No.184281

真・恋姫†無双 たった一つの望み 第八話

やっと恋"姫"の登場です
それでもまだ一刀君との絡みはないですが・・・
やっぱり戦闘描写苦手だなぁ、お手本とか紹介してくれる方いないかしら?

2010-11-13 17:19:01 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:2065   閲覧ユーザー数:1775

私は個人主義を尊重する

 

各個人がそれぞれに自分にできること、やりたいことをすればいい

 

自然、起き得る衝突は避けがたいだろう

 

しかし、それこそが世界であり、我々が生きる人の世というものだ

 

「・・・完全に迷った」

 

華佗と別れてから数ヶ月、北上を続け冀州を目指して旅を続けてきた

しかし、その途中で賊を見かければ討伐をし、助けて欲しいと頼まれては足を運んでいた

そうして噂を広めることに集中しているうちに、いつしか自分の現在位置がわからなくなってしまったのである

 

噂は狙い通りに広まっている、益州から来た行商人が知っていたくらいだから十分だと言えるだろう

ただ噂というだけあって尾鰭が付き、内容には問題が出てきていたが・・・

 

「悪事を働くと天の御使いが天罰を下すってのはないだろ

 良いように子供の躾に使われてそうでなんか嫌だ・・・」

 

他にも、天の御使いは困った人をみると必ず助けてくれるというもの

民を救い天下太平をもたらすというもののように、民の願望が色濃く反映されているのが多い

もちろん良い噂ばかりではなく、国を滅ぼす者だとか妖の化身であるというものもあった

これは、外気を扱う練習もかねて賊を相手にしていた時にうまく加減ができなかったことが原因のようだ

現代でいう学校並みの大きさの砦に向かって気弾を撃ったのだが、気をこめすぎて砦がなくなった事があり

それが誇張して伝わったらしく、噂の中に全てを破壊するために天から来たというものまであった

 

ただし、どの噂にも共通して白い衣を纏い、白い仮面で顔を隠しているという特徴が含まれていた

この特徴さえしっかりと伝わっていれば目的は果たせるので、一刀としては特に気にしていない

 

「しかし困ったな、この時代にしっかりした地図なんてないだろうし

 そもそも地図があったとしても自分の位置を把握する術がない」

 

方角を読み取るくらいは今までの経験からできるが、それだけではどうしようもない

 

「今度どこかの町か村に着いたら聞くしかないな」

 

そう結論付けて歩き続けているものの、未だにそれらは見えない

目立つ服を隠すように全身をすっぽりと覆っている黒い外套も、心なしかくたびれて見える

疲れているわけではないが、あてのない道は精神的にもくるものがある

 

それに・・・と一刀は思う

ここ数週間の内に何度か相手をした賊や野盗のほとんどが、黄色い布を身に着けていた

黄巾の乱が始まっている事は間違いなく、できれば余裕を持って終結の地の近くにはいたい

 

「黄巾の乱って詳しい事はわからないんだよな・・・

 首謀者の張角ら三人と冀州の地で諸侯によって討伐されたってことくらいしか」

 

焦れる気持ちから、少し歩く速度を上げつつ先を目指す

その先の荒野で砂煙を見つけるのは、それからしばらくしてからの事だった

 

砂煙の元に近付いてみれば、どうやらどこかの官軍と黄巾党が戦っているらしい

見たところ黄巾党の数は数千人規模だが、官軍は騎兵で五百人程度しか見えず劣勢のようだ

思わぬ幸運に少しだけ期待を込めて外套をバックパックに納め、戦闘準備をする

 

「オレの知ってる諸侯の勢力ならラッキーだな」

 

そう言うと一刀は黄巾党と官軍の入り乱れる戦場へと駆け出した

 

 

「ダメです、数が多すぎて対応できません!」

「このままでは囲まれてしまいます!」

 

公孫賛は部下からの報告にどう返すべきか悩んでいた

騎兵の強さはその突進力にある、今のように足を止められてしまえば数の差もあって分が悪い

 

「星はどうしてる!?」

「趙雲様は未だ前線で敵を食い止めておられますがこのままではッ!」

 

そもそも今回の相手は三百人程度と聞いていた、だからこそ確実に必要な数としてその倍の六百人を率いて来た

しかし、実際に来てみればどこから湧いてきたやら賊が見る間に集まってきてこの有様だ

いくら相手が元農民が多く、装備も不十分であるといってもこれだけ数に差があるとどうにもできないのが現状だった

 

「残っている兵を集めろ!星にも伝令を、一度退いて態勢を立て直す!!」

 

被害は大きくなるだろうがここで全滅するわけにもいかない

態勢を立て直すことさえできれば騎馬の足には歩兵では追いつけないだろう

そう考えて撤退命令を出した直後、自分の右前方にいた賊が轟音とともに空を舞った・・・

 

 

「面倒だな」

 

戦場についてから真っ先に一刀が思ったのはそれだった

敵味方がこれだけ入り乱れてると下手に大技を使うわけにもいかない

だが官軍ももはやギリギリ持ちこたえているといった状況で、のんびりと一人ずつ倒していては埒があかない

 

「とりあえずこっちに意識を向けさせれば態勢も立て直せるかな?」

 

そう言って右手に気を集中させると、拳を振りぬいた勢いでそのまま気弾を飛ばす

陽炎のように揺らめくなにかが凄まじい速度で官軍から少し離れた黄巾党に向かう

 

次の瞬間、地面が爆発したかのような轟音とともに人垣が吹き飛んだ

 

――なにが起きた?

 

趙雲は周囲を警戒しながら音のした方に少しだけ意識を傾けた

 

公孫賛と一緒に賊の討伐に来たは良いが、結果として囲まれ必死に凌いでいたがそろそろ拙い

一人一人は強くなくとも数で押されては疲労が溜まるのもはやい

足元を見れば切り捨てた賊のせいで真っ赤に染まった地面は泥濘、死体が邪魔で足場は狭い

 

ここで退かなければ状況は悪くなる一方であり、何とかして退路を確保しようとしていた矢先にさっきの音である

周りを見ればさっきまで自分を殺そうとしていた者達も音のした方に気を向けている

 

「ここは退かせてもらう!」

 

美しい意匠を凝らした赤い槍を大きく薙ぎ、周囲の敵を払うと残った味方とともに公孫賛の元に向かった

 

 

「すごい・・・」

 

部下の誰かが呟いた一言だが、心境はまったく同じだった

手にしているのはよく見えないが小さな刃物一本だけ、だというのに賊は手も足も出ない

 

轟音の起きた場所の砂煙が晴れると、そこには白い服を着た男が一人立っていた

敵も味方も気を取られ、注目を集めた男はそのまま周りにいた賊に向かって行った

 

それから先は一方的な展開

賊が何人も男に向かって行くが触れることもできずに一方的に倒されて行く

右手の刃物を振るうたびに数人の賊が喉を斬られ、拳や足を振るえば冗談のように人が飛ぶ

 

「白蓮殿、あれはいったい何者でしょうな?」

 

気が付けば側にいた星が、やはり同じ男をみて話しかけてきた

 

「わからない、だけどあの男のおかげでこちらは助かった

 賊はみんなあっちに集中しててこっちには少ししか来ないからな」

「そうですな、それにあの様子では手助けすれば邪魔になってしまいそうだ」

 

文字通り一騎当千をこうして見せつけられてしまっては、星の言うように下手な援護をすることもできない

仕方なく部下に周囲の警戒をするように伝えると、一方的な戦いを見守るしかなかった

 

左手に掴んだ人を勢い良く目の前の人垣に向かって投げると、数人の賊が巻き込まれて倒れた

右から振り下ろされた剣は持っている手首を蹴り上げてから持ち主の首を薙ぐ

 

できるだけこちらに敵が集まるように、普段ならしないような非効率的な方法で気を惹いていたが、どうやら官軍は一箇所に集まって態勢を立て直せたようだ

騎馬による突進力を生かすために助走をつけるつもりなのか、都合よく少し離れてくれている

 

「なかなか有能な指揮官がいるのか、それとも偶々か

 どちらにせよこれで遠慮なくやれる」

 

今までは敵味方入り乱れていたため、無差別に攻撃するわけにもいかなかったが周りに敵だけとなれば遠慮はいらない

ナイフを軽く一振りして血糊を飛ばし納刀すると、両手に気を集中させる

軽くバックステップして距離を取り、黄巾党に向かって宣告する

 

「死にたくなければ今すぐ武器を捨てろ!

 二度と悪事に手を染めないと誓い、一目散に逃げるといい!

 だが、ここで退かないならば、その命このオレが貰い受けるッ!!」

 

我ながら白々しい台詞だと思いつつも、天の御使いらしい演出ではあるか・・・と述懐し様子を見る

だが、当然のように逃げる者はほとんどおらず、返答の代わりに敵は叫びながら襲いかかってきた

 

「やっぱりそうなるよな・・・」

 

――さようなら

 

そう笑顔で呟いて、賊の群れに向かって気弾を連続で撃ちこんだ

 

 

目の前で起きたことが信じられない

 

白服の男が突然賊に向かって降伏するように呼びかけた

もちろんそんなことでどうにかなるわけがなく、賊が男に襲いかかった瞬間

 

――賊の群れが爆発した

 

もちろん実際に爆発したわけではないだろうが、そうとしか表現できなかった

その後も爆発はしばらく続き、辛うじて生き残った賊も武器を捨てて逃げて行った

本来なら追撃しなければならなかったが、呆気に取られていたためすっかり忘れてしまった

少なくとも二千人は残っていた賊が、たった一人を相手に全滅なんてまるで悪い夢だ

 

あまりの事に立ち尽くしている私たちに、男がゆっくりと歩いてくる

 

それを見て誰かが呟いた

 

 

 

――あれが・・・噂の天の御使い?

 

 

あとがき

 

 

どうも、へたれキノコです

いやー、まいったまいった

一刀君よく考えたら地図とか持ってないんだもの

方角とかはある程度わかるだろうけど、どうやって冀州に辿りつくつもりだったのやら

普通に考えれば行く先々でここはどこか聞けば良いのにね、さすがウチの一刀君はうっかりさんですね!

さて今回はどこまで行ったかと言いますと、登場人物からもわかるように幽州です

完全に冀州を通り過ぎましたね・・・それはまぁいいとして、改めて思った事があります

 

今第何話だったかな?→第八話

プロローグから前話までいくつあった?→八つ投稿済み

 

そして今回、第八話にしてやっと恋"姫"の初登場

 

つまりここまで恋姫成分まったく無し!!!

 

私は思いました

この小説読んでくれてる人はすごく期待ハズレだったのだろうな・・・と

そんなわけでやっと恋姫らしくなってきました

この先は彼女たちが私の小説にも潤いをもたらしてくれるでしょう

 

これからもへたれキノコをよろしくお願いします

 

◇コメント返信のコーナー

 

第八話投稿時のコメントより・・・

 

Q1.冀州…袁紹?

Q2.袁家が滅ばされるのか!?

Q3.有力?諸侯が消えるのか…

A1-3.ちょっと待って、どういうこと・・・?

 

冀州と言えば袁紹?ってのはわかります

だがしかし、なんで袁家に終了フラグ立ってるんですかw

みんなそんなに袁家嫌いなのか?

ウチの一刀がそういうイメージなのか?

それともそういう展開が望まれてるのかな~と今回も悩みました

 

袁家を滅ぼす一刀君を想像してちょっとニヤッとしたのは内緒ですよ?

 

以上でコメントへの回答は終了です

 

 

それではまた次回の更新で!


 
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