全て秋山に命中しようとするが……。
「でゃああああああああ!!」
秋山は空中で右足の跳び回し蹴りをくらわそうとする。
右足は黒い闘氣に覆われていた。
しかしそれよりも先にpersephoneとminosが命中する。
しかしその爆風の煙が止むと秋山は先ほどの体勢のままでいた。
「何!?」
「ファングストライザー改めダークストライザー!!」
秋山の跳び回し蹴りは諸にアトレウスに命中!
そしてアトレウスは体が完全に横に二つに割れ、その場に倒れ伏せる。
「た、助け……助け……」
アトレウスは秋山に命乞いをする。
「お前はそうやって人の命を助けたことはあるか?」
「あ……ある」
「嘘だ。お前はそう言いながら人の命を奪った」
「それは助けを……」
「命乞いしてる奴にとってはそれは助けじゃない。ただ殺されただけだ」
「殺され……」
「そしてそれがお前の罪の一つだ」
「罪だ……と」
秋山は指を鳴らす。すると倒れているアトレウスの上空からタンクローリーが落下してくる。
「た……助けて……」
「ダメだ」
秋山がそう言って後ろを向くと落ちてきたタンクローリーがアトレウスを踏み潰し、それと同時に爆発した!
アトレウスが爆発するとイカロスを縛っていた鎖がなくなる。
「大丈夫か?」
秋山がイカロスに声をかける。
「はい……」
「そうか。…じゃあな」
秋山がイカロスに背を向ける。
「あの……」
「うん?」
「私も…自分の罪を……」
「お前が思ってるほどお前の罪はないぞ。お前の罪はただ一つだけだ」
「え?」
「お前が自分の気持ちをストレートに出さない。それだけだ」
そう言うと秋山は歩き出した。
「帰るぞ」
秋山が智樹に声をかける。
「え? 帰る?」
「ここで区切りが出来たからな。それに実はと言うとあいつを倒したのは俺じゃなくて本来はイカロスがやったんだ」
「イカロスが…」
「ああ。イカロスが見かねてあいつと戦って勝った。それが正しい歴史だ」
そして空間そのものが消えた。
「マスター…」
「トモキ! トモキ!」
智樹が目を開ける。
「あ、イカロス……ニンフ……」
智樹が目を開けるとそこには自分と一緒に紅葉狩りに出かけていたメンバーと秋山がいた。
「秋山」
「おはよう」
秋山はきちんと戻ってきていたのだ。
「トモキーーー!」
ニンフがまず起き上がりそうになっていた智樹に抱きつく。
「うわ、ニンフ……」
「よかったー、よかったー」
ニンフは泣く。
「とりあえずは何とかなったな」
「イカロス」
「はい」
智樹がイカロスに声をかける。
「もう少し自分の気持ちに素直になれ」
「……はい……」
イカロスは顔を赤くする。秋山は鼻で笑った。
「まあそれはそうと、ガイアメモリをどうにかしないと……」
秋山はメモリーのガイアメモリを破壊しようと思ったが……。
「!」
「な、何だ?」
メモリーのガイアメモリが近くの大きな桜の木の近くへと飛んで行ってしまう。
「何だ? 何であの桜の木に?」
「あの場所は……俺があの世界であいつを倒した場所だ!」
「あいつとは?」
「その説明は後にしてやる。とにかく追うぞ!」
全員が急いでガイアメモリのところに急ぐのであった!
THE NEXT EPISODE
仮面ライダー×真・恋姫†無双 featそらのおとしもの SS大戦CORE
智樹達は何とかガイアメモリの近くにまで着く。
ガイアメモリは宙に浮いており、何故か緑色の光に包まれていた。
そこに三枚のメダルが飛んできて、ガイアメモリを囲む。
「何だあれは?」
「メダルみたいに見えますけど……」
「あれはコアメダル!」
秋山はそれがコアメダルだとすぐに気付いた。
「何かしら、それ?」
「簡単に言うと生き物の力を宿した欲望のメダルって所だ。
あれもこの世界にはないない代物のはず……」
『ついに来たわ!』
ガイアメモリの所から女の声が聞こえてくる。
「何だ、この声は?」
「あそこから聞こえてくるよ」
「ガイアメモリの声じゃないな。もっと別の声だ。メダルの声か?」
『感じる。ここで激しい戦闘があったことをこのメモリが教えてくれる。これでようやく私は完全なグリードになる! 変身!』
コアメダルはガイアメモリを囲むように回っていたスピードが増し、さらに光り輝くとそのガイアメモリがあった場所から巨大な青い炎を纏った存在がいた。
その存在はホーとアトレウスの姿を足して2で割ったような姿であり、全長は20メートルくらいあった。
「我が名はホトレース。全てを支配し、破壊する存在。まずは貴様らを破壊してやる!」
ホトレースは地面に向けて手を大きく振る。
「マスター!」
「トモキ!」
「師匠!」
「お兄ちゃん!」
空を飛んでいたイカロス達はすぐに下にいる智樹達を助けようとするが、間に合いそうにない。
「危ない!」
守形は美香子を、智樹はそはらを庇うように避けようとするが、智樹の方は回避に間に合いそうになかった。
「危ない!」
智樹達のところに一人の男が現れ、智樹達と一緒に攻撃を回避した。
「大丈夫か」
「はい……」
「あ、あんたは…?」
智樹達を助けてくれたのはなんとコアメダルを追ってきた北郷一刀であった。
「通りすがりの仮面ライダーだ」
「仮面ライダー?」
「よう久しぶりであって、始めましてだな。北郷一刀」
秋山が一刀に声をかける。
「俺のことを知っているってことは……お前、管輅から聞いた秋山総司郎って奴だな」
「そうだ」
「久しぶりってのは別の世界の俺に会ってるから言ったのか?」
「ああ。お前と言う存在自体なら2人ほど会ったな」
「2人も会っているのか」
「お前で3人目だ」
「それでお前、あいつ倒せるのか?」
一刀が秋山にホトレースを指して尋ねる。
「どうも調べてみたら俺はあいつを倒したらいけないようだ。だからな……お前はこいつと協力して倒せ」
秋山は地面について智樹のところに来ていたイカロスの方を見る。
「あいつが一番強いのか?」
「この世界じゃな。イカロス、こいつと協力してやってくれ。まあ、ちょっとしたサポートはしてやる」
「…マスター」
「お前が決めろ」
智樹が命令ではなく、自分の意思で決めるようにイカロスに言った。
「……分かりました」
イカロスが一刀のすぐ側に立つ。
「協力しましょう」
「それじゃあやろうか」
一刀は腰につけっぱなしであったディケイドライバーを展開させ、ディケイドのカードを手に持つ。
「変身!」
ディケイドのカードをディケイドライバーに挿入して、ディケイドライバーを正位置に戻した。
「カメンライド、ディケイド」
一刀は仮面ライダーディケイドに変身。それと同時にイカロスの目も赤くなり、ウラヌス・クイーンモードになった。
ディケイドは手を払う動作をする。
「行くぜ」
「はい」
ディケイドはジャンプし、イカロスは飛び立つ!
「私達もアルファー達の援護をするわよ」
「はい!」
ニンフやアストレアにカオスがディケイドとイカロスの援護に入ろうとする。
「うりゃあ!」
「Artemis」
ディケイドはホトレースに拳を、イカロスはArtemisを発射してホトレースに命中するもダメージがない。
ホトレースが二人を振り払うように腕を払う。
「ぐわっ!」
「くっ!」
二人は地面にたたきつけられる。
「イカロス先輩!」
「よそ見しないでこっちにもくるわよ!」
ニンフがイカロスの方を心配しているアストレアに注意を促す。
「ふん!」
ホトレースがニンフ達にも大きな腕を振るう。
そのスピードは予想以上に速く、大きな腕もあってアストレアの翼を持ってしても交わせない。
「私が!」
カオスが自分の翼を盾に自身と2人を守るが、それに関係なく3人も地面にたたきつけられる。
「ニンフ」
「アストレアちゃん」
「カオスさん」
守形達もたたきつけられた3人を気にかける。
「くそ、なんてパワーだ」
「あいつのエネルギーの元はこの世界の地球の中心だ」
「つまりは……コアがあるんだな」
「そういうことだ」
秋山がディケイドに助言する。
「お前とイカロスでコアのところに行け」
秋山がそう言いながら、地面に大きな穴を開けた。
「俺も後で行く」
「させないわ!」
ホトレースが掌に青い炎の弾を作り出し、ディケイド達に向けて放つ!
「はあっ!」
ディケイドとイカロスはギリギリでかわす。
その爆発の中、ディケイドはあるカードを挿入した。
「フォームライド、オーーーーーズ! ラトラーター! ラトラーーーター! ラトラーーーターーー!」
ディケイドはディケイドオーズラトラーターへ変身した。
ディケイドオーズとイカロスはその場を飛ぶ。
ディケイドオーズは新しいカードをディケイドライバーに挿入した。
「アタックライド、トライド、ベンターーー!」
ディケイドオーズの元に走っていたマシンディケイダーはトライドベンターに変身し、ディケイドオーズはトライドベンターに乗り込み、イカロスはディケイドオーズの横を飛ぶ!
二人は秋山が作った穴から地下へと向かった。
「逃がさないわ!」
ホトレースはアトレウスがしていたような翼を形成し、二人の後を追った。
「私達も追わないと……」
ニンフ達がそう言うが、穴の中から一体の存在が現れた。
それは先ほどのホトレースを人間サイズにしたものであった。
「あれって……」
「さっきの奴の分身だな」
秋山はそう答えた。
「とりあえず、俺はあいつらを追う。そいつはお前達に任せる」
秋山も飛んで、ディケイドオーズとイカロスとホトレースの本体を追った。
「私達に任せるって言っても……」
「来るぞ!」
守形がホトレースの分身が攻撃してくる事を察知してニンフ達に注意を促す。
ホトレースの分身は突撃して行き、アストレアが盾で防ぐ。
「どっせえええええい!!」
アストレアが空中までホトレースの分身を運ぶ。
「ふん!」
ホトレースは何とかアストレアから離れる。アストレアの元にニンフとカオスが飛んでくる。
「お前達を破壊してやる」
その頃、ディケイドオーズとイカロスは歪なトンネルとホトレースに追われながらも地球の中心へと向かっていた。
「逃がさんぞ!」
ホトレースはアトレウスの持つ、persephoneを口から放とうとするが……。
「させるか!」
後ろから追っていた秋山から攻撃を受け、ホトレースは思わず発射しかけの口を閉じてしまい自爆してしまう。
「秋山か?」
「急ぎましょう」
二人は秋山の時間稼ぎにより、何とか地球の中心にたどり着く。
そこにはでかい緑色の水晶のようなものが立っていた。
ディケイドオーズは一枚のカードをディケイドライバーに挿入した。
「カメンライド、オーーーーーーーーーーズ! タ・ト・バ。タトバ、タ・ト・バ!」
ディケイドオーズはラトラーターからタトバになった。
「あれを壊すぞ」
「はい」
イカロスはAPOLLON(アポロン)を用意し、ディケイドオーズはファイナルアタックライドカードをディケイドライバーに挿入する。
「ファイナルアタックライド、オ、オ、オ、オーーーーーーズ!!」
ディケイドオーズはライドブッカーをソードモードにして、オーズバッシュの発動準備に入る。
「言って置くが、イカロスが撃った後、お前があれを斬れ」
そこに秋山が来る。
「俺が先じゃダメなのか?」
「お前が先だとAPOLLONの爆発の衝撃を無くすことができないからだ。あれは国一つを滅ぼせる力がある」
「キバエンペラー並の力があるのかよ……あの弓矢は」
「そういうことだ」
そしてイカロスがAPOLLONを放ち、水晶に命中。
それと同時に爆発の衝撃波が来るが…。
「はあああああ!!」
ディケイドオーズがオーズバッシュによって、爆発を切り裂き、爆発の衝撃を防いだ。それと同時に残っていた水晶も破壊した。
「よし……」
そこにホトレースの本体がやって来る。
「お前達、よくもやってくれたな!」
「これでお前は不死身でも無限の力を持ってるわけじゃないな」
「だが、お前達を倒すには充分だ」
「何にも分かっちゃいないな」
ディケイドオーズがホトレースに向かって言う。
「お前のその破壊衝動は誰かのを借りてやってるだけだ。お前の意思で決めたわけじゃない。
俺はこいつの事はほとんど知らない。だがこいつはお前と違う。こいつは自分の意思で俺と一緒にお前と戦う事を選んだ。
それにな、仮面ライダーはな……自分の幸せを犠牲にしても平和を守るもんだ。
俺はそうやって戦ってきた。これからもそうだ……」
外ではニンフ達がホトレースの分身と懸命に戦っていた。
「どっせえええええい!!」
アストレアがchrysaorでホトレースを斬ろうとするが…。
「ふん」
ホトレースの分身は素手で受け止めた。ホトレースは基本的に炎の体をしているため素手で受け止めても何の影響もない。
「アストレアお姉様!」
カオスが自身の翼を鋭くして、ホトレースの分身に当てようとするが、ホトレースはアトレウスの時につけられたminosを発射させて、カオスの翼を防ぐ。
「ふん!」
ホトレースがアストレアをニンフ達に投げつける。
「デルタ!」
ニンフが名前を呼んだ時にふと思い出した。
これと同じような事を秋山と一緒にしていた事を…。
カオスもそれをすぐに思い出し、3人を囲むように翼を展開させてホトレースの攻撃に備える。
ホトレースはスピードを出して3人を攻撃しようとした。
「ぐわっ!」
しかしホトレースの攻撃はニンフ達には届かなかった。
何故ならホトレースは下からの銃攻撃により阻まれたのだ。
そしてそれを撃ったのは東王父、仮面ライダーディエンドであった。
「大丈夫か、ニンフ、アストレア、カオス」
「あんた何者なの? 何で私達のことを知ってるのよ?」
「俺も通りすがりの仮面ライダーさ。それと俺は色々知ってるんだよ。
ニンフ、ハッキングフィールドを広げてくれ。俺がこれから撃つ弾のサポートを頼む」
「分かったわ」
ニンフはハッキングフィールドを展開させる。
それと同時にディエンドはアタックライドカードをディエンドライバーに挿入した。
「アタックライド、ブラースト!」
ディエンドはディエンドブラストを発射させ、ホトレースに当てようとする。
「そんなもの!」
ホトレースはそれをminosで撃ち落とそうとするが、当たる直前で軌道を変えた。
ディエンドブラストのエネルギー弾はニンフがコントロールしているのだ。
そのためディエンドブラストの弾は全てホトレースに命中し、ホトレースは地面に落ちる。
「さてと、じゃあ最近出来たもののテストでもいこうか」
ディエンドはどこからかケータッチを取り出す。
ディエンドの持つケータッチはディエンドと同じ色をしていた。
ディエンドは専用カードをケータッチに入れて、起動させた。
「G4、リュウガ、オーガ、グレイブ、歌舞鬼、コーカサス、アーク、エターナル」
それぞれのライダーの紋章を押した後、ディエンド自身の紋章を押す。
「ファイナルカメンライド、ディエーーーーンド」
ベルト部分にケータッチを入れ、頭に自身のカードが付き、胸部にはヒストリーオメントが現れ、そこから8人のライダーのカードが出てくる。
ディエンドはコンプリートフォームへと変身した。
ディエンドがコンプリートフォームになったと同時に倒れていたホトレースの分身が起き上がる。
「あああああ!」
ディエンドコンプリートフォームは気にせずに新しいカードをディエンドライバーに挿入する。
「こいつで決まりだな」
「アタックライド、ゲキジョーバーーーン!」
ディエンドコンプリートフォームがディエンドライバーを上に向けて引き金を引くとそこから7人のライダーがディエンドコンプリートフォームの横に並ぶ。
そこには仮面ライダーG4、仮面ライダーリュウガ、仮面ライダーオーガ、仮面ライダーグレイブ、仮面ライダー歌舞鬼、仮面ライダーコーカサス、仮面ライダーエターナル。
ディエンドコンプリートフォームの後ろにはホトレースの本体よりは小さいもののそれでも人間よりも大きい仮面ライダー、仮面ライダーアークが立っていた。
「それじゃあトドメといこうか。お前達も協力してくれないか?」
「どうやって?」
「そこのカオスは確かコロニーレーザーみたいな形を取れるよね?」
「出来るよ」
「そこからアストレアを発射させてくれれば良い。ニンフがカオスの力をコントロールすればアストレアにダメージはないはずだ」
「出来るの?」
「やってみればいいさ」
「少し賭けになるけど、やるわよ」
「「はい!!」」
カオスが翼を大きくし、自身を囲んでコロニーレーザーのような筒状になる。
そこにアストレアが入り込む。その間にディエンドコンプリートフォームはファイナルアタックライドカードをディエンドライバーに挿入する。
「ファイナルアタックライド、ディディディディエーンド!!」
それと同時にG4は「ギガント」を持ち出し、リュウガはドラグブッカーを呼び出して「ドラゴンライダーキック」、オーガは「オーガストラッシュ」、グレイブは「グラビティスラッシュ」、歌舞鬼は音撃打「業火絢爛(ごうかけんらん)」、
コーカサスは「ハイパーライダーキック」、アークも「ライダーキック」、 エターナルは「ネバーエンディングヘル」の準備をする。
そしてディエンドは「ディメッションバスター」を放つ体勢に入る。
「おのれ……」
ホトレースは口のpersephoneを地上にいるディエンド達、minosを上に跳んだライダー達やアストレア達に向かって放った!
しかし全員の攻撃準備は完了していた。
『はああああああ!!』
『てゃああああああ!!』
「どっせえええええええい!!」
persephoneはディエンドコンプリートフォームのディメンションバスターで撃ち負け、minosは上にいたメンバーに当たろうとするが、キックなどでミサイルをそらされ、不発に終わらされた。
そして全員の攻撃の全てがホトレースの分身に直撃し、ホトレースはその場で大爆発を起した!
「さてと、こちらは片付いたな」
ディエンドコンプリートフォームが召還したライダー達は全て消えた。
「アルファー…」
地上にいる皆が地下に行った3人を気にかけた。
「てゃあ!」
「Artemis」
ディケイドオーズはライドブッカーを持ち、イカロスはArtemisでホトレースの顔を攻撃する。
ディケイドオーズはホトレースの顔面に煙が出ているのを利用して攻撃しようとするもすぐに掃われる。
「ふん!」
ホトレースはminosを二人に当てようとし、二人ともそれを避け、ディケイドオーズは再び攻撃しようとするも壁に叩きつけられてしまう。
「仕方ない、一刀! こいつを使え!」
秋山がディケイドオーズに1枚のカードを投げ渡し、ディケイドオーズはそれを受け取り、そのカードの絵柄を見る。
「こいつは……」
「させん!」
ホトレースがディケイドオーズを掴んで、湖へと投げ飛ばす!
「ディケイド!」
「大丈夫だ」
秋山は確信があった。
その確信とともにディケイドライバーの音声が鳴る。
「フォームライド、オーーーーーズ! タジャドル! タ~ジャ~ドルゥ~」
ディケイドオーズはタジャドルになり、タジャドルの翼で空を舞う。
タジャドルから強力な風が吹き荒れる。
「な、なんだ! この風は……!」
「これは……力がみなぎる?」
イカロスは力がみなぎってくる感覚がした。
「もう1枚追加だ」
秋山がディケイドオーズにもう1枚カードを投げ渡し、ディケイドオーズは受け取り、ディケイドライバーに挿入する。
「ファイナルアタックライド、イ、イ、イ、イカロス!!」
それはなんとイカロスに対応するファイナルアタックライドカードであった。
「俺が作ったオリジナルカードだ」
「? 体が……」
「ファイナルアタックライドは若干強制力が働くからな。お前もキックだ」
「いくぞ」
「はい」
イカロスとディケイドオーズは対角線上に並ぶ。
「たああああああああああ!!!」
「!!!」
二人は同時に飛び出し、飛び蹴りをホトレースの中心に向かって放つ!
そのスピードはイカロスが最大で出せるマッハ24を越えており、ホトレースはそれに対応できなかった。
「ぐっ! ぐえあっ!!」
二人が体から出て行くと同時にホトレースは大爆発を起した。
それと同時にガイアメモリとコアメダルが飛び出してきた。
「ふん!」
秋山が出てきたメモリとメダルのところまで跳ぶ。
「ダークストライザー!!」
ダークストライザーでメモリとメダルを粉々にし、消滅させた。
イカロスはすぐに来た穴から脱出した。
「アルファー!」
「イカロス!」
イカロスの帰還を皆で確認した。
イカロスは地上に着く。
「イカロスさん!」
「よかった、無事で……」
皆でイカロスの無事を見て、安心する。
秋山も少し遅れて戻ってくる。
ディエンドは変身を解除する。
「さてと……俺は帰るか」
「あれ? あの人は?」
「あの人って確か、北郷一刀って言う人よね?」
「ええ。その人が見当たらないんですけど……」
そはらに言われて、皆が一刀がいない事に気付く。
「そういえばどこへ行ったんだ?」
「まあまた適当に帰ってくるだろ」
東王父はそう言って、その場から去っていった。
その頃、一刀はと言うと……。
「何で俺はここにいるんだ?」
「その爆発と突っ込みすぎた影響だからでしょ」
一刀はなんと蜀の王として生き、そして仮面ライダーとして戦った北郷一刀が居た世界の未来に来ており、その孫の北郷矢刀(やと)に見つけられていた。
「まあ、土産でも買ってったら?」
「そうするか……」
一刀はその世界の土産を買うことになった。
ここからは「仮面ライダー×仮面ライダー OOO&W featスカル MOVIE大戦CORE」のエンディングテーマ「HERAT∞BREAKER」が流れているものだと思ってください。
全てが終わって紅葉狩りを続けていた一同。
「それじゃあその紅葉狩りも出来たことだし、改めてしようかしら~」
「え? するって何を?」
智樹が美香子に尋ねる。
「何って、桜井君の結婚式よ~」
「「「えーーーーーー!!」」」
女の子一同が全員驚いた。
「あの時はカオスちゃんが妨害しちゃったけど、今度はカオスちゃんも花嫁としか参加してもらうわよ~」
「うわーーい」
カオスは何の話なのかイマイチ分かっていなかった。
「でも式場は?」
「大丈夫よ~」
「準備万端だ」
秋山が既に教会を建てていた。
「それじゃあ~、もう一度桜井君の結婚式を行うわ~」
「そ、そんな~~~~」
智樹は美香子に強制的に教会に連れて行かれた。
「イカロス」
「はい」
秋山がイカロスに声をかける。
「バージンロードは一人で行けるか?」
「はい…」
「それと自分の気持ちに正直になりな」
「……はい…」
イカロスの顔は赤くなる。
そして再び智樹の結婚式が行われ、イカロス、ニンフ、アストレア、そはら、そして前回は正式参加してなかったカオスを入れた5人の花嫁から誰を選ぶかと言う事になった。
結果はどうなったかは定かではない。
ディケイドの一刀がいた世界では……。
「あいつ、どこまで行ったのかしら…」
詠が少しばかり心配になっていた。
「詠ちゃんもやっぱり一刀さんのことが心配なんだね」
「ゆ、月! 別にボクはそんなんじゃ……」
「帰ったぞ」
月の家である写真館の玄関から一刀が帰ってきた声が聞こえてきた。
「あ、帰ってきたの!」
皆が一刀の帰りを迎える。
一刀は両手にはかなりの荷物があった。
「どうしたんや? それ?」
真桜が聞いて来た。
「いや、戦いの中別の世界にまた飛んじまってな。まあ、知ってる世界だったからすぐに帰れたんだが、折角紅葉狩りをするなら何か必要かなと思ってな。
それで別の世界の奴もあれば面白いかなと思って買ってきた」
「それで何があるのですか?」
「こっちの世界にはないタイプの猫耳をまずプレゼントだ」
一刀が明命に猫耳のアクセサリーをかぶせる。
「何だか、お猫様になった気分です」
「そうか……」
一刀達は笑った。
それから紅葉狩りをする準備を皆で行うのであった。
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この作品は劇場版「仮面ライダー×仮面ライダー OOO&W featスカル MOVIE大戦CORE」を参考に作られたものです。
そのため作品のネタバレになる部分が一部一部あります。ネタバレが嫌な方はご閲覧しないほうがいいことを勧めます。
またこの作品は作者が書いた今までの作品を見ていることを前提で書いている部分があります。
そのためよりいっそうこの作品を楽しく読んでもらうためには「仮面ライダーディケイド×新・恋姫†無双」シリーズ、「そらのおとしものf 番外編 『煌めきの氷世界(ソウル)』」、「仮面ライダー×真・恋姫†無双 クリスマスだよ! ネタがあるのか!?」 、「仮面ライダー×真・恋姫†無双 蜀編 クロスロード」 を読んでおいた方が良いと言っておきます。
そして物語には作者の分身となるオリジナルキャラ(秋山総司郎)やこの作品限定のオリジナルキャラが出てくることをご了承下さい。