No.186053

黒子シリーズ。その後……

tanakaさん

最終回のその後のお話です。
これにて黒子シリーズは終わりですが、また新たな黒子シリーズが始まるかもしれません。

2010-11-22 23:43:48 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1974   閲覧ユーザー数:1795

 上条さんに告白をして、恋人同士になったわたくし達。

 今日は、恋人同士になっての初めてのデートですの。

 さてさて、どんな素敵な日になるのでしょうか。

 

「早速、遅刻ですのね」

 待ち合わせの時間になっても上条さんが現れませんの。

 まぁ、どうせ面倒な事に巻き込まれているのでしょうけど……

「こういう時はちゃんとした時間に来て欲しいものですね」

 わたくしなんて、約束の時間の一時間も前から待っているというのに。

 少しは乙女心を理解して欲しいものですの。

 

「はぁ。はぁ。す、すまん黒子。結構待ったよな?」

 全力で走って来たのでしょう。肩で息をしながら上条さんが謝る。

「……特に気にしてませんの。どうせ不幸な目にあっていたのでしょう?」

 本当は結構な時間を待っていますが、敢えてそれは言わないでおきましょう。

 デートが始まる前にあまり余計な空気にしたくはありませんから。

「そっか。でも遅れたのは事実だからな。本当にすまん」

「上条さん……」

 はぁ。まったく、あなたは律儀と言いますか、真面目だと言いますか、変な所で紳士的なんですのね。

「よし。俺が言うのも変だけど、さっさと出発しようぜ」

「あ……」

「ん? どうした?」

「いえ、別になんでもありませんの」

 ただ、急に手を握られて驚いただけで……

 いきなり手を繋ぐなんて上条さんったら、結構大胆なんですのね。

 そんな感じでわたくし達のデートが始まり、その道中も楽しく過ごしていたのですが――

 

 ぴぴぴぴぴぴぴっ!

 

『白井さーん。申し訳ないですが、仕事が出来てしまったので、来てもらえますかぁ』

 実に間の悪い事に初春に呼ばれてしまったんですの。

 なにもこんな時に呼び出さなくてもいいのに。

 これは後でお仕置きをしないといけませんわね。

「あの、上条さん」

「どうした? 黒子」

「申し訳ございませんが、少し仕事が入ってしまったので今日のデートは終わりですの」

「事件か?」

「あ、いえ。そういうわけではなく、ただの書類の手伝いだと思いますの」

 そんなに必死に呼んでいるわけではなさそうでしたからね。

「そうか。仕事なら仕方が無いか」

「ええ。すみません。この埋め合わせは、また後日に……」

「おう」

「では――」

 後ろ髪を引かれる想いでこの場を去る。

 はぁ。せっかくのデートでしたのに。不幸ですわね。

 

 

 ――日も落ち、外もだいぶ暗くなってきましたの。

 上条さんと恋人になって初めてのデート。

 まさかこんな事になるなんて思いませんでした。

 せっかく楽しみにしていましたのに……

 色々な期待をしていましたのに……

「遅かったじゃねぇか。黒子」

「――――え?」

 落ち込んでいたわたくしの前に現れたのは――

「か、上条さん!? どうしてここに?」

 別れてから随分時間が経っていますのに、どうして……

「何でって、まだ俺達のデートが終わってないからだよ」

「終わっていない……?」

 それは一体どういう意味ですの?

「確かに色々と予定は崩れちまったけど、今日という日はまだ終わってねぇ。だからまだ俺達の

デートは続いているんだよ」

「…………上条さん」

 あなたは……あなたという人は……

「たいした事は出来ないが、今から俺達のデートを楽しもうぜ」

「はい……ですの」

 差し出される手を掴んで隣に並ぶ。

 普通の恋人達とは違いますが、それはそれで、わたくし達らしいような気がしますね。

 

「あーそうだ。黒子に一つ言い忘れてた事があった」

「なんですの?」

「今日も可愛いぞ。黒子」

「な―――――っ!?」

 ふ、不意打ちでそんな事を言うなんて……

「ははっ。顔が真っ赤だぞ」

「~~~~~~~~~~~~~~っ」

 う~バカ。上条さんのバカ!

 なんでそんな事を……こ、こうなったら、わたくしだって――

「か、上条さ……いえ、当麻さんも格好いいですわ」

「お、おう……」

 ふふ……っ。驚いた表情をしてますね。

 これでおあいこですの。

 

 結局、変わったデートにはなりましたけど、これはこれで楽しかったですね。

 だって、こんなにも幸せな気分なんですから。

 


 
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