なのはは作業をしていて、フェイトはそれを見ていて、後ろでこそこそとしている3人に注意を払っていなかったが、どちらも短い時間のコトだ。
「これだと思います。携帯のやつですね」
「へぇ」
なのはが摘み上げたのは、本当に気を抜けば数日の埃で埋まってしまいそうな補足小さいものだった。
「ちっこいモンなんだな」
みかけのままの感想とともに、太一がそれを受け取る。
機械部分は指で摘んだ中に埋もれてしまうほど小さい。
「まぁ埋め込みやからなぁ」
はやての最もな一言とともに、うん、とヤマトが頷いた。
「で、様子を見に来たところを、だな」
「でもどうやって捕まえるんですか?」
「まぁ手段がないわけじゃないよ」
「え?」
バインドとかだと不味いかなぁと首をひねるフェイトの問いに、何か含んだような口ぶりが返って来る。
きょとんとするのはなのはとフェイト。
残る3人は比較的冷静だ。
「とりあえず外出るぞ。あなり長居をして向こうを警戒させても」
「警察屋さんと一緒に来た時点で充分警戒していると思うの」
「けどすぐに帰っとるんし、一応。まんじりこっちの出方を待っとるやろなぁ」
なのはのもっともな意見に苦笑いしながら、太一はその手の中のものに力をこめる。
繊細なソレは比較的あっさりと……
「あ、よくあるけど」
ぱき
「あ?」
「携帯からの電波途絶えたらBOM,とかって、聞くやんなぁ?」
・・・・・・・・・・・・・
「今言うなよ」
苦笑いした太一の指先からぱらぱらとプラスチックの破片と金属片が落ちる。
慌てず騒がず、だが彼らはキャッシュコーナーから出ていく。
「とりあえず飯か。
何か食べたいものとかあれば。詳しいとはいえないけど」
「え?え?」
(普通にお話しとらんと変やろ。おちついて)
(あ、そっか)
いきなりの話題転化にきょどるフェイトにはやてがフォローをいれる。
なのはにもその声は届いたらしく、比較的素直な思案顔になった。
「んー、スパゲッティとか」
「和モノもえぇなぁ」
「君の国にはどんな料理があるんだい?フェイトちゃん」
「え」
「タラシ」
突然の問い。戸惑うフェイトと笑顔のヤマト。
ぼそりと呟かれた「親友」殿の言葉に、苦笑いする。
単純に、他の二人に思考を任せている彼女が気になったのだとは、ヤマトは言わなかった。
「流れだろ。それともメシどこかたのむ、とかメール打つか?」
「あぁあったなぁそんなネタ」
ミミ辺りなら盛大なデータを送ってきそうだなと思いながら雑談を交わす彼らの脇を一人の帽子の男がすり抜ける。
「あれ?おかしいな」
ぽつり呟かれたそんな言葉が、彼らの意識に容易に引っかかった。
「フェイトちゃん、バインド」
「え?あ、うん」
べち。
はやてに言われるままに発動された一瞬のそれが、男を転がす。
「いだっ」
「あ、大丈夫ですか?」
「っ、あ、どうも」
素早くなのはが駆け寄り、声をかける。
少女が親身に寄ってくることはさすがに戸惑ったようだったか、男は直に立ち上がり、目的地……キャッシュコーナーへと向かった。
それを見送りながら、彼女はその場のメンバーに大きく頷く。
「さっきすれ違った人」
「間違いない?」
「うん」
確信持って頷く少女に、にっこりと笑いかけたのは太一だ。
「そういや、知ってる?」
「え?なにをですか」
突然のソレは、だが一見(一聞?)脈略のなさそうな……
「ATMのスペースは非常時、防犯シェルターとして機能するって。
勿論、警察付きで」
「へぇ。でも今は……」
それを押す手段が無いといおうとしたフェイトから目線を逸らさず、太一が得意げにいとこを呼ぶ。
「ってなわけで、はやて」
「はいな」
ビービービー
「え?え?なにやったの?」
突然の警戒音。
そして振り返った先、音の根本にあるまさにキャッシュコーナーが「オリ」に化けていた。
「サーチャーを一つ、こっそりしかけておいたんよ」
ぽかんとする白黒コンビに、はやてが得意げに胸を張る。
「それで非常時用のボタンを、押した?」
「あたり。さすがに一日で2度の警察お世話になるとか勘弁だよ」
フェイトの確認にヤマトが少し苦く笑いながら頷く。
どちらかというとおまけのように付け加えた後半が本音だろう。
そのまま彼らは結局ファミレスに落ち着いた。
目的があるためにさほど長居する予定はなかったし、色々好みが別れるようだし、子どもだし、まぁとりあえず手っ取り早い選択ではある。
「というわけでひったくり現行犯、銀行爆破?未遂と来たわけやけど」
「うん。すごいよね」
それぞれ好きなものを注文して待っている間食べている合間、話題はどうしても「休暇」らしくない現状だった。
「さぁ次はなんや?!産気づいた妊婦さん?コンビニ強盗?!
通り魔もテロリストもばちこいやで!」
「自棄になってるよ、はやてちゃん……」
なのはのツッコミすら痛々しい。
だが実際なんとなくわからないでもない面々だ。
「それともまどに、まどに、で〆られた日記ひろうて内口町にいくとか」
「ノート系なら死人の名前が並んでいる黒いの、って手もあるな」
不吉な冗談を言う年長組。
残念ながら少女たちにはあんまり元ネタはわからないようで、トラブルトトカルチョ候補をひねり出す。
「暴れ馬、とか」
「この街中ど真ん中で?さすがにそれは」
「暴れデジモンとか」
「昔散々やったよ」
はやての言葉にぐったりと太一が応じる。
実際それはほんとーにさんざんやった。でかいのからちっこいのから。
「でじもん・・・ってなんですか?」
とはいえ知らないなのはが首を傾げた。
フェイトはこの世界特有の言葉かと疑問にはおもわなかったらしい。なのはの問いに、初めて不思議そうに目を見張る。
が、そうそう答えてやるものでもないとヤマトが肩をすくめた。
こっそりとはやてが自分の失言を仕草だけで彼らにわびる。
「んー。こっちの担当、かな。っていうか不吉な会話するなよ八神家。
お前らの場合タダですら説得力ありそうだから」
「予言はヒカリの仕事だぜ?」
「真顔でいうな」
「ええっと」
「ん?」
とりあえず内輪ネタに展開しそうなところに、なのはがわざわざ手を上げて声を上げる。
「とりあえず結果としては妊婦のテロリストさんがコンビニ強盗未遂の途中で産気づいて自分が産んだ暴れ馬を人質に」
「おしい、通り魔がない」
はやてが突っ込む。
惜しいって。
「っていうか、馬」
「あぅう」
無理なのは重々承知だったのだろう。
にゃははとつぶれながら、笑う少女に、こっそり金の少女がその髪を梳く。
慰めている、のだろうが。
「それよか、無茶だから。流石にないから」
ツッコミ自体は容赦がない。
「逆に立てこもりが追加されてるしな。食中毒とか?」
「メシ食いながら出す話題じゃねぇな。
心配ならわさびとしょうがと乳酸菌とっとけ」
それは根拠が無いわけではない提案だが、最初の二つはどうなのか。
「ドリンクバーにカルピスあったな」
降られた太一も冗談めいたその言葉に頷く。
勿論、やりとりとしては冗談の部類だ。
「いってら。俺アイスティな」
「あ、てめ。まぁいいや。他には?」
ちゃっかり便乗する友人のものだけでは失礼と考えたか。
むしろここでオンナノコを無視したら、空あたりに怒られそうだと彼は少女たちに問いかける。
「え?あの、私お手伝い…」
「いや、大丈夫だから」
「私ウーロン茶」
「すいません、オレンジジュースを」
「紅茶をお願いします」
「はいよ」
果たして。「3つめ」が、ほんの数分にもならない時間の間に起こるのだが。
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どうでもいいですけど、一般人として役に立つんだかたたないんだかの情報満載でお送りしているデペイズマン・シード4th。
XXXを無理にXすとXのXがXXXでXれて使えなくなる機種があるとか入れてどーすんだってネタを入れよっかしてたり、あれ?これ機密分類になるんだっけ?
あぁ今日のXWのアレは進化ですよ、進化という言葉以外認めませんよ?転生とか前世とかそんなん空耳です!!