はじめに
この作品はオリジナルキャラがシ主役の恋姫もどきな作品です。
原作重視、歴史改変反対な方、ご注意ください。
人の顔ってさ
言葉以上にその人を物語ると思わないかい?
「この子は将来どんな大人に育つのかしら?」
たったそれだけで
僕は言葉以上の意味を受け取ったんだ
”貴方は将来誰も追付かないほどの偉人になりなさい”
歪んでると思うかい?
そう見えるかもね
でもそうじゃないんだ
歪んでいたのは母親という仮面を被った女の顔さ
周りから当代一の美人と持て囃され
その美貌が父に見初められ
生まれた僕を見てこう言うんだ
”お前は特別なのよ”と
贔屓とかそういうの無しに
僕にはその資格がある
あの女の眼にはそう映ってたんだろうよ
そして僕の眼に映った女の顔がそう言ってたんだ
”だからお前が落ちぶれようものなら許さない”と
自意識過剰と思うかい?
いや
無理に否定しなくて良いよ
君の顔を見れば解かる
言っただろう?
君のその眼が
君のその顔が
その表情が
言葉以上にそれを物語ってるって
君だけじゃない
誰だってそうさ
「共に帝が、漢王朝が太平の為、尽くして参ろう」
”私を裏切ってみろ…唯ではおかんぞ”
脅迫のつもりだったんだろうよ
自らの保身の為に
それを間違いだなんて僕は言わないよ
だってそうだろう?
誰だって自分が可愛いもんさ
何進の下にいて判ったことはその建前に間違いはなかったってことさ
洛陽での暮らしはそれは快適だったさ
望むものは何でも手に入るんだ
愉快で堪らなかったよ
私腹を肥やした豚が更に肥やさんとやってくるんだ
揉み手をしながらさ
口を開けば”貴方様のため、貴方様のため”ってさ
笑っちゃうだろう?
お前等はその口から吐いた臭い息を嗅いだ事があるのかい?って
その無様に肥えた頬肉が押し上げる眼の気持ち悪いこと
奴らの頭の中にあるのは醜い腹の贅肉を付け足すことだけさ
”僕の為”?
そうじゃないだろう
お前等は
”自分の為に”僕に諂っているんだろう?
聞いてやったんだ
そしたらさ
その醜い顔を更に歪ませて笑ったんだ
”貴方様の前では軽々しい嘘は付けませんな”って
だからさ
言ってやったんだ
「僕に気に入られたければ正直者であることだね」
「ははは…心に深く留めておきましょう」
(粋がるな…糞ガキが)
ほら
また嘘を付いた
「何も言わなくてもいいよ…全部解ってるから」
「が…こっ…がっ」
「ああ…御免ね、喉を潰されちゃ何も言えないよね」
「っ!…」
「何で?そうだね…強いて言えば貴方はもう必要ないからかな?」
「…」
「心配いらないよ…王夫人も直ぐに傍に送ってあげるよ」
「…」
「ああ…帝の事なら心配しなくていいよ…あれは僕にとって必要な物だからね」
「…」
「貴方の言う通りさ…帝と王朝を守ることが僕の幸せに繋がるんだ」
「だってそうだろう?誰だって幸せは独り占めしたいものさ」
「まあそれが成らなくても分母は小さい方が好いよね」
「だから…貴方はもういらない」
「此処にいるのは皆『僕』の王朝に同意してくれた者だけさ」
「だから心置きなく…ってもう逝っちゃったか」
とまあそんなことで僕の周りには正直者しか居なくなったわけだ
戦場で吠えるだけしか脳がない奴は端からいてもいなくても関係ないしね
適当に外でもぶらつかせて発散させてやればいい
幸いにも洛陽を一歩出れば世がどうのこうのと喚く阿呆共が良い発散材料になってくれてたしね
そんなところに来たのがあの二人さ
何進に呼ばれてきましたって…おいおい
そんな奴はとっくに鴉の餌になっちゃったよ
まったくあの人も面倒くさいことを仕出かしてくれたもんさ
気に入らないのはさ
あの二人が馬鹿正直だったってことさ
馬鹿正直に僕の周りの賛同者を片っ端から斬り捨てて
馬鹿正直に周りに敵を創っては敵を追い出して行ったんだ
まったく嫌になっちゃうよね
僕が今日まで築き上げてきたものを
片っ端から壊していっちゃうんだから
ほんと迷惑この上ないよ
だから僕も壊すことにした
あの女が築いた物なんて
洛陽に火を付けた時はそりゃあもう快感だったよ
と同時に湧き上がる使命感に心躍ったね
もう一度
ここをまっさらにしてもう一度
『僕の王朝』をここに建てようって
まあ結局それも失敗したんだけどね
”天”を名乗るなんて大した者だと思ったよ
まさか帝を横から奪い取るなんて
ええっと
何の話をしてたんだっけ?
ああ
そうそう
人の顔を見れば何を考えているか判るだったね
結局はさ
何が言いたいかなんてさ
この状況をおいて他にない訳だ
君が僕に近寄ってきた時からそう
最初?
そう最初からだよ
僕は君を信用などしていなかったってことさ
だってそうだろう?
君は最初から
その気も無しに僕に近づいて来たんだ
だから僕も君をその気も無しに傍に置いていたんだ
だのに君ときたら必死になって僕の後を付いて来るんだ
笑っちゃうよ
全てはこの日の為?
そうだね
この日の為だ
僕が君達の主を連れて曹操の下へ下ろうという今日この日を
君達は必死になって耐えてきたのだろう?
可笑しくて腹が捩れそうだ
だって
だってそうだろう?
あの男は
自身が余命が幾許にも無いのを承知で
今日まで平静を装って来たんだ
あれだろう?
自身が主が僕の正体に気づいて心改めるその瞬間を待っていたのだろう?
それが
それがさ
ふふふ…笑っちゃう
ついに耐えきれなくて自分から動くだなんて
本陣を無防備に開けて出て行ったのは僕がそうでもしないと動かないと思ったからだろう?
そうだろう?裏切り者
「そうだろう…高覧?」
あとがき
ここまでお読み頂き有難う御座います。
ねこじゃらしです
仙台の街は早くもイルミネーションがちらほらと
確か去年だったか流行りのLED照明をイルミネーションのライトに使っていた気がしましたが今年はどうなんでしょうね?
先日はしし座流星群を見ようと思って頑張って起きてたんですが…めっちゃ雲っとるやん
さてさて今回の話は官渡の戦いにおける分岐点
…つっても全然戦ってないけど(汗)
まあ気長にお付き合いくだせぇ
しかしここで問題事項が一つ
…高覧の真名どうすっぺ?
全然思いつかん
…まあ、いいか
それでは次回の講釈で
Tweet |
|
|
26
|
1
|
追加するフォルダを選択
第55話です。
値上がりを機に喫煙して早や1カ月…月日がたつのは早いもんですな。