No.190673

眩暈1

H@さん

でじたる書房の電子書籍で出版させて頂いているオリジナル小説です!!TINAMI会員の方限定で公開させて頂きました!!ご参考までにどうぞ!!(やっぱ誰でもみれるにしました!!)

2010-12-20 12:48:46 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:424   閲覧ユーザー数:414

櫂が、幸恵と二人で箱根の彫刻の森美術館に行ったのは、一度きりではなかった。最初に一度行ってから、二人ともかなりその場所が気に入ってしまい、気づけば、その後思い出したように度々、尋ねて行ったのも不思議なものだ。

 

ある日、箱根の彫刻の森美術館に行った日は、頭部だけの彫刻がズラリと並んで展示されている渡り廊下を真っ直ぐに、別の棟の美術館に向かって走っている時、ふと美術館の絵画ショップで絵画ポスターなどを買いたくなり、突如、方向転換してショップに足を向けたのだが、息切れしてしまい、いきなりその場にしゃがみこんでしまった。

 

勿論、その時、一緒にいた幸恵は心配して私に話しかけてきた。「大丈夫、櫂ちゃん!」櫂は、言うまでも無く私の名前だ。「ちょっと、慌てたものだからね、でも、もう大丈夫だよ!」少し咽て堰がでたが、心配するほどのこともなかった。

 

「私が先に欲しいものを選んでおくから櫂ちゃんは、そこで待っていてね!」「いや、僕も一緒に行くよ!」「でも、体調が悪いんだったら無理しない方がいいよぉ」「たいしたこと無いから大丈夫だよ、ほら、ニコニコしているだろう!」そう言う間に、もう幸恵は、何点か好きな絵画ポスターや葉書を選んでいた。本当に素早い行動だ。

 

いつも、幸恵はテキパキと行動が出来るタイプで何においても手際がいいのが常だった。もちろん、そんな幸恵だから、みんなから頼れるタイプとして羨望のまとだった。容姿だって決して悪い方じゃなかったから、幸恵を恋い慕う者達が周囲から絶えることはなかった。そんな人気者の幸恵を独占できている自分はたいした者だと櫂は、いつも鼻高々だった。

 

 


 
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