No.186253

勘当お姫様の冒険譚① プロローグ&第一章

待雪草さん

何の目的も無く、ただ反抗したあたし。でもあたしは気が付かなかったんだ。もう、やりたいことへの鍵を、握っていたことに…どんなに疎まれても、いらない子でも。あいつがいたから、我慢できた。

2010-11-23 23:01:13 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:504   閲覧ユーザー数:497

 

~プロローグ~

 

 

 とある世界に、とても平和な国がありました。

 建国当時の英雄サレーン・ダグネルスにあやかって、サレーンという国名を掲げています。美しく豊かで肥沃な大地で、戦もなく、実に実に平和な国でした。

 しかし、そんな平和は、国の中心地たる王都にそびえる城の中には一片たりとも存在していません。

 毎日毎日繰り返される、王様とお姫様の大喧嘩がその原因でした。

 王様の言うことも王妃の言うことも王子が言うこともすべて無視し、あげく物を投げ始め、口汚く両親を罵り、最後には部屋にこもってしまうお姫様。表ではお姫様を心配していた家族ですが、お姫様はそれさえも否定して、拒絶しました。

 ある日、お姫様は思いつきました。

「あたし、もうお姫様なんかやめてやるわ!」

 もちろん、王様はそんな戯言を許すわけもありません。

「はっ、世間知らずが。お前のような小娘に何が出来る? 生きていくために必要なのは金と権力だ。ここから出て行けば、お前は飢え死にするだけだ」

 気の強いお姫様は言い返します。

「あなたのような成金に言われたくない! それで引き止めているつもりなら、お粗末な茶番だわ。柔軟な思考も戦闘能力も王としての器さえもないあなたにそう言われるほど、あたしも落ちぶれちゃいないの。もう我慢の限界というべきかしらね!」

「な…な…。…お前は我が王族の恥だ、もう娘でも何でもない! 国を出て行くがいい、大ばか者…追放だっ!」

 遂に王様が逆上しました。

 お姫様はにやりと笑って、

「喜んで。さようなら、お父様お母様お兄様…いえ、もう娘じゃないなら、グーバル陛下、ポリアン王妃、リールファラン殿下…ってとこかしら?」

 そう言って、お姫様は即日国外追放となりました。

 お姫様はなんとなく、やりたいことを捜すため…隣国マートオルへやって来ます。

 この物語は、元姫君が周りを振り回しながら、愉快に冒険する物語です。 

 

 
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