No.181967

真・恋姫無双 魏end 凪の伝 16

北山秋三さん

真・恋姫無双の魏end後の二次創作SSになります。
凪すきーの凪すきーによる、自分の為のSSです。ご注意ください。

2010-11-01 22:26:36 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:4687   閲覧ユーザー数:3874

 

 

 

※この作品は魏endで一刀が"完全"に消滅した事を前提としているため、

 

記憶が戻るとかは無いので御容赦下さい。

 

後、オリジナル設定もあり、登場人物の行動や言動が原作と一致しない場合も

 

多々ございますので、その点も御容赦下さい。

 

 

 

一刀の視界に村の入り口が見えた瞬間────

 

ドォォォォォン!!!

 

という爆発が起こり村の門と防壁が吹き飛んだ。

 

近くにいた人々は悲鳴をあげて逃げ惑い、その場は騒然となる。

 

近くにいた兵達が慌てて消火作業を始めるが煙に巻かれて思うように近寄れずにいた。

 

「きゃっ!」

 

「おっと!」

 

その時一人の女の子が逃げ惑う人に押されて転びかけるのを一刀が支える。

 

「大丈夫か?」

 

「は・・・はい。あの、ありがとうございます」

 

抱きかかえた手を離し、顔を赤くして俯いていた女の子が顔をあげて一刀の顔を見た時

 

女の子はハッ!とした顔をする。

 

「ここは危ない。早く逃げたほうがいい」

 

女の子の表情の変化に構わず一刀が崩れた門の方を見れば、最早それは門としては使い物に

 

ならないような状態だった。

 

もし今『にゃあ黄巾党』に襲われたら村は持たないだろう。

 

最悪の予想が現実になる予感がして冷や汗が出るが、目の前の女の子にじっとみつめられている事に気がつく。

 

見れば女の子はまるで忍者のような格好をしていた。

 

今までも色々変な格好の人を見たからこういうのもあるのか程度の認識だったが、背中の刀が女の子と

 

ミスマッチなような逆にマッチしたような・・・編みタイツが・・・とかやってる場合じゃない!

 

と慌てて別の考えに行きそうになった自分を戻す。

 

「君は、この村の子かい?もしそうなら、避難できる場所を教えて欲しいんだけど・・・」

 

なるべく怯えさせない様に声を掛けたが、女の子は慌てて手をわたわたとさせていた。

 

その時────

 

「大変だ!黄巾党の奴等が攻めてきたぞ!!」

 

一人の兵の叫びが戦慄となって辺りに広がる。

 

チィッ!と舌打ちして女の子をその場に残し、崩壊した門の側に駆けつければ遥か向こうに土煙に混じって

 

微かに幾つかの黄色い旗が見えた。

 

このままでは一時間とかからずこの村は攻められるだろう。

 

「ど、どうする!」「どうするって・・・!」「逃げるしか・・・」「逃げるってどこへ!?」

 

狼狽する兵を見て村人達にも動揺が広がる。

 

────このままではマズイ!

 

そう思い一刀が声を出しかけた時、

 

「静まりなさい!!」

 

ざわめきを一喝する厳しい声が辺りに響き、皆がそちらを向けばそこにいたのはさっきの女の子だった。

 

「周泰様・・・」「周泰様?」「間違いない!周泰様だ!」

 

動揺が序々に治まり、村人達が周泰と呼ばれた女の子に注目する。

 

(周泰・・・って・・・確か孫権を護ったかなり優秀な武将だよな・・・)

 

以前貂蝉の言った、"この外史の武将は全て女性"という言葉が一刀の頭に圧し掛かった。

 

それがまさかこんな可愛い女の子だったとは・・・。

 

「今は騒がず、直ちに広場に集まりなさい!そちらには孫権様がいらっしゃいます!」

 

毅然としたその声に、安堵したような顔の村人達が広場へと向かって歩き出す。

 

「兵は直ちに門を塞ぐ作業に入りなさい!」

 

「「「ははっ!!」」」

 

明命の指示を受けた兵が、近くにあった材木などで門を塞ぐ作業に入った。

 

それと同時に他の兵が大量の矢をその近くに運び込む。

 

どうやらやはりここで迎え撃つしか無いようだ。

 

「あ。オレも何か手伝いま────」

 

「すみません」

 

一刀も何か手伝おうと、近くにいた兵に話し掛けた言葉が明命によって遮られる。

 

「貴方様は『天の御遣い様』でいらっしゃいますね」

 

こちらを射抜くような視線に、一刀は迷う事無く────

 

 

「イエ。ヒトチガイデス」

 

と表情一つ変える事無く、顔の前で手をひらひらと振った。

 

そのまま材木を運んでいる兵を手伝おうとした一刀のスーツの裾が捉まれる。

 

振り向けば、両手で裾を掴んだ明命が涙目で一刀を見上げていた。

 

さっきまでの毅然とした態度は微塵もない。

 

両手で裾を掴んで見上げる姿は子猫を想像させて可愛いが、ここで認めたら

 

大変な事になると思い、一刀はなるべく目を見ないようにする。

 

「あぅぅぅぅ・・・」

 

「いや、あの・・・ホントに違いますので・・・」

 

「あぅぅぅぅ・・・」

 

「えっと、だからね?違うからね?」

 

「うぅぅぅぅぅぅ!!」

 

ぐすぐすと泣く明命に、一刀は凄まじい罪悪感に襲われた。

 

こんな事してる場合じゃないんだけど・・・と思うが、泣いた女の子を放って置けないので

 

ハンカチを取り出して明命に差し出す。

 

「よく間違えられるんだけど、ほら。オレは白い服じゃないだろ?

 

いやー、似てる人はいるからさー」

 

そういって自分の黒いスーツを指差したが、明命が納得した様子は無かった。

 

ハンカチを受け取った明命が涙を拭いている間に、何か言い訳を・・・と考えて辺りを

 

見回した一刀の目に"あるもの"が飛び込んだ。

 

さらに辺りを見回して建物の位置を確認し、腕を組んでシュミレーションをする。

 

(これは・・・使えるかも知れない・・・)

 

一刀の脳裏に一つ思い浮かぶものがあった。

 

「周泰さん、悪いんだけど孫権さんの所に案内してくれないかな?

 

一つ思いついた事があるんだけど・・・」

 

その言葉に明命の顔がぱぁっと明るくなった。

 

(これは・・・もしかして、認めたと思ってるんじゃないだろうか・・・)

 

鼻歌を歌わんばかりの勢いで一刀の手を引く明命に一抹の不安があったが、

 

ここで議論している場合じゃないと明命の後を着いて行く。

 

「あの・・・ホントに『天の御遣い』じゃないからね?」

 

「はい!」

 

元気に返事をする明命に不安が増す一刀だった。

 

 

その頃思春は────

 

「この場合はおめでとうというべきだろうか・・・いや、それでは魏の者達が・・・

 

しかし、二人にはすでに子供が・・・魏の者達に知らせればもしや子供が・・・

 

それは・・・しかし・・・ハッ!?もしや、蜀の者達も知らないのでは・・・!

 

だとしたら・・・うむむむむむ・・・知らせるべきか・・・だがそれで二人の仲が

 

引き裂かれれば、子供は・・・ぬう・・・確かこれに近い状況が冥琳様の読んでいた

 

葉荒苦陰とかいう書物にあったような・・・」

 

未だその場で悩んでいた。

 

 

お送りしました第16話。

 

次からは戦いへと入ります。

 

ではちょこっと予告。

 

「兄さま」

 

では、また。

 


 
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