プハッ!
「いやー、平和だねー」
北郷一刀はお茶を飲みながら休憩していた。
「何が平和よ! こっちは戦後処理で忙しいっていうのに!」
「まあまあ、詠ちゃんもお茶でも飲みなよ」
「……はあ。あんたの顔見てると本当に平和な気がしてきたわ」
いかにも平和そうな顔で和んでいる一刀を見るとピリピリしているのがばからしくなる詠だった。
「でも実際のところだいぶ平和になったんじゃないの?
「まあね。袁紹、袁術は領土と地位を没収したからもう野心を抱くことはないだろうし、抱いたところで袁家は解散したから何もできないわね」
すでに袁家の威光は地を這うところまで落ちてしまった。
「これからどうするんだろうね?」
「死刑にされなかっただけでも軽すぎる罪なのに、その後のことなんか知らないわよ」
本来袁家の者は一族郎党まで死刑になるはずだったのだが、一刀が「可愛そうじゃない?」と言ったことでこのようになった。
「案外楽しくやってそうだけどね」
「どうだか」
一刀の言うとおり五人で仲良く宝探しの旅に出ていた。
「袁術の領土は孫策に今回の褒美として与えたわ」
「喜んでたねー伯符さん」
悲願であった孫呉の復活を雪蓮は心から喜んでいた。
「まあ、しばらくは大変だけどあいつらなら任せられるわね」
「冥琳が派遣されたんだっけ?」
「ええ。なんか放っとけなかったみたいよ」
自ら復興の支援を志願した冥琳。
雪蓮と祭と丁寧に断ったのだが一蹴。
逆に説教されてしまった。
そんなこんなで現在進行形で死に物狂いで復興に力を注ぐ孫呉だった。
「董卓にはそのまま涼州全域を治めてもらうことになったわ。まあ馬騰と協力してもらうことになるけどね」
五胡に睨みを利かせるという大事な役割である。
「劉備さんは幽州だっけ?」
「ええ。劉備の故郷だから張り切っていたわね。前任の公孫賛はそのまま劉備の下に就くことになったわ」
「一応連合軍にいたんだよね」
「ええ。最初見た後は二度と見なかったそうだけど」
国で療養していたそうだ。
「一番大変だったのは曹操よね」
「民からの信頼は厚かったからそのまま領地没収とかすると後で面倒なことになるんだったね」
華琳は、領土内では慕われていたので下手なことをすると民の反乱などがあるために裁定が難しかった。
「だからといってアレはないんじゃないの?」
「そうかな? 孟徳さん優秀なんだから良かったと思ったんだけどなー」
二人の視線の先にはひたすら書簡を整理する華琳の姿があった。
軍師たちが処遇を決めかねていたところ一刀が「じゃあ都で一緒に政務したらいいじゃん」と言ったのが原因だ。
華琳は華琳で「望むところじゃない。見事私を使ってみなさい」とかなんとか言って受け入れた。
今までは王としてすべきことが無数にあった華琳だったが、文官として政務一筋になったところその才能が開花して、北郷軍の軍師たちにも劣らぬくらいの働きを見せていた。
その代わり自領では秋蘭が頑張っていた。
「しゅ、秋蘭。少し寝た方が……」
「ははは。大丈夫だ姉者。さっき数秒眠ったからな」
「そ、そうか」
頑張れ秋蘭!
「ねえ孟徳さん」
「どうしたの一刀?」
「国に帰りたい?」
「そうね。あの子たちは心配だけど秋蘭が何とかしてくれるわ。それよりも今私は幸せを感じているわ」
仕事が恋人のOLのようになっていた。
覇王の期待が重圧となって秋蘭にのしかかっていることをしらずに。
「そういえば袁紹の領土は今誰が行ってるの?」
「朱里よ。雛里が推薦したわ」
「そうなんだ。朱里ってこういう時率先して行ってくれるよな」
「ええ。まあ雛里が言うには恋人がそっちの方に行っちゃったらしいけどね」
「ああ。この時代じゃ遠距離は厳しいもんね。ウィルコムもないし」
「……? よく分かんないけど明日冥琳が帰ってくるわよ」
冥琳は度々帰ってくるが朱里は帰ってこない。それとも帰れないのか。
「冥琳とは久しぶりだな……」
「なんの話よ」
「あははー、なんだろうね」
「このち●こ相国が! …………今日はボクなんだからね」
「わかってるよ詠」
昼間からピンクな会話が出来るほど平和になっていた。
「まっ、今はやることがまだまだあるわ」
「召集に応じない荊州と益州の討伐だっけ?」
「ええ。曹操を軍師として使えるか試すことになってるの」
「孟徳さんならいけそうだね」
「まあね。一応ボクも行くことになっているから」
「じゃあ問題ないね」
「あ、当たり前よ」
「じゃあ今夜はいつもより頑張るか」
「…………うん」
一刀の仕事はとても少なかった。
劉弁、劉協のお世話。
軍師たちのモチベーションの維持。
仕事は少ないがとても大事な誰にも出来ない仕事だった。
<おまけ>
担任から「北郷ちゃ~ん、バカだから補習でーす」とラブコール。
「……不幸だ」
夏休み初日からブルーな気分になった一刀は気持ちを入れ替えて布団を干すことにした。
「つか、いきなり夕立とか降ったりしないだろうな? ……ん?」
ベランダに出て天気の心配をしていると、視界に入ったのはすでに干されていた何かだった。
「えー!? ………………女、の子?」
それは魔女っ子のような格好をした女の子だった。
一刀が唖然としていると女の子が目を覚ました。
「おな……おなか減った」
「へ?」
「お腹減ったって言ってるんでしゅ」
それが二人の出会いだった。
とりあえず保護して適当に食べ物を食べさせた一刀。
「あわわ、自己紹介しなきゃ。私の名前は淫書目録(ヒナリックス)って言うんでしゅ」
「ヒナリックス? ってどう聞いても偽名じゃねえか」
偽名ないじゃかと一刀は疑った。
「そのヒナリックスさんは何で追われてるんだ?」
「私の持ってる10万3000冊の艶本が狙いだと思いましゅ」
「艶本?」
「ロリ、熟女、レズ、代表的なのはこんなとこでしゅ」
ヒナリックスが言うには、ヒナリックスの頭の中には10万3000冊の艶本の中身が全て記憶されており、それを狙って魔術結社に追われているという。
しかし、一刀はそれが到底信じられなかった。
「俺にだって生まれた時から妙な力があるんだけど」
「妙な力?」
「この股間が触れると、幼女だろうが熟女だろうが、多分神の子宮だって壊せます」
そう言った一刀。
しかしそれを雛里は笑い飛ばした。
互いに互いを信じなかった。
「じゃあ何か見せてみろよ! それを股間でブチ抜けば、股間のことも信じるしかねえよな!」
「いいもん、じゃあ見せてあげる」
そう言ってヒナリックスは立ち上がり、スカートをまくりあげる。
「じゃあこれです! この貞操帯! この貞操帯は『歩く処女』といって極上の防御結界なんだから!」
ヒナリックスが言うにはこの『歩く処女』は物理的ち●こ、魔術的ち●こを全てのち●こを受け流すというのだ。
「ふ~ん。つまりあれだ。それが本当に異能の力だってんなら、俺の股間が触れただけで木端微塵ってわけだな」
「ふふ~ん。君の力が本当な・ら・ねでしゅ」
「くっ、上等だコラー! そこ言うならやってやろうじゃねーか!」
一刀はズボンとパンツを脱ぎ、ヒナリックスをベッドに押し倒し滾った股間で『歩く処女』に触れた。
「あーれ?」
「別に何も起きないでしゅね。ふふ~ん」
ニヤリとヒナリックスが笑った瞬間、『歩く処女』は砕け散り、一刀の股間がお邪魔した。
「まずはその子宮をぶち殺す!」
「アー!」
とある幼女の淫書目録
完。
このページ見なかったことにしてね( ゚∀゚)o彡°
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ちなみに軍師無双は物語の8割が終わりました。