この作品は原作のキャラの性格が変化したり時代背景が変わったりします。なので原作好きのかたまた特定のキャラが好きな方はスルーしてください。
「…………」
張任「…………」
劉璋への報告を終えた一刀と張任は廊下を歩いていた。そこで張任が足を止める。
張任「大将……」
「何でしょうか……張任」
張任「いつまでこんなことを続けるんですかい?」
「こんなこと……?」
張任「……劉璋の野郎です!!」
語気を強める張任を一刀は黙って見ていた。
張任「冷遇されて、人前で酒を頭からかけられて……大将は何とも思わないんですか!!」
「…………」
張任「正直……俺にはわかりやせん。大将ほどの人間ならどこでもやっていける…その気になれば王にでもなれるほどの器なのに……どうして!!」
一刀は黙って自分の右腕として自分を支えてくれる男を見る。
「張任……私は王なんて器ではありませんよ。私は自分の主すら導けない愚かな人間なのですから」
張任「そんなことは………」
「人は良くも悪くも変化します…」
張任「………」
「劉璋様も昔からああだったわけではありません……昔はとてもお優しいお方でした」
そう言った一刀の顔はとても悲しそうであった。
張任「……大将」
そんな一刀を張任は複雑そうに見ていた。そこで一刀が再び歩き始める。
「…………私は自分ができることをやります」
「私はこの益州の将であり、あの方に仕えると決めました……例え周りから愚かと言われても最後まであの方の将であります……」
張任と別れて一刀は自室に戻った。そして、一刀は服などを着替えて寝具に腰をかけた。
一刀は先程までの張任との会話を思い出す。
「…………」
一刀は立ち上がると、そのまま窓の外に視線を移した。そして、過去の出来事を思い出していく。
それは初めて一刀が戦場に出た時のことであった。賊が出没したとの報告を受けて劉焉が兵を派遣した。十歳であった一刀は自ら志願して、劉璋らの反対を押し切り賊討伐に向かった。
「はぁ……はぁ……」
兵士「嘘だろ……」
武器を支えにして何とか立っている一刀は全身血まみれであった。一刀の周りには大勢の賊の死体が転がっており、一刀が血まみれであるのは全部賊の血であった。そんな一刀を見て味方の兵士達が息をのんだ。
「……賊は全て倒しました……戻りましょう」
立ち上がって歩き出す一刀であったが体力が尽きかけたのかふらふらの状態であった。しかし、そんな一刀に誰も近づかない。
兵士「ば、化物だ……」
そう誰かが呟くのを一刀は聞こえたが止まることはなかった。味方全員が一刀を、化物を見るかのような目で見ていた。
成都に戻ると劉焉や劉璋が出迎えてくれた。
劉璋「一刀!!……その血は」
「大丈夫です……すべて返り血です。それより劉璋様のお召し物が汚れてしまいます……」
劉璋「だが……」
「すいません……着替えてきます」
そう言って一刀は玉座を後にした。その姿を見送った後に劉焉は責任者に視線を移す。
劉焉「それで賊は……」
兵士「はい。全て討伐いたしました」
劉焉「それはご苦労……それでどうして一刀はあれほどの血を浴びているのか?」
兵士「彼が一人で百人の賊を屠ったからでしょう……」
劉璋「なっ……お前ら何をしていた!!」
劉焉「落ち着け……璋」
劉璋「しかし!!」
言葉を続けようとした劉璋であったが劉焉が睨むと沈黙した。
劉焉「なるほど……別働隊がいたわけだったのか……賊は報告よりも遥かに多かったのか……」
兵士「はい……あの子は別働隊に気づきたった一人で大勢の賊を相手にしました……」
そこで兵士は先程の光景を思い出して震える。
兵士「あの子は何者なのですか?あんな子供が無表情に淡々と賊を殺していく姿は正直戦慄を覚えました。抵抗なく人を殺すことに姿はまるで……ば………」
劉璋「黙れ……」
劉焉「……璋?」
兵士の言葉を劉璋は遮る。
劉璋「それ以上言うと俺は許さない……」
怒りの表情で兵士を見ると、劉璋は玉座を後にした。
「う……おえ……うぇぇぇぇ」
一刀は部屋に戻るとそのまま吐瀉物を吐き出す。一刀の脳裏には賊の死体が、手には賊を斬った時の感触が残っていた。さらには服にこびりついた血の匂いが消えない。
「がはっ………」
それらを思い出して再び吐き出す一刀。服とかが吐瀉物で汚れる。
劉璋「一刀!!」
「劉璋さ……ま?」
突然の劉璋の来室に一刀が驚きの顔をする。劉璋はそのまま一刀の目の前にやってきた。
劉璋「すまない……お前を戦場に出してしまって」
「私は……化物ですから……こんなことでしか恩に報えません」
劉璋「違う……お前は化物ではない……お前は北郷宗伯だ……そして大切な家族だ」
「り…劉璋……さ……ま……」
服が汚れるのも気にせずに劉璋は一刀を抱きしめる。一刀は抱きしめられるとそのまま震えた。
「あの時……劉璋様は血に汚れた私を抱きしめてくれた……家族と言ってくれた……」
そう言って強く掌を握り締める一刀。一刀の中にあるのはあの日の温もり。ただそれだけであった。
劉璋「…………」
自室でお酒を飲んでいる劉璋も過去のあの出来事を思い出していた。
幼い一刀が血に塗れて戦うのを当時の自分は許せなかった。だから、強くなりたいと思った。しかし、現実は残酷であり剣の稽古も、政務も全て頑張ったが、結局自分は並の人間であった。一刀のようにはなれなかった。
そんな自分にないモノを全て持つ一刀に憎しみを覚えていった。だから、あの時父が死んだ後に一刀を追放したのであった。これ以上自分勝手な理由で一刀を憎まないように……
劉璋「一刀……何故お前はこんな俺を見切らないのだ?……お前の居場所はこんな所ではないだろ…」
劉璋は容器の入った酒に写る自分をじっと見つめていた。
お久しぶりです。今回のお話は一刀が劉璋に仕える理由と劉璋が一刀を嫌う理由です。自分の文才のなさでかなり無茶苦茶になってしまいました。なのでここで少し補足。
一刀はまだ幼いときにこの世界にやってきたので劉焉や劉璋に非常に恩を感じています。なので役に立ちたいと思い戦場に出ました。そして、血塗れになっても受け止めてくれた劉璋のためにより尽したいと思い冷遇されても劉璋に仕えています。
劉璋は幼い一刀を戦場に出した自分に怒り、二度とそういうことがおきないようにと努力します。しかし、その努力はほとんど実りません。逆に一刀がその才能を輝かせて頭角を現してきます。現在の一刀は言えば劉璋がなりたかった理想であり、その才能に嫉妬して憎んでしまいます。一刀を追放したのはこれ以上近くに置くと自分勝手な理由で殺してしまいそうになったからです。
大体こんな感じですがまだ書いてない一刀や劉璋の思いもあります。それは後々書ければいいと思います。この話はどこまで続けれるか本当に微妙です。一刀に死亡フラグが立っていると思うのは自分だけではないはず……
ではみなさんまた
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