神は言っている。 ここで死ぬ運命ではないと。
一刀 「スーパー北郷タイム、始まるよ♪」
華佗 「ふむ、人格障害だな」
雪蓮 「人格……」
冥琳 「……障害?」
一刀 「華佗先生、それは一体どのようなものなのでしょうか?」
僕の名前は北郷一刀。
原因は思い出せないが突如意識を失った僕が次に目覚るとそこは自室のベットだった。
周りを呉のみんなに囲まれ、傍らには見慣れない男性が立ってる。
なんでも彼はたまたま街にいた凄腕の名医だとか。 名を華佗と名乗っている。
華佗 「あぁ、生死の狭間にある魂を結構強引にこの世に引き戻したからな。 その衝撃で元々の性質から変化したのだろう」
雪蓮 「それってつまりどういう事よ?」
華佗 「性格が変わってしまったという事だ。 俺は前の性格を知らんがお前達なら違和感に気付くだろう?」
雪蓮 「そんな、性格が変わるなんてこと……ねぇ一刀、貴方いつも通りよね?」
一刀 「御心配には及びませんよ雪蓮様。 僕はいつもの「北郷一刀」です」
雪蓮 「…………」
なぜか雪蓮様が固まった。
祭 「……おい北郷、手を貸せ」
一刀 「……はい、どうぞ」
雪蓮様を押しのけ、変わりに突き出された祭さんの手。
疑問に思いながらも僕はそれに手を預けた。
祭 「……そら」(グイッ)
ムニュ
冥琳 「なっ!」
一刀 「!?」
祭 「どうじゃ、お主の好きな冥琳の胸じゃぞ? 興奮するか?」
冥琳 「祭殿、なにを___」
一刀 「なにするんですか祭様!」
祭 「む?」
冥琳 「……はい?」
一刀 「不可抗力とはいえ、男性が断りもなく女性の胸に触っていいはずがないでしょう! ……冥琳様、不快な思いをさせて申し訳ありません。 こうなってはどのような処罰もお受け致しますので……」
冥琳 「へ? いや別にそこまではせんが…………北郷?」
なにか不可解な事でもあるのか、顔をしかめた冥琳様が難しそうな顔をする
一刀 「ああ、またその様に眉間に皺ばかり寄せて……貴女様のようなやさしい方にはもっと笑顔になって頂きたい。 さ、どうか笑って下さい」
冥琳 「は? あ、ああ……こう、か? (ニ、ッコリ)」
一刀 「ええ、やっぱりとっても似合います。 可愛いですよ♪ (ニッコリ)」
冥琳 「~~~~~!! ///// そ、そうか?」
彼女の顔が少し紅くなった。
慣れぬ事に照れてらっしゃるんだろう、本当に可愛いお方だ。
雪蓮 「……信じられない、あの一刀が冥琳をオトしてる…………」
祭 「気持ち悪いのう……二人とも」
ガチャ
蓮華 「お姉様、北郷の様子はどうですか?」
雪蓮 「ああ蓮華、それがねぇ……」
扉が開き蓮華様が顔を覗かせた。
一刀 「これは蓮華様。 先程は突然意識を失ってしまったみたいで……大変ご迷惑をかけ申し訳ありません」
蓮華 「ああ、それは構わないが……体調は大丈夫なのか? 北郷」
一刀 「はい、おかげさまで。 それより僕の事は一刀と呼んでくださいと申したはずですよ?」
気遣いをさせない為、僕は笑顔でおどけてみる。
蓮華 「え? ああそ、そうだったな。 か、…… 一刀」
一刀 「はい。 蓮華様」
照れてる姿が可愛らしく、僕は思わず笑って返した。
蓮華 「~~~~~~~っ////////」
するとなぜか黙り込み、顔を紅くする蓮華様。
一刀 「どうかなさいましたか? どこか具合でも悪いのでしょうか?」
蓮華 「い、いいいや、何でもない。 それより一刀、先ほどと雰囲気が変わった様だが?」
一刀 「? そうですか? 僕はいつもどうりですが」
蓮華 「そうか? ならいいのだが……」
出逢ってまだ間もない僕に蓮華様は優しく気を遣ってくれる。
挨拶の時は厳しく怖そうなイメージだったけど案外すぐに打ち解けられるかもしれないと僕は思った。
雪蓮 「…………きも、なんだか一刀が天下無双にきもい」
祭 「同感ですな」
部屋の中央で楽しそうに語らう蓮華と一刀。
それを片隅で雪蓮と祭は見つめていてた。 二人の瞳には嫌悪感が宿っている。
雪蓮 「華佗! 一刀を今すぐ元に戻す方法はないの? あんた最高の医者なんでしょ」
ガバ
華佗 「うわっ、コラ突然襟首を掴むな! 俺が最高の医者かどうかわからんが……元の人格に戻したいたいというなら方法がないこともないぞ」
雪蓮 「本当!!」
華佗 「ああ、この鍼でもう一度蘇生させたツボを打つ。 おそらくはそれで完全な形で復活するはずだ」
雪蓮 「よし、なら早速やって頂戴。 一刀!!」
一刀 「? はい。 なんでしょうか雪蓮様?」
雪蓮 「お遊びの時間はこれまでよ!! さぁ、こっちに来て完全体に戻りましょう!!」
雪蓮が一刀を寝台へ手招く。
一刀 「はぁ……よくわかりませんが言うとおりにすればいいんですね」
一刀が寝台の雪蓮達の元へ行こうと一歩踏み出した。 がその時
バッ
冥琳 「待て北郷」
一刀 「!?」
雪蓮 「なっ?」
冥琳の腕が一刀の進路を塞いだ。
冥琳 「悪いが雪蓮、せっかくだから私はこの赤い一刀を選ぶわ」
雪蓮 「ちょ、冥琳邪魔する気!? ってゆうか赤い一刀って何よ?」
冥琳 「赤ん坊の様に穢れてないという意味さ。 思春!!」
甘寧 「はっ」
スッ
華佗 「ん?」
ガバッ
華佗 「!!??」
甘寧 「貴様には恨みはないがこれも孫呉の未来と蓮華様の為。 少し遠出に付き合ってもらうぞ」
ヒュッ
雪蓮 「!? しまった、華蛇がっ……祭っ、追って!!」
祭 「御意」
ダッ
冥琳の呼び声と共にどこからともなく表れた暗殺者の様な女、思春。
彼女は音もなく華佗の背後にまわると瞬時に彼の動きを縄で封じ、それを抱え窓から飛び出していってしまった。
虚をつかれたとはいえ、そばにいた雪蓮と祭が一騎当千の武将が反応できない程実に鮮やかな手順である。
冥琳 「思春に事情を話し協力してもらった。 華佗という男にはしばらく遠い西の地で人助けをしてもらおうと思ってな」
雪蓮 「……冥琳、あなた一刀を見捨てる気なの?」
冥琳 「見捨てるも何も彼は生きているでしょう。 それにこれは孫呉の為を思えばこそよ。 納得いかないなら覚悟はできてるわよ」
雪蓮 「そう、それは結構だけど……まだ今なら冗談で済ませるわよ?」
冥琳 「ほう……それは冗談か? 雪蓮」
雪蓮 「…………」
冥琳 「…………」
徐々に対峙する二人の空気が重くなる。
蓮華 「雪蓮お姉様、一体何が起こっているのですか? 思春はなにを?」
一刀 「冥琳様。 何か問題でもおきたのですか?」
事態に取り残された一刀と蓮華が状境の把握と場を治める為に二人に声をかける。
が、返事は返ってこなかった。
雪蓮 「…………」
冥琳 「…………」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
蓮華 「!! ちょ、ちょっと二人とも、何一触即発の緊張感を出してるんですか? 何があったか知りませんがとにかく一度落ち着いて……」
雪蓮 「一刀!!」
一刀 「!? は、はい!!」
雪蓮 「すぐ戻るから……待ってなさい!!」
バッ
一刀 「…………?」
言葉を残し思春、祭と同様に雪蓮が窓から姿を消す。
冥琳 「あっ、待ちなさい雪蓮!!」
バッ
更にその後を追って冥琳が姿を消した。
蓮華 「…………」
一刀 「…………」
結果、部屋には完全に取り残された二人だけとなってしまった。
蓮華 「……一体みんなどうしてしまったのかしら?」
一刀 「わかりません。 つい先ほどまであんなに仲がよかったのに……」
蓮華 「だが……フフ、なんだか前よりお姉様達イキイキしている。 お前のおかげかしら?」
一刀 「? 僕の……ですか?」
蓮華 「ああ、奔放に振舞っている様に見えてお姉様も今の孫家の現状に焦れていてからな。 なんだか心に余裕が出来たように見える」
一刀 「そうですか。 ならよかったんじゃないですか? 僕のおかげとは言えませんが気持ちに余裕があるという事はそれだけ何かにトコトン打ち込めるという事ですから」
蓮華 「!?」
一刀が笑顔で答えた。
その笑顔に蓮華は一瞬放心してしまう。
一刀 「? どうかしたんですか蓮華様。 やはりどこか具合ぐあいでも……」
蓮華 「(ハッ) いやそんな事はないわ!! ……ないぞ」
手を大げさに振り必死に否定する蓮華。
そんな仕草が気取っていても年頃の女の子なんだなと一刀に思わせる。
一刀 「ハハ、よかった。 ……ならお茶を入れて来ますね、せっかくだからゆっくりしていって下さい」
蓮華 「う、うむ。 ……そうするわ」
返事を聞いて一刀は部屋を出て行き、しばらくしてお茶を手に戻って来た。
それを手に二人は穏やかな時を過ごす。
蓮華 「(ズズ……) ……ところで北郷。 ……ア、アレの事はわ、忘れてくれるか」
一刀 「アレ? アレとはなんでしょう?」
蓮華 「わ、わたしの………こと……だ」
蓮華が目を逸らし言い難そうに言う。
一刀 「え? すいません、よく聞こえなかったのですが……」
蓮華 「だから、私の……を、見たことだ」
一刀 「私の……何ですか?」
蓮華 「わ、私のお尻を見たことだ!!」
一刀 「!!!!!!!!」
……その言葉を聞いた瞬間、北郷一刀。 彼の股間が疼いた。
……
所変わって孫家屋敷の中庭。
祭 「はっ!!」
ヒュッ
甘寧 「なんの!!」
スカッ
雪蓮 「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ガキンッ
冥琳 「くっ!?」
穏 「いやあぁぁぁ~!!」
ブンッ
雪蓮 「ぬるい!!」
ガチン
穏 「ひゃああああ~~」
周秦 「み、みなさんやめて下さい! 一体何事ですか!?」
呂蒙 「あ、あうぅぅぅぅ……」
ここでは華佗を巡り壮絶な攻防戦がくり広げられていた。
絶えず的確に迫り来る祭の矢を巧みにかわす甘寧こと思春。
雪蓮の猛攻にかろうじで耐え時間を稼ぐ冥琳。 と、冥琳に丸め込まれ助勢している穏。
そして何が起きているのかわからず見守る事しかできない周りの者達。
祭 「そらっ、そら!!」
ヒュン ヒュン
思春 「むっ」
祭 「疲れてきたようじゃの思春。 観念せい、こちらも華蛇に矢が当たらぬよう気をつけて放っていたがそろそろお主だけを射抜けそうじゃぞ!!」
思春 「くぅ……」
屋敷を出ようにも祭の矢に邪魔され中庭を逃げ回ってきた思春。 しかし人一人抱え動き回るという状態で体力を消耗し、動きが鈍くなってきていた。
雪蓮 「二人共あれを見ろ! もう茶番は終わりだ!! さっさと諦めて大人しくしろ!!」
穏 「ふえ~~、もうやめましょうよ冥琳様~~。 大体武将でもある雪蓮様に軍師の私たちが太刀打ちなんてできませんよ~~」
冥琳 「くっ、…………ここまでか……」
そういうと冥琳は脱力し、降参の意を示した。
雪蓮 「♪ ……まぁ貴女の気持ちもわかるけど、私の気持ちもわかってくれるわよね。 冥琳」
冥琳 「ああ、わかったわ。 ……思春!! もういい、私たちの負けだ!! 華蛇をここに」
中庭をあちらこちらへと移動する思春へ叫ぶ。
思春 「っ!? ……はい……」
スタッ
すると返事をした瞬時に華蛇を抱えた思春が雪蓮の前にやって来た。
思春 「降参です。 雪蓮様」
雪蓮 「よし、じゃあ早く一刀を元のイイ男に戻してあげましょ♪」
冥琳 「フッ (ニヤリ)」
華佗 「…………」
雪蓮 「……って華佗意識トんでるじゃない!! 思春、あなた何をしたの?」
思春 「い、いや、私は冥琳様に渡された薬を飲ませただけですが……」
祭 「それは「だけ」じゃ済まされんじゃろ」
雪蓮 「冥琳! 一体華佗に何飲ませたの!?」
冥琳 「フフ……何、私が毎晩飲んでる睡眠薬さ。 不眠症の私がぐっすり眠れるくらいのな」
雪蓮 「な、なんですって!! 不感症な冥琳もばっちり感じちゃうくらいの媚薬ですって!?」
冥琳 「だれがマグロ女だ!!」
バシッ
雪蓮 「いたっ」
冥琳 「まったく……雪蓮、お前最近馬鹿が移ったんじゃないか?」
雪蓮 「一刀がいないから寂しいのよ! 早く私の一刀を返しなさい!!」
冥琳 「そうは言っても……華佗はしばらく起きないわぞ? 残念だな」
雪蓮 「うっ、コラ華蛇! ちょっと起きなさい!!」
パシッ ペシ
雪蓮がスヤスヤと眠る華佗の頬をたたく。
華佗 「Zzzzzz…」
雪蓮 「!! いい度胸じゃない!」
バシッ ゴスッ ドグシャ
雪蓮が彼を足蹴にする。
祭 「ちょ、ちょっと待たれい策殿、華佗が死んでしまうぞ!?」
雪蓮 「だ、だってコイツ全然起きないんだもん」
華佗 「Zzzzzzz…」
冥琳 「ハハハハ、私の勝ちだな、雪蓮」
雪蓮 「くぅ~~~~……」
冥琳 「(さて、華蛇が目覚めるまでに何か対策を……)」
蓮華 「きゃ~~~~~~~~~~~~っ!!!!」
「「「「「!!!!!!!!!」」」」」
その時だった。
屋内の方から女性の悲鳴が響き渡りる。
やがて凄まじい勢いでやって来るソレはその場にいる起きている者全員の注意を集めた。
……ドドドドドドドドドドドドドドッ
思春 「蓮華様!?」
祭 「権殿じゃと!? 何事じゃ!」
穏 「何かから逃げてる様ですね~~~~」
蓮華 「いやあぁぁぁーーーーーーーーーっ!!」
徐々にその輪郭が見えてくると、それは必死な形相の蓮華だった。
誰かに追いかけられているのか、その後ろからもう一人の影が彼女と同じかそれ以上の勢いで走ってくる。
ドドドドドドドドドドッ
雪蓮 「!! あ、あれは!?」
冥琳 「まさか……」
一刀 「まぁぁぁぁぁてぇぇぇぇぇっぇ~~~!!」
雪蓮 「一刀!! この感じ、元の一刀に戻って……」
一刀 「うひょひょひょひょ~~~♪ 尻神様じゃ~~、尻神様のご光臨じゃ~~~~♪」
蓮華 「くるなーーーーー~っ!!」
ドドドドドドドドドドドッ
雪蓮 「……かず……と?」
祭 「気のせいか……前よりひどくなっとるのぉ」
冥琳 「……終わった。 私の日常が……」
一刀 「ぐひゃひゃひゃひゃ、その尻寄越せ~~~~~~~~~♪ 触らせろ~~~、なでさせろ~~、 ケツ~~~~♪」
蓮華 「きゃーーーーっ、こないで、誰か助けてーーーーーー~~~!?」
ドドドドドドドドドドッ
「「「「「「「…………………」」」」」」」
一刀 「がははははははっ!!」
蓮華 「いや~~~~~~!!」
ドドドドドドドドドドッ
「「「「「「…………………」」」」」」
いつもの毅然とした雰囲気はなく、乙女の様に恥じらい喚きながら逃げる蓮華。
いつもの変態ぶりがかわいいいものに見える変態ぶりを晒す一刀。
中庭を縦横無尽に追いかけっこする二人を見ている誰もが口をポカンとあけたまま言葉を失うばかりであった。
…………一人の怒れる忠臣を覗いては
一刀 「尻~~~、ケツ~~~~あひゃひゃひゃひゃひゃ♪」
スッ
思春 「そこまでだ」
一刀 「へ?」
爆走中の一刀に背後に突然掛かる声、そして表れる気配。
彼が振り返ると愛刀「鈴音」を振り上げ飛び掛る思春の姿があった。
陽の光が刀に反射し、鋭利な輝きを放つ。
思春 「蓮華様を貶めるクズが……問答無用で死ね」
ザシュ
一刀 「ぐはっ!!」
ドサッ
ゴロゴロッ
バタンッ
一刀 「…………」
……
「「「「「「………………」」」」」」
決着は一瞬で着いた。
背後を鋭く斬られた一刀は一気に体の力を失い、足から崩れそのまま前に転がり倒れた。
……倒れた彼に生気は感じられない。
雪蓮 「……まぁ、これは……仕方ないわ。 うん、一刀やりすぎ」
祭 「まさか一日二回もあの世に行く男がおるとは……馬鹿無双じゃのう」
冥琳 「しかし、明日には平然と挨拶をしてきそうなのは……私だけかしら……」
事の結末を向かえ、ようやく口を開く事が出来た3人が感想を述べる。
思春 「ご無事ですか蓮華様。 一体何が?」
蓮華 「ハァハァ……それが、お尻の話を、したら……急に一刀が何かに憑かれた様におかしくなり始めて……」
思春 「ご安心ください、それがあ奴の本性です。 しかしもう大丈夫、息の根はきちんと止めましたから」
蓮華 「え、えええ一刀が!? それに息の根を止めたって…………も、もぅ!! 一体何なのよーーーーーーーーーーーーーーー~~~~~~~~~~~~~~~~……!!!!!!」
………
……
…
一刀 「――――――」
アイルビーバ~~~ック by一刀
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私は馬鹿です。