No.191487

真・恋姫無双 魏end 凪の伝 40.5

北山秋三さん

短いです。
後書きアンケートにご協力をお願いします。

2010-12-24 19:56:55 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:4152   閲覧ユーザー数:3356

「────はぁ・・・」

 

華琳用の天幕に一人、足を引き摺るようにして戻った華琳は深い溜息と共もに椅子に腰掛ける。

 

さっきの光景が華琳の心を締め付け、頭が痛む。

 

何が何だか分からない。

 

報告では確かに一刀は建業の街にいると言う。

 

だが春蘭の持っていたケースに入った一刀の首・・・。

 

思い出しただけでもゾッとした。

 

あれが何なのか・・・。

 

右手で痛む頭を抑えるが、それは気休めに過ぎなかった。

 

早く・・・建業に行って確かめてみないと────

 

「あれは"この外史に降りた"北郷一刀殿の想いの残滓ですよ」

 

「誰!?」

 

突然聞こえた声に華琳が顔を上げてみれば、そこには白い神事服を着た于吉の姿があった。

 

素早く立ち上がって『絶』を構え、于吉の首元に突きつける。

 

入ってきた気配すら無い男に・・・その存在そのものに"違和感"を感じるが、手は緩めない。

 

「・・・どういうこと・・・?」

 

刃を突きつけられても涼しい顔を崩さない于吉に眉をひそめる。

 

「夏侯惇の持っている『北郷一刀殿の首』は本物ではないという事ですよ」

 

目の前の男の言う事が本当かどうか分からない。

 

しかし、華琳にはその言葉が何よりの救いだった。

 

迂闊にも安堵の溜息をついた華琳がハッとして『絶』を持つ手に力を込める。

 

「では、建業にいる一刀は"本物"というわけね・・・」

 

「いえ・・・」

 

「え────?」

 

「今はこの村にいますよ」

 

「あ・・・」

 

『絶』の刃先が震えた。

 

「ですが・・・」

 

今すぐにでも会いたい欲求に駆られた華琳を制するように于吉の声が掛かる。

 

「彼と会う前に貴方に話しておかなければならない事があります」

 

「何かしら・・・」

 

「まず、私は敵です」

 

「・・・は?」

 

思わず出た自分の間抜けな声に華琳自身が呆然とした。

 

この男は何を言い出したのか・・・。

 

「私は本来、中立の立場でなければなりませんでした。ですが、それが出来なくなっているのです」

 

「・・・それは、誰かにそうさせられている・・・という事ね」

 

それだけで于吉のいいたい事は飲み込めた。

 

「取引をしましょう」

 

「内容によるわね」

 

 

「こちらは夏侯惇を元に戻します」

 

 

「なっ??!!」

 

于吉のさらりと告げた言葉に華琳が驚愕する。

 

「お前には・・・それが出来ると・・・?」

 

「私は貴方方の言う、妖術使いです」

 

その言葉にしばらく黙り込む。

 

ならば、見返りは・・・。

 

「その代わり・・・三国同盟を解消してください」

 

その言葉に、今度こそ色を失う。

 

この男は何と言った・・・?

 

春蘭を元に戻す代わりに・・・三国同盟を解消しろ・・・と・・・?

 

「そんな事・・・!!」

 

"できるわけが無い"

 

その言葉が出なかった。

 

「このままでは夏侯惇は衰弱死してしまうでしょう・・・もう時間が無いのです。それは私にも言えます

 

・・・私の大切な人の命が消えかけています・・・三国同盟を解消する事が助ける唯一の方法なのです・・・」

 

于吉の悲痛な表情に、嘘は無い。

 

華琳の構えていた『絶』がゆっくりと下ろされる。

 

「・・・すでに三国同盟に固執しているのは貴方だけではありませんか・・・?」

 

于吉の言葉が心の弱い部分に触れる。

 

「そして・・・北郷一刀殿を取り戻す為には・・・一度全てを壊す覚悟が必要です」

 

そう言った于吉が華琳に一つの丸く、小さな赤い石を華琳に差し出す。

 

「これを、北郷一刀殿の首の入れ物に当ててください・・・ですが、これを使う、という事は三国同盟を解消する

 

という事・・・それを覚えていてください・・・そして・・・三国同盟が解消されれば、北郷一刀殿は貴方の元

 

へ戻るかもしれません」

 

頭痛が、強くなった気がした。

 

三国同盟の保持か・・・春蘭を元に戻し、一刀も取り戻すか・・・。

 

『絶』を取り落とし、下に落ちる音でさえ今の華琳には遠く聞こえる。

 

華琳はその場に立ち尽くすしかなかった。

 

想い出が駆け巡る。

 

『華琳さま!』

 

『おーい、華琳!』

 

春蘭と、一刀の笑顔が浮かんでは消えて行く。

 

手にした平和・・・。

 

それを再び自分の手で壊す。

 

そんな事・・・!

 

でも・・・このままだと春蘭の命は?

 

一刀は?

 

複雑な思いが華琳の脳裏を駆け巡る。

 

どうすれば・・・。

 

「選んでください・・・夏侯惇と北郷一刀殿を失ってでも三国同盟という虚構を続けるか、

 

これを受け取り・・・夏侯惇の命を救い、北郷一刀殿を取り戻すか」

 

于吉の言葉が華琳に重くのしかかる。

 

目の前に差し出された赤い石が二重、三重に見えるほど頭痛が酷い。

 

華琳の出した答えは────

 

 

お送りしました第40.5話

 

ふふふふふ・・・春蘭を救う方法を考えてない訳が無いじゃないですか。

 

ドキドキしましたかな?

 

さて。ここで皆様にクリスマスプレゼント代わりのアンケートです。

 

今、二つのプロットを御用意いたしました。

 

何故予告を出さなかったのかは、これの為でした。

 

 

 

1・三国同盟崩壊で春蘭復活+一刀は魏国へ連行ルート

 

 

 

2・三国同盟維持で春蘭復活+雪蓮嫁無双ルート

 

 

 

のどちらが良いか、コメントにご記入をお願いします。

 

まだコメントしたことの無い方も、TINAMIですからこれを機にどしどしコメントよろしくお願いします!

 

締め切りは12月26日、日曜日の夜12時までですよー。

 

小説の次回更新は年明けになると思いますので、良いお年を~♪

 

その前にイラストは年内に更新しますのでお待ちを。

 

では。また。


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
27
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択