No.186410

新・外史伝『希望』編 第九話『御使いからの使者』

皆さまこんばんは!
久しぶりの投稿です。
本編を更新させていただきます。
今回からオリキャラが出てきます。
正体は…まだ、秘密ということで…

続きを表示

2010-11-24 22:31:49 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:3076   閲覧ユーザー数:2536

第9話

 

 

 

どこかの建物の中のとある部屋

 

ある男と白い服を着た2人の男たちと共にいた

 

「歴史が繰り上がっている!?」

 

「御意。

 

魏の曹一族の出世が正史よりも10年早く訪れました」

 

「呉でも、孫家が袁術の力をかり、その勢力を拡大しつつある。

 

これも、少し正史より早い」

 

「ん~。

 

なるほど、正史の流れを超えているか?」

 

「外史ではよくあることですが…。

 

これではこちらの準備が間に合いませんね」

 

「左慈、兵の鍛錬具合はどうだ?」

 

「兵の鍛錬は進んでいるが。

 

まだ使い物にならん」

 

「後一月ほどあればなぁ。

 

于吉、お前の傀儡兵は?」

 

「無理ですね。

 

以前、呂厳殿からお聞きした『始まりの外史』とやらの私ならいざ知らず、私は見習い術者に過ぎません。

 

そんな私の傀儡では、細かい工作はできません。

 

あれは、人の形をした単一の命令しか実行できない人形。

 

あの少女たちを助けつつ、あの計画を実行することは無理ですね。」

 

「そうだなぁ~。

 

とりあえず、予定変更ってことでOK?」

 

「「御意!」」

 

一刀は懐から手紙を取り出して、于吉に渡した。

 

「後、于吉。」

 

「はい」

 

「一つ頼まれてくれ。

 

この手紙とアレを桃香…劉備に届けてくれ。」

 

「御意。」

 

「それから、左慈」

 

「おう!」

 

「星に使いを頼む。すぐに会いたいと伝えてくれないかな?

 

それから、洛陽へ侵入も頼む。

 

どうなっているかを探ってくれ。」

 

「任せろ」「御意」

 

 

シュン………

 

 

二人は闇へと消えて行った

 

 

 

「さて…俺も表の仕事に戻りますか。」

 

 

コツコツコツコツ

 

一刀は一人屋敷の中を歩いていく

 

乾いた音が響いている

 

「北郷殿…」

 

誰かが声をかけてきた

 

「蝦蟇仙人か?」

 

「その名で呼ばないでくだされ~」

 

葛玄は泣きながら一刀の胸ぐらを掴む

 

どうやらその名で呼ばれることが相当嫌なようだ。

 

「す、すまない。葛玄」

 

「ぐすん。まぁ、良いでしょう」

 

「スマンスマン。

 

正史の貴方の異名が頭から離れないでね」

 

葛玄は正史にて蝦蟇仙人と呼ばれる人なのである

 

「私はあんなにエロエロ仙人ではありませんぞ。

 

まぁ…良いか。

 

それより、北郷殿。

 

頼まれていたモンじゃが用意できました。」

 

「本当か!?」

 

「うむ。

 

とりあえず、一万ほど用意いたした。

 

師匠たちにも同数を用意しておきました。」

 

「ありがとう。葛玄」

 

「これぐらいのこと礼は要りませぬよ。

 

わしは師匠達のような力は無ぅございます。

 

となれば、弟子が師匠のためにできることをするのは当然のこと。

 

アレは外に用意しておるから、自分の目で見てくるが良いかと。」

 

「あぁ。分かった。」

 

「では、これにて失礼を。

 

北郷殿、御武運を!!」

 

シュン!!

 

葛玄はその姿を消した

 

 

「さて…と」

 

 

 

 

一刀は扉に向かって歩いていき

 

ガチャ!

 

扉を開けて外へでた。

 

 

ズラァア!!!!!!!!!!!!!

 

 

そこには、白装束を着た一万にも上る軍団がいた。

 

ザッ!!

 

それらが一斉に片膝を付き、頭を垂れた。

 

 

「さて…、そろそろ俺自身も動くとするか…。」

 

 

一刀はニヤリと笑ってそう呟いた

 

 

 

桃香たちが村に帰還してから、数十日後

 

「義軍」が、人々に見送られて、再び出発する

 

進軍すればするほど桃香の理想に説得された投降兵が増え、軍は大きくなり、劉備軍は桃香の親友の軍へと合流していった

 

やがて、乱は終息に向かい…ついに黄巾党本隊の居場所が発覚した。

 

王朝は各国にこれを討つように諸侯に通達

 

曹操、孫策、袁家など多くの名だたる者たちが集結しつつあった

 

連合軍の将、公孫賛の陣内

 

「白蓮―ちゃーん」

 

「おぉ!!桃香ぁ!!久しぶり!」

 

再会を喜ぶ少女たち。

 

その晩は両軍の兵士が混じっての無礼講とあいなった。

 

 

「そういえば、桃香」

 

「なに?なに?」

 

酒を飲みながら2人が語っていたとき、公孫賛こと、白蓮が思い出したかのように言い出す。

 

「3日くらい前かな、お前に預かりものを預けていったヤツがいるんだ。」

 

「誰が~?」

 

「さぁ、わからないなぁ。わかるのは、見たこともない服を着てたくらいだ。

 

少しかっこよか・・・。

 

いやいや////、おーい、趙雲!」

 

照れを隠しつつ、メンマを肴に1人飲んでいた、美丈夫を呼ぶ。

 

「ハッ」

 

「あれを持ってきてくれ」

 

趙雲と呼ばれた少女は、席を立つと奥の部屋からひと振りの剣を出してきた。

 

「それって!?」

 

自分の剣とそっくりなそれをじっと見つめる桃香。

 

「あ!まさかこれって!?」

 

剣を見つめる。

 

「我が主様からの届けものでございます。」

 

「あなたは?」

 

「わが名は趙雲。字名を子龍と申します。」

 

「わ・、わたしは、劉。」

 

名まで名乗ってくれた少女に桃香が慌てて自己紹介をしようとした。

 

「わかっております。劉備玄徳殿。」

 

「えっ?」

 

「私をここまで導いた方は、純白の衣を身にまとっておられました。

 

その方としばらく共にいるうちに私は気付いたのです。

 

私が仕えるべき方はこのお方だと。

 

彼と旅をして行くうちにそれは大きくなり、私は彼者に仕えることにいたしました。

 

今、黄巾党を打たんとするあなた方に協力するよう命じられ、ここでお待ちしていたしだいです。

 

我が主、北郷一刀が認めし優しき龍よ…この一時で恐縮ですが、我が槍を貴女に託しましょう」

 

 

少女はその頭を下げた。

 

こうして、趙雲子龍星は劉備配下に一時的に加わったのだった。

 

 

桃香は、星に渡された剣を持ち、自分と姉妹たちの寝室に向かう。

 

「桃香様。」

 

「うん。」

 

「間違いないのだ!」

 

そう、この剣の持ち主こそ、自分たちを導いてくれた、天の御使い『北郷一刀』であった。

 

「なぜ、一刀様はこれを星に預けられたのでしょうか?」

 

「さぁ?」

 

「鈴々にもさっぱりなのだ。」

 

う~んと唸っていると、

 

 

???「夜分遅く失礼。」

 

 

どこからか男の声がした・・・

 

「誰だ!!!」

 

声を荒げる愛紗。獲物を引き寄せると、構える。

 

すると、スッと部屋の真ん中に白い服の長身の男が現れた。

 

「「きゃぁ!!」」

 

「なにものなのだ!!?」

 

 

男はその場に片膝をつき、片手で地を突き、頭を下げた。

 

「夜分遅くご無礼いたします。私は于吉と申す者。」

 

なるほど、彼の格好は道士たちが好んで着る道士服という奴だった。

 

ベットの上で固まっている2人に代わり、鈴々が凄む。

 

「そのお兄ちゃんがいったい何のようなのだ!!」

 

鈴々は蛇棒を突き出し男の首元にあてる。

 

男は動じず、

 

「はい。

 

貴女方へ我が主より、文を預かってまいりました。」

 

男は、スッと懐から【劉備三姉妹様】と書かれた手紙を出してきた。

 

「なに!?」

 

驚く桃香たち。

 

男は、鈴々に手紙を渡すと、霞のように消えていった。

 

あっという間の出来事に唖然とする3人であったが、落着きを取り戻したらしく、手紙を読み始める。

 

『みんな。お元気でしょうか?一刀です。

 

俺は頗る元気です。

 

君たちが旅立ってもうかなりの時間がたちました。

 

俺の予想では、そろそろ公孫賛に合流するころだと思います。』

 

「あたりなのだ!!」

 

はしゃぐ三女。

 

一刀のことが気になるようで、続きを読みたがっている次女。

 

『新しい仲間が必要と思い、俺に使えると言ってくれた趙雲という少女に君たちのことを話しておきました。

 

公孫賛のところに行けば、近じかあえるとも思ったので今回の戦で必ず、君の力になってくれる。

 

なんといっても。

 

彼女は…趙雲。神槍の使い手にして、一騎当千の猛将なんだ。

 

そして、その心も君に近しいものがある。

 

きっと、友達になれるよ。

 

あと、公孫賛に俺が天界から持ってきた剣を渡しておきました。

 

あの剣は、不思議な力を秘めるといわれている宝剣だ。

 

俺が持っているより、桃香、君が持っているべきだ。』

 

「一刀様…」

 

桃香は剣を慈しむように撫でる。

 

 

『みんな。

 

決して無理をしないでくれ。

 

1人でだめなことでも3人でなら乗り越えられる。

 

みんな無事生きてまた会おう。

 

俺も微力ながら陰から見守っています。

 

では、またお会いしましょう

 

 

北郷 一刀』

 

「えへへ。」

 

「一刀様…///。」

 

「おにいちゃん。」

 

「一刀様の為にもがんばろう!二人とも!」

「はい!」「おーなのだ!!」

 

 

 

どこからか見守ってくれているであろう一刀に誓いを新たにする3姉妹であった。

 

 

三国志で忘れることができないのは、曹操と孫策

 

この外史においても二人は力をつけ、今や、官軍の主力にもなりつつある。

 

だが、ここに来て討伐軍の大きな戦力となったのは曹魏や孫呉だが、他にもう1つの官軍があった。

 

 

 

連合軍集結からさかのぼること数カ月前

 

蜀の都、成都…

 

その王宮の玉座の間。

 

玉座の後ろの壁には、「劉」と書かれた旗が貼ってある。

 

ある一人の青年が玉座に座っており、その前に数人の村人がひれ伏していた。

 

青年の座っている玉座の周りには、長身の青年と、銀髪の少年がおり、

 

民たちがひざま付いている広間には、厳顔こと桔梗、魏延こと焔耶、楽進こと凪、李典こと真桜、于禁こと沙和といった武将たちがいる。

 

長老が代表し、

 

「あなた様のおかげで、我々の子供たちが死なずにすみました。」

 

「本当に、ありがとうございます!劉璋様!!」

 

青年は照れ臭そうに頬をかくと、

 

「いいえ。お気になさらないでください。俺たちの力が皆さんのお役にたてられてよかった。

 

こんな無力な俺でも、誰かを守ることができるんだって、実感しました。」

 

この男、劉璋季玉と云い、この蜀の太守である。

 

劉璋といえば、(民衆を侵害しても取り締まることができず、政令に欠けるところも多かった)といわれる人。

 

(柔不断で、威厳に欠け、愚かで、脆弱だったが、温厚で誠実な性格だったらしいが…)

 

なるほど、この青年はいかにも優しげな表情をしていた。

 

 

そんなとき、

 

「伝令!!」

 

一人の兵士が駆け込んできた。

 

「なにごとだ」

 

厳顔こと桔梗が、伝令兵に問う。

 

「ハッ!!黄巾党本隊の場所が判明!!

 

朝廷よりこれを打てとの勅命が劉璋様に!!!」

 

「なんだと!?」

 

「劉璋様は…だぞ」

 

「ようやく重い腰を上げたか…」

 

ざわざわと慌ただしくなる玉座の間。

 

「静まれ!!お館の御前じゃぞ!!」

 

声を荒げ威嚇する厳顔。

 

シンと、静まり返る広間。

 

皆の視線が王に向いた。

 

 

「桔梗!焔耶!凪!」

 

彼は、厳顔、魏延、楽進に声をかける

 

「「「ハッ!!」」」

 

「各部隊に連絡を。」

 

「「「ハッ!!」」」

 

「紫苑。」

 

続いて、黄忠に声をかける

 

「はい。」

 

「張任を呼び、軍師を集めろ。

 

これより、軍議を行う」

 

臣下のもの達は膝をついて彼に頭を下げる

 

「「「「御意!!」」」」

 

つづく


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
26
2

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択