戦火の残る洛陽の街。
曹操や劉備、雪蓮が復興作業しているから、すぐに回復するだろう。
各軍の兵士が入り乱れる中、俺は怪我を隠す為に布を纏いながら街中を歩いていた。
一見怪しい人物だが、旅人の中にはこういう人間もいる。
洛陽程の街ならば、それ程、珍しくはないだろう。
俺がここにいる目的。
それは、友に会う事。
まぁ、目立つ奴らだからその辺歩いてりゃあ見つかるだろ。
大通りよりも、裏道や貧困そうな場所の方かね・・・あいつは無償で病を治すから。
病が多そうな場所を探せば直に・・・
「げ・ん・き・に・・・なれえぇっぇっぇえええぇぇぇぇええ!!!」
お、見っけ。
つか、相変わらず熱いなぁおい。
闘気が半端ないというか、下手すりゃあ殺されると思うんじゃねぇだろうか。
でも腕は確かなんだよなぁ。
間違いなく大陸でも随一の医者だ、あいつは。
ったく、それだけならいいんだけどなぁ。
「うっふぅうぅぅぅぅうううん!!!」
・・・・・・・・・帰りたくなってきた。
つか、ほんと何で華佗はあいつらと旅してんだろうなぁ・・・まぁ、実力は大したものだが。
正直、2人同時でかかってこられたら勝てる気がせん。
実力はあるんだけどなぁ・・・変態でなきゃ孫呉に勧誘すんのに。
・・・ホントにあいつら嫌なんだよなぁ・・・・・・何か必死に俺の背中に居たがるし。
居たら居たらで何か妙な視線感じるし。
背筋寒くなって鳥肌立って・・・ああ、考えたらキリがねぇ。
ったく、よくあいつらと数年間旅出来たなぁ・・・今更ながら感心するぜ、俺。
何処かで気があったんだろうなぁ・・・あの3人と。
まぁいい・・・
「う~す、いるかー」
声がした民家に入る。
思った通り、そこには数人の患者がいた。
1人は華佗の治療を受け、他は泡吹いて倒れている。
・・・何があったか想像できるのがうぜぇな。
「おお、蓮聖か。悪い、もう少し待ってくれないか、もうすぐ終わるから」
「ああ、構やしねぇよ。何か手伝うか?」
「だったら、そっちの患者を見ててくれないか?」
了承し、明らかに『気絶』している患者達の傍に座りこむ。
「久しぶりねぇん蓮聖ちゃん・・・会いたかったわぁん」
同じく患者達を見ているというか気絶させた張本人であろう貂蝉。
頬に手を当てながら、にやにやと俺を見ていた。
「おう、俺は死んでも会いたくなかったがなぁ」
「もー、恥ずかしがり屋さんなのねぇ」
あー、やべぇ・・・殺気が抑えきれんかも。
話題を変えよう。
「卑弥呼はどうした?」
「卑弥呼なら買いだし中よ」
「・・・・・・・・・・・・」
終わってしまった。
「うふふ、相変わらず良い筋肉してるわよねぇ・・・」
・・・いいよな・・・殺してもいいよなぁ!?
「よし!終わったぞ・・・じゃあ、しばらく安静に。数日で良くなる筈だから」
ちょうど治療が終わったようだ。
命拾いしたなぁ貂蝉。
「はい、ありがとうございます・・・」
患者の老人が恭しく頭を垂れた。
老人に笑いかけ、華佗は立ち上がる。
俺達も立ち上がり、一緒に民家を出た。
「ふぅ、んじゃあどっかで飯食おうぜ、腹減っちまってよぉ」
「それもそうだな・・・卑弥呼は・・・」
「儂ならばここにいるぞ、だぁりん」
・・・・・・ぬぉっ!!
「てめぇだから俺の後ろに立つんじゃねぇよ!!」
クソが、この巨体で気配消すなんざ無駄な能力持ちやがって!!
「儂とだぁりんつーの仲ではないか!」
「ホントマジでお前らとはサシで話つけなきゃなんねぇな・・・」
「いいわねぇ2人っきりで愛の語りあい・・・考えただけ興奮するわぁ」
クネクネすんな気持ち悪ぃ。
「お前達はホント相変わらずだなぁ・・・」
「笑ってないでこいつら何とかしやがれ・・・ったく」
「そういう割には、笑ってるよな・・・蓮聖?」
・・・・・・はぁ。
ああそうだよ。
楽しいぜ・・・楽しくねぇ訳がねぇだろうが。
お前らほど気が合う奴らなんざ、俺にはいねぇんだから。
こいつらだけは・・・失いたくない。
俺の人生に・・・こいつらは必要だ。
だからこそ・・・俺はこいつらに真名を授けた。
俺の大切な真名を・・・
「オヤジぃ、ラーメン4つ!」
「あいよぉ!」
店に入り、定番のものを注文する。
「へぇ・・・こんな時でもやってるんだな・・・・・・」
周りが被害に遭ってるからこそ、こういう店は維持しなくてはならない。
その力が周りに影響していくのだ。
このオヤジの考えは間違っていない。
「んでよぉ、最近何かあったか?」
「ん~、そうだな・・・特に変わり映えはしないなぁ・・・1つ言えば、お前がいなくなったから少し寂しくなったくらいか・・・」
「・・・・・・そうか」
・・・・・・そう返すか。
まぁ、本気で隠せるとは思っていまい。
華佗の額にある傷。
俺と旅していた頃にはなかったものだ。
気にはなったが・・・言いたくないならいいか。
不意に、卑弥呼の腹部で視線が停まる。
そこにある傷跡。
華佗の腕を以てしても、治しきれなかった傷。
「卑弥呼・・・傷はもういいのか・・・?」
それは、俺がつけた傷だ。
友と認めた者を、半死にまで追いやった傷。
罪悪感は拭いきれない。
「うむ、大丈夫だ。だぁりんがいるからな」
「しかし、傷は深かった・・・癒えたとは言え、あれは俺の落ち度だ・・・すまん」
頭を下げる俺に、卑弥呼は淡く微笑む。
「だぁりんつーらしくないぞ?だぁりんつーならば、この傷をバシバシ叩きながら笑い、我らを安心させてくれるではないか!」
・・・そうか、そうだよな。
親友だもんな・・・こりゃ、頭下げてる方が失礼か。
うん。
「ありがとな・・・でも、まさかお前がそこまで被虐性愛者とは思わんかった。すまん。今から思いっきし叩いてやっから」
「なぬっ!?そ、それは勘弁だだぁりんつー!いやでも、その先にある未だ不可視な愛の巣窟への入り口となるやもしれぴぎゃあぁぁぁあぁあぁぁああぁ!!!」
豪快に笑いながら、握り拳を容赦なく傷口に振り下ろす。
そうですはい。
俺、加虐性愛者です。
あっはっはーのーはー。
「ほら蓮聖、卑弥呼が泡吹いてるじゃないか」
華佗の静止でようやく止まると、卑弥呼はそのまま突っ伏してしまった。
うん、これでこいつも満足だろう。
「オヤジぃ、おかわり」
「はいよぉ」
2杯目のラーメンに手をつけながら、少し思案する。
華佗の傷について。
華佗は凄腕だ。
殆どの病に精通し、外側だけではなく内側の傷にも対処できる。
こいつを超える医者はほんの一握りだろう。
ある程度の傷ならば、跡形もなく治癒させる。
なのに・・・あの傷は消えていない。
恐らく・・・消せない。
それ程の傷を負ったという事。
傍には、俺並の実力を持った貂蝉と卑弥呼がいるにも関わらず。
少なくとも、並の相手ではない。
導き出される答えは・・・五胡。
「・・・ちょい、厠行ってくるわ」
「ん、ああ」
すっ・・・と、瞬間的に貂蝉へ合図を送る。
「私も行こうかしらねぇ~」
「なぬ!?貂蝉貴様!抜け駆けするつもりじゃぐぼっ!?」
「復活早々、変な想像してんじゃねぇよ」
いきなり顔を上げた卑弥呼の腹を殴り、俺達は店を出た。
「ちっと路地裏行くぞ」
「え・・・えぇぇえええぇ!?ま、まさか・・・蓮聖ちゃん・・・いや、駄目よぉ覚悟は出来てるけどぉ・・・お日様が見てる前でぇ・・・そんなぁあ・・・・・・」
「貂蝉・・・マジな話だ」
僅かに覇気を出すと、貂蝉の顔も引き締まる。
こういう所があるからこそ、俺は貂蝉達を本当に嫌いになれないのかもしれない。
・・・・・・・・・・・・別に好きでもないが。
「んで・・・華佗のあの傷、どういう事だ?お前と卑弥呼がついていながら・・・消したくねぇ傷という訳でもあるまい」
人通りが少ない路地裏。
壁に背を預けながら、貂蝉に問う。
貂蝉もまた壁に身を預け、少し俯く。
「やっぱり・・・蓮聖ちゃんには隠せないわねぇ」
静かに息をつき、まだ蒼い空を見上げた。
「襲われたのよ・・・五胡の部隊に」
「・・・やはり・・・・・・か」
「蓮聖ちゃんとの旅の途中に出会った五胡とは違う。規模、動き、何もかもが・・・」
・・・遭ったのか。
奴らに。
それは・・・間違いなく俺が追っている奴らだ。
「明らかに誰かに統率されてたわ・・・村って単位じゃない・・・・・・あれは国家規模の軍隊よ」
「・・・成程なぁ・・・・・・あんがとよ。ついでに、どの辺で遭ったんだ?」
「ええと・・・益州の辺りだったかしら」
「・・・益州・・・か」
「蓮聖ちゃん・・・ごめんなさい・・・私達じゃ、華佗ちゃんを守り切れなかった・・・・・・」
貂蝉達は、その性格こそ、容姿こそ、性癖こそ常人ではないが、人たる胆力、魂は人より輝いている。
現に、目の前の貂蝉はふがいない自分を恨みながら、顔をしかめていた。
他人の為に、ここまで出来る人間を・・・俺は殆ど知らない。
「攻めちゃいねぇよ・・・お前らが全員生きているならいい。後は・・・俺がやる」
無意識に殺気立つ。
やはり・・・奴の事になると俺は感情を抑えられん。
「・・・蓮聖ちゃん。その道は、危険よ?」
その殺気を受けて、諭すように貂蝉が言う。
「わあってるよ・・・だが、もう戻れん。ならば、突き進むまで・・・・・・殺してやる。五胡の連中は・・・全員・・・・・・俺の大切な奴らに害を成す者は・・・皆殺しにしてやる」
剣を抜き、その刀身に映る己を見つめる。
獣の如く目を光らせた男がそこにいた。
ここまで穢れちまったら・・・もう戻れはしない。
逸早く奴らを殺し、姿を消すのがいいだろう。
それが・・・俺なりの孫呉への罪滅ぼしだ。
「まだ・・・戻れるんじゃないの?」
「・・・ありがとうよ。心配してくれて・・・だが、本人が戻れないつってんだ。そも、戻る気なんざ、さらさらねぇよ」
「・・・・・・そう」
寂しそうに俺を見る貂蝉。
そんな目をすんじゃねぇよ・・・覚悟が揺らいじまう。
剣を鞘に納め、地面を見つめたまま語る。
「俺はよ・・・母さんが死んだ時、何も出来なかった・・・・・・護るって誓ったのに・・・だから、俺は妹達の道になるって決めたんだよ。雪蓮、蓮華、シャオ・・・俺は妹達、そして民達の歩く道そのものになればいい。これから続く孫呉の礎になればいい・・・だから・・・・・・その総てを壊そうとしている五胡を殺す」
「・・・・・・そうねぇ・・・」
ちっ・・・しんみりしちまった。
「あ、そういやさ。お前が言ってたご主人様って見つかったのかよ?」
確か、貂蝉が華佗と旅を始めたのは、その『ご主人様』とやらを探す為だった筈だ。
途中からどんどん目的がズレているようだが、根本的にはそこらしい。
「いいえ・・・もうとっくに『こっち』に来てる筈なのにねぇ・・・・・・まぁ、地道に探すわ。華佗ちゃんと旅を続けていれば・・・何れは見つかるでしょう」
「そうか・・・何かありゃ言えよ。俺も力になってやる」
「うふふ、ありがと・・・」
・・・真面目な話の時になんだが、お前が『うふふ』とか言うと鳥肌立つから止めてくれ。
「ところで、蓮聖ちゃん?その怪我・・・どうしたの?」
「・・・あ?」
「その怪我よん、その怪我」
と、俺の腹部を指し示す。
うぉ、止血したつもりだったんだが・・・布にまで滲んできてらぁ・・・・・・
こりゃバレるわな。
「あー、戦でちょっとなぁー」
「嘘ねぇん。蓮聖ちゃんが董卓ちゃんの部隊如きに怪我する筈なーいじゃなぁい」
「おいおい、俺ぁ呂布とやったんだぞ?それなりに傷があってもおかしくねぇだろうが」
「だったら・・・・・・隠す必要ないわよね」
唐突に貂蝉の瞳が鋭くなる。
・・・ちっ、勘がいいな・・・お前は。
確かに、武人との正式な殺り合いで負った怪我は隠す必要などない。
「・・・ついさっき、五胡の男に遭った。恐らく、幹部級の奴だ」
「・・・・・・そうなの。情報は得られた?」
「まぁな。くく・・・俺の目的に一歩近づいたのは初めてだからなぁ・・・興奮したぜぇ・・・?」
「それは良かったわねぇん・・・はぁ」
溜息すんな。
「あ、そういやあいつ何処だよ?一緒に行動してねぇのか?」
「あぁ、あの子?あの子なら少し前に別行動になったわよ・・・何でも仲間を集めてくるって言って1人で・・・」
・・・・・・マジかよ。
「・・・・・・あいつは何だ。予知者か何かなのか?ちょうど兵を集めとけって言おうと思ってたんだが・・・」
「あらぁ、どうして?」
「・・・知ってんだろ?俺の、いや、孫呉の目的を」
それを聞き、貂蝉は納得したように頷いた。
「こう言っちゃあ何だが、袁術はバカのくせに兵数だけは多い。まぁ袁家の力が強ぇんだろうが・・・今の孫呉の力、各地に散らばる重臣達の兵・・・そいつらを集めりゃあ十分勝てる戦いだ・・・だが念には念を入れる。被害も最小限に・・・その為にも『俺の部隊』を集めるようあいつに言おうと思ってたのさ」
「ふぅん・・・あの子、喜ぶでしょうねぇ・・・ずっと蓮聖ちゃんの傍にいたから、蓮聖ちゃんがいなくなってからの気の落ち込みようが凄かったのよぉ?」
「はぁ・・・だから一緒に来るかって聞いたのに・・・・・・」
確か『いえいえ、ご家族と数年ぶりに邂逅なさるのですから、私のような邪魔虫はいない方がよろしいでしょう?うふふ、大丈夫です、ちょっと離れたくらいじゃ私と蓮聖様の絆は切れませんから』とか言ってたけか。
いやまぁ確かにそうだが。
自分で言っといてその結果で落ち込むってなぁ・・・・・・
あいつらしいっちゃあ、あいつらしいわな。
ま、どっちにしろ独立ん時に会えるか。
「そろそろ戻るか・・・長引くと変な誤解されそうだ」
「あらぁ、私は全然無問題なんだけどぉ?」
笑いながら貂蝉の腹に拳をいれ、俺は華佗達の下へと戻った。
「・・・だからよぉ、何でてめぇがこんな所にいんだ?あぁ?」
「御主こそ何故ここにいるのだ?普通に考えたら御主がここにいる方がおかしいと儂は思うが?」
「おい、止めないか2人共・・・」
あ?何だ?
誰かと揉めてんのか?
「るせぇんだよボケ・・・俺ぁお前らが嫌いなんだよ・・・・・・さっさと俺の視界から消えやがれ!!」
どっかで聞いたような声だ。
確か・・・・・・
「落ちつくのだ張彰・・・御主が憤るのもわかるが・・・・・・」
張彰。
張彰・・・・・・?
張彰・・・張彰・・・
嘲笑?
あ、曹操んとこのあいつか。
「るせぇつってんだ!何も喋んな口を開くな呼吸もすんな!!俺の前に存在すんじゃねぇ!!」
・・・何を言ってんだあいつは?
というか、何か拷問受けたような傷が見えるんだが・・・気にしないでおこう。
「あの声・・・まさか張彰ちゃん?」
「あぁ?知ってんのかあいつの事?」
「え、えぇ・・・」
珍しいな、貂蝉が戸惑ってる。
滅多に動じねぇ筈だが・・・
まぁいい・・・どっちにしろ迷惑だ。
「おぉい嘲笑野郎、店で騒いでんじゃねぇよ」
「あ・・・?孫覇・・・てめぇ何でここに・・・・・・」
「何でじゃねぇよ、つかお前うるせぇ。ご近所迷惑だこの野郎」
実際、こいつの怒鳴り声のせいで店の周りにはちょっとした人だかりができている。
張彰はたった今冷静になったかのように辺りを見渡し、静かに舌打ちした。
「・・・・・・ちっ・・・白けたか。貂蝉、卑弥呼・・・もう2度と、俺とおっさんの前に現れるんじゃねぇぞ。おっさんの前に出たら、殺されんぞてめぇら」
・・・・・・はぁ?
何言ってんだこいつは?
「わかってるわよそんな事。わざわざ教えてくれるなんて優しいのねぇ張彰ちゃん」
いやいや、貂蝉も納得してるし・・・
どういうこった?
「・・・何言ってやがる・・・・・・俺の手で、てめぇらを殺す為だ」
「・・・・・・あ?」
今・・・何つった?
殺す・・・だと?
俺の、友を?
殺気が滲み出る。
無意識に、俺の手は剣の柄へと伸びていた。
「蓮聖ちゃん、ダーメ」
その柄を、貂蝉が抑える。
優しく微笑み、静かに横を振る貂蝉。
「・・・・・・わあったよ」
剣の柄から手を離すが、殺気は消さない。
「わかったわ張彰ちゃん、あなたの前から消えましょう。でもね、偶然会った場合はどうしようもないの、ごめんなさいね」
険悪な空気の中、貂蝉は張彰からの殺気も気にせず、和やかに言った。
「・・・・・・『ここ』から出ればいい話じゃねぇか」
「出れない訳があるの」
・・・何だろうか、どうにも違和感がある。
こいつらが話している意味と、俺が解釈している意味が違う気がする。
「・・・クソったれが・・・・・・」
「蓮聖ちゃん、華佗ちゃん。悪いけど出ましょ」
「わかった・・・オヤジ、悪ぃな」
店の主人に謝罪し、俺達は店を出た。
ちっ、何で俺らが出なきゃなんねぇんだ。
「ごめんなさいねぇ・・・ホントに。私達のせいで・・・」
「いや、そりゃあ構わんけどよぉ・・・あいつと何か会ったのか?ちょっと仲悪いぐらいの対応じゃなかっただろうが・・・」
「・・・そうね。何れ話すわ・・・蓮聖ちゃんにも関係がある話だし」
「あ・・・?俺ぁ野郎と因縁なんざないが?」
そう言うが、貂蝉と卑弥呼は気まずく笑うだけ。
何なんだよ・・・・・・一体。
「まぁまぁ、いいじゃないか。で、蓮聖・・・その傷はどうした?」
「・・・・・・ん、ああ・・・ええと、その・・・・・・」
不味い。
「貂蝉、卑弥呼」
「了解だ、だぁりん」
「了解よぉん」
がし・・・と、両腕を掴まれる。
「な、何だ?離せよてめぇら!」
華佗が俺の纏っている布を剥いだ。
傷口が露わになる。
「蓮聖・・・酷い傷じゃないか。ちゃんと治療しなきゃな」
不味い不味い!!
何が不味いって、こいつ・・・!!
まぁ蓮聖だから大丈夫だろうとか言って『麻沸散』を使いやがらねぇんだよ!!
いやまぁ確かに旅を始めたばかりの時に、戦で傷を負った俺が、俺でそれを使うくらいなら他の奴に使ってやれって言ったのが原因なんだけどさ!!
だからってどんなに酷い傷だろうと使わんてどうよ!?
「覚悟を決めなさぁい、蓮聖ちゅわん」
「諦めるのだ、だぁりんつー」
「さぁ、治療を始めようか」
い、え、ちょ・・・ま・・・・・・
「ぎゃあぁあああぁっぁあああああぁっぁぁぁぁぁああああ!!!!!」
幸い、俺の傷は大した事はなかった。
いや、まぁ矢が貫通したのだから大した事ではあるんだろうが。
俺の歴代の傷に比べれば・・・という意だ。
気を失うような痛みを味わい、俺はやっとこいつらと一緒にいるという実感を味わった。
何と言うか、心的損傷というか、そういうので実感を味わうというのもどうかと思うが、俺にとってはかけがえのない感覚だった。
その後は4人で洛陽の街を歩き、病に苦しむ民や怪我をした兵達を治して回ったり、離れていた間の思い出話をしたりと、充実した時間となった。
やはり、こいつらとは気が合う。
何と言うか、馴染むんだよなぁ。
それに、俺の過去を知ってるからか、気兼ねなく話せる。
本当に・・・俺にこいつらがいて良かった。
こいつらがいなかったら、俺は今頃どうなっていたか。
感謝している。
あんがとよ。
・・・・・・戦乱は続く。
近づくのは独立の日。
そして、復讐の日。
休んでる暇などないのはわかっている。
だが、休息は必要だ。
願わくば、孫呉に、大陸に・・・一時の休息を。
Tweet |
|
|
11
|
5
|
追加するフォルダを選択
えー、お詫びもかねての2作連続投稿です
ですが、正直に言います。今回クソつまらんです。
本当なら本編内容なのに、あまりのつまらなさで拠点行き
続きを表示