No.181297

堕落論さん

とりあえず3作投稿で見習い脱出(笑)らしいです。
しかしまだまだあっちの世界の女性達もでてこないですね。
今しばらくのご辛抱とお付き合いの程を宜しくお願いいたします。

2010-10-30 14:13:59 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2093   閲覧ユーザー数:1982

蒼天に翻りし誠の旗の下に・・・

 

序章第二幕

 

現世の果てに在りし身にて・・・・

 

 

「んっ・・・うぅっ・・・」ゆっくりと意識が水底から水面へと上がってくるように覚醒しだす

「ここは・・・・・?」辺り一面灰色の様な世界の一点から強烈な光が差し込んできている空間で歳三は目を覚ました。

「俺は?・・・どうなったんだ?」覚えているのはシャグマを着けた男の恐怖に引き攣った顔。そして愛刀を振上げた瞬間に意識を根こそぎ持っていかれたような衝撃を眉間に感じた事・・・・

「どうやら生きている・・って事じゃぁなさそうだな・・・」現在の自分の手を見れば輪郭がぼやけてうっすらと透けて見える事に改めて気付く。

「はっ、あの世っつうのも殺風景なもんだな・・・最もあんだけ攘夷浪士やら賊の奴等を叩っ切ったんだから極楽浄土とやらにはまず縁は無いんだろうがな・・・」自嘲的な笑みを湛えながら嘯いてみる。

すると先程から強烈な光が射していた方向が更に明るくなり歳三の視界を奪った。その光は瞬く間に灰色だった空間を満たし歳三を包み込む。上下左右いや地に着いているのか空に浮かんでいるのかも判らない事に歳三は眩暈を覚え足掻くように首を振る。

その時光の彼方より優しげに響いてくる声・・というより歳三の脳内に直接波動のようなものが響いた。

『状況判断は済みましたか・・・土方歳三殿・・・』抑揚がなく諭すようにも嘲るようにも聴こえる声の主に向かって、あからさまな敵意を剥きだした声で歳三が怒鳴り返す。

「誰だテメエはっ!! それにここは何処だっ!! 」あらんばかりの殺気を籠め常人ならばその声を浴びせられただけで寿命が何年か縮まるのではなかろうかとも思える大喝で光の彼方に居るであろう何者かに向けて問いただす。

 

『私は・・・時の狭間の住人。ここは正史と外史を繋ぐ時の揺り籠。土方歳三殿、貴方の正史に於ける役割は先程恙無く終了いたしました。』

光の彼方よりの波動がまたも歳三の脳内に響く・・・

「はぁぁ?正史?役目?何だそれは?俺は役目も何も新撰組の副長土方歳三だぁ!!訳分かんねぇ事言ってんじゃぁねえよ。」

叫びつつ歳三は激昂する意識の片隅でもう一つの怜悧な意識を働かせる。

≪正史?外史?んなもん知ったこっちゃねぇが、どうやら役割の終了って事は俺は間違いなく死んだって事なんだろうな・・・≫

『そうです。貴方は蝦夷地の一本木関門で友軍を支援しつつ官軍に抵抗を試み、その時の抜刀突撃により射殺されました。』

「なっ・・・・・??」自分が死んだと云う事実よりも今言葉にださず脳内でほんの一瞬思考しただけの事を相手より返答され。歳三は絶句する。

『何を驚いているのです・・私は時の狭間に漂い続ける住人です。そう貴方達の世界ではそういった存在の事を【神】と呼ぶのでしたっけ何にせよ私はそのような存在なのです。』

「けっ、自分で神と名乗るような輩は叡山のクソ坊主共や似非行者共だけで沢山だぜっ!!この土方歳三、神も仏も一度たりとも信じた事はねえんだよ!!」

更に悪態をつく歳三を全く意に反さぬように自称【神】の語りは続く・・・

『では新撰組副長の土方歳三殿・・早速ですが貴方にお願いがあります・・・・』

「おいっ!!人の話を聞けよっ!!テメエが何様だかは知らねえがなぁ百歩譲って、この俺が死んじまったって言うんならよぉ、もうそれで良いじゃぁねえか。もうこのまんま冥府でも何処でも堕としてくれた方が気が楽ってもんだぜ!!」

『それは・・・残念ながら出来ません』

「なんだとぉ??」

『貴方は私がこの【時の狭間】に召喚した事によって貴方自身の輪廻より離れる事となりましたから・・・』

「あぁっ?なんだぁそりゃぁ??テメエが何言ってんのか俺にゃあちっとも分かんねえぞっ!!」

『端的に言えば現在の貴方は人でも霊魂でもなく非常に不安定な事象にしか過ぎないと云う訳ですよ。』

「輪廻がどうたら事象がどうたらってテメエと禅問答してえ訳じゃあねえんだよっ!!いったい俺をどうしてえんだ??」

歳三は自分が何を言っても埒が明かぬと諦めて半ば自暴自棄的に問い返す・・・・

『貴方には新たな【外史】に行っていただき、そこである少女と共に貴方自身の物語を再度演じていただきたいのです・・・』

「はぁぁぁあ????」

『簡単に言えばもう一度生き返り貴方の今までの経験を活かしてある少女と共に生きていただきたいのです・・・』

「胡散臭ぇえぜっ!!生き返らせてやるっつたら喜んで尻尾振るとでも思ってやがんのかよ!!」

心の内に渦巻いていた自身の感情を一気に吐き出すように歳三は吼える

「近藤さんや総司、そして今迄供に戦い散っていった多くの同志達の為にも俺は最後の最後迄この身を懸けて修羅となり薩長の奴等を冥府の道連れにするため戦をしてきたんだっ!!それを今ここに至って生き返らせてやるから誰とも知らねえ小娘と生きろだとっ!!冗談じゃぁねえよっ!!テメエが神だか何だか

知らねえけどよぉ、あんまり俺を馬鹿にすんじゃあねぇよっ!!」激昂し叫び続けいつしか歳三は泣いていた・・・

「馬鹿にすんじゃぁねぇぇぇよ・・・・・・・」


 
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