平原
朱里「皆さん、お忙しい中お集まり頂きありがとうございます、今回はこの手紙について集まっていただきました」
鈴々「にゃ?なんなのだそれ~?」
愛紗「どのような内容なのですか?桃香様」
桃香「わたしもまだ見てないよ」
星「うむ、面白い内容だといいのだがな」
雛里「冀州の袁紹さんからの手紙です」
桃香「空けてみせてよ」
朱里が全員の目の前で手紙を広げた
愛紗「なになに、暴君董卓が洛陽の都にて十常侍を皆殺しにし帝を操り、暴政の限りを尽くしているだと!?」
手紙には洛陽の都における董卓という者の悪逆非道ぶりが羅列の如く書かれていた
桃香「こんなの酷すぎるよ・・・・・」
鈴々「にゃ?この董卓ってやつは悪いやつなのか~?」
愛紗「何を言っているんだ鈴々!これが本当なら、董卓は歴史に残るほどの大悪党だぞ!」
星「まあまあ愛紗よ、そうかっかするな、それでこの手紙は信用できるのか?朱里、雛里?」
朱里「この手紙の信憑性についてはなんともいえません」
雛里「しかし、この手紙は断ることは出来ないでしょう」
桃香「え?なんで?」
朱里「この手紙の送り主である袁紹さんは司隷校尉です、袁紹さんの命令に逆らうことは袁紹さんの味方全てを敵に回してしまうということです」
雛里「はい、袁紹さんの地位は漢王朝内でもかなり高い位置にあります、無視すればそれ相応の罰が待っているでしょう」
桃香「でも!本当に董卓さんが都で悪いことをしているなら止めさせなきゃ!」
愛紗「桃香様の仰る通りだ!朱里、雛里、魔王董卓を倒し桃香様の名声を大陸中に響かせればこの大陸はもっと平和になり住みやすい国になるはずだ!」
朱里「・・・・・・・・・・」
雛里「・・・・・・・・・・」
二人はしばし思案に浸る
頭の中でこれから起こる事への対処を一から順に練っていく
そして
朱里「わかりました桃香様、洛陽へ赴きましょう」
桃香「そうこなくっちゃ朱里ちゃん♪」
朱里「愛紗さん、この平原の治安はどのような状況ですか?」
愛紗「いたって平穏、ここまで何も起こらないとかえって気味が悪いくらいだ」
桃香「愛紗ちゃん!そんなこと言っちゃ駄目!平和が一番なんだから!」
愛紗「と、桃香様!わたくしはそのような意味で言ったわけでは!」
星「まあまあ桃香様、愛紗も少し落ち着け・・・・・しかし、愛紗の言うことも尤もだ、ここまで事件らしい事件が起こらないと体が鈍ってしょうがない」
雛里「ここ最近では、周囲の山賊さんが次々と姿を消していきましたらからね、一体何故なんでしょうか?」
星「ふむ、わたしはやはり、一刀殿の仕業だと思うな」
鈴々「にゃっ!あのお兄ちゃんか!?」
星「ああ、あの方は本来なら戦いを好まれはしないんだが、目の前で行われている非道な暴力には真っ向から立ち向かう気高き志を持っているからな」
桃香「じゃあじゃあ、今回の集まりで会えるかもしれないね♪」
星「それはどうでしょうな、あのお方は確かに志は持っておられるが、どこかの勢力に入るなんてことはまず無いでしょうな」
鈴々「にゃ~~~~、あんなに強いのに、もったいないのだ~」
星「まぁ、あの方にはあの方のやり方があるのでしょう、わたし達が口を出してもせんなきことです」
愛紗「・・・・・・・・・・」
皆が一刀について話している横で愛紗はまた胸の中の感情に戸惑っていた
愛紗「北郷一刀・・・・・」
フワッ
愛紗「(まただ、この名前を呟くと胸の中が暖かくなる、しかしなぜなんだ?)」
自分と北郷一刀という人物には一切接点は無いはず
なのに何故こんな気持ちになるのかわからなかった
愛紗「・・・・・・・・・・」
桃香「どうしたの?愛紗ちゃん?」
愛紗「はい!?なんでしょうか桃香様!?」
桃香「ぼ~~としてたよ、具合でも悪いの?」
愛紗「そんなことはありません、ありがとうございます、桃香様」
星「どうやら愛紗は、一刀殿のことを考えていたようだな」
愛紗「わ、わたしはそのようなことは!」
星「お主は顔に出やすいのだ、隠しても無駄だぞ」
愛紗「ぐぬぬぬぬぬぬ!」
雛里「あの~~~?」
愛紗「なんだ!?」
雛里「ひっ!」
星「ほれみろ、雛里が怖がってしまっているであろうが・・・・・よしよしもう怖くないぞ~♪」
なでなで
雛里「あわわわ///////」
愛紗「~~~~~~っ」
朱里「あの~~~・・・・・そろそろ、話を元に戻してもよろしいでしょうか?」
桃香「あ、うん、そうだね、ほーら愛紗ちゃんも」
愛紗「・・・・・はい、桃香様」
桃香の指示にしぶしぶ従う愛紗であった
朱里「では、この反董卓連合ですが、兵は3万人連れて行きましょう」
桃香「え!?」
愛紗「なんだと!?」
鈴々「にゃっ!?」
星「朱里よ、幾らなんでも多すぎはしないか?」
朱里「いいえ、そんなことはありません、さっきもお話していたように北郷さんがこの辺りの賊を手当たり次第に討ってくれたおかげで、この平原の治安は優良も同然です、それに今年は豊作で糧食は多く持って行けそうですから」
雛里「さらに、黄巾党のかなりの人達がわたくし達に降ってくれていますから、これくらい連れて行っても治安は十分に維持できるでしょう」
桃香「わかったよ朱里ちゃん、雛里ちゃん、それじゃ皆、早速準備しよう!」
愛紗「はっ!!」
鈴々「にゃ!分かったのだ!」
星「承知しました!」
そして平原の将達は戦の準備をしていく
この先に待ち受ける絶望に向けて
建業
冥琳「みな、集まって貰ってすまない」
雪蓮「何言ってるのよ、水臭いわよ冥琳♪」
穏「かまいませんよ~、冥琳様~♪」
祭「うむ」
純夏「ええ」
???「冥琳の開く会議ならよほど重要なことなんでしょう、すぐにでも飛んでいくわ、ね思春、明命」
思春「わたしは、いつでも蓮華様のおそばに」
明命「呼ばれてすぐ参上します」
???「あ、あの~~~?」
どこからか氣の抜けた声がしてきた
冥琳「ん?どうした?これから大事な会議なんだ、早く入って来い」
???「は、はい~・・・・」
誰かが扉の影から現れるがその足取りは重い
穏「どうしたんですか~、百合さん~?」
思春「そうだぞ諸葛瑾!蓮華様を待たせるな!」
百合「は、はい~!」
そして、急いで入ってきたのは、長い金髪を横で三つ編にし、水鏡女学院の帽子のようなものを被った
姓は諸葛、名は瑾、字は子喩、真名は百合だった
彼女が何故ここにいるのかというと、もともと彼女は彼女の妹である諸葛亮こと朱里のいる平原へ向かっていたのだが、極度の方向音痴のために、なぜか呉に着いてしまっていたのである
百合「(うう、どうしてこんなことに)」
心の中で百合は泣きそうになっていた
しかし
百合「(いいえ、妹達が頑張っているんですもの、わたしが頑張らなくてどうするの!)」
と、自分に気合を入れなおした
百合「遅れてしまい申し訳ありません、雪蓮様」
雪蓮「いいのよ、あたしなんかしょっちゅう遅れてきてるんだから♪」
冥琳「雪蓮!もうちょっと王としての自覚を持ってくれ!」
蓮華「そうです姉様!あなたは呉の王なんですよ!」
雪蓮「分かってるわよ・・・・・それじゃ冥琳、始めてちょうだい」
会議の間は、すぐに緊張感に包まれる
冥琳「今朝方、袁術からこのような手紙が送られてきた」
冥琳は手紙を広げた
雪蓮「なによこれ、袁術の従姉妹の袁紹からの手紙じゃない」
冥琳「そうだ、しかしその内容を見てみろ」
「・・・・・・・・・・」
そして、一同は手紙を読み終える
冥琳「皆、どう思う?」
雪蓮「洛陽で暴政ねぇ、まぁ十常侍のことについてはどうでもいいわね」
穏「思い付きで書いているのがみえみえの文章ですね~」
祭「まぁ、袁紹は袁術の従姉妹だからな」
明命「似たもの同士なんですね」
純夏「袁術の下で働いている紀霊の気が知れないわね」
蓮華「紀霊は袁術軍の将の中でお母様が唯一認めていた将なのに、もったいないわね」
思春「あんなやつはほっとけばいいのです、自分の能力をどこで生かせば良いかもわからないやつは、無能も同じです」
雪蓮「思春、それは母様の目が節穴だったような言い方ね」
思春「じ、自分はそのような意味で言ったのではありません!」
前呉王孫堅を侮辱してしまったと錯乱してしまった思春
雪蓮「あははははは♪冗談よ♪」
思春「雪蓮様!」
冥琳「話が逸れた様だな、元に戻しても良いか?」
雪蓮「ぶ~~、冥琳かた~~い」
冥琳「わたしはどこまでも柔軟だよ・・・・・さて、この檄文だが皆の意見を聞きたい」
雪蓮「乗るべきね、この連合で活躍し名を広めることが出来れば人、物、金が集まるわ」
純夏「ええ!ここ最近戦らしい戦が無かったから体が鈍ってしょうがないわ」
純夏は、体をグキグキ鳴らしながら言った
蓮華「それにしても、なぜここまで治安が良いのでしょうか?」
思春「なぜかここ最近、近くの賊達が次々と姿を消しています、原因が解りません」
雪蓮「あたしの勘では、例の山賊狩り君ね」
祭「ふむ、それしかなかろうて」
純夏「・・・・・一刀か」
蓮華「え?純夏さん、何か知っているんですか?」
純夏「ええ、ちょっと」
雪蓮「純夏はね、噂の山賊狩り君と会った事があるのよ」
蓮華「本当ですか!?純夏さん!?」
純夏「会ったといっても、向こうが一方的にこちらを助けてくれただけだったし」
思春「それで、その者の腕前は?」
明命「はい、気になります」
純夏「・・・・・・・・・・」
純夏はしばらく考える
純夏「・・・・・あたしの見立てでは、この大陸の中でも1.2を争うと思うわね」
蓮華「え!?」
思春「なんだと!?」
明命「それほどのものなのですか?」
純夏「あの時、あたしはあいつと一緒に戦ったけど、その時のあいつは背中の大剣をいっさい使わずに、腰の小さい剣だけで黄巾党を蹴散らしていたから」
蓮華「うそ!?」
思春「・・・・・・・・・・」
明命「それほど強いのに、何故どこにも仕官しないのですかね?」
純夏「さあ?それはあたしにも分からないわ」
「・・・・・・・・・・」
一同が一刀について考える
しかし、考えても所詮は分からない
雪蓮「はいはい、山賊狩り君についてはこれでお終い・・・・・冥琳、今回の戦についてはどう思うの?」
冥琳「呉の治安については、さっきも言った通り大丈夫とだけ言っておこう、主要な将を全員連れて行っても問題はあるまい・・・・・百合、留守番は頼んだぞ」
百合「は、はい、お任せください」
蓮華「姉様!?小蓮も連れて行くのですか!?」
雪蓮「シャオは駄目よ、あの子はまだ小さい」
冥琳「そうだな、雪蓮と蓮華様になにかあっても小蓮様が生きていてくだされば孫呉の血が絶えることはないからな」
蓮華「分かりました」
雪蓮「よし!皆!出発は明日よ!準備をしてちょうだい!」
蓮華「はい!」
思春「はっ!」
明命「はい!」
穏「はい~♪」
祭「うむ!今から腕が鳴るわい♪」
一同が今回の戦に意気揚々となっている中で一人違う者がいた
純夏「・・・・・一刀」
純夏は、一刀のことを思い出していた
この大陸でもかなり上位にくい込む武に、長く綺麗な髪
戦場で一緒に戦っていると得られるあの安心感
彼と一緒に戦えたらどれだけいいか
百合「?・・・・・うふふふ~♪どうしたんですか~、純夏さん~♪」
純夏「え!?な、なに!?」
百合「今、噂の山賊狩りさんの名前を口走らなかったですか~?」
純夏「そ、そんなことは!?/////////」
雪蓮「え~~~~~!!?純夏って、その山賊狩り君に恋しちゃってたの!!?」
純夏「こここここここ恋って!!?ななななななな何言ってるのよ!!!/////////////」
冥琳「顔を赤くしながら言っても説得力はないぞ」
蓮華「ええ!?純夏さんが、こっこっこっ恋って!?////////」
明命「はうあ!?そ、そうなんですか!?///////」
思春「子義!!貴様このような大事な時に色恋沙汰に浸っているというのか!!?」
穏「いいじゃないですか皆さん~、女の子らしくて、ねぇ純夏さん~♪」
純夏「///////////////////」
純夏の頭からは、冗談や比喩なしで湯気が上がっていた
そして、呉の戦士達は戦の準備を進めていく
この先に待ち受ける地獄に向けて
陳留
華琳「全員集まったわね」
桂花「はい、華琳様、では会議を始めたいと思います」
華琳「桂花、例の手紙を見せなさい」
桂花「はい」
桂花は手紙を全員に見える位置で広げた
「・・・・・・・・・・」
全員がその手紙を読み終える
華琳「どうかしら、皆」
春蘭「都で暴政ですか?」
秋蘭「十常侍は・・・・・どうでもいいですな」
季衣「許せないです・・・・・」
流琉「酷い・・・・・」
凪「許せません」
沙和「こんなこと・・・・・」
真桜「相当の大悪党やな」
一同が自分の考えを言う中で秋蘭が
秋蘭「華琳様、この手紙は信用できるものなのですか?」
華琳「十中八九麗羽の逆恨みでしょうね」
桂花「はい、あの馬鹿はただ自分が目立ちたいだけで、他には何も考えていないでしょう」
秋蘭「と、いうことは、この檄文は」
桂花「ええ、洛陽でそんな暴政が敷かれているという確かな情報はないわ」
季衣「えっと~~、それじゃ董卓って人は悪くないんですか?」
流琉「わたしも、よくわかりません・・・・・」
華琳「・・・・・・・・・・」
全員が意見を出し合っているところで華琳は何かを考えていた
そんな中
???「この檄文、わたしは乗るべきだと思います、華琳様!」
華琳「・・・・・零、あなたの意見を聞かせてちょうだい」
零「はっ、華琳様」
彼女は姓は司馬、名が懿、字を仲達、真名を零(れい)
紫色の和服のようなものに身を包み、紫の帽子を被り、胸元を露出している
零「これは好機かと思います、この戦で華琳様の名を世に広めれば、この先に待っている群雄割拠の時代で華琳様は覇道をより確実に進むことが出来るでしょう」
華琳「・・・・・うふふ、わたしもそう考えていたわ、零」
零「では!」
華琳「ええ、董卓には悪いけれど乱世の世では隙を見せた方が先に食われていくものよ、我が覇道の贄となってもらいましょう・・・・・凪、沙和、真桜、陳留の治安はどれくらい良くなっているかしら?」
凪「はい、治安は良好といっていいです」
沙和「なんだか最近、次々と賊達がいなくなっているの~」
真桜「せや、どうゆうわけか知らんけど、辺りにいたはずの賊がドンドン消えていっとるわ」
桂花「華琳様、おそらくそれは・・・・・」
華琳「ええ、山賊狩りの北郷一刀の仕業でしょうね」
春蘭「しかし華琳様、たった一人でここまでの賊を討てるものなのでしょうか、いささか疑問に思います」
凪「春蘭様、わたしはかつて山陽の町から例の山賊狩りを見ましたが、その者の強さはおそらくこの大陸でも1.2を争うと思います」
春蘭「なに!?本当なんだろうなそれは!?」
秋蘭「姉者、わたしも遠くから見ていたが凪の言う通りだと思うぞ」
春蘭「うむむむ、秋蘭にまでそう言わせるか・・・・・」
凪「・・・・・・・・・・」
凪は自分達を助けてくれた山賊狩りについて考えていた
凪「(今回の戦で会えるのかな)」
凪は尊敬を通り越して憧れていた、かつて自分が見た山賊狩りの強さは今の自分の何歩も先を行ったものだった
『彼のように強くなりたい』、そう思い今まで修練を積んできたが、彼に追いつくには、まだまだ先は長そうだった
華琳「そう、その者はまだどこにも仕官していないのね」
桂花「ええ、少なくとも北郷一刀という人物がどこかに仕官したという情報はここには入ってきていません」
華琳「・・・・・・・・・・」
華琳はまた何かを考え始めた
桂花「華琳様?」
零「どうかされたのですか?」
華琳「欲しいわね、その北郷一刀という人物」
桂花「華琳様!?男を我が陣営に入れるなんて、妊娠させられてしまいます!!」
零「わたくしも・・・・・賛同いたしかねます・・・・・」
華琳「桂花、零、あなた達も分かっているでしょう、これからわたし達の進む覇道は人材が幾らあっても足りないというとが」
桂花「・・・・・はい」
零「・・・・・ええ」
華琳「分かっているならばいいわ・・・・・皆!さっそく出発の準備を始めるわよ!諸侯の前で無様な姿は見せられない、訓練不足の者達は置いていく、精鋭のみで打って出るわよ!!」
春蘭「はっ!」
秋蘭「はっ!」
桂花「はい!華琳様!」
季衣「は~~い♪」
流琉「はい!」
凪「はっ!」
沙和「わかったの!」
真桜「よっしゃ!」
零「それでは華琳様、この陳留にはわたしめが留守番を・・・・・」
華琳「いいえ、今回の戦では主要な将は全員連れて行くつもりよ」
零「な!?それではここは誰が守るというのですか!?」
華琳「さっきも言ったように、この辺りの賊は山賊狩りの北郷一刀に殆ど討たれてしまっているわ、代理で十分よ」
零「・・・・・分かりました」
そして、今回の会議は解散された
しかし、玉座の間には華琳、桂花、秋蘭が残っていた
華琳「(桂花、秋蘭)」
桂花「(はい)」
秋蘭「(はっ)」
華琳「(零の動向には気をつけなさい)」
桂花「(はい!)」
秋蘭「(はっ!)」
そんな華琳達の密会を知らず、零は廊下を歩いていた
零「(くっ!今回の戦で留守を任され、自分に有利な状況に持っていこうとしたのに、ついてなかったわね)」
零は、何とかこの戦を利用して天下への道筋を作ろうとしていたのだが、華琳の大胆とも取れる行動に妨害されてしまったのである
零「(それに北郷一刀を我が陣営に入れるなんて、冗談じゃない!)」
巷では、その者が最近噂になっている天の御遣いといわれているらしい
そんな者が来たら自分の目指しているものが大きく捻じ曲がってしまうことになる
零「(まぁいいわ、今回は運が無かったと諦めよう、しかしこの大陸を取るのは、わたし、せいぜいわたしの掌でもがくがいい)」
零は堪え切れず
零「ふふふふ・・・・・ふはははははははははははは!!」
見事な高笑いをしだした
近くを歩いていた文官武官は
文官「また司馬懿様が、笑っておられる」
武官「あの方もあれさえなければ、よき軍師になれるのにな」
と呆れられていた
零「ふはははははははぎゃふん!」
文官「あ、転んだ」
武官「いつものことだ、すぐ似立ち上がりますよ」
零「・・・・・ふん!」
スック
文官「あ、ホントだ」
どうやら零は残念な天才であるようだ
そして陳留は戦の準備をしていく
この先に待っているある種の破滅に向かって
洛陽
聖「なんなのじゃこれは・・・・・」
月「・・・・・・・・・・」
詠「な!?なによこれ!?」
嵐「ふざけている!!」
霞「いい度胸しとるであいつら!!」
菖蒲「こんなこと・・・・・」
雫「なんてことを・・・・・」
恋「・・・・・・・・・・」
音々音「言いたい放題なのです・・・・・」
一刀「・・・・・・・・・」
天水の面々は、汜水関を掠め北から南へ行こうとしていた怪しい兵士を捕まえ入手した檄文の内容を読んでいた
そこには有ること無いこと・・・・・いや、十常侍のこと以外では100%無いことだけが書かれていたのである
ここまでくるとかえって清清しいくらいである
一刀「(くっ!月が善政をしていれば連合は組まれないと思っていたが、甘かったな!)」
詠「まさか、各諸侯に喧伝する前にこんな檄文が出回るなんて・・・・・」
雫「完全にやられましたね」
霞「でも、なんで袁紹がこんな檄文作るんや?幾らなんでも時期が合い過ぎとちゃうか?」
一刀「おそらく十常侍の生き残りがいたんだろうな、そいつらが袁紹を唆したんだろう」
聖「おのれうぬらめ~~~」
聖は怒り心頭だった
それはそうだ、ようやくここまで復興した漢王朝をこんな形で妨害されてしまったのだから
詠「奴等は汜水関、虎牢関の前に集まるようね・・・・・こうなったらこの二つの関で時間稼ぎをして、やつらの兵糧を減らしていく、そのうち奴らは自国の心配でボロボロに「それはない!」・・・・・一刀?」
一刀「詠、俺が月の陣営に入る前、何をしていたか忘れたのか?」
詠「それは・・・・・あ!!」
一刀「そうだ・・・・・連合に参加する主な諸侯の国の賊は、殆ど俺が討っちまってる」
雫「つまり・・・・・」
一刀「ああ、奴らは自国の心配を一切しないでこちらを攻めることが出来るんだ」
一刀としても今回の出来事には歯噛みする以外に無かった
まさか自分のやってきたことがこんな形で裏目に出るとは思わなかったのだから
一刀「おそらくこの連合の数は俺達の予想を遥かに超える人数が集まるだろう、汜水関、虎牢関でこれだけの数を受け止めることは不可能だ」
詠「今回の戦には絶対に勝てないでしょうね、あとは・・・・・」
雫「そうですね、あとはここを捨てて、長安に逃げるくらいしかありませんね」
一刀「詠、引越しにはどれくらいかかる?」
詠「そうね、早くても一週間かしら」
一刀「兵糧はどれくらい用意できる?」
詠「汜水関で3日、虎牢関で5日ぐらいかしら」
一刀「ぎりぎりだな、分かった、汜水関には俺と嵐と雫と霞の兵2万、虎牢関には恋と菖蒲とねねの兵3万を置こう・・・・・いいか、今回の戦は勝つことが目的じゃない、時間稼ぎが目的だからな」
詠「ええ、こっちも兵の募集をしてきたから、引越しくらいは新兵でも出来るでしょう、でも、向こうでの治安維持は新兵だけでは出来ないわ、董卓新鋭防衛隊を2千人ほど借りるわよ」
一刀「それくらいならかまわない」
聖「一刀・・・・・」
一刀「ん?なんだい、聖?」
聖「朕は、ここに残るのじゃ!」
「!!??」
一同が聖の発言に驚いた
聖「朕は、ここの主なのじゃ、逃げる理由などどこにも無いのじゃ!」
一刀「・・・・・分かった」
月「一刀さん!?」
詠「一刀!?」
一刀「聖が言うようにここの主は聖だ、俺達がとやかく言うことじゃない」
「・・・・・・・・・・」
聖「ありがとう一刀・・・・・朕も今回のことには頭に来ている、一刀、無理はしないでほしいが、やつらに一泡吹かせてほしいのじゃ!!」
一刀「・・・・・分かった・・・・・皆!やつらに痛い目を見せてやろう!」
月「わかりました!!」
詠「ええ!!」
嵐「帝のお許しが出たな、暴れてやろう!!」
霞「よっしゃ、腕が鳴るでー!!」
菖蒲「わかりました一刀様!!」
雫「はい一刀様!!」
恋「恋・・・・・みんな、守る・・・・・」
音々音「恋殿がいればこんな奴ら楽勝なのです!!」
そして、それぞれが戦の準備をしていく
そんな中で一刀は
一刀「聖、ちょっといいか?」
聖「?なんなのじゃ、一刀?」
さらに夜
コンコン
詠「一刀?いいわよ、入って」
一刀「夜遅くにすまないな、詠」
そして翌朝
一刀「張済、いつも狛煉の世話をしてくれてありがとうな」
張済「いいえ、兄上にはいつもお世話になっているんです、これくらいはさせてください」
狛煉「ブルン♪」
狛煉は張済に擦り寄っていった
張済「お、おいおい!おまえの主はこっちだぞ」
一刀「ははっ、本当に仲よくなったな!」
そう、今まで一刀以外になつかなかった狛煉は、なぜか張済には懐いていたのだ
一刀「張済、すまないな一緒に連れて行ってやれなくて・・・・・」
張済「いえいえ、長安での治安維持は必須ですからね、我が侭は言いませんよ」
一刀「・・・・・すまない」
張済は月と詠の引越しを手伝いつつ、長安での治安維持の任を任されていたのである
幾ら董卓新鋭防衛隊といえど、指揮官がいなければ心許無かった為である
そして出発の時間がやってきた
月「皆さんどうかご無事で」
張済「徐栄、兄上、また後で会いましょう」
一刀「ああ!」
徐栄「おう!」
聖「・・・・・・・・・・」
詠「・・・・・・・・・・」
嵐「よし、それでは行くぞ!」
霞「よっしゃ!行くでおまえら!」
菖蒲「行きます!」
雫「行きましょう!」
恋「行く・・・・・」
音々音「行くです!」
そして一刀達は汜水関、虎牢関へ向かっていった
月「行ってしまいましたね・・・・・・」
張済「またすぐに会えますよ」
月「そうですね♪」
聖「・・・・・・・・・・」
詠「・・・・・・・・・・」
二人が話している横で聖と詠は、憂鬱そうな顔をしていた
月「聖様?詠ちゃん?どうしたの」
張済「どうかされたのですか?」
聖「な、なんでもないのじゃ!」
詠「わ、わたしもよ!・・・・・さあ、引越しの準備を始めるわよ!」
月&張済「「????」」
二人の不自然な反応に二人は頭の上に?マークを浮かべていた
反董卓連合陣地
ここには大小様々な将校が集まってきていた
しかし、少し不自然なことが起こっていた
それは何かというと、あまりに人数が多すぎるのだ
数が多い勢力から順に整理していくと
袁紹が30万、袁術が20万、曹操が8万、孫策が7万、馬騰が5万、公孫賛が5万、劉備が3万とその他もろもろの諸侯を合わせて
ざっと100万の大群が勢揃いしていたのである
何故こんなにも膨大な数になったのかというと
それは投降した元黄巾党が連合全体の半分以上を占めていたのである
そんな実に暑苦しい中で連合軍の軍議が始められた
麗羽「お~~~~っほっほっほっほっほ!お~~~~っほっほっほっほっほっほ!では皆さん自己紹介をして貰えますかしら!」
実はこの会議は最初誰が総大将をやるのか決まらず、無駄な雑談を数時間していたのだ
その途中で痺れを切らした桃香が「もう、袁紹さんでいいよ」と言い総大将は麗羽に決まったのだ
白蓮「幽州の公孫賛だ、よろしく頼む」
桃香「平原郡から来た劉備です、こちらはわたしの軍師の諸葛亮です」
朱里「よろしくお願いします」
美羽「袁術じゃ、河南を納めておる、まあ皆知っていると思うがの、ほっほっほっ!」
七乃「わたくしは、美羽様の補佐をさせていただいている張勲と申します」
???「わたしは、袁術軍大将、紀霊と申す、よしなに頼む」
この七乃と似た服を着て、頭にお団子を作った長髪の人物は紀霊、真名を彩(さや)という、こう見えても袁術軍の中では一番の実力を誇り、かの孫堅も認めた猛将である
雪蓮「呉の孫策だ、宜しく頼む」
冥琳「私は、孫策の軍師をしている周瑜という、宜しくお願いする」
???「俺は涼州の馬騰だ、宜しく」
挨拶をしたのは、姓が馬、名が騰、字を寿成、真名を葵という
隣にいる娘の馬超と同様にポニーテールをしており、背が高くかなりのスタイルを持っている
???「あたしは、馬騰の娘の馬超だ」
麗羽「あら?葵さん?あなた確か病気じゃありませんでしたか?」
そう、馬寿成はついこの間まで重い病気にかかっており満足に歩けないはずだった
葵「それがな、華佗という医者が涼州を訪ねてきて、そいつに見て貰ったら一瞬でこんなに元気になったんだよ♪」
翠「あたしも病み上がりなんだから無理しないほうがいいって言ってたんだけど、聞かなくて」
葵「何言ってるんだ翠♪なんか前よりも調子がいいから動かなきゃ損だろう♪」
翠「・・・・・はぁ」
元気になったのはいいが、元気になりすぎているような気がしている翠であった
そして自己紹介は進んでいく
華琳「典軍校尉の曹操よ、こちらは我が軍の夏侯惇、夏侯淵よ」
そして各諸侯が次々と自己紹介していった、最後に残ったのが
麗羽「では、最後にこのわ・た・く・し・が・・・・・」
華琳「ああ、それは皆知っているからいいのではなくて(馬鹿な意味で)」
白蓮「うんうん、皆知っているからな(馬鹿な意味で)」
美羽「うむうむ、みんな知っているのじゃ(馬鹿な意味で)」
七乃「なんせ有名ですからね~(馬鹿な意味で)」
葵「ほんと、有名だからな(馬鹿な意味で)」
白蓮「そんな有名人がいちいち自己紹介することなんて無いって(馬鹿な意味で)」
麗羽「むう、まあそこまで有名人なら仕方ありませんわね・・・・・この大陸においてこの袁本初の名が知れ渡っているとなると、自分が怖くてしょうがありませんわ、お~~~~っほっほっほっほっほっほ!」
斗詩「・・・・・文ちゃん、わたし恥ずかしくて死にそうだよぉ~~///////」
猪々子「まぁいいじゃん♪姫らしくてさ♪」
斗詩「そういう問題じゃないよぉ~~~////////」
斗詩はかなりの苦労人である
麗羽「それではさっそく軍議を「その前に!!」・・・・・?」
その言葉を遮ったのは華琳だった
華琳「その前に、各諸侯に尋ねたい・・・・・この中に山賊狩りの北郷一刀が仕官している者はいるかしら?」
シィ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ン
各諸侯は何も答えない
麗羽「北郷?誰ですのその田舎者は?」
斗詩「麗羽様、報告にあったでしょう、噂の山賊狩りの」
猪々子「ああ~~、確かうちの領地の黒山賊共もそいつ一人に散々に蹴散らされたんだっけな」
麗羽「そんなことは忘れましたわ!・・・・・で?その北郷がどうしたんですの?」
華琳「いいえ、居ないのならもういいわ」
葵「そういえば、俺の病気を治してくれた華佗が北郷一刀のことについて嬉しそうに語っていたな」
華琳「なんですって!?」
桃香「本当ですか!?」
雪蓮「!?」
葵「ああ、なんでも華陀と北郷一刀は親友同士で、なんと北郷は華佗の医術を使えるらしいからな」
「!!!???」
雪蓮と冥琳以外の一同がかなり驚いた顔をした
この大陸でもかなり上位に食い込むほどの武を持ちながら、神医と謳われている華陀の医療を使える
それぞれが北郷一刀の姿を想像している中で
雪蓮「それなら、あたしも知っているわ」
葵「?・・・・・どういうことだい?」
冥琳「実は、先刻の黄巾党の乱で我が国の将がその北郷一刀の助力を得て黄巾党を撃退したんです」
雪蓮「その戦闘の後に、怪我をしたこちらの将兵を次々と治してくれたって聞いたわ」
葵「ならこの情報は本当のようだね、華陀が使っていた医療もかなり変わっていたからな」
「・・・・・・・・・・」
一同は、もう一度一刀について考える
そんな者が味方になってくれたらどれほど心強いか
そして、ようやく始まる軍議
しかしその軍議から導き出された作戦はあまりにも酷いものだった
それは
麗羽「雄雄しく、勇ましく、華麗に進軍ですわ~~~~~♪」
「・・・・・・・・・・」
もはや笑えもしない
そして軍議は解散となり先方は、総大将に麗羽を押した桃香に決まった
桃香「う~~~~ん・・・・・」
愛紗「桃香様?どうかなさいましたか?」
星「一刀殿のことですかな?」
桃香「・・・・・うん、せっかく会えると思っていたのに残念だなぁって」
星「まぁ、そう簡単にはいきますまい」
鈴々「にゃ?やっぱりあのお兄ちゃんどこにも仕官していなかったのか?」
朱里「はい、やはり一筋縄ではいかないようです」
雛里「今もどこかで、山賊達を狩っているのでしょうか?」
愛紗「・・・・・・・・・・」
皆が話している中で一番残念そうにしている愛紗がいた
愛紗「(わたしは、どうしてしまったんだろう)」
その者のことを考えると、不思議と胸の奥が暖かくなる
しかし、いまだにその原因が分からないのだ
星「ん?・・・・・ほう♪」
愛紗「な、なんだ、星?」
星「いや、愛紗は一刀殿に相当会いたいと思っているらしいな♪」
愛紗「なななななな何を言っているんだ!?//////////」
鈴々「顔を赤くしながら言っても説得力がないのだ♪」
桃香「え~~~~~!?愛紗ちゃんそんなに北郷さんに会いたかったの~~~~!?」
愛紗「そ、そんなことは!!//////////」
朱里「はわわ//////////」
雛里「あわわ//////////」
と、そんな会話をしている劉備軍の面々だった
雪蓮「・・・・・北郷一刀は居なかったか」
冥琳「うむ・・・・・」
穏「ちょっと残念ですね~」
明命「噂の山賊狩りさんに会いたかったです」
純夏「一刀・・・・・」
思春「・・・・・・・・・・」
蓮華「皆、そんなにその山賊狩りに会いたいの?」
明命「はい、かなり興味があります」
思春「正直に申しますと、わたしも・・・・・」
祭「それはそうであろう、武人としてこれほど興味のある対象は少なかろうに」
呉の将達が一刀について語っていると雪蓮が
雪蓮「あっち側に居たら面白いことになるかもね♪」
冥琳「雪蓮!不吉なことを言うのは止めてくれ!」
雪蓮「え~~~なんでよ?」
冥琳「あなたの勘は良く当たるからよ!めったなことは言わないで!」
純夏「それいいかもしれない♪一度一刀とは本気で戦ってみたかったし♪」
冥琳「ちょっと!?純夏!?」
雪蓮「じゃあもし居たら、あたしが先に貰うわね♪」
純夏「そうはいかn・・・・・」
雪蓮の言葉に反論しようとした純夏だったが、何かを考え始める
穏「?・・・・・どうしたんですか?純夏さん~?」
純夏「・・・・・いや、もし居たら、ここに居る将全員でかかったほうがいいかもしれないわね」
蓮華「な、なんですって!?」
思春「本気なのか子義!?」
明命「はうあ!?ぜ、全員でですか!?」
祭「お主にそこまで言わせるとは・・・・・」
純夏「それくらいあいつは強いということよ、あいつだったら天下無双と言われている呂布すら一騎打ちで倒せるかもしれないわね」
「・・・・・・・・・・」
一同が純夏の言葉を真剣に聞いていた
雪蓮「いいわ、もし居たら全員でかかりましょう」
蓮華「お姉様!?本気ですか!?」
雪蓮「噂の山賊狩り君の情報を持っているのは、うちの陣営では純夏しか居ないわ、ならば純夏の意見を聞いたほうが得策よ」
冥琳「いつもの勘か?」
雪蓮「そっ♪」
そんな会話を呉の陣営はしていた
華琳「・・・・・北郷一刀はいなかったか」
秋蘭「華琳様、そんなにその山賊狩りのことが気になるのですか?」
華琳「・・・・・自分としても不思議よ、男のことをこれほど考えるなんてね」
春蘭「華琳様!華琳様には、私と秋蘭がいるではありませんか!」
華琳「うふふ♪嫉妬してくれているの?嬉しいわよ春蘭♪」
春蘭「華琳様♪」
華琳は春蘭の頬を撫でる
桂花「華琳様~」
華琳「はいはい、あなたも可愛がってあげるからね、桂花♪」
桂花「ああ~♪華琳様~♪」
そんな桃色な雰囲気の外では
凪「・・・・・・・・・・」
沙和「凪ちゃん、どうしたの~?」
真桜「沙和さん、凪はな、噂の山賊狩りさんに会えなくてめっちゃ残念がっとるんや♪」
凪「な!何を言っているんだ真桜!?/////////」
沙和「あ~~~~、凪ちゃん赤くなって可愛いの~~♪」
真桜「せやな、こんな凪見るの初めてやわ♪」
凪「//////////////」
そのさらに外では
零「・・・・・・・・・・」
零は、華琳を含めた魏の将達にこれほど影響を与えている山賊狩りの北郷一刀を恐れていた
しかし
零「北郷一刀・・・・・か・・・・・」
それと同時に興味も出てきたのだった
周りにこれほど影響を与えられる人物をもし自分の手駒として扱えたら
零「・・・・・ふふふふ♪面白くなってきそうね♪」
そして、開戦への時間は刻々と迫ってくる
汜水関
霞「うっひゃ~~~~~、壮観な眺めやな~~~~~」
嵐「ふん!相手にとって不足は無い!」
雫「これほどの数を相手にするんですね」
汜水関から霞達は目の前に広がる100万を超えるかもしれない軍勢を見下ろしていた
ちなみに徐栄は関の後ろで戦の準備をしている
霞「そういえば、一刀はどこ行ったんや?」
嵐「・・・・・ふむ、見かけないな」
雫「あ、あそこに・・・・・・」
城壁の自分達とは少し離れたところに、一刀は目の前に展開する敵軍を正面に見据えていた
しかし、少し様子がおかしい
一刀「・・・・・・・・・・」
ゴソゴソ
一刀は懐から一枚の細い布を取り出し
シュルシュル、グッ!
その布で今では太ももまで伸びた髪を後ろで縛った(ポニーテール)
シュキン、スラ~~~~~ン
忠久と金剛刀を抜き目の前に掲げた
そして
一刀「・・・・・・・・・て・・・・・・・る、・・・・・・・・・う(ボソボソ)」
掲げた忠久と金剛刀の峰に頭をつけてなにやらボソボソと呟く
そして忠久と金剛刀を鞘に納め、目の前の軍勢に向き直った
霞「なにやっとったんや、一刀?」
嵐「何をぶつぶつ言っていたんだ?」
雫「ちょっと気になりますね」
一刀の行動が不思議に思い三人が近づいてきた
一刀「おまじないみたいなものだよ」
そう言う一刀
霞「そうか・・・・・それにしても・・・・・」
一刀「ん?どうしたんだ?」
霞「その髪型、似合っとるで♪」
嵐「わたしも伸ばしてみようかな」
雫「かっこいいですよ、一刀様」
一刀「・・・・・ありがと」
そんな会話をしていると
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!
突然目の前に関の旗を掲げた一段が迫ってきた
一刀「!?」
一刀は嫌な予感がした
そして案の定
愛紗「汜水関を守る将、華雄よ!貴様はそのように高い壁の上で縮こまっている臆病者か!?自分の武に自信があるのなら、出てきてこの関羽と戦うがいい!?」
一刀「(しまった!!)」
一刀は歴史を思い出していた
たしか、汜水関の戦いで華雄は敵の挑発に乗り打って出て、関羽に一瞬で切られたのだ
一刀「っ!」
一刀が嵐を止めようと嵐のほうを向いた
そこには
嵐「・・・・・・・・・・」
一刀「・・・・・(あれ?)」
挑発されているのに全く動かない嵐の姿があった
愛紗「どうした華雄!やはり貴様は臆病者だな!自分の武に自信が無いだけに、そのような石の壁に閉じこもっているのだからな!!」
嵐「・・・・・・・・・・」
一刀「・・・・・(ん?)」
それでも動かない嵐
そこに後方から孫の旗を掲げた一団がやってきた
そして
雪蓮「負け犬華雄よ!以前はわたしの母、孫堅に敗れてかなり落ちぶれたが、今では前以上に落ちぶれようだな!それもしょうがないか!我が母、孫堅の武とおまえの武では天と地の差があったからな!!」
一刀「っ!?(拙い!!)」
一刀は記憶を捻り出した
確か華雄は孫呉の王孫堅に完膚なきまでに負けたことがあったと
一刀「っ!」
一刀はまた嵐を止めようとした
嵐「・・・・・ふんっ」
一刀「・・・・・(ありゃ?)」
それでも嵐は動かない
雪蓮「どうした華雄!それでは以前の方がましだったぞ!やはり貴様は負け犬華雄だな!皆!関にこもるしか能の無い負け犬華雄を笑ってやろう!!」
「はははははははははははははははははははははは!!!」
一刀「くっ!!」
もはや限界だろうと思い一刀が嵐のほうに振り向く
そこには
嵐「ふわぁ~~~~・・・・・」
一刀「・・・・・(なんで?)」
大あくびをしている嵐の姿があった
霞「どした?てっきり怒り狂って飛び出してくかと思ったのに♪」
雫「嵐さん、どうしたんですか?」
嵐「ふん・・・・・霞、雫よ、確かに以前のわたしなら奴らの挑発に乗っていただろう・・・・・しかし、今は違う、一刀に真名を渡されたわたしは、もう以前のわたしではない!!」
嵐は胸を張ってそう言った
霞「・・・・・なんや以前と比べたら雲泥の差やな、ウチも負けてられへんわ」
雫「嵐さんの成長ぶりには感無量です」
一刀「・・・・・・・・・・」
一刀は内心感激していた
これほどの挑発を受けながら打って出ない
しかもそれが自分が真名を与えてくれたからという嵐の言葉に
一刀「・・・・・それじゃ、相手の挑発に乗らなかった嵐にめんじて、派手に奴らを出迎えてやりますか・・・・・徐栄!戦闘配備だ!」
徐栄「は、はっ!隊長!」
董卓新鋭防衛隊は次々と盾を構える
霞「?・・・・・どないすんのや、一刀?」
嵐「一刀?」
雫「一刀様?」
一刀「こうするんだよ♪」
シュキン!
一刀は忠久を抜き、氣を込め始めた
そして
一刀「いらっしゃいませーーーーーーーーーーーーー!!!!♪♪♪♪」
ズバーーーーーーーーーーーーーン!!!ドバーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!
目の前の軍勢目掛けて氣の斬撃を放った
こうして、汜水関の戦いは幕を開けた
どうもseigouです
前のお話で聖の容姿について触れなかったので、ここで触れようと思います
聖はアトリエちゅうとはんぱさんの京香に似たものと思ってください
完全に同じだとアトリエちゅうとはんぱさんから苦情が来そうですから
ほかの人からキャラを借りまくっていますが、大丈夫なんでしょうかね?
さていよいよ始まりました、汜水関の戦い
この戦いの勝敗はまずは皆さんで想像してみてください
次回もお楽しみに
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