――魏
――南陽
「次世代強化兵士か」
フォックスの目の前には四足歩行の化け物が彼に向って突進していた。
「た、隊長!あんなんどないしたらええねん!?」
「新野のアレ並みにおっかないの!」
「二人とも!迎撃するぞ!」
後ろの三人は役に立たないわけではない。ただこういった連中には慣れていないだけ。
だからフォックスは不敵に言い放った。
「真桜、アレを倒したら解体していいぞ」
「魅力的な話やけど無理や!」
真桜と沙和はすっかり震え上がってしまった。激励したつもりが効果はなかったらしい。
「残念だ」
ケインがそう呟き槍を振るうと、四足歩行の化物は左右に泣き別れてしまった。
「俺が倒したからこの話は無しだな」
* *
――呉
――江夏
「ご生憎!火器も火力も火薬も!全部足りているんだよ!!」
ゴーストのWolfから連射された誘導式ミサイルは全てエンド・スネークに向かって発射された。対空用として使われたミサイルは、高速で飛び回りエンドには当たらないものの彼の飛ぶ先を予測することを可能にした。
「さすがはFOXHOUND一の射撃手。トーレ・フォックスが認めるのもわかる!」
エンドが苦虫を噛んだその時、彼の強化外骨格のウイング部分が吹き飛んだ。
どうやらゴーストは、エンドがどのタイミングでどの場所をどのような体勢で通過するのか三次元的に把握していたらしい。ここまで来れば彼の頭に入っているのは火器管制塔ということになる。
「さすが"管制塔いらず"。頭の中で全ての予測が出来ているということか!」
「Hey!Guy!報告したら不名誉除隊されるくらいミサイルをぶっぱなしたんだ!せめて死体ぐらい置いていくんだな!」
「ちっ!」
エンドが苦し紛れに投げたのはスモークグレネードだ。
通常の強化外骨格なら頭部保護と情報端末を兼ねるヘルメットをしているため意に介さないが、ゴーストは肌での観測を重視するためそれを付けていない。要するにまともに喰らってしまったのだ。
「見えないってことは撃ちまくりってことだよな!」
ある程度の予測は出来ていた。ならその方向に向かって弾幕を貼ればいい。愛銃P90を両手に構え斉射した。
「ここは撤退だな。次は電磁波防御帯を持ってくるとしよう」
普通なら相性はいいはずだが、相手が相手、場所が場所だ。撤退が懸命だろう。
失ったウイングを上手く補いながらエンドが信号弾を上空に発射する。
「おいおい、撤退かよ。まあ勝ったら外史総取りだしな。……うお!俺のナイスフェイスが煤まみれじゃねえか……」
十三話・外 紅夜 ~REDRUM~
『こちらエンド。撤退を開始する』
「了解した」
スネークを圧倒したリンクスは白帝城を進んでいた。
目的は殺害。国家君主を殺害すればこの世界の均衡はたやすく崩壊する。それがリンクスの、PMCUの首領の出した結論だった。
彼の情報端末には五つの熱源反応。彼から遠く離れ……逃げようとしているのは間違いなくこの国の君主だろう。
早急に事を済ませるには壁は明らかに邪魔だ。
右手の隠しグレネードを展開し壁に撃ち放った。正史の火力にかかれば、外史の建造物など道にすぎない。そして彼が熱源反応に追いついたとき、朱里と雛里、音々音。そして恋と……桃香の姿があった。
「私の名はリンクス。今から貴殿らを殺す男だ」
「正史の人……」
「スネークは死んだ。あとは貴殿を殺すのみだ」
せめて男の死に様くらい伝えよう。そう言ってリンクスが右手のグレネードを構えた時だった。
突如壁から一匹の獣が姿を現した。
「スネーク!?」
壁から飛び出しリンクスを蹴り飛ばしたスネークは、その反動で天井に張り付く。そして次の瞬間には天井を強く蹴りリンクスに向かって吶喊する。
鍔迫り合いを行うスネークは、腹に風穴が開いているとは思えない力を発揮している。
「あれだけの傷を負ってまだ動けるのか?」
「傷は雷で焼いた!」
鍔迫り合いでリンクスを押し出したスネークの腹には無残とも言える火傷の後があった。
「後悔するなよ、山猫!!」
間合いを開けたスネークの目が真紅を通り越え黒い赤に変わり始める。
もう二度と使う気はなかった。かつて街を消滅させ、義兄弟を戦わせた忌まわしき力。その力を今、敵を倒す……殺すことに使う。
「これが三度目だ!これで死ねることを光栄に思え!!」
――!!!
蛇が咆吼をあげる。暴走の名を冠する凶戦士の力だ。
赤壁のときより音圧も電磁波の量も桁違いだ。リンクスが装備している強化服も悲鳴を上げ始める。それ以上に異様なのは建築物ですら振動を始めていることだ。あたりの柱が音圧に負け、木片がはじけ飛ぶ。
「強化服が音圧を増幅しているのか!?」
その異様な光景に目を奪われていた。だがしっかりとスネークの姿を見ていたはずだった。
スネークの姿を見失い、突如リンクスの目の前に彼が現れる。
(早すぎる……)
顔をつかまれたことまでは確認できた。次に自分の体がどこにあるかわかったのは空中だった。
どうやら一気に二階へ押し出され、空中に投げ出されたらしい。
自由落下を体験しているさなか、自身も飛び上がったのか電撃を纏ったスネークが足からの強襲攻撃を仕掛けてくる。
「くっ!!」
端から見れば天から星が二つ、続けて墜ちてきたような光景だ。
立ちこめる煙の中でスネークはリンクスの頸をかっ斬ろうと高周波ブレードを突き立てる。リンクスは負傷を承知でそれを掴んで止めている。
「図に乗るな!!」
右手のグレネードが展開される。
しかしスネークは左の手で砲身を掴み、異常な握力でそれを握りつぶす。もはや蛇を超越した竜となっている。図に乗っていたのはリンクスの方だった。
そのリンクスの頬に拳が突き刺さる。重量にしておおそよ200kgの物質がいともたやすく浮き上がり、吹き飛ばされる。追撃は無論電撃だ。
しかしその雷はリンクスに届く前に急に現れた人型の「モノ」が放ったナイフに止められる。あまりにも異質なナイフであったが、それよりも異質な空中に浮いているその様だ。
「キサマ……マグナ」
??/Magna
ImageCV:中村悠一
『久しぶりだな、スネーク。元気そうで残念だ』
マグナと思わしきモノから如何にも造られた音声が流れてくるが、半暴走状態のスネークはマグナの言葉に耳を傾けるほど気は長くなかった。浮遊している機械人形に向かって突き出すように雷撃を飛ばす。
『ほほう、これはこれは。いい感じで感情がむき出しになっている』
相変わらずの理論も理屈もない浮遊を続けるマグナは簡単にそれを躱した。
『サイキッカーをそう簡単に殺せると思うなよ』
「ナラ……タマシイゴト……ヤキツクス」
四足歩行のままスネークの頭髪が逆立ち始める。大出力の電撃がくる。
『退け、リンクス。この化け物は私が止めよう』
「すまん」
スネークは逃がさないと言わんばかりに放電を開始した。
どうやら電磁波防御帯を装備しているらしく放電が拡散され始めるが、スネークは構わず電撃を飛ばし続けた。
『なんだ……オーバーヒートだと?』
物質が擦れればそこに摩擦が発生する。摩擦が発生すれば熱が発生する。そして今ぶつかっているのは電撃と電磁波だ。
『電撃だけではなく熱まで操るか!アトモス・スネーク!!』
マグナの恨み節をかき消すようにスネークが咆哮した。
とたんに放電量が上昇した。彼の周りの土から砂鉄が振動するほどの電撃だ。その電撃の奔流は電磁波防御帯を突破しマグナに直撃した。
しかしマグナの体は分裂した。まるで機械を組み合わせて構成していたように体のパーツが外れたのだ。
『さすがだ、スネーク』
そしてそのパーツは再び集まり人型を構成する。
再びソレに電撃を放つためスネークが充電を開始する。しかし決定的に隙が生じてしまう。
『その傷では長くもたんだろう。お暇させてもらうよ』
彼の体から黒い煙幕が滲み始める。相変わらず得体のしれない行動であったが、スネークの注意と視界をさえぎるのには絶好であった。
その霧が晴れたとき、 まるで蛇は化け物のように天に向かって咆吼した。
その咆吼は白帝城中に響き渡った。
永遠とも云える咆吼は突如終わる。蛇の口から血が溢れだし目が白く戻っていく。
しかし彼の視界は白と黒に点滅していた。
(……走馬燈)
――そう、その夜はきっと紅い空だった。
萌将伝的おまけ4:目覚めろ、その魂2
貧乳党演説後
ジェームス「胸が無くても魅力はあるのにねぇ」
一刀「まったくだな」
ケイン「お前達は何もわかっていない!!」
一刀「なんだ、荀彧さんを孕ませた変態」
ケイン「胸がないんじゃない。貧乳があるのだ!!」
ジェームス「……感動した!一生付いていきます!旦那!」
(ケインのイメージは変態としか決めてなかったのでこのままの勢いで逝きます)
ケイン「魅力があるないではない!魅力は常に溢れている!」
ジェームス「VIC!BOSS!VIC!BOSS!」
(もうどうにでもなーれ)
Tweet |
|
|
8
|
0
|
追加するフォルダを選択
この作品について
・MGSと真・恋姫†無双のクロスオーバー作品です。
・続きものですので前作一話からどうぞ。http://www.tinami.com/view/99622
執筆について。
続きを表示