*注意*
以下に該当する方は「戻る」を押した方が賢明だと思います。
・紫苑√なのに、一刀が他の恋姫といちゃつくのはおかしい。
・拠点なんか書いてないで、はやく話を進めろ。
・焔耶、そろそろ自重してくれ。
・何度も言わせるな。勢い任せも大概にしろ。特に今回はひどすぎるぞ!
それでも進むと言うならば、もはや止めようがありません。
思う所はあるでしょうが、誹謗中傷はお控えいただけると助かります。
作者は心がとんでもなく脆いので。
一刀視点
覚悟を決めた。
天の御遣いとして、俺自身の意志でこの大陸を変える覚悟を。そして、桔梗さんと紫苑さんの手助けをする覚悟を。
馬騰さんと対峙して気を失った後、目が覚めるとすでに夕刻を過ぎていた。半日近くも意識を失っていたらしい。
その後、桔梗さんに誘われて、馬騰さんと三人で酒を酌み交わすことになった。馬騰さんの私室で小さな酒宴が開かれた。
振る舞われたのは、桔梗さんのお気に入りの酒で、シルクロードを経由した輸入品らしく、仄かな甘みや香りが格別に良かった。
しかし、どこでこの話を嗅ぎ付けたのか、馬岱ちゃんと鳳徳ちゃん、それから二人を止めようとする焔耶と馬超さんが、部屋に乱入してきた。
「伯母様ずるいよ!御遣いのお兄さんを祝うなら、将来の花嫁であるたんぽぽを呼ばないなんて!」
「そうです!しかも飲んでいるお酒は、桔梗さんが好きな貴重な代物ではないですか!私たちにも振舞うべきです!」
「蒲公英!貴様は何を勝手に一刀の花嫁になっているのだ!」
「向日葵!お前に関しちゃ、ただ酒が飲みたいだけじゃないか!」
さらりと爆弾発言があったのはスルーしておくとして、厳かに酒宴を開こうとしていた俺たちの目論見は、あっという間にぶち壊されてしまった。
桔梗さんも馬騰さんも、はぁー、と盛大にため息を吐いてしまっている。
「全く、お前たちは仕方ないねぇ」
馬騰さんはやれやれと言いながら、腰を上げると、大広間に家臣全員を呼び集めて、大宴会を催してしまった。
仕事中の者も特別に許可が出て、ドンチャン騒ぎをした。前回の宴を超えるカオスに、表情を引き攣らせざるを得なかった。
俺はというと、天の御遣いであるという話が城中に広がってしまったのだろう、西涼のお姉様方に囲まれて、酌を受けながら質問攻めにあっていた。
よくテレビなんかで芸能人が囲い取材で質問攻めにあっているが、笑顔でこれをこなす彼らを、俺は心の底から尊敬しよう。
「御遣い様はどんな女性が好みなんですか?」
「運命って信じますか?」
「年上の女性ってどう思いますか?」
そんな質問の一つ一つの答えに、キャーキャーと黄色い声を上げられるのは、悪い気分はしなかったが、慣れない上に、昼間の馬騰さんとの件もあり、さすがに疲れてしまった。
ふと、視線を別の場所に移すと、焔耶が不機嫌そうにこちらを見ながら、酒を一気に呷っているのが見えた。
あんなペースじゃ、すぐに酔いが回るだろうに、心配で声をかけに行きたかったが、周囲のお姉様方が簡単に通してくれなかった。
西涼の人間は酒を好む傾向にあるらしく、大広間には次々に酒が運び込まれていた。しかし、それでも間に合わないほどに、宴では酒が飲まれていた。
俺もお姉様方に酒を勧められていたが、上手く断りつつ、酔いすぎないようにしていた。
宴が始まっていくらか時間が経過すると、俺も囲いから抜け出ることが出来た。ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間だった。
「一刀ぉ~~」
よく知る声が背後から聞こえ、それに反応して振り返ってみると、顔を朱に染めた焔耶が、酒瓶を片手に、こっちを見ながら、仁王立ちをしていた。
心配した通り、かなりの酒を飲んだようで、足取りも覚束なかった。
とりあえず水でも飲ませよう、と水の入った瓶に手を伸ばそうとしたが、後ろから焔耶に抱きつかれてしまった。
「ちょっ!焔耶、待て!」
俺の声なんて届いているはずもなく、普段は凛としている焔耶が、俺に絡みついてきた。
「くそぅ……またお前に先を行かれてしまっら……。ヒック……私らって……もっと桔梗様に認められたいのに……」
俺にしか聞こえない程度の小さな呟きに、焔耶の本音が見え隠れしていた。普段は絶対に言わない弱音。馬騰さんの件で、また俺に先んじられたと思ったのだろう。酒が入ってついつい出してしまったのだろう。
普段は見せない焔耶の子供っぽい一面に、ついつい笑みを零してしまい、焔耶の頭を優しく撫でた。
うにゅう、と焔耶からは想像できないような可愛らしい呻き声が漏れた。
すると、その光景を見ていた馬岱ちゃんを筆頭とする、野次馬集団がヒューヒューと声を上げた。
その恥ずかしさに耐え切れず、俺は焔耶を抱き起して、その部屋を逃げるように立ち去った。
とりあえず酔い覚ましのために、風が心地よい中庭の東屋に向かった。
「ふぅ……」
気持ちの良い風に身を任せながら、焔耶の方に視線を向ける。意識はあるようだが、どこか虚ろそうな表情を湛えていた。
「焔耶、大丈夫か?あ、水持ってきてあげるから、ちょっとここで……」
焔耶を東屋の椅子に座らせて、その場を離れようとしたが、焔耶は俺の服の裾をギュッと握って、行かせてくれなかった。
「焔耶……?うわっ!」
焔耶はそのまま俺を、顔と顔がぐっと近づくまで強く引っ張った。
焔耶の表情は、酒のせいで赤くなっていて、また瞳はトロンとして軽く潤んでいた。
惚けたような表情には、警戒心は全く見られず、思わずドキッとしてしまった。
付近には部屋の明かりもなく、月の光だけに照らされた焔耶の顔は、この世のものとは思えない表情だった。
凛としたボーイッシュな顔つきの美しさに、少女のような愛らしい可愛さ。
うっわ、焔耶ってこんなに睫毛が長かったのか……。
間近で焔耶の顔を見た、俺の何とも間の抜けた感想。思いながら、あまりの恥ずかしさに顔を赤くしつつ、焔耶から顔を背けた。
「……一刀」
俺の裾をキュッと強く掴んで、小さくそう呟いた焔耶は、徐に瞳を閉じた。
やべぇ。何だ、このシチュエーションは!?これまでもなんだか危ないシチュエーションに遭遇してきたが、今回ほど決定的なものがあったろうか。
月夜の中、周囲に誰もいない状況で、こんなにも顔を接近させている男と女。女は悩ましい表情をしながら瞳を閉じている。この状況でキスをしないで、何をするというのだろうか。
無意識に焔耶の肩に両手を乗せていた。それでも焔耶は一切の抵抗をしなかった。
いいのだろうか?このままやってしまって……。
そこで俺の中に眠る良心が、天使の俺が理性を保とうと囁く。
相手は酔っているんだよ。そんな無抵抗な人間を襲うなんて、絶対にしてはいけない行為だ。まだ間に合う。焔耶を部屋で寝かせてあげよう。
そうだ。こんなのお互いにとって良くないに決まっているじゃないか。そう納得しかけている俺に、今度は、煩悩の塊、悪魔の俺が囁く。
何言ってんだよ?このチャンスを逃さないでどうすんだよ?どうせ、相手は覚えてなんていないんだし、行ける所まで行っちまえよ!
そうだ。今なら誰も見てないし、きっと焔耶も明日になれば覚えていない。
悪魔の俺と天使の俺が、頭の中で壮絶なバトルを繰り広げた。しかし、人間の煩悩は、殊に女性関係になると、実力の数倍もの力を発揮するものだ。圧倒的な武力をもって、天使の俺を圧倒する。
あぁ、ダメだ。もう我慢できない。
焔耶の顎にそっと手を伸ばし、唇を焔耶に向けて近付けた。
その瞬間、悪魔の俺が天使の俺の止めを刺す瞬間、天使の最後の攻撃。追い込まれた天使の攻撃は、勝てると思いこみ、油断していた悪魔の予想を遥かに上回るものだった。
ダメだ!!
唇と唇が触れるギリギリのところで、俺の理性は見事に逆転勝利をした。焔耶の顔を遠ざけて、荒い呼吸を繰り返しながら、精神を鎮静化させた。
焔耶をお姫様だっこで部屋まで運び、布団の中で眠らせてあげた。布団の中では、俺の先ほどの死闘を知らない焔耶が、スヤスヤと寝息をたてていた。
その後、宴会場に戻ると、今度は、泥酔している馬岱ちゃんと鳳徳ちゃんに散々絡まれ、朝まで無理やり付き合わされた。
あれ?今日の宴会って一体何のために開かれたんだっけ?はぁ、もう寝たいよ。
あとがき
十四話の投稿です。
すいません。本当にすいません。
普段はシリアスなものを書いているだけに、こういう拠点はかなり良い休憩になるのです。
筆の進みも、普段の倍以上で、楽しく書くことが出来ました。
結果、こんな感じになってしまいました。
焔耶ファンの皆様、すいませんでした。
でも、リラックスしながら書けるので、拠点は引き続き書きたいと思います。
その際は、前回、今回のように注意書きは付けるので、見たくないと思う人は、
「戻る」を押していただけると助かります。
駄作製造機の上に我儘なことをほざいてすいません。
今回は、一刀の視点のみで書きました。
焔耶の気持ちは読者様の想像に任せたいと思います。
焔耶は果たして本当に酔い潰れていたのでしょうか……?
そう思うと、少しだけ見方も変わるかもしれませんね。
はい、次回はやっと益州に戻ります。
紫苑さんを待っていた皆さまは、お待たせいたしました。
さて、覚悟を決めた一刀を待ち受けるものとは。
誰か一人でもおもしろいと思ってくれたら嬉しいです。
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十四話の投稿です。
深夜のおかしなテンションを利用して、拠点を書きました。
最初の注意書きをよく読んでから進んでください。
そして、先に謝っておきます。すいませんでした。
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