真・恋姫†無双~赤龍伝~第20話「虎牢関の戦い 前進と予感」
火蓮「今、戻ったぞ。皆、ご苦労だったな」
赤斗「ただいま」
雪蓮「母様、赤斗おかえりー♪」
汜水関の戦いを終えて、僕たちは雪蓮や冥琳たちのもとに戻った。
冥琳「火蓮様、ご無事で何よりでございます。風見もご苦労だったな」
赤斗「ああ……」
雪蓮「何、照れてんのよ。華雄に勝ったんでしょ♪ やるじゃないの♪」
赤斗「いや、そんな……」
思春「華雄の首を取れなかったくせに………」
雪蓮「もう、思春たら意地悪ね♪」
思春「…………」
劉備「孫堅さーん!」
息を切らせながら劉備たちが駆け寄ってきた。
劉備「孫堅さん、ご助力ありがとうございました!」
火蓮「良い。どうだ?これで私たちのことを信じてくれたかな?」
劉備「はいっ♪」
関羽「ちょ、桃香様!そのように素直に信じてしまってよろしいのですかっ!?」
雪蓮「あら。ひどい言い方するのね、関羽は」
火蓮「ならば関羽よ。お前は私たちを信用出来ないと言うのか?」
関羽「……信用する、しないの問題では無いでしょう。英雄に真の友人など居ません。……居るのは利用しようとする輩のみ」
赤斗「…………それは、何だか寂しいね」
雪蓮「当たり前でしょ、そんなの。……私だって劉備の友人になろうと思っていないわよ。だけど共通の敵が居るのならば、手を握ることは可能でしょ?」
劉備「共通の敵、ですか?」
火蓮「そうだ。私たちが勢力を伸ばしていく上で、一番の強敵となる者とは誰だ」
冥琳「人を揃え、資金を揃え、天の時を待っている北方の巨人のことだ」
劉備「えーっと……袁紹さん?」
雪蓮「わお! 可愛らしいボケだこと」
劉備「えっ、違うんですか!?」
関羽「桃香様! 北方の巨人と言えば、曹操に決まっているでしょう!」
劉備「ええっ!? 曹操さんなのっ!?」
火蓮「ははははっ……劉備よ。お前は愉快な事を言うな。はははははっ……」
冥琳「……関羽。お主のところの大将は、なかなか面白い発想をする人間だな」
関羽「……返す言葉もない」
劉備「うー、でもでも。曹操さん、良い人でしたよ?」
雪蓮「良い人とか悪い人とか、そういうのが関係あるんじゃなくて。……曹操の目指すものは何?」
劉備「……なんだろ?」
赤斗「ははっ……」
関羽「ちょ、桃香様っ!?」
雪蓮「ねぇ……母さま。ちょっと同盟の話、考え直したほうが良いじゃないかしら……」
劉備「あぅ……」
赤斗「……劉備さんは、どうして旗揚げをしようと思ったんですか?」
劉備「私は……弱い人たちが苦しんでいるのを見ていられなくて。どうにかして助けたいって思ったんです。だから私は……みんなが安心して、笑って暮らせる世界にしたいです!」
冥琳「なるほど。……ならば曹操とは敵対するということだな」
劉備「ほえ? どうしてです?」
冥琳「曹操が目指すのは、恐らく単独勢力による天下統一。……いつかは劉備殿や我々の領土に侵攻してくるだろうからな」
劉備「あ、なるほど……」
冥琳「その時になって慌てるよりも、お互いの利益のために手を結んでおくべきでは無いかな、と。私たちは提案しているのだよ。この天下を二つに分か割し、劉備殿と孫堅様の二人が、互いに干渉せずにそれぞれの領土を治める。……それこそが平和への道筋だと思っているからな」
赤斗「手を組んでおけば、いざという時に助けあえますよ」
劉備「うーん……愛紗ちゃん、どうかな?」
関羽「……孫堅殿や孫策殿、それに呉の軍師殿の仰ることは正鵠を射ていると思います」
張飛「鈴々もさんせーなのだ!」
劉備「……なら私に否は無いよ。孫堅さん、孫策さん。これからもよろしくお願いします!」
火蓮「うむ。こちらこそよろしく頼む」
雪蓮「よろしくね♪」
微笑みを浮かべながら、劉備は雪蓮と火蓮さんとがっちりと握手を交わした。
劉備「あっ、そうだ。えっと……風見さん」
赤斗「えっ……はい、何でしょう?」
劉備「さっき見せてもらった似顔絵、もう一度見せて貰えます?」
赤斗「あっ……はいはい」
劉備に言われるがまま、恩師の似顔絵を手渡した。
劉備「ほら愛紗ちゃん。この人だよ」
関羽「……」
張飛「鈴々にも見せてなのだ!」
劉備は関羽と張飛に似顔絵を見せる。
劉備「どう愛紗ちゃん、見たことない?」
関羽「いえ……残念ながら」
劉備「………そうか」
赤斗「………」
周りの雰囲気が暗くなり出したその時。
張飛「鈴々、このおじちゃん見たことあるのだ!」
赤斗「っ!!」
張飛の言葉に衝撃を受けた。
劉備「本当なの、鈴々ちゃん!?」
赤斗「………どこ…で」
鈴々「へっ?」
赤斗「どこで、どこで見たんですか!? 先生は無事なんですか!?」
僕は張飛に一気に詰め寄り、張飛の小さな身体を前後に大きく揺さぶりながら問い詰めた。
劉備「か、風見さん!?」
張飛「ふにゃーーー、目が回るのだーーー」
雪蓮「ちょっと、赤斗。落ち着きなさい。張飛ちゃんの首が飛んじゃうわよ」
雪蓮が見かねて止めに入った。
赤斗「あっ」
雪蓮の声で落ち着きを取り戻す。そして、腕にはぐったりとした張飛がいた。
劉備「鈴々ちゃん、しっかりして、鈴々ちゃん!」
張飛を受け取った劉備は、僕と同じように張飛の身体を大きく揺さぶった。
関羽「桃香様っ! 落ち着いてください。それでは本当に鈴々の首が飛んでしまいます」
関羽に止められ、ようやく張飛は揺さぶり地獄から解放された。
張飛「はぁー、びっくりしたのだ」
赤斗「ごめん張飛ちゃん」
劉備「鈴々ちゃん大丈夫?」
張飛「死ぬかと思ったのだ」
火蓮「で、張飛よ。この似顔絵の男をどこで見たのだ?」
張飛「えーーと確か、黄巾党をやっつけたぐらいの時に見た気がするのだ」
赤斗「どこで?」
張飛「うーーーーん。………忘れたのだ!」
赤斗「……………そう」
張飛「その……ごめんなのだ」
赤斗「いや……張飛ちゃん、ありがとう」
張飛「どういたしましてなのだ♪」
雪蓮「良かったじゃない、赤斗。少しだけど先生探しが前進して」
赤斗「うん…………やっぱり、先生もこの世界に来ている可能性があるんだ」
火蓮「赤斗、今すぐにでも探しに行きたいと思うだろうが、これから連合軍は虎牢関に向かう。我慢してくれよ」
赤斗「分かってますよ。今は我慢します。けど、この戦いが終わったら……」
やがて、連合軍は虎牢関に向けて出発した。
―――虎牢関――――
陳宮「呂布殿ーーー!!」
呂布「……ちんきゅ」
城壁から外を見ていた呂布が、陳宮に気がついて振り返った。
陳宮「ここに居られたのですか。連合軍がもうすぐ攻め込んでまいりますぞ。………呂布殿、どうかしたのですか?」
呂布「…………何だか、懐かしい感じがする」
再び呂布は外を眺める。
陳宮「懐かしい、ですか?」
陳宮は呂布が何を言っているか分からない。しかし、呂布は城壁から連合軍がやってくる方角を眺め続けていた。
つづく
~あとがき~
呂です。読んでくださって、ありがとうございます。
真・恋姫†無双~赤龍伝~に出てくるオリジナルキャラクターの紹介
オリジナルキャラクター①『風見赤斗』
姓 :風見(かざみ)
名 :赤斗(せきと)
字 :なし
真名:なし
武器:武器:花天と月影……二振りの日本刀(小太刀)。赤色の柄で赤銅の鞘に納まっているのが“花天”で、黒色の柄で黒塗りの鞘に納まっているのが“月影”。
本編主人公の少年。
この外史では“北郷一刀”が主人公ではありません。
火蓮によって保護され“江東の赤龍”という異名を付けられる。
古武術を学んでおり、その奥義を使えば恋姫の世界の武将とも闘えることができる。
学んでいる流派には、『全ての奥義を極めしとき、その身に龍の力が宿る。』という伝承がある。
奥義には“疾風”“浮葉”“流水”“月空”“烈火”“絶影”“龍鱗”“狂神”などがある。
能力値:統率?・武力4・知力4・政治?・魅力?
オリジナルキャラクター②『孫堅』
姓 :孫
名 :堅
字 :文台
真名:火蓮(かれん)
武器:南海覇王……やや長めの刀身を持つ、両刃の直刀。派手な装飾はないものの、孫家伝統の宝刀。
孫策(雪蓮)たちの母親。
身長173㌢。腰まで伸びる燃えるような赤い髪の持ち主。
血を見ると雪蓮以上に興奮してしまう。
この外史“赤龍伝”では孫堅は死んでいない。
能力値:統率5・武力5・知力3・政治4・魅力5
オリジナルキャラクター③『諸葛瑾』
姓 :諸葛
名 :瑾
字 :子瑜
真名:藍里(あいり)
武器:不明
諸葛亮(朱里)の姉。
諸葛亮(朱里)とは違い、長身で胸も大きい女性。髪は金髪でポニーテール。
温厚で気配りのできる性格で、面倒見も良い。赤斗の世話役として補佐につく。
一時は、自分たちとは違う考え方や知識を持つ赤斗に恐怖心を持っていた。
政治、軍事、外交と様々な仕事をこなすが、朱里には僅かに及ばない。
能力値:統率3・武力1・知力4・政治4・魅力4
※能力値は「5」が最高だが、呂布の武力と劉備の魅力は「6」で規格外。
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この作品は、基本的に呉√にそっては行きますが、主人公も含めてオリジナルキャラクターが出てきます。
未熟なため文章におかしな部分が多々あるとは思いますが、長い目で見てくださると助かります。