「っく、っは!!」
「なかなか・・・そら!」
桜凛が小剣で趙雲の槍をなんとか防ぎ。
「うりゃりゃりゃーーー!!」
「っち、っせや!!」
なんとかギリギリで本陣に間に合い、張飛の矛を防ぐ士郎。
「っく、左軍後退!!右軍の余兵は猛進する中央を防げ!!」
「・・ひぐ・・左軍、右軍合流して・・・ぐす、中央突破を・・・えぐ・・お、お願いします・・・もうヤダヨ・・・朱里ちゃん(ちゃき)・・・あわ・・・。」
枯れるくらい声を上げ、兵の多さを武器に進軍する劉備軍を防ぐ詠。
対して最早この場から逃げたい、しかし念の為と劉備が態々剣を抜かせた護衛兵を送り行動を制限させ、涙を流しながら死兵を送りだす鳳統。
・・・・そして・・・・
「アははははハハははハハハは!!!・・・死ね・シネ・・しね!!!」ブーン、ブーン、ブーーン。
「く、は、ひ、きゃ・・・や!!」キン、カン、キャン、ティン、ガキン!
最早、善君の面影も無く、血に塗れ拭う事もせず、唯剣を振り回す。だが、確実に月の命を脅かす劉備。
危なっかしく、それでも足掻き劉備の斬撃を防ぐ月。
嘗て無い防衛戦が繰り広げていた。
「もう、めんどくさいな・・サッサト死んでくれないカナ、董卓さん?」と円(つぶ)らな、心の籠って無い瞳で見つめる劉備。
「ふ、ふざけないでください!そもそもこの戦争を始めたのは彼方達。ましてや、先手も彼方でしょうが!!それを「ウルサイナ・・・私が死ねって言ってんだかラ・・サッサとシネ!!」くあ!!」
鍔ぜり合いに持ち込まれた瞬間、体格差で押し込まれ更に蹴りを腹に喰らい、地に転がってしまった月はなんとか立ち上がったが・・・
「アハはははハ、愛紗ちゃん・・・敵・・取ったヨ!!」
「ひ、あ・・・あう・・」
既に上段に剣を構え、振り下そうとする劉備の姿が見えた。
「・・・御免なさい・・・みん・・・な。ごめ「泣くんじゃねぇ!!」・・え?」
「だ<ザン、ブシュッ>れ・・・え?あ、ああ、あがアあああ嗚呼アア!!・・う、腕が!右腕が!!」
誰が予想出来ただろうか・・・
「てめぇ、何月を・・・俺の・・」
味方からも邪魔扱されながらも努力を怠らず・・・
「・・・俺の・・・お、俺の」
圧倒的武を誇る武官からは存在を疑われ、文官からは媚売りと陰口を叩かれて尚も努力し続け・・・
「俺の・・・従妹を・・・手前(てめぇ)の我欲で・・穢すんじゃね!!」
唯、唯一血の繋がりを持つ魔王を守るため、英雄から見れば雑草に変わらない・・・だが雑草だからこそ生き汚く、信念を貫いた将、牛輔その人であった。
「関羽が死んだだぁ?だからなんだ!・・手前達(てめぇら)は小次郎を、羽賛を討ち取ったんだろう!!むしろこっちが損してるだろうが!なのに仇打ちだぁ?ふざけてんじゃねぇ!!」
真唐は喚くように、だが確信を得て劉備に吠えた。
「う、煩い!煩い煩いウルサイ煩い!!黙れダマレ黙れ黙れ!!彼方達のような凡愚よりも愛紗ちゃんのほうが生きる価値があるんだ!彼方達の様な死んでも悲しむ奴が居ないんだか「彼方が黙りなさい!!」んな!」
劉備も喚くが月に一喝され後ずさった。月の瞳は・・・冷め切っていた。
「悲しまない人がいない?なら彼方が哀れだ。彼方の為に戦った兵が、散った将が可哀想だ。ああそうですか。もうあなたは、かの善君劉玄徳では無いんですね。・・・人が死ねば誰かが泣く・・・賊でも、犯罪者でも、誰も彼も関係なく・・・そんなことすらも忘れてしまったのですね・・・哀れ過ぎてさっきまでの私が恥ずかしいです。」
最早、月は劉備を見ていない。見ているのは吠え喚く駄犬と、長年の付き合いでもあり将として、何より従兄として頼りがいのある真唐を見ていた。
「あ・・あぐ、黙れーーーー!!っく、そ、そうだ剣!剣は「探し物はこれかね。劉備殿?」・・・あ、ああ。な、なんで。・・なんで!!鈴々ちゃんは!星ちゃん、雛里ちゃんは!!」
劉備の前に現れたのは劉備の剣を持った士郎、桜凛そして詠の三人であった。
「あぁ、彼女達なら敗れて拘束したわよ。後は彼方だけだけど・・・どうしても御話したいらしい子が居るから連れてきたわ。」
と桜凛の後ろから帽子を深々と被った鳳凰の雛、鳳統であった。其の後にも縄で拘束された張飛と趙雲の姿が見えた。
「な、何やってるの!鈴々ちゃん、星ちゃんも。なんで・・・なんで!!どう「桃香様」・・なによ雛里ちゃん!!」
「・・な、なんで朱里ちゃんを斬ったのですか?」
何気ない。だが、どうしても聞きたかった事を勇気を出して聞いてみた。
その結果は・・・残酷だった
「理由?そんなの簡単だよ。朱里ちゃんが悪いんだ。軍を引こうってさ。馬鹿じゃないの。そんなんじゃ愛紗ちゃんの敵が討てないじゃん!!」
「分かった?これが理由!分かったらさと董卓を殺し「劉備軍は董卓様に降伏します。手土産として<グサッ>劉備の首を献上します。」あ・・あが・・ひ、雛里ち「私の真名を・・呼ぶな!!」<ドス、ドス!ドス!!>あぎ・・あ・・ひぐ・・・が・・・あ、り、鈴々ちゃん・・た、助け「御免なのだ・・・でも、今の桃香義姉ちゃんじゃ、愛紗は報われないんだ!!だから・・・御免なのだ。」そ、そんな・・せ、星ちゃ「愛紗・・・許せ・・・」う、うわ・・・あ・・げ、げほげほ・・な、なんで・・・なんでなの。なんで!!なんでなんでなんで!なんでなのよ!!う、うぐ・・は、が・・・な、なんで・・<ザンッ>「・・・それが彼方の限界。そして・・・報いです。死の国にて関羽さんに謝りに行きなさい。」
劉備は最早壊れた玩具のように、同じことを繰り返しながら・・・月の手によって首を飛ばされたのだった。
それと同時に・・・
「も、申し上げます!鳳統様。・・しょ、諸葛亮様・・・い、息を・・・ぐぅぅ。」
「そう、ですか。・・・朱里ちゃん、ごめんね。言い方は悪いけど・・・仇は取ったよ。」
ここに、三国志を代表する英傑二人が・・・舞台から消えたのだった。
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自分の中でも傑作が出来たと感じました。渾身の出来は感想板で受け付けます。