No.189461

真恋姫無双 遙かなる幻想の先に 第一話

larryさん

二作目の投稿となります。
少しでも楽しんでいただければ幸いです。

2010-12-13 11:39:02 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1198   閲覧ユーザー数:1085

                      注意

 

 

 

この作品は北郷 一刀が主人公ではなくまた登場する予定もありません。 オリキャラが主人公で、原作キャラが崩壊するかもしれません。 それを踏まえた上で楽しんでいただければと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 目に当たった光が眩しくて目を開ける。

 

「もう、朝か……」

 

 昨日、この街の刺史のことを調べていて、寝るのが遅かったからかな?

 まだ頭がボーっとしてる。

 寝台から上半身だけ起こして、深呼吸。

 朝特有の冷たい空気が身体に染みて、心地がいい。

 

「うん」

 

 だいぶ目が覚めてきた。

 寝台から降り、身体を伸ばしてまだちょっとだけ残っている眠気にトドメを刺した。

 

「さてと」

 

 そして鏡の前に置いてある小さな丸椅子に座って腰まで伸びた髪をとかす。

 それから少し化粧をして、鏡でどこか変なところはないか確認する。

 

「うん。大丈夫」

 

 もはや、朝の日課にもなった行為を終えて、ホッと安堵の息を吐く。

 

 板についてきた、かな――

 

 服を着替えて、外套を手に取る。

 

「じゃあ、行こうか」

 

 誰に云うわけでなくそう呟いて、私は部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

「ホント、賑やかな街ね」

 

 昨日調べて分かったのだけれどこの街の刺史はとても優秀。

 治安も良くて、民の笑顔であふれている。

 まるで昔の私の故郷みたいに――

 

「この街だけまるで別世界のよう」

 

「盗賊だ~ッ!!」

 

 でも、こういう輩はいる訳で。

 呆れてため息が出ちゃう。

 

「どけぇっ、女ぁ!!!!」

 

 大きな荷物を持って剣を振り回してこっちに走ってくる男。

 云われたとおりに道を空ける。

 

「ぶへぇ」

 

 そして私の横を通り過ぎた瞬間に、男の足に自分のを引っかけた。

 男は気味の悪い声を上げながら、見事に転んだ。

 その時、手に持っていた剣と荷物が男の手から離れていた。

 

 

「あら、御免なさい」

 

 賊の気を逆撫でするように。

 悪びれもない謝罪の言葉を口にする。

 まぁ実際、悪いことをしただなんて思っていないのだけれど。

 

「この、アマぁ」

 

 転んだ拍子に顔面から落ちたからか、男は鼻から血を流していて、それを手で押さえている。

 

「醜い顔をこちらに向けないでいただけますか? 不愉快です」

 

「危ないですよ!!」

 

「今、警備兵が来てくれるから――」

 

「クスッ……心配してくださってありがとうございます」

 

 関わりたくないはずなのに、声をかけてくれた二人の女性に笑顔で応えると。

 女性たちは呆然と立ち尽くしてしまった。

 

 何か気に障ることでもしたかしら?

 

「余所見しやがって……舐めてんじゃねぇ!!」

 

 目を離した隙に男は剣を手にして、振り上げながら迫ってくる。

 それを一瞥して。

 

「別に、舐めていた訳じゃありませんよ? ただ格下相手に本気になるのも莫迦らしいと思っただけです」

 

 男の手首を掴んで懐に潜り込み、相手が向かってきた力を利用して。

 

「ぐあっ!!?」

 

 投げた。

 多分背中からまともに落ちたから当分痛みで動けないはずだけど。

 

「そこのお兄さん? できれば縄か何か持ってきてくださると助かるのだけれど」

 

「へっ……? あ、ああ。今持ってくるよ」

 

 事の騒ぎを聞きつけてできた人の群れから最初に目に入った若い男の人にそうお願いすると男性は縄を取りに走っていく。

 

 これで一件落着、ね。

 

 誰も怪我もせず、無事に事を納められたことに安心しながら。

 私は蒼く澄み切った空を見上げるのだった。

 

 

 

 Interlude in

 

 場所は変わって、陳留の城内――玉座。

 そこで政務、軍務……街であった大きな事などの報告会とも云える集会が開かれていた。

 

「新兵の調練は順調に進んでいます。このまま行けばあと一月程度で戦場に出られる程度にはなるかと」

 

「そう、その調子で励んでちょうだい。ご苦労様、秋蘭」

 

 華琳の労いの言葉に秋蘭は軽く頭を下げる。

 すると次に桂花が口を開いた。

 

「街の治安も概ね良好です。ですが――」

 

「どうしたの、桂花?」

 

 口を濁す桂花に華琳は続きを促す。

 すると桂花は観念したかのように云った。

 

「先日街に盗賊が出没したのですが警備兵が間に合わず……」

 

「逃がしたの?」

 

「い、いえ。勇敢な民がその者を捕らえたそうです」

 

「そう」

 

 それだけ。

 ただそれだけのことなのであれば桂花が報告に戸惑うはずがない。

 そう華琳は感じていた。

 だから――

 

「それならば警備の体制に見直しが必要ね。それで、その勇敢な民とはどんな人物なのかしら?」

 

「ッ!!?」

 

 その言葉に桂花が一瞬息を呑んだのを華琳は見逃さなかった。

 

「あら、桂花。なにか云いたくないことでもあるのかしら?」

 

 追い打ちをかけるように華琳は言葉を続ける。

 華琳の表情には嗜虐的な笑みが浮かんでいた。

 それに華琳至上主義である桂花に逆らうことができるはずはなく。

 

「……――銀の髪を持った、美女、だそうです」

 

 心底云いたくなかったのだろう。

 絞り出すかのような声で桂花は答えた。

 

「あら、それは見てみたいわね」

 

 美女と聞いて、美少女好きな華琳が放っておくはずはなく。

 華琳の呟きにまた悪い癖が、というような複雑な表情を春蘭と秋蘭は浮かべ。

 桂花は悔しそうな顔をしていた。

 

「つまり、桂花はその女性のことを私に知られたくなかったのね」

 

 華琳はそう云って桂花に寄り添い

 

「ふふ、可愛い桂花。そんな素敵な情報をくれた貴女にはご褒美をあげないとね」

 

「ああ、華琳様……」

 

「今日、閨に来なさい。たっぷり可愛がってあげる……今日はこれまでとするわ、いいわね? 春蘭、秋蘭」

 

「……御意」

 

「御意」

 

 春蘭は羨ましそうな顔をしながら渋々。

 秋蘭はそんな姉を見て恍惚の表情を浮かべながら下がっていった。

 

(銀の髪の美女、ね……楽しみだわ)

 

 

Interlude out

 

 

 

あとがき

 

二作目の投稿となりました。

初投稿にもかかわらずコメント、さらに応援メッセージまでいただき大変嬉しかったです。

 

さて、あまり進展はしていませんが。

少し主人公の戦闘シーンを入れてみました。(戦闘と呼べるものではありませんけど……)

あんまり強くはしないつもりですが、これからどうなるやら。

 

コメントに寄せられていたオリキャラの性別に関しては、あまり詳しく云えません。

まぁ、察しの良い方はこの言葉だけで勘付かれてしまうと思いますが……

大変申し訳ありません。

 

どうやら、オリキャラへの風当たりが強いとお聞きしたのですが楽しんでいただけるよう頑張っていきたいと思います。

 

ご意見や感想をいただけると助かります。

 

読んでくださってありがとうございました。

楽しんでいただけたら幸いです。

 

 

 


 
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