「楽しかったですわ。あなたは覚えてくれないでしょうけれど」
それが最後になるはずでした。
なのに、気がつけば僕は、北郷一刀のお姉ちゃんになっていました。
僕は外史から『削除』されたはずだ。その事実には議論を唱えることができません。
なのに僕は、まだ存在していた。
『削除』とは簡単な概念に見えても奥が深いもの。
一つの存在が世界で存在しなかったのよう、いや、そういうものは最初からいなかったと見て、世界を再構築する。たった一人がなくなるとしても世界は大きく変わります。
増して、それが全ての外史に大きく関わった『左慈』の存在となれば、外史は大きな変革をしなければなりません。
外史の中で、私は存在しない、生まれても居ない、生まれてなかったから死んでもない、最初からそこにいなかったから死んでもいない。
そのはずの僕が生きているのは何故なのか。
いくつかの仮説はあります。
一番納得の行く話は、この世界が外史の手にさえも負えない場所だということ。
原子と、その周りを無操作に回っている電子の間にできている小さな小さな空間。この『外史の欠片』はこのような場所なのでしょう。
だから外史から除外された僕の存在も受け止めてくれた。
そして、ここに居る北郷一刀は、僕が知っている限りは、僕とずっと一緒にいたその一刀ちゃんです。僕はそう思っています。信じています。
もちろん、僕のことを覚えていない。
昔は「さっちゃん」と呼びながら慕っていたものの、その『さっちゃん』はきっと、今まで呼ばれていたその『さっちゃん』とは違うものでした。
今の僕は一刀ちゃんのお姉ちゃんでした。
だけど、最近変な感覚が脳裏を走っていきました。
それは、自分の存在が消えているような、
とても重要な何かを失いそうな感覚。
僕にはもう何も失いたくない、失うものもない。
僕はただ、この世界の隅っこみたいなこの世界で、一刀ちゃんに犯した罪を償いながら生きたい。
それだけ、
なのに………
ピピピピッ
ピピピピッ
「……ぅぅ…」
目覚ましが鳴ってます。
おかしいな…今日は朝練ないから、目覚ましは消しといたのに……
「お姉ちゃんどうしてここにいるの?!」
…え?
「……あら、一刀ちゃん……おはようございます」
「あ、ああ、おはよう。じゃなくてー!」
気付いてみたら、一刀ちゃんと同じ布団の中でした。
こうしてみるのも何か久しぶりですね。
「どうしてボクのお布団の中にいるんだよ!」
「そうですわね。難しい話です。とりあえず、僕が昨日どれだけ怖い夢を見たのかそれから説明しましょう」
いつものテンションで場面を誤魔化してみます。
「朝起きたらですね、あ、夢でです。夢でー、朝起きて一刀ちゃんの部屋に行ったら……」
「……居なかったとか?」
「及川さんと一緒の布団で」
「ヨシ、死ノウ」
「あーん、一刀ちゃん、お姉ちゃんを一人にしないでー」
夢の中(しかも嘘)だとしてもそんなことは許さない一刀ちゃんでした。
「うぅ……寒いです。一刀ちゃん、どうして目覚まし鳴らせておいたんですか?」
「え?……ああ、今日朝練なかったね」
「うっかりしちゃいました?」
「消しておくの忘れてた。というか、朝練ないからって寝坊すると身体鈍ってしまうから」
「うーん、そんなこと言わずに、せっかくですからお姉ちゃんと一緒にもっと寝ましょうよ」
「ちょっと街走ってくるから」
「ぶーぶー」
ちょっと甘えてみようかなぁと思いましたが、頑固に拒む一刀ちゃんです。
昔はもっと甘えてくれたのに、お姉ちゃんは悲しいです。
「仕方ないですね。お姉ちゃんも一緒にジョギングします」
「別に付き合わなくても」
「よいしょっと」
「ってここで脱ぐな!」
「別に見られて恥ずかしい身体でもありませんので」
「見るボクは恥ずかしいから」
「お姉ちゃんの身体で興奮しないでください」
「だーかーらー!」
最近はこんなふうに一刀ちゃんをいじめることに結構はまってます。
そうやって一刀ちゃんと一緒に冬の街をジョギングしています。寒いです。
もうちょっと走ってたらちょっと熱が回るでしょうかね。
「へくしょっ!」
「だから無理して付き合わなくていいって言ったのに」
「ちょ、ちょっとくしゃみが出ただけです。風邪なんて引いていません」
僕が一刀ちゃんの側から離れないようするのは、単にブラコンだからそういうアレではありません。
僕のことはともかく、一刀ちゃんはこの外史をまだ終わらせていないまま外史を抜けてこっちにきました。
となると、一刀ちゃんはいつかまた外史に戻らなければならない。それはある意味定めなのです。
だけど、外史とこっちの世界の時間差がいつも同じだとは限らないのです。
この世界と恋姫の外史の世界は一つ一つ強い縁で結ばれていて、一度選ばれた御使いは使命が終わるまで何度でも呼ばれることになります。
そう、また、華琳さまがまた一刀ちゃんを求めるようになるのなら……
けれど、その時はきっと僕にできることは何もありません。
だから今こうして、一刀ちゃんの側に居ながらいろんなことを教えてきた。
そしてもう一つ、僕が一刀ちゃんを守らなければならない理由があります。
「!」
来た?
しかも近い。どうして今まで気づかなかった?
「どうしたの、お姉ちゃん急に止まって」
僕が止まったのを見て、走っていた一刀ちゃんが僕が立っているところに帰ってきました。
「どうしたの?具合が悪いのだったらもう帰っても……」
「一刀ちゃん、伏せて」
「え?」
「伏せろ!!」
「!」
サシュッ!
ギリギリのところで一刀ちゃんと一緒に身を地面に伏せたところで、一刀ちゃんが立っていたところの後ろの、コンクリートでできた壁には場所鋭い矢がに刺さっていました。
「な、何だ?」
突然の出来ことで驚く一刀ちゃんを落ち着かせる時間もなく、次の矢が飛んでくる。
「あっち行って!」
「へぶっ!」
倒れた姿勢のまままた僕に押されて、一刀ちゃんはまた後ろに倒れた。
サシュッ!
「見た、そこよ!」
遠くの公園にある木の上から光る何かば見えた。相手が三発目を番えている。
これ以上はさせない。
「呪われし矢先よ、目先の仇を貫け。一矢二殺」
何もなかった虚空から弓と光る矢が現れる。
それは、己の魂を矢としてつがえる呪われし弓。別称『カミカゼ弓』。
昔、『管理者』たちの中の戦いがあった時人海戦術として使われた弓だ。
が、
サシュッ!
「!」
落ちた。
「一刀ちゃん、大丈夫?」
「な、なんとか…一体何なの?」
「とりあえずここは危険よ。早く家に戻りましょう」
「う、うん」
以前僕はあの弓を一刀ちゃんに使わせた。僕自身の魂を矢に載せて。
だけど僕は死ななかった。
理由は分からない。もしかしたらあれを使って本当に死ぬんじゃなかったのかも知れないし。僕の場合特別な何かがあったのかも知れない。
いいことは、それ以来この弓を何度使っても命の危険はなかったということだ。これは外史の一種のバグなのかも知れない。
僕は既に死んでいるから、取られる魂もないのかも知れない。
「何だったの、先のあれは?ボクたちを狙っていたの?」
家に戻ってきた一刀ちゃんは僕に聞いた。
殺されそうになったのだ。しかも現代で矢だなんてキチガイにもほどがある。
といって何かの悪戯なのかというとちゃんとした矢先であった。壁に刺さるアレが人の胸に刺されば……
毒塗りだったのかは確信はないけれど多分塗ってあるんじゃなかったかなぁとは思う。
「お姉ちゃんってぱ」
さて、ついに現れた。
南華老仙が。
この時が来ないようにアレほど祈っていたのだが……
「……ごめん、お姉ちゃん」
「…え?」
一人で考え込んでたら、突然一刀ちゃんが謝ってきた。
「いや、ごめん、お姉ちゃん聞いてなかった。何?」
「目の前でそんなことあったから……ボクちょっと驚いたんだけど、それはお姉ちゃんも一緒だし、お姉ちゃんに聞いても分からないだろうし……なのに問い詰めちゃって……」
この子はまたよく分からない加害妄想してるし。
「何言ってるのよ、あなたは。あなたに謝る要素が今どこにあるのよ」
「でも……」
「…こっち来なさい」
「………」
素直にこっちに歩いてくる一刀ちゃんを、僕は久しぶりにぎゅって抱いてみました。
いつもは恥ずかしいとかいって離れようとするのに、あんなことがあった後のせいか素直にじっとしたままです。
「大丈夫だよ、お姉ちゃんが絶対一刀ちゃんのこと守ってあげるから」
「お姉ちゃん……」
まだ状況もよく分からない子になにを言っても無駄だと知っていながらも、こんなことから先に言ってしまうのって、僕ったら本当に一刀のお姉ちゃんになったんだとか思ってしまっています。すごく嬉しい気分です。
六年がかかりました。
南華老仙が僕を探すのに、この世界の時間で六年。
いや、もしかすると今の時まで待っていたのかも知れませんね。
その前に、どうして僕が朝僕たちを狙ったのが南華老仙だと確信しているのかを説明しましょう。
何度も言いますが僕の存在は外史から『削除』されています。
外史の存在はもちろん、管理者たちも僕の存在を覚えるものはいません。
そのなかで、世界からないことにされた僕の存在を記憶することが出来る存在が居ます。
それが、どの『管理者』よりも長い時間を生きてきた南華老仙。別称爺と呼ばれます。
太平要術書の元版を持っている人で、『管理者』たちの中でももっとも影響力が強い人です。
その人は一説によると、『時空間の真理』というものを知っているさしく、その真理を超えたあの人なら、存在さえも『削除』された僕の存在知っているだろうと思います。
じゃあ、南華老仙がどうして僕たちを狙っているのかを言いますと、
「これ、どうして僕が持ってるんだろう」
于吉からうば……借りた太平要術書のレプリカがここにあるからです。
レプリカだとしても、性能面では本物とそれほど差がないので、僕がここにいることを知っていた南華老仙がこれを取り返しに来るだろうとは思っていました。
予想以上に激しい取り返し方をされてしまいましたけどね。
爺は元はこんなに行動が激しい人ではなかったはずですのに、相当焦ったようです。
一応、今日の学校は体調が悪くておやすみしたいと担任に伝えています。一刀ちゃんのところの先生にも。
あんなことがあったのに、へらへら学校に出歩くわけにもいきませんし、下手すると学校の他の人たちまで巻き込む可能性もありますし。
「お姉ちゃん、コーヒー飲む?」
「あ、ありがとう。砂糖要らない」
「分かってる」
一刀ちゃんには、できれば話したくないんですけどね。
というか、どこをどうやって説明すればいいのかもわかりません。
あの外史の世界、一刀ちゃんは春蘭さんを守るために矢を撃った。
それと同時に、僕が自分の家庭と未来を壊した本人だと言う事を知った。
それを説明する?
「はい」
「うん、ありがとう」
一刀ちゃんがつくってきたコーヒーを飲みながら、隣に座った一刀ちゃんを見つめました。
「どうしたの、お姉ちゃん?」
「……一刀ちゃん、実はね?
僕、実は一刀ちゃんのお姉ちゃんじゃないんだ」
「……うん、知ってた」
「え?」
一刀ちゃん、今なんて
「し、知ってたって?」
「……実は結構昔から知っていたんだけど、『さっちゃん』がいつ素直に言ってくれるかなぁってずっと待ってたの」
「………一刀ちゃん」
「うん」
「もっかいさっちゃんって言ってみて」
「さっちゃん」
「…もう一度」
「さっちゃん」
「……もう一度」
「さっちゃん」
「………もう一度」
「さっちゃふへぇ」
「知ってたら知ってるって一言ぐらいよかったじゃないですかー」
「ひはいひはいー!ほへひっはらないへー!」
六年も悩み続けた僕がバカみたいだ。
・・・
・・
・
「いつから?」
「中学入る時に、ふと思ったの。あれ、ボクって何でお姉ちゃんのことさっちゃんって呼んでるんだろうって。その考えがふと脳を走ったらどんどん昔のことが思い出しちゃって……お姉ちゃんに聞いてみようかなとも思ってたんだけど、さっちゃんが本当にボクのお姉ちゃんみたいに振舞ってるから、もしかしたらあれ以来さっちゃんって本当にボクのお姉ちゃんってことになったのかなと思ってそのままずっと黙っていた」
「……」
口が( ゚д゚)ポカーンとなっていた。
中学の時だったらもう三年前なのに、
確かにあの頃から一刀ちゃんが僕のことをさっちゃんじゃなくてお姉ちゃんと呼び始めていた。
「でも、それもそれで嬉しかったよ。ボク昔そう思ったことってあったんだ。ボクにお姉ちゃんやお兄ちゃんがいたら、お父さんとお母さんが別れなかったかもしれないって。実際、ここでは別れてもないし、ボクも事故とかにもあってないけどね」
「あ、……あのね、一刀ちゃん、ボクね」
「謝らなくてもいいよ」
昔のこと、ボクが一刀ちゃんを車事故に合わせた以前の外史のことを謝罪しようとしたら、一刀ちゃんは僕の口を止めた。
「よくは分からないけど、ボクはもうあの時の一刀じゃないよね。ちゃんと喋ることもできるし、お父さんやお母さんもいる。それに、誰にも自慢できるお姉ちゃんまでいる。だからお姉ちゃんが謝る理由なんてどこにもない」
「一刀ちゃん………」
「……ありがとう。ずっと気にしてたんだね」
「……もう、何よ……一刀ちゃんがそういうと今まで心配しっぱなしだった僕がバカみたいじゃない」
馬鹿だ。本当に馬鹿だ。僕って……
「華琳お姉ちゃんたちは大丈夫かな」
「え?」
「ボクたち、急にいなくなったし。あの時戦争の真っ最中だったのに後で見つからなかったら、ボクたちのことどこかで死んだだと思っちゃったかもしれないじゃない」
「……そうね…」
そこは全然考えてなかった。
といっても、ここが六年過ぎたからといって、あっちも六年が過ぎたとは限らない。
五秒も経たなかったかも知れないし、六年よりももっと進んでいるかも知れない。
もしそうだったら、御使いを失った曹操軍が統一することはほぼないと言っても確実だけど。
……いや、せっかく見つかった一刀ちゃんの平和な日常だ。あの人の欲望の犠牲にさせたくはない。
「一刀ちゃんは、またあそこに行きたいの?」
「うん?」
「華琳さまや、他の皆と、また会いたい?」
「………」
一刀ちゃんは少し考えた。悩んでいるのだろうか。この平穏な日常と、あの戦争が絶たない外史の間で……
「あの時、ボクは笑ってあげることしかできなかった。だけど、今ならもっと頼りになれると思う。お姉ちゃんもそのつもりでボクにいろんなこと教えたんじゃなかったの?」
「僕はただ万に一つの状況に備えていただけよ。一刀ちゃんが自分の身を自分で守れるように……もし、またあの世界に呼び出されるとしても、自分の力でやっていけるように」
「…………その時、お姉ちゃんは一緒に来てくれないの?」
「……多分、一緒に行けないと思う」
僕はもう死んでいる。あの外史には、いや、この外史から出ることすら許されない。
「といったって、それは僕たちが考えてもしょうがないことよ。今考えるべきことは、朝僕たちを狙った者」
「そう、そう。あれって何だったの?」
「南華老仙が操る傀儡ね。一刀ちゃんや僕を狙うように操られていたのだろうと思うわ」
「南華老仙って、三国志で張角……に太平要術書を渡すあの仙人のこと?」
張角で少し口が止まったのは、天和さんのことを思い出したせいなのだろうか。確かに正史の張角と天和さんとは結構差がある。
「ええ、そして、その太平要術書だけど、実は僕が持ってるの」
「え、お姉ちゃんが?」
「色々あってね。気がついたら持ったままこの世界にまで持ってきてたわ。だからそれを取り返しに来てるのだと思う」
「でも、あれって明らかに殺そうとしてなかった。そこまでする必要ってあるの?」
「そこなのよね……」
どうして南華老仙は僕たちを殺そうとしているのか。そんな人じゃないはずなのに。
まあ、それは本人に聞かないと行けないわね。
といって、僕は自分の部屋に行って本棚の中に隠しておいた、太平要術書を持ってきた。
「それが太平妖術書なの?」
「ええ、もう妖力は尽きてなんにも使えないただの本だけどね」
レプリカと本物の太平要術書の差は、自力で妖力を作り出せるか否かの問題だ。
レプリカは妖力はどこかで吸収しなければならないのに、その材料は大体人間の絶望や恐怖、そういった負の感情となる。
戦争が続く三国志の世界ではそういったものを集めることがそう難しくないけれど、この世界ではそういったことは起きないから、放電されてしまったようだ。
「だけど、レプリカだとしてもまた妖力を集めたら使えるからね。僕が持っていることがあまり気に食わなかったのでしょうね」
「じゃあ、それを返したらいいの?」
「そうね、でも穏やかに返してあげれそうにないから、ちょっと脅かしてみようかしら」
僕は太平要術書を持って宙に叫んだ。
「爺見てるでしょ?!今直ぐ出てきなさい!でないとこれ、燃やすわよ!」
われながらとても分かりやすい脅かし方である。
「さー、出て来い!爺!じじいー<<ゴーン>>いったーーい!!」
「じじいじじい言うでない!」
「………子供?<<コン>>痛ッ」
「貴様に子供と言われたくはないわい。チビ!」
「ガーン!」
「いたた……」
自分の背よりも長い杖の、自分の頭よりもでかい杖先で頭を打つこの人で無しのチビッ子が南華老仙である。
ちなみに背が低いのはカルシウムが足りないだ。だから直ぐに怒る。
「いきなり登場して頭から打たないでしょ!」
「うるさいわい!」
「<<コーン>>いたっ!もう頭は勘弁して。それ本当に痛いの!」
頭蓋骨が凹んでしまいそう。
「まったく、燃やすじゃと?妖力が尽きたとて、この儂が作った太平要術書が火などに燃えるとでも思っておるのか」
「本当にそんなことするわけないでしょう?てか胸張ってんじゃないわよ!針で突付くわよ!」
「やめんかい!」
スッ!
「ふふーん、三回は当たりませんよーだ」
「己左慈……」
「何よ、やるってんの?」
「やってられんこともなかろう」
「上等よ!」
「わー!何で両方とも戦う気まんまんなの?丸く収めるんじゃなかったの、お姉ちゃん!」
はっ、そうだった。
いかん、この爺の面を見るとつい喧嘩うりたくなっちゃうんだよね。なんでだろう。
「あの、南華老仙さん、ですよね」
「うむ?ああ、あの時の『御使い』じゃの。結構過ぎたというのに、あまり成長しておらんものだ」
「そこには触れないで欲しいのですが、結構気にしていますので」
「おお、すまんじゃったの。そうじゃ。儂が南華老仙じゃよ。長いから儂のことはみなみちゃんと呼べば良い。敬語も使うことおらん」
「うん、みなみちゃん」
「こらー!何初見からなれなれしようとしてるのよ!一刀ちゃんもあまり馴れ馴れしくしないの」
「だって南華老仙だといって、凄い爺さんだろうと思ったのに、寧ろ子供みたいだし」
「三千歳もなると回春するんじゃよ。アハハー」
「そのまま赤ん坊にまで戻ってくれたらいいのにな<<何か言ったかの?>>ううん、何も」
耳のいい爺だ。
「まぁ、お主がそんな風にしてまで儂を呼ぼうとした気持ちもわからんではないがの」
「ずいぶんと呑気なこといってくれるじゃない。僕たちを殺そうとしたくせに」
「そうでもしないとお主らがいつまでもちまちましていそうじゃったからの」
「え?」
どういうこと?
「二人ともこの『幸せな夢』は楽しんだかの?もう『現実』に戻る時間じゃよ」
北郷一刀 16歳 男(高1) 152cm 47kg
あれから六年後、あまり成長はしていない様子(肉体的に)
剣道を始め色んな武術を心得ている。他にも経済や歴史についての知識も豊富だ。(さっちゃんの入れ知恵である)
政治は習わせていない。
実は三年前からこの世界が自分が生きていた世界じゃないという自覚があった。
そして全て思い出したことにも関わらず、さっちゃんをお姉ちゃんとして慕っている。
今は自慢のお姉ちゃんと思っている。
北郷紗江(さっちゃん)女 19歳(高3)162cm 49kg
元左慈。
存在を削除されたはずにも、何故かこの外史で生き残っている。
だけどこの外史の以外の場所からはちゃんと姿を消してある。
学校通いながら自分の昔の愚痴を振りかえながら心を痛む時が多い。(銅鏡のことや、その後のことも色々と)
昔の記憶をなくしたと思い込んでいた一刀ちゃんの爆弾宣言を聞いて唖然としている。
南華老仙(みなみちゃん)不明 3千から数えるのをやめた 105cm
年を摂り過ぎて性別の区切りがなくなったらしい。南華老仙という名が長いから、皆爺やみなみちゃんと呼んでいる。本人はみなみちゃんが好みらしい。
常にカルシウムが足りていない(よく怒る)
『真理』を越えている存在として、すべての世界を見通しできるため、管理者たちの統括する重役を任されている。
故に、自ら現場に出てくることは稀だ。
自分の背よりも大きい仙人杖を持っている。
当たるとガチで痛い。
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思ったより前振りが長くなって申し訳ありません。