サァアッ
「!!?」
一刀ちゃん、どうしました?
「……(カタカタ」【な、なんか、今ちょっと寒気がしたんだけど】
風邪ですか?じゃあ、今日は凪さんたちのところに行くのやめましょうか?
「…(フルフル)」【随分長く会ってないし…ボクは凪お姉ちゃんたちは許してもらい易いと思ったからあまり待たせちゃって、今日行かなかったらそろそろ不味いかも】
ああ、まあ、確かにそういう問題もありますね。
でも、きっと前だったとしてもそんなことする機会なんてありませんでしたよ。
【え?】
だってほらぁ、あの三人、ここに来て警備隊の仕事を任されたのですが……最初は緊張しまくって泥棒一人捕まえるに街を大変なことにしたり、、仕事サボってて春蘭さんや桂花さんに見つかって大変なことになったりしましたので…最近になってやっと落ち着いた感じですよ?
【何でボクは知らなかったの?】
それはもちろん僕が一刀ちゃんを危険に晒さないように敢えてその辺りには行かないように先に調整をしておいたから。
証拠でほら、最近街でばったり会ったこともあまりないでしょ?
「……」【そういえば…】
一刀ちゃんが他の人たちの攻略を済ませる前に、先に他の人たちに邪魔されないように、僕が手を打っておいたのですよ。
【…それって要らなくない?】
あまりたくさんいると一刀ちゃんの手に負えませんよ?
【うぅん……】
まあ、僕としても一刀ちゃんが皆と一緒に楽しむ場面は是非にもみたいところですが、今回ばかりはそういうところではないのですよ。
それに、特に今の彼女たちに対しては気をつけなくてはならないことがあります。
「??」
あの人たち、一刀ちゃんが華琳さんの息子だと思ってますからね。
もし、あれは華琳さんの耳に入ったら、三人ともただではすまないですよ。
「…ぁ」
分かりましたよね。だから今回のたびに、あの誤解もきっちりと解かなくちゃならないのです。
「……」
一刀ちゃん?
「……………」【分かった】
……
コンコン
がらり
「…<<ひょこ>>」
「む?御使いさま!」
「!?」
警備隊舎に残って待機している兵士さんですよ。あまり驚かないでください。
といっても、昔の一刀ちゃんでしたら、もう逃げていたところですけどね。瞬間移動で……
「どうかなさいましたか?」
子供にちゃんと敬語ができる兵士なんて、よく訓練されているなぁって思います。
『凪お姉ちゃんたちここにいる?』
「いえ、三人とも今は見回り中であります。もうしばらくで休憩ですので、皆さまも帰ってこられると思います」
「……」【どうする?一度帰る?】
待ちましょう。
【え、でもお姉ちゃんたちもいないのにここにいたら何かアレだし…】
何言ってますか。いつも街ふらふら歩いているあなたが……気まずくて居られないとかありえないでしょう?
「……」【ボクそこまで時と場面考えずに動かないもん】
あ、はい、はい。わかりましたよ。でもほら、もう直ぐ帰ってくるといいますし、奥で待っていた方がいいんじゃないですか?
「……」
「お待ちになられるのなら奥で待っていてください。皆さまが帰ってくる次第お知らせします」
「…(コクッ)」
いや、この兵士さん本当すごいんですけど。
・・・
・・
・
で、執務のための机に上がって四半刻ほど待ってたでしょうかね。
がちゃっ!
「一刀ちゃんキターー!!」
「キターー!」
なんかキターーー!!
「一刀ちゃーん、何で今ごろ来るのー。お姉ちゃん寂しかったのー<<ぎゅー>>」
「!!」
いつもなら逃げるのに、逃げられないですね。わかります。
「おい、沙和。独り占めする気かいな。ウチにも抱かせーな」
そして、側で順番待ち(?)していらっしゃる真桜さん。
「こら、二人とも、一刀様に何をする!」
そして最後、二人に遅れて部屋に入ってくる凪さん。
この三人で、街の警備隊を担当しています。
「えー、じゃあ、アレってもう使えないの?」
「…(コクッ)」
「まあ、どっちかというとできるのが変なんやけどな」
「変とは、何だ。その言い方だと一刀様がまるで変だと言っているようではないか」
まあ、変と言えば変ですが……さすがに変だ変だ言われて好きな人はいませんね。
「まあ、せやけど…というか、それってどないして使ってたん?」
「……」
それを言われて一刀ちゃんは眉をひそめました。
「ああ、言いたくなかったらいわへんでええよ。ウチが悪かったから」
「……」『いや、別に…他の皆も知ってる人は知ってるし、お姉ちゃんたちには話してもいい』
おや、言っちゃうんですか?あまり穏やかな話じゃないのですから言わない方がいいのでは?
他の皆さんにも別に口で言ったわけではないのでしょう?
【そうだけど……うーん…でも確かにどう説明すればいいのかも良く分からないかも】
言わない方がいいですよ。後で一緒に寝たら自然に分かりますし…というか寝るの前提ですね。
「あの、一刀様、あまり口にしたくなかったのでしたら仰らなくても良いですが…」
「ぅ…?」
うん?
なんか凪さんが助け舟をしてくれますね。
「なんや、自分。そんなこと言ったらウチらが聞きたくてしゃあなくて一刀ちゃん困らせたみたいやんか」
「そうなのー。一人だけいい子するなんてずるいのー」
「お前らも馬鹿なこと言うな。一刀様が嫌うのならそれで話は終わりだろ」
場面を終わらせようと励む凪さん。
ぐいぐい
「うん?」
突然一刀ちゃんが凪さんの服を引っ張りました。
「ぁ…」『あ、あのね、凪お姉ちゃん。前から言いたかったんだけど、その「一刀様」っていうのやめて。敬語でいうのもいらない』
「え?しかし…」
「せや、自分だけ敬語つかっちゃって一人で浮いてるやろ。一刀ちゃんも不便そうにしてるし」
「一刀ちゃんが嫌ったらそれで話終わりなのー」
「うぅ……」
いつもみたいに二人に逆襲されますね。
『これからね、真桜お姉ちゃんや沙和お姉ちゃんみたいに、一刀ちゃんって呼んで』
「?!///」
そのことを聞いて顔に直ぐに赤くなってゆく凪さんです。
どのあたりがそんなに恥かしいので?
『言って?』
「え、あ、あの……ですが、その…まだ心の準備が…」
「……(じー)」
「うぅ……」
そして一刀ちゃんの「言うまでじっと見る」攻撃です。
「凪ちゃん、顔真っ赤なの」
「まあ、でも分かるわ。あの目にずっと見られていたらな。自分の心の隅にある汚いところが見られる気がしてちゃんと見ていられないんや」
あなたたちの場合それはどうかなぁって思うのは果たして失礼なのでしょうか。凪さんを見てニヤニヤしてて、酒でもあったら肴にしてしそうな顔をしているあなたたちに。別の意味で顔が赤くなってるあなたたちに。
「か、かかかずと………さ、うぶっ」
さまの「さ」が出ようとする口を手で塞ぐ一刀ちゃん。机の上なのでちょうど手が届きます。
「うぶぶぶっ!」
「……(むっ)」
「あ、ちょっと怒った?」
「怒った顔もかわいいのー」
塞いだ手を話してもう一回。
「か、一刀……ちゃん」
「♪(にぱぁ)」
「っ…//////」
「ね、ね、凪ちゃん。今ちょっと一刀ちゃん借りて行ってもいい?今の表情の一刀ちゃんを思いっきり抱きしめたいの」
「ちょっ、今度はウチの番やで」
「っ!」
「!?」
沙和さんと真桜さんが一刀ちゃんを取ろうと手を伸ばしましたが、はっと気がついた凪さんが素早く一刀ちゃんを抱きしめました。
「こらっ、一刀さ…一刀ちゃんはお前らの玩具じゃないぞ」
「えー、ぶーぶー」
「そういう凪だって、今一刀ちゃんのこと奪われたくないと思ったやろ」
「ば、馬鹿申すな!私はそんな考えは微塵も…」
「……」
「……」
「…微塵ぐらいは考えたかも知れん」
正直者ですね。
というか、その胸に挟まれているのをなんとかしてください。
多分、この世界に来て初めて会うシチューですから。
「//////」
「凪さんや。拳だけじゃなく胸でまで人を殺そうとしてるな」
「何?…はっ!」
強く抱きしめすぎて息をしていない一刀ちゃんです。
「ぷはぁ……!」【死ぬかと思った】
これを見てる皆さんの中では、きっとそれが本望な方もいらっしゃるだろうと思いますけどね。
「凪はああ見えても結構着痩せするんやからな。以外と大きいやろ」
「……(コクッ)」
「ああー、一刀ちゃんの顔も赤いのー」
『い、息が詰ってたせだよ』
はい、はい。
茶番が終わったところで本題に入ります。
『ああ、それとね。お姉ちゃんたちにちょっと聞きたいことがあるんだけど』
「何、何??」
「何でも聞いていいぜ。あ、でも胸の大きさとかはヒミツな」
「こら」
『皆って、もしかして、ボクが華琳お姉ちゃんの子だと思ってる?』
「「「……え?」」」
・・・
・・
・
「えー?じゃあ、違ったの?」
「なんや、ウチはてっきりあの時大将が一刀ちゃんにいい口がお母さんっぽいからついそう考えてやのに」
「私もそう思ってました。もうしわけありません」
『いや、ボクは別にいいんだけと…というか嬉しいけど、でも、もしそんなこと華琳お姉ちゃんに言ったら……』
「言ったら?」
『……(ボクが)死☆ぬ』
「うわー…」
何、他に何も起きません。
ただ、死ぬ。それだけです。
「……………」
そ・し・て、
「………ぅぅーぅ」
ここに、顔が真っ青になっているひとりさんが居ます。
『凪お姉ちゃんどうしたの?』
「い、いえ、べ、べべべ別に何でもございません」
言葉遣いが戻っているほど平常心を失っているのにですか?
「…なぎ、まさかとは思うんやけど…まさかお前…」
「う、嘘、だよね」
「……すまん。先、警邏途中で華琳さまに会って…」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あっ、華琳さま!」
「あら、凪。どうかしら、警備の仕事は?」
「そろそろ慣れてきたところです。まだまだ手に負えないところもありますが」
「そう…何かわからないことがあったら秋蘭か一刀に聞いて見なさい」
「一刀様…そういえば、最近一刀様を見かけたことがないのですが…」
「あら、まだ会ってないの?前私が皆に謝っておきなさいっていっといたはずなんだけど…」
「他の方といるところでばったり会ったことはありますが…」
「そう。まあ、そのうち行くでしょうよ。その時はただで許してあげるとおいしくないから何かでもやらかして頂戴」
「いえ、流石に…一刀様にそんなことは…」
「そういえば、凪あなたはどうしてあの子に様付けなのかしら。他の二人はもっと仲良くしていたようだけど」
「自分は…でもやはり、一刀様は華琳さまのご息ですから、いくら幼くてもそれほどの礼儀は保ったほうがいいだろうと思っ……」
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「そういえば…その瞬間、側にあった露店屋が売っていた壷が急に割れてしまったり、鼠たちが大移動を始めて、猫たちがそれを追って動いて小道から大騒ぎになったりしましたけど…」
「マジかいな…」
「それって、つまり……」
【まさか1pで感じた寒気って……】「(カタカタブルブル)」
皆さん、今までありがとうございました。
黙々・恋姫無双、残念ながらここで幕を下ろすことになりました。
今度は死亡フラグが少ない外史になることを祈りながらここまで……
【一人で逃げちゃらめぇ!!今から華琳お姉ちゃんのところに行くよ!】
やーですー。僕死にたくないですー!あの死神の大鎌で霊状態の僕まで斬らせるつもりですか?!
【いいから行くぅー!】
「ど、どうしよう、一刀ちゃん」
「死ぬなん?ウチらって首刎ねられるん?」
「…もう、おわった」
・・・
・・
・
つづ……けるのでしょうか?
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実はもうちょっと引っ張ってやろうと思いましたが、こうなってしまったからにはここで使っちゃいましょう