No.191135

偽書・恋姫無双

今川光輝さん

恋姫無双の2次創作です。

一刀や桃香が登場しないばかりか、オリジナルの男劉備が主人公です。

原作崩壊もあるので、苦手な人はUターンを。

2010-12-22 23:37:06 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:794   閲覧ユーザー数:760

第2話「幽州の事情」

 

後漢末期、この広大な中華の大陸は死にかけていた。

 

漢王朝の腐敗もさることながら、この国の民を苦しめたのは疫病、天変地異、そして王朝の重い重税であった。

 

税の払えないものや世の中に嫌気がさした者達は次々と野に散り、盗賊や強盗へと姿を変え略奪の限りをつくしていた。

 

その勢いは凄まじく、各地に派遣されている漢軍でも手に負えぬほどであった。

 

そんな中、一部の心ある者達は法に従わず、自ら徒党を組み村々の治安を守る武装団体を各地で結成していた。

 

人、それを義侠団といった。

 

北方に位置する幽州とて、例外ではなかった。

 

広い幽州の中には多くの義侠団があったが、その中に李定という男がいた。

 

この李定は齢60を越える老人だが、天性の戦上手で老いてもなお盛んであった。幽州の義侠団はこの李定を中心にまとまりかけていた。

 

ところが、太平道という宗教が流行り始めてから、全てが狂っていった。

太平道とは張角という少女が元となり生まれた新興宗教であった。この太平道の広がりは凄まじく、たった数カ月で信者の数は数万人となった。

 

やがて、太平道の信者達は「漢王朝を倒し、太平道による新たな国家を建てよう」と主張し始めた。

 

そしてついに、二月某日太平道の信者達は各地で一斉に蜂起した。これが後に言う『黄巾の乱』である。

 

武装蜂起した信者達は、役人や地主、豪族を次々と襲い殺戮の限りを尽くした。

 

重税に喘ぐ農民、国の未来を憂いていた義侠、帰る場所を失い盗賊になるしかならなかった者は太平道に共感し次々と暴動に加わっていき、乱は膨れ上がるばかれであった。

 

黄色の布をシンボルカラーとする彼らを人々は『黄巾党』と呼んだ。

 

黄布党は戦力拡大のため各地の義侠団に協力を要請した。

 

その結果、多くの義侠団が彼らについた。皆、太平道に天下泰平の夢を見たのである。

だがそんな中、李定は黄巾の援軍要請を拒否した。李定は太平道など信じていなかったのである。

 

だが、彼の配下の義侠達は違った。多くの者が太平道の掲げる理想に幻想を抱いていた

 

このため、まとまっていた幽州の義侠団の足並みは崩れた。

 

多くの李定の配下達が李定の元を去り、黄巾党の元へ走った。

 

そして、幽州で蜂起した当の黄巾党は、たびたび近隣の村を荒らし、農民の頭を悩ませていたのである。

 

この事態に李定は何か手を打たねばならなかった。

 

そこで考え出されたのが、まだ李定党にも黄巾党にもついておらず、中立立場を保っていた玄徳党との軍事同盟であった。

 

そのために李定は、自分の配下でもっとも信用できる関羽を桜桑村に派遣したのであった。

だが一番気がかりなのは、この同盟を組む相手である、劉備玄徳の評判が最悪ということであった。

 

関羽は李定配下の中でも、極めて真面目な性分であるため、不真面目を地で行くような玄徳と会わせて大丈夫なのか。出会頭に斬り殺すのではなかろうか、という不安もあった。

 

そんな緊張感の漂う中、桜桑村の酒屋の二階の個室で今、まさに劉備と関羽が対面しようとしているのであった・・・・


 
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