ここは建業から南にある大きな平野
???「ああ~~~~~~~もうっ!!!なんでこんなことになるのよ!!!」
「そんなこと言われても」
彼女は、姓は太史、名は慈、字は子義、真名は純夏(すみか)
燃えるよな赤い瞳に、黒い長髪をポニーテールにしている
胸元からおへそを露出しているなんとも変わった服を着ている
その彼女が何故こんな大声で叫んでいるのかというと
純夏「情報ではせいぜい千五百だって聞いていたのに、なんで八千人近くいるのよ!!」
「はっ、おそらくやつらは、少数で周辺を襲い、大群であることを隠していたと思われます」
そう、彼女の手勢5百人は今、8千人近い黄巾党に囲まれていた
純夏「帰ったら絶対、雪蓮と冥琳に給料上げてもらって、地位も上げてもらって、休暇を貰って思い切り遊んで・・・・・(ぶつぶつぶつぶつ)」
彼女がそんなことをぶつぶつ言っても時間は止まってくれない
黄巾党はドンドン迫ってくる
純夏「ええい、こうなったら連中を一点で突破して、一旦建業へ引くわよ!!!」
彼女がそう言った瞬間
ズバーーーーーン!!!ズドーーーーーーーン!!!
純夏「な、何っ!?」
いきなり大きな音と閃光が走ったと思ったら黄巾党の後方が弾け飛んだ
「わ、分りませんが、黄巾のやつらが次々と吹き飛んでいます」
黄巾党のやつらは自分達の後方で何が起きたのか分らずに混乱状態に陥っている
純夏「・・・・・はっ!?今よ!この状況を利用して一気に畳掛けるのよ!!」
「はっ!!」
「おう!!」
彼女は部下にそう指示し、己の武器である紅蓮槍を手に持ち駆け出した
それからはまさに圧巻だった
黄巾党は自分達の身に何が起こっているのかわからず混乱状態に陥り、そこを孫呉の精強な兵に挟み込まれる形で次々にチリジリバラバラになっていく
一刀「どりぁーーーーーーーーーーーー!!!!」
ズバ!ザン!ドシュ!グシャ!バキ!ドシュ!ザン!ドカ!ズバ!ドカン!バキ!ズバ!
一刀は群がる黄巾党をまさに、ちぎっては投げ、ちぎっては投げという感じで屠っていった
そんな中視界に入ってきたのは
一刀「あれは、孫の旗!?まさか呉の部隊か!?」
一刀が驚いているところに
純夏「どこの誰か知らないが、助けてくれて感謝する!!」
一刀「そんなことはいい!!とにかくこの状況を何とかするぞ!!」
純夏「おう!!」
この状況の中でお互いに余計な言葉は要らなかったようだ
一刀「はぁーーーーーーーーーーー!!!」
純夏「だぁーーーーーーーーーー!!!」
「なんだこいつら!!?」
「すげーつえーぞ!!」
二人はお互いに背中を守りながら戦っていた
純夏「へぇ、お前かなり強いじゃない、名前はなんていうのよ?」
戦場だというのに、口論が出来るのはかなり余裕が出てきている証拠である
純夏「(なんで、戦いの最中だってのに、わたしはこんなにも安心しているんだろう?)」
彼女はそんなことを思ってしまう
純夏「(まるで、雪蓮と一緒に戦っているみたい)」
戦場でこんな気持ちになったのは二回目の経験だったのだから
一刀「姓が北郷、名が一刀、字は無い、あんたは?」
純夏「その背中の大剣、お前が例の山賊狩りか・・・・・あたしは姓は太史、名は慈、字は子義だ!」
一刀「っ!!?・・・・・(この人が!!??)」
一刀は記憶のタンスを再び引っぱり出す
太史慈といえば、三国志物語を読んだ人ならば誰でも知っている武将である、呉の孫策と一騎打ちで互角に渡り合い、戦に敗れた後は孫策との約束を守って日限までに敗残兵をとりまとめて帰順、合肥の戦いでは曹操軍の張遼と渡り合い、壮絶なる戦死を遂げた猛将であると
純夏「なにぼーーーっとしているのよ!来るわよ!!」
一刀「っ・・・・・おう!!」
一刀と純夏は敵軍に向かって突っ込んだ
純夏「そりゃ!!」
バシュッ!! ドスッ!!
純夏は紅蓮槍で時には黄巾党をなぎ払い、その一人に紅蓮槍を突き刺す、そして
純夏「ふんぬぅ~~~~~~~!!」
あの細腕のどこにそんな力があるのか、純夏は紅蓮槍で突き刺した黄巾を持ち上げ
純夏「でりゃーーーーーーーー!!!」
まるでバットでボールを打つように黄巾党の群れに投げつけた
黄巾達「「「「ぎゃーーーーーーーー!!!!」」」」
純夏「あーーーーーーはっはっはっはっはっはっは!!!そらそらこんなんじゃ物足りないぞ!!!もっとあたしを楽しませろ!!!」
純夏は、全身に返り血を浴び笑いながら戦場を舞う
まさに戦場を駆ける狼さながらである
その姿を見た黄巾党は
「「「「ひいいいいいぃぃぃ!!!」」」」
と、完全に腰が引けてしまっていた
一刀「(おいおい、こいつは戦闘狂か!?)」
一刀は若干引き気味だったが、この時代にはこんな人もいるんだろうと割り切った
1刻後(約2時間後)
この戦いは終わってみれば一刀の助力もあってか、孫呉の圧勝で終わった
しかし、被害も大きく、純夏は
純夏「ったく、雪蓮と冥琳の馬鹿!!こんなに怪我人がいたんじゃすぐに帰れないじゃない!!」
純夏は怒り心頭だった
そりゃそうだ
情報と全く違う上にこれほどの被害を受けてしまえばなおさらだ
一刀「・・・・・これは確かに酷いな、よし、俺が見てやろう、訓練を兼ねて!」
純夏「え?お前、医者なのか?」
一刀「そういうわけじゃないけど、友達に医者がいてさ、その人から色々教わったことがあるんだ」
純夏「・・・・・なら、よろしく頼む」
一刀「ああ!」
純夏は半信半疑だった
どう見ても医者という感じには見えない一刀に
しかし、その疑問はあっさりと掃われてしまった
一刀が荷物の中から一本の針を取り出すと
一刀「はああああああああああああああ!」
純夏「な、なに!!??」
一刀「違う・・・・・こいつらじゃない・・・・・こいつか? いや、こいつでもない・・・・・」
純夏「・・・・・・・・・・」
純夏は、なぜ治療をするのに気合が必要なのか?と、頭を傾げる
一刀「見えた、貴様ら病魔など、この鍼の一撃で蹴散らしてやる! はああああああああああ!!」
純夏「っ!!・・・・・凄い氣だ!!」
一刀「我が身、我が鍼と一つなり!一鍼同体!全力全快!必察必治癒!・・・・・病魔覆滅!」
純夏「・・・・・・・・・・」
一刀「げ・ん・き・に・なれええええええええええええええっ!!」
ぴしゃーーーーーーーーん
一刀「病魔、退散・・・・・」
それは、一刀が華陀から教わった五斗米道だった
教えられてからというもの、一刀も五斗米道について自分なりに研究し、力の強弱を自己流で身につけてきたのだ
まだ荒削りな部分があるが、それでもその万能性は健在だ
治療を受けた部下達は見る見るうちに元気になっていき、部隊は出発した頃と代わりが無いまでになっていた
純夏「・・・・・本当にお前には感謝してもし足りないわね」
一刀「お互い様だよ・・・・・それじゃ」
純夏「待て!行ってしまうのか!?まだお礼もしてないのに!」
一刀「そんなものいいよ」
純夏「そういうわけにはいかない、是非、城に招きたい!」
一刀「・・・・・どうしてもっていうなら、また別の機会にでも頼む」
純夏「・・・・・わかったわ」
無理強いをしても良くないと思ったのかここは引いた
一刀は狛煉に飛び乗り去っていった
純夏「・・・・・あたしの真名は純夏だ!!」
純夏は、去っていく一刀に大声で真名を教えた
一刀「俺に真名は無い!!あえて言えば一刀がそれにあたる!!そう呼んでくれ!!」
一刀も、大声でそれに答える
純夏「分った、一刀!!」
一刀「また会おうな、純夏!!」
振り向き様に一刀は純夏に微笑みかけた
純夏「・・・・・/////」
何故自分の顔が熱くなっているのか分らなかった
「・・・・・なんというか、気持ちのいい御仁でしたな」
純夏「そうね・・・・・北郷一刀か・・・・・」
純夏は、一刀の姿が見えなくなるまでその場に居合わせ、そのまま帰路に着いたのだった
建業に帰った純夏がはじめに言ったのは当然この一言
純夏「こら、雪蓮、冥琳!!!」
雪蓮「わっ、何よいきなり!!??」
冥琳「どうした!?」
純夏「あんた達言ったわよね、相手はせいぜい千五百ほどだって、でも実際には8千人近くいたんだから!!!」
雪蓮「うそ!?」
冥琳「それは本当か!?」
???「あらら~~~」
???「ほう」
中庭に集まった一同がそれぞれの反応を見せる
冥琳「それが本当ならこれからのことに支障をきたすな・・・・・穏!工作員や情報収集班の再教育をこれから練っていくぞ!」
穏「そですね~~♪」
冥琳「祭殿も付き合って貰いますよ」
祭「う、そういったことは、ワシは専門外じゃ」
冥琳「・・・・・祭殿ぉ」
冥琳はドスの利いた低い声で迫った
祭「わ、わかったからそのような怖い声を出すな」
祭も冥琳の前ではたじたじである
祭「それはそうと純夏、お主どうやって・・・・・」
祭が純夏に声をかけるとそこには
雪蓮「うがーーーーーーーーーーー!!!」
純夏「ガルルルルルルルルルルルル!!!」
バキ!ドカ!ズコ!ボカ!ズガン!ベキ!ボコボコ!ドカ!ゲシ!ペチ・・・・
喧嘩している自分の主と純夏の姿があった
実はこの光景は呉の国内では日常的な光景で、今では周りからはスキンシップの一部ととられているのである
冥琳「はい雪蓮、そこまで」
祭「純夏もそれぐらいにしておけ」
雪蓮「痛い痛い、離してメーリン!」
純夏「祭様、痛いです!」
喧嘩している二人の首根っこを掴んで離れさせている光景は、なんとも奇妙なものである
冥琳「純夏もすまなかった、しかし5百で討伐に行かせたのは、袁術の命令でもある、断るわけにもいかなかったのだ」
祭「うむ、つらいだろうが、ここは耐えてくれ」
純夏「・・・・・はい・・・・・」
しぶしぶそう答える
そう、孫策軍は今、袁術軍の客将として扱われていて好き勝手な行動はできないのだった
穏「ところで純夏さん~~、どうしてそれだけの大群だったのに、純夏さんの部隊はそんなに数が減っていないんですか~~?」
祭「うむ、ワシもそれは気になった」
純夏「ああ、それは・・・・・」
純夏は、事の顛末を皆に話した
雪蓮「へぇ~~~~~」
冥琳「噂の山賊狩りか・・・・・」
穏「あらら~~」
祭「そやつは、それほどの腕前を持っているのか?」
純夏「はい、おそらくこの大陸でも3本の指に入るのではと」
雪蓮「しかも純夏が真名を呼ぶことを許しちゃうなんてね~♪」
純夏「うっ、それはそうでしょう、あれだけ世話になって、何もお礼をしないなんていうのはあたしの矜持に反するわ/////////」
純夏は恥ずかしいのかそうでないのか、顔を赤らめてしまう
雪蓮「純夏って昔からそういうところがあるからね~♪」
純夏「うっさい/////」
周りからは、本当に仲のいい二人だとお思われている雪蓮と純夏であった
冥琳「ふむ、それにその山賊狩りが最近都で噂されている天の御遣いだとも言われているらしいぞ」
祭「管輅とかいう占い師の予言か」
穏「情報によればその山賊狩りさんの通った所は、賊がいなくなり次々と住みよい場所になっているらしいですからね~~、まんざら外れてもいないかもしれませんね~~」
雪蓮「そう・・・・・天の御遣い、か・・・・・」
冥琳「ん?何を考えている?」
雪蓮「うん、その天の御遣いの血を孫呉に入れてみたらどうかな~~て♪」
冥琳「ふむ、それはある意味上策か・・・・・」
純夏「ん、どういう意味よ?」
雪蓮「簡潔に言えば、天の御遣いとまぐわって孕めってことよ、純夏♪」
純夏「・・・・・///////////////////」
純夏は耳まで真っ赤になってしまう
雪蓮「あれ~~~、もしかして純夏、まんざらでもなかった?」
純夏「ぐっ、雪蓮!!////////」
雪蓮「あははははははは♪」
呉は今日も平和・・・・・・・なのかな?
こんにちはseigouです
金髪のグゥレイトゥ!さんから大史慈で純夏さんを使わせていただきました
前からグゥレイトゥさんのキャラクターを見させてもらっていましたがこのキャラが一番好きですね
さて、本格的に黄巾の乱に突入していきます
これからどうなるのか
では、待て!次回!
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