No.184836

黒子の告白

tanakaさん

シリーズ最終回です。
でもでも、きっとあと一回その後の話を書きます。
だけど、一応これで終わりです。

2010-11-16 00:17:09 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2471   閲覧ユーザー数:2364

 今日、わたくしは上条さんに告白します。

 先ほど連絡しましたから、もうすぐ来ると思いますけど……

「き、緊張しますわね」

 まだ本人が現れたわけでもないというのに、もうすでに緊張している。

 ただ待つという行為が、こんなにも苦しいとは思いませんでしたの。

 一秒が物凄く長く感じますの。

 

「おーい、白井!」

「あっ、上条さん。こちらですの」

 来た! 上条さんがついに来ましたの。

「白井、急にどうしたんだ? 大事な話があるって言ってたけど」

「はい。とても、とても大事なお話があるんですの」

 恐らくわたくしの人生の中でも一番大切な話が……

「もしかして、御坂に何かあったのか?」

「お、お姉さまに何かあるはずなんてありませんの! と、いうより今はお姉さまは関係ありませんの!」

 こ、この男は……どうして女性といる時に他の女性の名前を出すんですの?

 デリカシーが足りませんわ。

 確かにお姉さまは素敵な女性ですが、今はわたくしを見て欲しいんですの。

「御坂の話じゃないのなら、どんな話なんだ?」

「わたくしの個人的な話ですの」

「白井の?」

「え、ええ……」

 さぁ黒子。早く告白するんですの。

 このスーパー鈍感男は、遠回りに告白しても気がつかないのですから、真っすぐな言葉で自分の気持ちを……

 

「…………」

 こ、声が出ませんの。

 わたくしは一体何に対してビビっているのでしょうか?

 もしかして、振られてしまう可能性に対してなのでしょうか?

「……」

「白井? おい、どうしたんだ? 急に黙って」

「あ、いえ、何でもありませんの」

 しっかりしなさい! なにネガティブ思考をしているのですか。

 まだ結果が出ていないというのに、後ろ向きな事ばかりを考えてしまっている。

 そんな、そんな情けない幻想はぶち殺してさしあげないといけませんの。

「……もしかしてトイレか?」

「――――――」

 先に、上条さんをぶち殺したい気分ですわ。

「あのですね上条さん。女性に対して、そんな事を言うものではありませんの」

「えっと、その……」

「デリカシーの欠片も無いのですね」

「いや……すまん」

 素直に謝る上条さん。少しは自分の配慮の無さを理解したのでしょうか。

「まぁ、いいですの」

 上条さんのダメダメな発言のおかげで、少しだけ緊張が解けましたから。

 

 はぁ。ふーっ。

 深呼吸をして、気持ちを落ち着かせましょう。

 そして、この気持ちを上条さんに伝えるんですの。

 鈍感な男でも理解出来るような言葉で。

 

「上条さん」

「なんだ?」

「わたくし白井黒子は、上条当麻さんの事が――」

 

「大好きなんですの。どうか、わたくしと付き合っていただけませんか?」

 言った。言ってしまいましたの。

 ついに上条さんに自分の気持ちを伝えてしまいましたの。

 さて、どういう結果に――

「白井……その、今のは――」

「わたくしの今の気持ちですの。あなたが好きだという……」

 紛れもない、正直な気持ちなんですの。

「あーお、俺でいいのか?」

「上条さんがいいんですの」

 他の誰でもない。上条さんではないといけないんですの。

 あなたと共にいるのが、わたくしの幸せですから。

「う、嬉しいけど俺なんかで……」

「大丈夫ですの」

 

 ちゅっ。

 

「し、白井!? い、いい、今のは……」

「乙女の唇を捧げたんですから、上条さんも覚悟を決めて下さいな」

 少しズルイかもしれませんが、上条さんが悪いんですのよ。

 わたくしにこんな気持ちを抱かせたあなたが。

「はぁ……負けたよ。ああ、俺も白井の事が好きだ」

「上条さん……」

「まったく、初めて会った時はこんな事になるとは思わなかったよ」

「それは、わたくしの台詞ですの」

 ですが、今はこの結果は嬉しく思いますの。

 だって大好きな人と共にいられるんですから。

 ねぇ、上条さん。

 

「大好きですの。上条さん♪」

 


 
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