黄巾党中心部のほとんどは大きな舞台となっている。一刀達が先ほどいた場所は舞台の裏で今は舞台が一望できる特等席に腰かけていた。地和が自分たちの活躍を見てほしく特別に用意させたらしい。ここからなら全体の様子もよく見えていた。会場は黄巾党で埋め尽くされ集まった黄巾党は各々に天和達のグッズを身に着けていた。
真桜「うひゃ~人多いなぁ。いったいどれだけおんねん?」
沙和「なんでも全黄巾党に収集をかけているみたいなの」
凪「彼女たちは一体なにをしようと言うのでしょうね」
一刀「わからん。ただ彼女達も本気だってことだろ・・・・お!始まるみたいだぞ」
一刀たちが視線を舞台上に向けると先ほどまでなにもなかった場所に突然煙があがった。そして、曲が流れだし煙の中から舞台衣装に身を包んだ張三姉妹が飛び出した!
天和「みんな元気ーーーーー?」
黄巾党「「「げんきーーーーーーー!!!」」」」
地和「アンタ達楽しんでるーーーー?」
黄巾党「「「「「たのしんでるーーーーーー!!!!」」」」
人和「みんな来てくれてありがとう・・・・」
黄巾党「「「「「ほわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」」
天和「みんな私たちが誰だか知ってるよね?それじゃいっくよ!みんな大好き?」
黄巾党「「「「天和ちゃぁぁぁぁぁあぁん!!!!」」」」
地和「みんなの妹?」
黄巾党「地和ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」」」」
人和「とっても可愛い」
黄巾党「人和ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」」」」
天和「それじゃみんな私たちの歌しっかり聞いていてね♡」
黄巾党「「「「ほわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」」
♪~~~~~~♪~~~~~~♪~~~~~~♪
彼女達が舞台で歌いだすと会場は凄い熱気に包まれた。三姉妹の歌はとても心が弾む歌だった。姉の天和の甘い歌声、地和の元気ある歌声、そして人和の優しい歌声。三人の歌声が重なり合い一つになる。そこに一つの波長みたいなものがあった。
一刀「これが黄巾党を束ねてる歌声か、とても綺麗な歌声だ。・・・でも、どうやってあんな大きな音をだしてこの大人数に聞かせてるんだ?」
凪「たぶんアレの力でしょう」
凪が指さすの先を見るとそこには舞台の壁にはめ込まれた一冊の本があった。本はユラユラと揺れる光で包まれていた。
凪「あの本から氣のようなものが流れでて舞台にある装置に力を送っているのが感じられます。そして、それを扱っているのが地和殿です」
一刀「なに!?それは本当か?」
凪「私も同じ氣を扱う者です。間違いありません。しかし、彼女たちはアレで何をするつもりなのでしょう」
凪達が心配しているなか舞台は順調に進んで行き、曲は先ほどまでのアップテンポな曲からしんみりとなるバラードへと変わった。すると、先ほどまでハイテンションだった黄巾党の様子が変わる。彼らの表情を見ると目は虚ろんでおり、フラフラと揺らいでいた。
一刀達は周りの様子が可笑しい事に気付き立ちあがろうとする。しかし、その前に舞台に立っていた地和が何やら喋りだしたのだ。
地和『みんな聞いて!ちぃたちは今とても悲しんでるの!みんなが人を傷付けて、付けられてを繰り返している事に!だから・・・・・今日をもって黄巾党を解散します!』
一刀達は突然の黄巾党の解散宣言に身構えてしまった。いま解散宣言を行えば会場は混乱し暴動が起こる危険があったからだ。しかし、暴動は起こらないそれどころか黄巾党は黙って地和の声を聞いていた。
真桜「いったいこれは・・・・・」
沙和「どうなっちゃってるの?」
凪「・・・・・もしやこれは催眠術?」
一刀「わかるのか凪?」
凪「詳しくはわかりませんが、今彼女が喋っているのは氣を練った言葉、『言霊』だと思います」
一刀「言霊?」
凪「言霊とは声に出した言葉が現実の事象に対して何らかの影響を与えると言われる術です。今彼女はそれを使い黄巾党を解散させるように暗示をかけているのです」
一刀「しかし、こんな大人数を相手に暗示を掛けられるなんて可能なのか?」」
凪「それを可能にしているのは恐らく後ろにある本と地和殿の後ろで歌い続けている彼女たちの歌のおかげでしょう」
凪はもう一度壁に埋め込まれた本と後ろで歌い続けている天和と地和を指さす。天和と人和の歌声はとても優しくまるで母親が子供を寝かせるときに歌う子守唄の用だった。
天和(この歌はみんなの心を眠りに誘う歌、これでみんなの不満や怒りを鎮めて・・・)
人和(ちぃ姉さんの言霊で暗示をかけて黄巾党を解散させる)
地和(私たちがこの日のためにこの歌や言霊を練習してきたんだから!だから、太平要術・・・お願い力を貸して!)
地和が要術書から更に力を引き出し暗示を強くする。もうこれ以上彼らが人を殺さない様に、もうこれ以上彼らが悲しまない様に強く、強く暗示をかける地和。
地和(よし!あともう少しで暗示が完全にかかr・・・)
干吉『やれやれ、なにを企んでいるかと思えばこんなことでしたか』
バキン!!
人和「ちぃ姉さん!あぶない!!」
地和「え?」
暗示の最中、突然地和を照らしていた照明が彼女の頭上に落下してきた。人和の叫び声を聞いた地和は頭上を見上げるも反応が遅く、避けられない。地和は死を覚悟し目を強くとじた。
ガシャンッ!!!
照明は落ちた衝撃で粉々になり破片を周りに飛び散らかす。地和は照明の落下音を聞き思ったほど痛みが無かった事に不思議に思った。痛みは無くそれどころか柔らかく温かい感じがした。地和はゆっくり目を開けるとそこは自分を抱きしめる天和の胸の中だった
天和「ちーちゃん・・・・だい・・じょうぶ?」
地和「天和姉さん!?ちぃを庇って?」
天和「へええ、だって・・・・妹をたす・・・けるのはお姉ちゃんの・・・・役・・・目・・・・だから・・・っ!?」
地和「お姉ちゃん!!」
天和は地和を庇った際に飛んできた照明の破片で腹部を切ってしまい。手で傷口を抑えながら痛みに堪える。抑えている手からは血が滴り落ちていた。
地和「姉さん!姉さん!!人和どうしよう姉さんが!!・・・・・・・人和?」
地和は人和に助けを求めようとしたが人和の様子も可笑しい、人和は顔を青くしてガタガタと震えながら観客席のほうを指さしていた
人和「ね、姉さん・・・・あ、あれ・・・・」
地和「あれって?・・・・・・・・・ひっ!?」
地和が人和が指をさした方をみるとそこには目が赤く光、歯をむき出しにして殺気を溢れだした獣のように変化した黄巾党達が地和達に向かいゆっくりと歩んでいた。
黄巾党「裏切られた・・・・天和ちゃん達に裏切られた・・・・・」
黄巾党「もう生きていてもしょうがない・・・・・死のう・・・・・」
黄巾党「そうだみんなで死のう・・・・天和ちゃんも地和ちゃんも人和ちゃんも・・・・・みんな・・・・みんな!!」
黄巾党「「「「みんなで死のう死のう死のう死のう死のう死のう死のう死のう死のう死のう死の死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死」」」」」
黄巾党は舞台と観客席を分けていた防柵を素手で怖し舞台へと這い上がる。地和達は恐怖のあまり腰が抜け逃げる事が出来ない。
人和「これってどうなってるの姉さん!!」
地和「わ、私にもわからないわよ!術が不完全だったとしてもこんな状態にはならないわよ!!」
人和「姉さんの力で何とか出来ないの!!」
地和「無理だよこんな状態で歌えないし!歌えなかったら妖術も使えないわよ!」
二人が言い争っている間にも暴徒と化した黄巾党は動けない三姉妹に近づく。そして、蹲る姉を抱き寄せながら抱き合う三姉妹を黄巾党が取り囲んだ。
黄巾党「「「「「三姉妹に死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を死を!!!!」」」」」
地和「こんな、こんなのって・・・・・」
天和「地和ちゃん・・・・・人和ちゃん・・・・」
人和「姉さん・・・しっかりして!」
黄巾党「「「「「三姉妹に死を!!!!!」」」」」
取り囲んでいた黄巾党の魔の手が彼女たちに迫り、彼女たちのやわ肌にその手が触れようとした瞬間・・・
ドゴオォォォン!!!
黄巾党「「「「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」
何処からか火の玉が飛来し囲んでいた黄巾党の一角を吹き飛ばした。飛ばされた黄巾党が横たわり煙が湧き出る中一つの人影が煙の中でたっていた。そして、風が吹き煙が晴れその姿を現す。
凪「ご無事ですか?三人共」
地和「あ、アンタは!?凪!!」
煙から姿を現した凪に地和は目を見開き驚く。どうして此処に来たのかと
地和「な、なんでアンタが此処に来るのよ!」
凪「話は後です!今は此処から逃げることが先決です!此処は私に任せて早く!!」
地和「で、でも・・・・」
地和は襲いかかる黄巾党の姿をみる。もしかしたら自分の術の所為でこうなってしまったのかと思うとこのまま逃げていいのか迷ってしまう。その間にも黄巾党は次々と舞台によじ登り彼女たちに襲いかかる。
人和「姉さん、彼女の言う通りにしましょ」
地和「でも人和!もしかしたら彼らをあんな風にしたのはちぃかも・・・」
人和「それでも、ここは一旦逃げないと彼らを元に戻すことも出来ずに殺されてしまうわ!」
地和「そ、それでも・・・・」
人和「このまま天和姉さんを見殺しにしてもいいの!!!」
地和「!!!!!」
地和は人和の言葉を聞き自分に寄り添うように気を失っている天和の顔をみる。その顔は額から滝のように汗を出し痛みに耐え苦しそうにしていた。地和は自分を庇いこうなってしまった事に後悔した。それと同時にこのまま大好きな姉を死なせたくないと思った。そして、天和の腕を肩に担ぎ立ち上がる。
地和「逃げるわよ人和!!」
人和「ちー姉さん・・・・・・わかったわ!」
一刀「みんなこっちだ!!はやく!!」
舞台の袖口から手招きをする一刀の姿をみた地和達は二人で気を失っている天和の肩を担ぎ運ぶ。凪は三姉妹に黄巾党が近づかない様に援護しながら後退する。
その様子を黄巾党の本陣全域が見渡せる崖の上から見下ろすの姿があった。
干吉「いやはや驚きましたね。まさか、言霊まで習得していようとは。彼女、あのまま妖術を究めれば良い仙人に慣れましたでしょうに、おしい事ですね」
干吉は残念がるように息を吐くと陣の中で暴れまわる黄巾党達が持っている天和達のグッズに目を向ける。
干吉「今回用意していたあの品々には予め術を施していました。あれには信じていたものが自分が思っていたこと違うことをすると憎しみが倍増しその者を殺すといった呪詛を掛けておきました。」
干吉は楽しそうに微笑みながら本陣から煙が上がるのを見下ろす。
干吉「私を裏切ろうとすれば集めた黄巾党から憎しみをぶつけられる。ふふ、これで貴方達には十分すぎるほど働いてもらいました。さぁ、自分たちを愛してくれた者たちの手によって死になさい!!!」
彼女たちは黄巾党の追ってを避けながら陣内を逃げ回る。そして、ふとめに入った近くの小屋の中へと逃げ込んだ。
一刀「はぁはぁ、みんな無事か?」
地和「ちぃたちは平気、だけど天和姉さんが」
小屋の中心で横たわり息を荒く吐く天和。凪が血がにじみ出る腹部を診る。
一刀「どうだ凪?」
凪「傷自体は大したことはありませんが、傷口から細菌が入り高熱を出しています。早く薬を飲ませなければ・・・」
沙和「でも、どうするの?周りは敵だらけで逃げ道がないの」
沙和の言う通りで小屋の外にはすでに黄巾党が取り囲みジリジリと距離を詰めていた。
凪「こうなれば特攻をかけて正面突破しか」
真桜「ちょいまち凪!あんた敵さんがどれだけおるかわかとるんか?」
凪「わかっている!しかしこのままじゃ」
真桜「いいや、わかってない!あんた南西の村でのことで反省したやろ!あれをもう一回思い出してよう考えり!」
凪と真桜が言い争いをしている中、時間は徐々に過ぎて行く。一刀はどうすべきか腕を組み悩む。そして、口論をしている真桜の背にあるドリル・・・もとい螺旋槍が目に入る。
ザザザ・・・・ドスドス
一刀「・・・・・・・・・・・」
一刀は小屋の地面を足で滑らし打みつけ地面の堅さを調べる。そして、何かを閃いたらしく、真桜を呼びつける
一刀「真桜!ちょっとこっちこい」
真桜「ん?なんやねん隊長いまうち凪と大事な話が」
一刀「見つけたんだよ。脱出方法を」
一刀は見つけた脱出方法をみんなに伝える。みんなはそれしか方法がないと納得し頷いたのだが、
真桜「嫌や!絶対に嫌や!」
一刀「お!?お前なぁ!この状況でだだをこねるかぁ?」
真桜は一刀が提示した脱出方法に不服らしく猛反対する。しかし、この脱出方法は真桜の力無くしては成功しない一刀はどうにかして説得してみる
一刀「なぁ、真桜この通り、な?」
真桜「いくら隊長の頼みでもこれだけは譲られへんわ!うちにも誇りがあるさかい」
一刀「うぅ・・・・・・わかった!無事帰ったら新しい工具を買ってやる。それでいいか?」
真桜「新しい工具・・・・・・・だけかぁ?もう一声あらへんの?」
真桜は一刀の足元をみてナニワの極道モードへと変貌する。一刀は拳を握りながらも此処はグッとこらえた。
一刀「ぐぐぐ・・・・・よし!だったら良質の材料一式付けてやる!これでどうだ!」
真桜「のった!!いや~流石隊長♪よっ!天の御遣い!魏の種馬の異名は伊達じゃないねぇ!!」
一刀「いいからとっとと始めろ馬鹿!」
一刀(クソ~真桜の奴、人の足下みやがって、これで帰ったら買おうと思ってた可愛い下着が買えないじゃないか!真桜めぇ、帰ったら覚えていろよ)
と心の中で真桜に復讐するための計画を練る一刀を余所に真桜は背中に背負っていた螺旋槍を構え槍の先を地面に向ける。
真桜「ほな行くで!!うちの螺旋は天を衝く螺旋やけど今回は地を衝かせてもらうわ!!」
真桜は螺旋から伸びた紐を力強く引くと螺旋はブルンと音を出した後、回転を始め段々とその回転速度を増していく。
真桜「よっしゃ!いくで!でりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ドドドドドドドドドドドド!!!!!
真桜は螺旋を地面に押し付け土を削りとっていく。そして、あっという間に真桜の姿がなくなりさっきまで真桜がいた場所に大きな穴が開いていた。
一刀「よし!成功だ。みんな順番にこの穴に入って脱出するんだ!」
沙和「分かったの!」
凪「張角殿は私が背負いますからお二人ともお早く」
地和「ごめん凪」
人和「ありがとう」
彼女たちは真桜が作った穴に順番に入って行き最後に一刀が小屋の中にあった大きな壺を持ち上げながら穴に入り追手が来れない様に穴に蓋をした。
ドドドドドドドドッドド、ドヒユン!!!
真桜「ぷはぁ!やっと出られた!」
沙和「うへぇ、服が埃と土だらけで汚れたの」
地和「凪、姉さんは大丈夫?」
凪「えぇ、今は大丈夫そうです」
人和「いったい此処は何処なのかしら」
黄巾党本陣から少し離れた場所に出た一刀達は周りを見渡し太陽の位置から方角を確認する。
凪「太陽があそこにありますから・・・・私たちの陣があるのは・・・・あっちですね」
一刀「よし!とりあえず地和達も俺たちと一緒に本陣に来てくれ、張角の治療も必要だろうしそれに今後の黄巾党にどう対処するか決めないといけない。地和達の力が必要だ」
地和「わかったわ。人和もそれでいいわね」
人和「異論はないわ。早く天和姉さんを助けたいんですもの」
一刀「よし!決まりだ。それじゃ追ってが来る前に早く移動するぞ。・・・真桜もなにさっきからブツブツ言ってるんだ置いてくぞ!」
天和の治療と黄巾党に対しどう対処するか決めるため一同は華琳達がいる。曹操軍本陣へと向かい走り出した。真桜は穴を掘ってから様子が可笑しくブツブツと独り言を言っていた。l
真桜「穴掘るのもなかなか快感やったな。そや、今度のお菊ちゃんには回転するようにして穴の奥にグイグイと入るように!ってあぁ、まってぇなぁ!うちを置いて行かんどいてなぁ」
華琳「それで?その二人が黄巾党を束ねていた張三姉妹のうちの二人なわけね」
無事に華琳達がいる本陣までたどり着いた一刀たちはすぐに天和を診療室に連れて行き、今は黄巾党の現状報告と現在の状況を把握するため華琳に会っていた。
一刀「華琳いま黄巾党の進行状況はどうなっているんだ?」
華琳「どうもこうもないわ、桂花、美里」
桂花・美里「「はっ!」」
華琳の両脇に控えていた桂花と美里は机に地図を広げ、碁石を置いて行く。その配置は黒の碁石の塊がまっすぐ数個の白の碁石に向かっているように見えた。
桂花「黄巾党は今や暴走して我を忘れまっすぐこちらに向かっております」
美里「その進行速度は恐ろしく早く、朝も昼も夜も進軍しています。それも飲まず食わずで」
華琳「最早彼らは人間じゃないわ。彼らを止めようとした諸侯たちは奴らの今の姿をみて次々にこの件から手を引いていったわ。まったく、やっかいな事態にしてくれたわね貴方達。」
地和「っ!・・・・・・・・・」
華琳の言葉にその場にいた地和の体が震える。地和は自分がちゃんと暗示をかけていればこんな事にはならなかった。自分がもっと力があればこんな事にはならなかった。そう自分の腕を強く握りしめ己を責める地和。
凪「華琳さま!彼女達も黄巾党を止めるために頑張ったのです。そのような言い方は・・・・・」
華琳「それでも失敗して更に事態を悪化させればもともこうもないわうよ。」
華琳は息を大きく吐き視線を眺めていた地図上から正面に移動させる。そこには黄巾党の恐怖と自己を責める心で体を震わせる地和と人和の姿があった。
人和「な、なんですか?」
華琳「貴方達はこれからどうしたいのかしら?」
地和「・・・・・・・彼らを・・・・・黄巾党を……止めたい・・・」
華琳「・・・・・・・・貴方達・・・・まだ奴らを止めようと思ってるの?」
地和・人和「「・・・・・・・うっ」」
二人は俯いていた視線をあげ華琳の姿をその瞳に写す。そこに写ったのは鋭い眼光と溢れんばかりの覇気に身を包んだ華琳の姿だった。地和も人和もその姿をみて言葉を失いかけた。
華琳「奴らは最早人にはあらず。それでも尚奴らを助けたいと貴方達は言うつもり?」
華琳は更に覇気を二人にぶつけ押しつぶそうとする。二人は呼吸するのも忘れるぐらい華琳からプレッシャーをかけられ滝のように汗を噴き出す。このままでは二人とも押しつぶされてしまう。地和は華琳の覇気に耐えながら途切れ途切れに震える唇を開いた。
地和「ち、…ちぃは・・・あいつ等を・・・・・助けたい。あいつ等はどうしようもないロクデナシかもしれない・・・・だけど、ちぃを…ちぃたちを頼って集まった人たちなの!ちぃは・・・・彼らを見捨てたくない!!」
地和は叫ぶとともに先ほどまで圧し掛かっていた華琳の覇気を弾き返した。華琳はその姿を見て微笑んだ。
地和「曹操様、お願いします!ちぃたちに黄巾党を止める力をお貸しください!」
人和「姉さん・・・・・・私もお願いします!!」
地和は頭を地面にこすりつけて土下座をする。人和もそれに続き頭を下げる。華琳はしばらく口を閉じ黙っていた。
地和(やっぱり、ちぃたちが頭を下げたぐらいじゃ駄目か・・・・)
地和が心の中でそう思っていると突然笑い声がその場に広がり地和は下げていた頭をあげる。頭をあげるとそこには声をあげて笑っている華琳の姿があった。
華琳「ぷははははははは!!!お、おかしぃあはははははは!!」
地和「な、なにがそんなに可笑しいのよ!こっちは真剣に頼んでいるのに/////// ///////」
地和はいつまでも笑っている華琳に腹が立ち顔を真っ赤にしながら怒ると、ようやく華琳も笑いがとまる。
華琳「ご、ごめんなさい。だって、私の覇気を弾き飛ばしたと思ったらその勢いのまま土下座するんですものそれが可笑しくて可笑しくて」
地和「あ、アナタねぇ、こっちは真剣やっているのに!////// //////」
華琳「えぇ、貴方達の本気の覚悟、しかと見させてもらったわ。それほどの事が言えるのなら彼らを止める術をしっているのでしょう。いいわ、力を貸してあげる。・・・・ただし、失敗すれば・・その首体から離れると思いなさい」
地和「ふん!上等じゃない!ちぃたちの底力見せて上げるんだから!」
地和は華琳に高々と宣言する。そこにはいつもと同じ元気な姿を取り戻した姉の姿があった。傍にいた人和はそんな姉の姿を見て今は診療所で眠っているもう一人の姉に大丈夫だと心の中で伝えた。
桂花「それじゃ、状況をもう一度確認するわね。敵の数は三十万を越えまっすぐここ本陣に向かってきてるわこのままいけば後数日で此処までたどり着くわ。対して私たちの軍の兵力は一万弱、どうあがいても勝ち目はないわ」
地和たちの協力を得た華琳たちは黄巾党にどう対応するか決めるため軍議を開いた。状況をもう一度把握するため桂花は地図を指揮棒で差しながら状況を説明する。その説明を聞いて場の空気は一気に下がる。
美里「それで?張宝さんはどうやって黄巾党を止めるつもりなの?」
美里が首を傾げながら地和に尋ねる。地和は少し考えると頷く
地和「もう一度、奴らに暗示をかけてみようと思うの」
一刀「でも、暗示は失敗したんじゃ・・・・」
地和「あのときは暗示が複雑すぎたり主わね事故が重なっちゃっただけよ!今回の暗示は簡単に『止まれ』としか指示はしないわ。だけど、暗示を掛けるのに問題が三つあるの」
華琳「三つ?なにかしらそれは?」
地和「一つは妖術が使えない事、力の源の本を舞台に置いて来てしまった、妖術が使えないと声を大きくしたりなんか出来ないのよ幸い言霊は自分の氣を使う術だから暗示は掛けられるけど。それと二つ目は曲、これも妖術で出していたから曲が無いと相手は催眠に掛らないのよ。そして最後に三つ目は怪我して歌えないお姉ちゃんの代わり、なるべく声が綺麗な人で歌がうまい人が良いわ。」
桂花「音量増量に演奏に歌い手・・・難しいわね」
春蘭「ゴホン!ゴホン!あ~歌い手ならわたしが『曲なら大丈夫だ』・・・北郷!キサマ!」
春蘭が咳払いしながら手をあげて前に出るよりも先に一刀がポケットの中にしまっていたケータイを取り出す。
一刀「曲ならこの中に沢山入ってるから曲の心配はいらない」
そう言いながらケータイを開きタッチパネルを叩き音楽を流す。その場にいた者は小さな箱から出る聞いたことも無い音に目を丸くする。ちなみに一刀のケータイはソーラーパネルが付いた太陽光充電ができる最新型だ。
一刀「でも、問題は音量が小さいってことだ。コレ一個じゃ三十万人の耳には届かない」
美里「それなら私に良い考えがあるよ!」
と言いながら美里は広げられた地図の上を指でなぞりある一点を指さす、その場にいた全員の視線が美里の指先に集中する。
秋蘭「ここは・・・・洞窟か?」
美里「うん、この洞窟の中は広い空洞になっていて風邪の音とかがとても響く事で有名なの。だからこの中で音楽を流せば広い範囲で音が広がって沢山の人に聞かせれるはずだよ」
一刀「美里よくそんな事知っていたな、偉い偉い」
美里「えへへ♪、このミミは伊達についてないんだよ♪」
一刀は美里の頭をナデナデすると美里は甘い声を出しながら一刀の手に擦り寄り頭を擦り付けた。
華琳「これで残る問題は歌い手となったのだけれど・・・・誰がいいかしら?」
春蘭「あ~あ~、っん!ゴホン!ゴホン!」
華琳が歌い手を誰にするかその場にいる者を見渡すと春蘭が咳払いしている事に目が止まる。
華琳「春蘭、あなた・・・・」
春蘭「はい!華琳様、私が歌わせて・・・・」
春蘭は華琳の呼び掛けに元気よく手をあげ立候補しようとする。・・・のだが。
華琳「そんなに咳払いして風邪?貴方は風邪を引かないと思っていたのだけれども、仕方がないわね歌い手は他の子にするしかないわね」
春蘭「えぇ!?か、華琳さま!私はだいじょう・・・・華琳さま~~」
春蘭が弁解しようとするも華琳の視線はすでに春蘭から外れており聞く耳を持ってもらえなかった。春蘭の隣に立っていた秋蘭は肩に手を置き肩を落とす姉を慰めた。
華琳「そうねぇ、流琉と季衣、美里、桂花では幼すぎるし凪達と秋蘭達には軍の指揮をとってもらわないといけないから・・・・・・一刀貴方が歌いなさい!」
一刀「ふえぇ!?な、なんで俺が?」
華琳「貴方の国の歌なのでしょう?だったら貴方が歌った方が良いに決まってるじゃない!」
一刀「いやいや無理無理!!絶対に無理だって俺に歌なんて!!」
一刀が頑なに断ろうとするも、両脇からガシッと腕を掴まれる感触が両腕を見ると地和と人和がガッシリと腕を掴んでいた。
地和「我がまま言ってないで早く練習するわよ!」
人和「歌詞なんかも教えてもらわないといけないから急いで」
一刀「い~や~だ~!!ぜったいにいやーーーーーー!!!」
足をバタつかせながらも二人に引きずられてその場を後にする一刀。華琳はその光景を楽しみながら残った武将に指示をだす。
華琳「さぁ、準備を始めるわよ!秋蘭、春蘭、季衣、流琉は洞窟の入り口を固め侵入の阻止。凪達は黄巾党を三人の歌声が聞こえる範囲までおびき寄せなさい。桂花と美里は全体の指揮!これは時間との勝負よ全軍!総急に準備を始めなさい!」
全員「「「「「「御意!」」」」」」
いよいよ華琳達は黄巾党との最終決戦に向け準備を始める。一刀たちは天界の歌を現在の言葉に置き換えて更に地和が歌詞を変えて行き新しい歌を作る。
桂花達は音を反響させるため洞窟の入り口に大量の鉄の棒を差し込み音の増量を図る。春蘭達はいつでも戦えるように武器の手入れをし、凪達は黄巾党の動向を探るべく本陣を後にした。
それから数日がすぎ、黄巾党は華琳たちのすぐ手前までその脅威を伸ばしていた。華琳達の本陣ではもしもの場合のために黄巾党を迎撃するための準備が進められていた。
地和「姉さん大丈夫?」
地和と人和、そして一刀は診療所で療養している天和の様子を見に来ていた。天和は熱も下がり今は体力回復のため寝台の上で寝ている。
天和「うん、大丈夫だよ。それよりもごめんね二人とも、お姉ちゃんがトロかったせいで・・・」
人和「なに言ってるのよ姉さん」
地和「そうよ!天和姉さんが助けてくれなかったら今頃ちぃは・・・・」
そこで地和は言葉が詰まる。あの時自分が死んでいれば天和は傷つかなくても済んだはずでは、そう思うっていると寝ている天和の手が伸び優しく地和の頬をなでる。
天和「そんなに自分を責めないの!・・・そうだ!ちーちゃん、髪をほどいてくれない?」
地和「え?なんで?」
天和「いいから、ね?」
地和は姉の言う通りにサイドに束ねていた髪をほどくと天和は自分の髪を束ねていた黄色いリボンを解きそのリボンで地和の髪を結んであげる。地和は姉の行動に驚くと共に気恥ずかしくなり頬が赤く染まった。
地和「ね、姉さん!?///// //////」
天和「私は此処から動けないけど、私も傍にいるってこと忘れないでね。・・・・ちーちゃん、人和ちゃん…頑張ってね!!」
地和「姉さん・・・・うん!ちぃ頑張っちゃうんだから!ほら人和、一刀いくわよ!」
人和「それじゃ姉さん・・・・いってきます」
二人は勢い良く診療所の入り口から飛び出す。一刀もその後に続き出ようとすると天和に呼びとめられた。一刀が後ろを振り返ると寝台の上で正座をして頭を下げる天和がいた。
天和「妹たちのことを・・・・・よろしくお願いします」
一刀は天和の願いに対し黙ったまま頭を下げて答える。そして、そのまま天和を残し自分たちの舞台へと走って行った。
季衣「春蘭さま~本当に大丈夫なんですか?歌で黄巾党を止めるなんて・・・・・あれ?春蘭様?」
洞窟の入り口を守っている季衣が隣にいるはずの春蘭に質問するも返事が返った来ない。季衣は不思議に思い隣を見ると膝を丸めて地面にのの字を書いて落ち込んでいる春蘭がいた。
春蘭「うぅ、あんな奴より私の方が歌がうまいんだもん・・・グスッ」
流琉「うわぁ~かなり落ち込んでいるみたいだね」
季衣「でも、流石に春蘭様の歌は無理かもしれなかったよ。前に聞いたことがあるんだけど、何というか・・・豪快だったよ」
その光景が容易に思い浮かべられる時点で春蘭に歌い手は無理だと判断されるのは当然だと思った流琉。そして、いつまでもいじけている春蘭の背に手を掛ける秋蘭。
秋蘭「姉者、心配せずとも姉者の歌声は皆わかっている。」
春蘭「ほ、ほんとうか?」
秋蘭「あぁ、なんせ姉者の歌声は空を飛んでいる鳥も打ちてしまうほどの歌声だ華琳様もそんな姉者の歌声を黄巾党ごときに聞かせたくないと思ったからの配慮だろう。」
春蘭「そうか!華琳様はそんなにも私の歌声を気にして・・・・うおぉぉぉぉこうなれば、発声練習して華琳様にこの歌声を聴いてもらうとしよう!うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
季衣「春蘭様僕も付き合います!うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉx!!!!」
流琉「秋蘭様いいのですか?あれ?」
秋蘭「まぁ、落ち込んでるよりかはマシだろう。ほら、流琉耳栓だ」
流琉「あ!ありがとうございます秋蘭様」
秋蘭から耳栓を受け取りちゃっかり耳をふさぐ二人、春蘭達の声は周りの鉄棒に反響して更に大きくなる。その後、桂花と華琳からうるさいと怒られ更に気を落とす春蘭。ちなみにこの時、ミミが良い美里は春蘭達のバカでか
い声に驚きダウンしてしまった。
洞窟内部では地和と人和は舞台衣装に身を包み一刀もいつもの制服に腕を通していた。今は歌に集中するため精神を鎮めている最中だった。
地和「いよいよね。準備は良い二人とも」
人和「だいじょうぶよちぃ姉さん」
一刀「うぅ、なぁやっぱり俺じゃないと駄目か?」
地和「なに此処まで来て駄々こねるの!男ならシャキッとしなさい!」
バシッ!!
一刀「きゃっ!あ、やばっ!?」
いつまでもウジウジ言っている一刀に喝を入れるためにお尻を引っ叩く地和。その時、思わず女の子見ないな高い声を出してしまう一刀。
地和「なによ!可愛い声がでるじゃない。それなら大丈夫よ絶対」
人和「補助は私たちがしますから、一刀さんは曲の先行をお願いします。私たちはまだ、この曲に慣れていませんので」
一刀「あ、あぁ、わかった・・・・・・ふぅ」
ズズズズズズズズズドドドドドドドド・・・・
なんとかバレなかった事に一安心する一刀。そして、洞窟内に振動し始める。洞窟の外で大勢の移動する振動が洞窟まで響き洞窟を振動させる。コレが意味することは・・・
地和「どうやら来たみたいね。二人とも行くわよ!」
一刀「あぁ!」
人和「わかったわ!!」
地和の掛け声に二人は左右にわかれ地和を真ん中にして配置に着く。そして、一刀はケータイを取り出し曲を流し始める。
地和「さぁ、今回の曲は言霊も練り合わせた新曲よ!しっかりとその耳で聞きなさい!!」
凪「急げ急げ!、敵に追いつかれたら一間の終わりだぞ!」
沙和「ほら!ノロマなビチグソ共!モタモタするんじゃないの!奴らにクソの体をさらにクソにされたいか?なの」
真桜「お前ら気しばって行きいや!あともおちょいがな!」
洞窟の外では凪達が黄巾党を追われながら洞窟から聞こえる声の届く範囲まで誘導していた。しかし、黄巾党の進軍速度はすさまじく、馬で全力で走っているにも関わらず徒歩の彼らに追いつかれそうになる。
真桜「あかん凪!このままじゃ追いつかれてまう」
沙和「もう駄目なの!!」
凪はもう駄目かと思い。かくなるうえは自分が敵の注意を引いて皆を逃がすか。そう思い方向を黄巾党の方に向けようとした時、耳に微かに声が聞こえる。
凪「この声は?・・・・・もしや」
凪達は走る速度を更に速くする。声は凪達が走れば走るほど大きくなり、そして立ち止まった時にははっきりと彼女たちの歌声が耳に届いた。
沙和「真桜ちゃん聞こえる?歌だよ!ちぃちゃん達の歌だよ!」
真桜「あぁ、うちにもはっきり聞こえるで、しかも隊長の声がはっきりとわかってまうで!」
凪「これが隊長達の歌声・・・・綺麗だ」
凪達は黄巾党がそこまで迫ってきているのも関わらず一刀たちの歌声に聞き入ってしまう。しかし、彼女たちは感じていたのである。自分たちを襲おうとしている黄巾党達の足がいつしか遅くなりその歩みを止めようとしていることに
洞窟の入り口では洞窟から流れ出る風と共に彼女たちの歌声が流れる。洞窟に一番近いため耳を塞ぎたくなるほどの大音量の筈なのに誰もしようとは思わなかった。それだけ、皆彼女たちの歌に聞き惚れているからだ。
季衣「うわぁ、すごく胸がドキドキしますね春蘭様」
春蘭「ふん!これなら私の方が上だ!・・・・まぁ、私と同じぐらいには良い声しているがな」
流琉「なんて綺麗な歌なんでしょうね」
秋蘭「流石と言うべきところだな。」
洞窟の上では全体の指揮をとっていた華琳と桂花が洞窟から響く歌声に耳を傾けながら立ち止まろうとする黄巾党の様子を窺っていた。先ほどダウンした美里は今は桂花の背で心地よい歌声を聴きながら寝息を立てていた。
美里「スピ~スピ~Zzz」
桂花「まったくこの子!今が戦時中だっていうのに」
華琳「仕方がないわよ。これほどの歌声を聞かされたのなら、でも油断は出来ないわ。今は立ち止まってはいるモノのまだ戦闘意識を奪えていないわ。ここからが踏ん張りどころよ」
洞窟内部では一刀と人和そして地和は汗だくになりながらも歌を歌い続けていた。一刀の声は普段つかっている声よりも高くリンのある歌声で二人をリードし崩れたリズムを人和がカバーし元のリズムに戻す。そして地和が全体のバランスを保ち二人を引っ張っていく。
♪~~~~~♪~~~~~♪~~~~~~♪
本来なら此処は姉の天和がするポジションだが今は自分しかいない、姉がいない分自分がやらなくてはいけないそんな思いが込み上げ、地和は今まで以上の力を発揮し二人を引っ張っていく。
人和(すごい姉さん。今まで以上に歌がうまくなってる)
一刀(なんだろ、すごく楽しい。歌うのってこんなに楽しかったのか?)
地和(みんな聞いて!ちぃ達の思い!みんなの思いを!みんなもう悲しまなくていい、苦しまなくていいから!・・・だからもうこれ以上・・・・)
♪~~~~~♪~~~~~♪~~~~~~♪
歌は終盤に差し掛かり彼女たちの歌声にも熱が入る。これで全てを終わらせる。彼女たちの覚悟と決意の歌声が洞窟内に響き洞窟周辺の全地域まで歌声が届く。その時、洞窟内から光る胞子が噴き出し辺り一面に降り注ぐそれはまるで天が彼女たちの歌に感謝をしているかのように見えた。
凪「これは・・・・すごい」
真桜「神さんも粋なことするなぁ」
沙和「見て!二人とも、黄巾党の様子が可笑しいの!」
沙和の声に二人は黄巾党の方を見ると、二人は驚いた。なぜなら、彼らが涙を流しながら倒れていたからだ、それも全軍三十万人もの人間が一斉に倒れたのだ。その顔は涙を流しているもとても安らかに笑っていた。そして、彼らが持っていた張三姉妹のグッズは砕け散り灰となって消えてしまった。
その様子を崖の上から見下ろす干吉。その手には天和達に預けていた太平要術が握られていた。
干吉「おやおや、まさか私の術を破るほどの暗示を掛けると驚きましたね」
カタカタカタ・・・・
干吉がさほど驚いた様子も無く微笑んでいると持っていた本がカタカタと手の中で揺れた。
干吉「おや?えらく彼女の事が気に入ってたようですね。まぁ、彼女がもう少し欲望に忠実だったのならよかったのですがね」
ガタガタガタガタ!!!!
そう言うと本は先ほどよりも大きく揺れまるで怒っているかのようだ
干吉「え?それだと彼女の可愛さがなくなる。ふぅ、そんなものなのでしょうかね。まぁ、次の契約者はかなりの欲が深いようですから、違う意味で貴方は気に入ると思いますよ♪」
そう言うや否や干吉はその場の風景に溶け込むように消え去っていった。あたかも、初めっからそこに存在していなかったかのように。
洞窟の入り口では黄巾党が完全に沈黙した知らせを聞き春蘭達は空に高々と勝ち鬨を上げていた
春蘭「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
兵士「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」」」」
華琳は上からその光景を見て溜まっていた疲れを吐き出すかのように大きく息を吐いた。
華琳「どうやら成功したみたいね。桂花、後の事は任せるは」
桂花「華琳さま?どちらに?」
華琳「一番の功労者に労いの言葉を掛けにね♪」
そう言い残し華琳は洞窟内部へと足を運ぶ、中に設置された舞台の上では三人の少女が大の字になって倒れ
ていた。
少女たちは息を荒くして胸を上下に膨らましながら呼吸を整える。少女達の顔は晴れやかなスッキリとした顔をしておりとても輝いていた。
一刀「どう・・・・なったんだろうな黄巾党」
人和「分からないわ・・・・成功したのか・・失敗したのかすら・・・・」
地和「まぁ、でも成功しようが失敗しようちぃたちには関係ないわね。なんたってちぃたちは黄巾党を束ねていた大罪人、処刑されることに違いはないわ」
一刀「そんな、なんとかなるだろう!こんな苦労までして、全力で黄巾党を止めて・・・」
地和「無理ね。漢王朝から正式に討伐命令が出た時点で決まってた事だから、一刀が気に病む事はないわよ。ちぃ達も止めると決めた時から覚悟は出来ていた。・・・・だから」
華琳「あら?貴方達はもう死んでいる事になっているわよ」
三人「え?」
突然の声に上半身をあげて声のした方を見る。そこにはニヤ付いた顔をしながらこちらにむかって歩いてくる華琳がいた。
地和「それってどういうこと?」
華琳「貴方達は最初の暴走で黄巾党本陣で殺された事になっているのよ。漢王朝はそれで納得したみたいわよ。まったくこんなデタラメ信じるなんてどこまで腐ってるのかしらね」
華琳は吐き捨てるかのように悪態をつく、地和と人和は信じられないと思いながらも、それだったら自分たちはどうなるのか聞いてみる
人和「だったら、私たちはどうなるのですか?それに黄巾党の人たちは」
華琳「彼らにはそれなりの処罰を与えるつもりよ。まぁ、死ぬようなことはさせないわ、せっかく手に入れた戦力ですもの無駄にはしたくないわ。・・・それと、貴方達には私が収めている領地を周り歌で宣伝してほしいの」
地和「歌で!?え?ちぃ達これからも歌い続けてもいいの?」
華琳「もちろんよそのために助けたんですもの。ただし、私のために働く事が条件よしっかり私のために働いてもらうから覚悟しなさい」
地和「まかせなさい。アンタにちぃたちの力見せつけてやるんだから!」
人和「ね、姉さん!?いいの?私たち利用されるんだよ」
地和「なに言ってんのよ人和!これが私たちに残された最後の好機なのよ。やっぱり暮らすなら楽しく暮らしたいじゃない」
人和はぁまったく姉さんは・・・・まぁ、これぐらいが姉さんらしいのだけれど・・・」
華琳「さぁ、話がまとまったのなら早く立ち上がりなさい。今日は宴にするのだから!ほら、一刀も早くたって準備の手伝いをしなさい!」
一刀「ふぇ!?数行前の会話の一番の功労者って俺じゃないの?労いの言葉無し!?」
華琳「すべこべ言ってないで早く行きなさい!!」
一刀「ひぃぃぃぃぃぃっぃ!!!」
華琳に蹴られながらも走る一刀、その光景を嬉し涙を流しながら笑う地和と人和。こうして、黄巾党の脅威は張三姉妹と天の御遣い一刀と華琳たち曹操軍の力によって消滅したのだった。
華琳「さぁ、皆の者今日は存分に酒を飲み料理を食し楽しもうではないか!!」
兵士「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」
戦闘が終了した夜、華琳が言ってた通り夜は盛大な宴が開かれた。兵士たちは戦闘の緊張感から解放され酒などを盛大に飲み干し宴を楽しんでいた。
一刀「はぁはぁ、ったく華琳の奴、人をこき使いやがってはぁはぁ」
一刀は歌で体力が無いにも関わらず働かされたおかげで最早一刀の体は限界に来ていた。
華琳「御苦労さま一刀」
一刀「か、華琳・・・お前なぁ人をどれだけ働かせれば・・・・『はい//// /////』・・・ん?あ、ありがとう」
一刀は華琳から皿に盛りつけられた料理を受け取り箸を付ける。その料理を口に入れるとその味は今まで食べた中で一番おいしい分類に入る美味しさだった。
一刀「お、おいしい!!なに、これ?凄く美味しんだけど!?もしかして、華琳が作ったの?」
華琳「まぁ、アンタが一番の功労者だってことは確かだから、労うのは主人の役目なわけだし・・・・それだけよ!///// /////]
頬を染めながら背を向ける華琳の姿はとても可愛く思えた。一刀は思わずギュッと抱きしめようと手を伸ばそうとするのだが。
真桜「たいちょ~う♪飲んでるかぁ~?\\\\\ \\\\\\」
沙和「えへへ~、全然飲んでないみたいなの~だったら、沙和達が飲ませてあげちゃうの~\\\\\ \\\\\]
一刀「沙和!?真桜!?お前ら酔ってちょ!待て!俺は酒はむrグプッゴクゴクゴクぷはぁ!?////// //////」
突然絡んで来た沙和と真桜にはがいじめされ無理やりに酒を飲まされる一刀、口に入れられた酒を全部飲み干す。すると、一刀の危機を察知し凪が真桜と沙和を一刀から引きはがす。
凪「真桜!沙和!お前たち隊長になんて事を!?」
沙和「えぇ~だって隊長折角の宴なのに全然飲んでなかったの~///// //////」
真桜「それでも隊長良い飲みっぷりだったでぇ/////// ////////」
凪「まったくお前たちは・・・大丈夫ですか隊長?・・・・・隊長?」
いつまでも起き上がらない一刀の様子が可笑しい事に気が付いた凪はゆっくりと一刀の傍に近づく。
凪「隊長どこか御気分でもわるいうわぁ!?」
ガバァッ!!
凪が一刀に触れようとした瞬間、一刀は突然凪に覆いかぶさり押し倒してします。凪はいきなりの事で顔を赤くして動揺してしまう。
凪「たたたたた隊長!?お、落ち着いてください!み、みなが見ていますから!?こ、こういう事は皆がいない場所で…・・・隊長?」
一刀「ニヤ~~~~♪/////// ////////」
動揺しまくる凪は様子が可笑しい一刀の顔を覗くと頬は赤く染め緩んでおり目は焦点が合っていなく、言葉もろれつが回っていなかったが、凪はそんな事よりも一番気になることがある。それは・・・・
一刀「凪ちゃん・・・・ぎゅってする~~~~~♪/////// ///////」
凪「なーーーーーーーーー!?!?!?//////// //////」
春蘭「どうしたのだいったい?」
流琉「なにかありましたか?」
季衣「うにゃ?」
美里「か、カズ君!?」
そう一刀が女の子言葉を話しながら凪に抱き付いたことだ。凪は嬉し恥ずかしさのあまり悲鳴をあげてしまい。それを聞き春蘭や流琉達まで来てしまう。
一刀「えへへ♪可愛い子がいっぱ~い、みんな・・・・ぎゅってする~~~~♪//////// ///////」
一刀は凪の抱擁を堪能すると標的を変えて次々に抱きついて頬ずりしていく。
一刀「季衣ちゃん、流琉ちゃんはちっちゃくて可愛い~~♪スリスリ~~♪///// //////」
流琉「に、兄さまは、はずかしいです////// /////」
季衣「あははは、にいちゃんくすぐったいよ♪」
一刀「美里ちゃんはふわふわで気持ちねぇ~~~♪/////// //////]
美里「ふわわ!?み、ミミをそんなに引っ張らないでよ!あぁ!髪の毛をそんなにクルクルしちゃダメェ!!」
一刀「秋蘭の体って冷たくて気持ちぃ~ヒンヤリするぅ~♪//////// //////」
秋蘭「ふふ、まぁ、一応礼を言っておこう」
一刀「桂花のネコミミ可愛い♪抱き心地がグッド♪///// //////」
桂花「こら!何勝手に握ってるのよ!離れなさいよ!妊娠しちゃうでしょ!」
一刀「華琳のクルクル可愛い♪ビヨィ~ンってバネみた~い♪/////// //////」
華琳「そう・・・・そんなに死にたいようね」
そして、次の標的として目に入ったのは春蘭。春蘭は一刀の視線を感じ迫りくる一刀に身を構える。
春蘭「こい北郷!私はそう易々と抱かれはしな・・・い?」
一刀「沙和ちゃん眼鏡萌え~♪真桜ちゃんの胸フッカフカ~♪////// //////」
沙和「いやん♪隊長だいた~ん♪////// //////」
真桜「隊長のすけべ~♪////// ///////」
春蘭「コラぁぁあ!!ちょっとまてぇい!!」
春蘭を物の見事にスルーした一刀は春蘭には目もくれず沙和と真桜に抱きつく。春蘭はなぜ自分だけ素通りされたのか怒りが込み上げ一刀の首根っこを引っ掴まえてネコのように持ち上げる。
春蘭「な~ぜ?私には抱きつかずに素通りするのだぁ?北郷?」
春蘭の顔は笑っているものの額には血管が浮き上がっており、明らかに怒っているのが見てわかる。それなのに一刀は自分の頬っぺたを指でプニッと抑えながらとぼけたふうに
一刀「だってぇ~春蘭ちゃんってぇ~鍛練ばかりしてて体が筋肉ばかりで~背も高くてぇ~はっきり言って抱き心地が悪そう♪あともう少し痩せた方がマシになるかも♪///// //////」
ブッチン!
春蘭「大きなお世話だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ブオォン!ブオォン!ブオォン!ブオォン!ブオォン!ブオォン!
一刀「ニャアァァァァァァァァァァァァア!!!!」
一刀は春蘭の触れてはいけない部分に触れてしまい。首根っこを掴まれたまま盛大に振り回され目を回してしまう。
一刀「キュウゥゥゥゥゥ・・・・」
春蘭「フン!」
華琳「まぁ、自業自得よね。凪、この抱き付き魔を天幕に放り込んできなさい」
凪「あ、はい!」
凪は華琳の命令で目を回して地面に倒れている一刀を背負い天幕まで連れて行く。
天幕に着くと一刀を寝台にそっと寝かせる。
凪「ふぅ、まったくまさか隊長がお酒を飲むとあんな風になられるとは・・・ふふ、あの時の隊長可愛かったですよ♪」
プニプニ
一刀「ムグッ・・・・ぐ~Zzzz]
凪は頬笑みながら酔いつぶれて寝ている一刀の頬を指で突くと起きてしまいそうだったので総急に止め天幕を後にしようとする
凪「それでは隊長お休みな・・「熱い」・・・え?」
凪が去ろうとすると寝言なのか一刀は熱いと何度も言い暑苦しそうに寝返る。凪は出ようとしていた足を戻し寝台の横までもどる。
凪「こ、これは隊長が暑苦しそうだから部下として体調管理も義務なわけで!け、決して隊長の裸を見たいとそんな破廉恥な考えはなくて!!」
凪は誰に言っているわけでもなく弁解を言いながらも一刀の服に手を掛け、ゆっくりと上着のボタンを外していく。
凪(うわぁ、隊長の体って上着でわからなかったが凄く細いんだなぁ。体の横の線がはっきり見える)
次に中に来ていたTシャツを捲っていく
凪(隊長のお腹・・・柔らかそうでなんだか美味しそう。ジュル・・ってなにを考えているのだ私は!?・・・・ん?これは・・・・)
Tシャツを捲っていくと胸の辺りに堅く巻かれたサラシがある事に気づく凪。彼女はコレが原因で熱がっているのだと思い外していく
凪(こんな物を隊長は巻いていたのか、それでは熱い筈だ。しかし、あぁ、隊長の胸板・・・なんて柔らかそうな胸なのだろう丸みを帯びていてまるで山のようになって・・・・・・やま?)
凪「やまーーーーーーーー!!!!!」
凪はサラシを解くのを止め後ずさってしまう。凪の目の前には凪が話した衝撃で揺れる二つの山、そう一刀がサラシで押さえつけていた胸があった。凪は深呼吸してもう一度一刀の傍までやってきてじっくりと観察する
凪「ほ、本物なのか?これは?」
凪は本物かどうか確かめるべく一刀の胸を優しく掴む
一刀「あっ!///// ////」
凪「!?」
一刀の敏感な反応に驚く凪、胸は間違いなく本物だった。しかし、凪はまだ信じられなかった。彼女は更なる確証を求めるべく一刀の下半身に注目する。
凪(お、男ならアソコにあるべきものがあるはず・・・・・よし!)
凪は覚悟を決め一刀のベルトを外しズボンを下げる。しかし、そこから現したのはリボンの付いた子供っぽい可愛い下着だった。
凪(な!?た、隊長、あなたはそのような下着が好きだったのですか・・・・いやいや、今はそれどころじゃない今は男か女かを確かめるのが先決!覚悟を決めて・・・・・いざ!!)
凪は心の中で覚悟を決め一刀のアソコに向かって手を伸ばす、そしてそこには伝わるべき柔らかい感触はなかった。これで確定した天の御遣い北郷一刀が女である事が!
一刀「へらぁ~~~可愛いモノがいっぱ~い♪」
自分の正体がバレたとは知らず一刀は可愛い動物や物に囲まれる夢をみて幸せそうな顔をしながら深い眠りについたのだった。
おまけ
左慈「・・・・・・・こんなものか」
干吉「ただいま戻りましたよ左慈。・・・・おや?どうしたのですかその花束?花瓶などに埋けて大事そうに飾ったりなどして」
左慈「だまれ!それ以上詮索したらその眼鏡をテメェの目ん玉に押し込んで同化させてやる」
干吉「おぉ、機嫌がよろしくないようですねぇ。そんな貴方にお土産があるんですよ!」
左慈「土産だと?そういってくだらねぇ物だったら容赦し・・・」
干吉「ジャ~ン!見てください張三姉妹舞台衣装!しかも、左慈用に特注したニューモデルなのでパンチラなんかもみせゴハァボ!!」
左慈「やっぱりくだらねぇ物だったじぇねぇか!まったくこんなもん男に着せて何が楽しいん・・・だ・・・か・・・・」
妄想スイッチオン♪
一刀「ざ、左慈・・・あまり見ないでくれるか?恥ずかしい///// //////」
左慈「はっ!何言ってんだよに会ってんだから恥ずかしがることねぇじゃねえか!」
一刀「ほ、本当?えへへ、うれしいな♪」
左慈「おい、そろそろ俺のために歌ってくれないか?」
一刀「うん、それじゃ愛を込めて歌うね♪」
妄想スイッチ強制オフ
左慈「・・・・・・・・・・・フン」
バタン!
干吉(おや?タンスの中に閉まったと言うことは着る気はあるのでしょうか?これは偉大なる一歩ですね!あともう少しですよ!私!!)
終わり
あとがき
如何でしたでしょうか、本当ならもっと早く投稿するはずだったのですが色々と容量が大きかったため作業に手間取りましたすみません。
さてここでご報告、入社試験一次審査の筆記試験突破しました!これも皆さまの応援のおかげです。そして皆さまに感謝して挿絵を張らせてもらいました。かなり容量が大きかったため貼るのに苦労しました。一刀の全体がは初めてだったので難しかったです。どうですか?男の娘みたいに見えますかね?
前回お話したとおりに一刀の正体がとうとうバレテしまいました。皆さんは予想は当たりましたか?多分この後にも何人かにはバレてしまうのでは無いかと自分では思っています。
それでは今回はこの辺で失礼させていただきましょう。
次回からは反董卓連合編へ突入します。お楽しみに
コメントや応援メッセージは遠慮なくドンドン書いてくださいね。楽しみにしています。次の投稿は入社の面接試験があるので二週間後になります。すみません
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