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深い翠の森だった。
その一角にある、大きな湖の、大体真ん中辺りに・・・・・・
服を着たまま、器用に浮かんでいる青年が一人。
未だ少年らしさを残している、だがきわめてこの世界では異質な格好の彼は、浮いた体の上で器用に腕組みをしながら、小首を傾げていた。
「もーちょい着地地点を配慮してくれてもえーやろに」
水を吸った額中て……バンダナに使われている紅い布が重さとその色彩の濃度を増す。
水音を間近に、夏の鳥や虫の生命力を遠くに聞きながら、青年は思考する。
ことの始まりは、あるカミサマたちからの「依頼」だった。
「バルバルがな、こまっとんねん」
パチ。
「は?誰だよ、それ。あ、ロン。りゅーいーそー」
「あぁあああ非情や!よこっち!!」
「知っかよ。勝負だ。で?」
「バルバルというのは、異界の軍神です。
こちらでいう中世ヨーロッパくらいの文明世界なんですけどね」
「あんま良い思い出のない話になってきたな」
「お前さんにいい思い出のあった話なんかあったかのぅ」
「あ、ジジィひでぇ」
「まぁ魔女狩りとかはないで。平和なもんや。
せやけど平和やから、いけすかん、て奴もおる」
「面倒だな。で?」
「・・・・・・・・・・・・・横ッち」
「んだよ」
「成長しましたね。先を促すなんて」
「どの道やれといわれるんやったらその辺覚悟するわい」
「ちゅーわけで、ここは一発、”軍神の化身”を救って欲しいねん」
「はい?」
「軍神の化身なぁ」
向かうべきところはデルフィニアという国らしい。
そこの王様が命を狙われているのを「出来れば奇蹟で救って」欲しいという奇妙な依頼。
「なんでわざわざ"奇蹟"なんだよ」
「軍神の化身と呼ばれとる、まぁデルフィニアっちゅーとこの王様な男なんやけどな?奥さんがホンマもんの能力者やってんよ」
「へぇ?」
「しかし、事情がありましてね。実家の方に・・・・・・この場合、本来生まれた世界なんですが……戻ってしまわれたんです」
「捨てられたってことだな」
「お前さんと一緒にするでないぞ」
「いや、俺捨てられてねーから?!ってか誰に俺が捨てられたとか?!」
「まぁそんなんやから。今回の"危機"は奇蹟で乗り越えなあかんのや」
「流れがわからん?!」
「てなわけなので」
「ま、頑張って来い」
「うがーっ」
「失礼」
「へ?あ、ども」
漂ってたら、体躯の良いじーさん手前くらいのオッサンが泳いできた。
服のままの自分を批難するでもなく(学校のプールででもやったら顰蹙物は間違いない)黒い目を丸くして、どこか子どもめいた笑顔すら浮かべて声をかけてくる。
「驚いたな。貴公は何か訓練でもしていたのか?」
「え?あ、いえ。なんつーか事故的な意味で服のまんま水に落ちたっとゆーか」
「ふむ。だが岸に荷物はなかったようだが、着替えはあるのか?
もし水に沈んだのなら、もう少し困っていてもよさそうなものだが」
「・・・・・・・・・」
とおり(およぎ?)すがりに、誠実に聞かれて答えをごまかす通りもない。
とはいえ、たった今異世界から堕ちてきましたって説明しても。
(しんじねぇよなぁ)
「あー、通りすがりにスイマセン。
デルフィニアってわかります?」
「デルフィニアか?変なことを聞くな。ここも一応デルフィニア領なのだが」
そこはそうなのか。
「ほんじゃ、首都かな。多分。王様いるってならそーでしょ」
「コーラルのコトかな。確かに王宮はあるが」
「あ、やっぱ。んじゃそっちかと」
「・・・・・・・・・なんの用を?」
「いえね」
信じられなくてもまぁいいか。
どうせココだけの話なわけだし。
なんとなく、このひとのよさそーなオッサンに、信じてもらえなくても嘘を言う気が起きなかったのも原因だろう。
なんの根拠もなく。
「奇蹟を起こして来いって、神様に命令されたんですよ。王様助けて欲しいって」
「ほう。それは、長い黒髪の、蒼い瞳を持った、どこか幼い仕草をする男にも女にもなれる、だがとてつもなく強い、とても美しい神のことだろうか?」
イヤに具体的な事例とともに、投げかけられる目線の試すような気配。
そういえば、外部依頼なものの、バルバルって謎の愛称しか聞いてなかったなぁと。
「いえいえ。うちの世界のカミサマが、頼まれたらしいんですよ」
よーわかりませんが、と言ったら、その人は爆笑した。
泳ぎながら笑うなんてなんとも器用だとおもいながら。
「ウォル・グリーク・ロウ・デルフィン。
まさか、この年になって、そんな奇妙な話に巻き込まれる日が来るとはおもわなかったぞ」
「へ?」
・・・・・・・・・・
ごめん、全然まとまってない。
っつーか何が書きたかったんですか?俺
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横ッち話です。設定が設定なので、色々アレなんですが。
知名度不明ですけど デルフィニアIN横島忠夫
ハルヒ編と(横っちの)世界観が繋がっています
王妃様帰った後で何十年か経っていますので注意
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