冬休み開始直後の12月24日。
俺は親友のK宅に泊まり込んでクリスマスをまたいで遊び倒すことにした。
「しかしなんか、いざこれだけ遊ぶ時間が出来ると……なかなかやることが見つからないな」
「とりあえず手当たり次第ゲームやろうず」
そういって親友KはおもむろにPCの電源を付ける。
「何のゲームだよ」
「そりゃお前、何って……」
そういって起動したPCを素早く操りとある画面を表示させた。
「……こ、これは」
「ああ、先週手に入れた新作エロゲだ。まあ1√やった限りでは微妙だったけど」
「どれどれ、ちょっとやってみようか」
「共通は俺見たから勝手にやっててくれ。個別入ったら教えろよ」
「了解」
結局共通が終わったのは2時から始めて6時、それから飯を挟んで個別が7時から次の日の1時までかかってしまった。
「そろそろ寝るか」
「バカかお前は? 夜はこれからだろう」
「別に親いねーんだから別に昼も夜も変わらねーだろ」
「いつも遊ぶ時間に遊ぶっていうのが重要なんだよ」
「はぁ……そういうもんかね」
「さあて、何するか」
そういってKはひとり次にやることを模索していた。
そうして結局Kがあれをやろうこれをやろうと言って4時ころまで時間を潰したわけだが、
「あー、俺もう眠いかも」
「ちょっと俺も……今日少し早く起きたからな」
「寝よう、無理をするのは得策でない」
「限界だ、同意する」
そうして俺は床に布団を敷いて、Kは自分のベットに寝た。
……ここまでは何もおかしいことは無かったんだ。
だが……。
朝目が覚めるとまず、俺は異常な怠さを覚えた。
「う……。何だこれ……」
立ち上がると軽い眩暈さえ覚える。視線も心なしかいつもより低い。
「あー、ちくしょう具合悪い……」
あまりの気持ち悪さに我慢できず、俺はKを起こしにかかる。
「おーい、起きろ。起きろK」
なぜだろう、この具合の悪さのせいかいつもと声まで違って聞こえる。
「起きろマジで、メチャクチャ具合悪いんだって」
「うぅーーー……」
そうやって1分も格闘してるとようやくKは上半身を起こす。
そして俺のことを見据える。
大きく目を見開く。
「あん……、どうしたよ」
「お、おま、ちょ、え」
そうしてしばらく言葉に詰まっていて、ようやく喋ったのは……、
「お前、いったい誰だよ」
と、言うものだった。
「は? お前寝ぼけてるのか? 俺はもちゃに決まってるだろう」
「冗談じゃねぇよ、お前のどこがもちゃなんだよ……!」
そしてKは次の瞬間、思いもよらないことを口にする。
「お前、どこからどう見たって『女』じゃねぇかよ!!」
「!?」
いきなりの言葉に俺は反応が出来なかった。
「は、はは、お前何言ってるんだよ。俺のどこが女だよ……」
「なんなら洗面所に行って自分の顔見てこいよ」
瞬時、俺は洗面所に向かって駆け出す。
息せき切らして洗面所にたどり着き、鏡の中を覗く。
すると……、
「あ、ああ、あああああ……」
そこには、見たことのない女の子が、おそらく俺がとってるであろうものと同じ驚愕の表情を露わにしていた。
「……まずは今の状況を整理しよう」
「まず俺は起きたらすごく具合が悪かった。とにかく眩暈とかすごかった。今はそうでもねーけど」
「それで俺がお前に起こされた時にはもうお前は女になってたんだ」
「……なんで女になってんだよぉ」
「俺が知るかよ」
「これ元に戻んのかぁ?」
「さあな。しばらく様子見るしかねーんじゃねーの?」
「あああああああああああああああああ」
「とりあえずこうしてても仕方ないだろ、とりあえず朝飯食いながら話そう」
「ああ……」
「ほら、とにかく居間にいくぞ」
「あ、俺ちょっとトイレ……」
「おう」
そして俺は用をたしにトイレに入った。
そして、とんでもない事態を把握する。
「……NOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!」
「!? どうしたもちゃ!!」
「ああああああ、ああああああああああ、あああああああああああああああああ」
「落ち着け! 何があったら話してみろ!」
「ああ、お、俺の、俺のおおおおお!」
「だから落ち着けってば、ゆっくり話してみろ!」
「ああえああああ、俺の、俺の、俺の」
そして何度もどもった末に俺はやっとその一言を紡ぎだすことが出来た。
「俺の、俺のソーセージがアワビに変化してる!!」
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ニコ生中にユーザーの悪ノリから生まれた企画。実は小説より先に表紙の絵の方が出来上がっていた。順次更新予定。