ヴェインはアトリエの掲示板を見て小首を傾げた。振返って調合材料の分別をしているニケに質問をした。
「ねぇ、仮装パーティーって何?」
「あぁ、今月末にやるやつだよね。ハロウィンだからそれらしい格好するんだよ。うちは出店の方が楽しみだけどね。」
「ニケちゃん、それらしいじゃ分らないでしょ。文学作品上の怪物のような格好するんだよ。」
フィロはにっこりと笑ってヴェインの質問に答えた。何故か物凄く楽しみにしているようだった。
「へぇ、そうなんだ。」
「男性陣は私が衣装を用意してあげるからだ~いじょうぶ。」
一緒に分別をしていたパメラが分別の手を止めずに言った。
「え、いいの。有難う。」
「ヴェイン君にはサルファ君とお揃いになるようなの考えているから~。」
ヴェインは首を傾げたがあえて何も言わなかった。
「ロクシス君のもマナさんとお揃いになるように作るからね~。」
「な…」
『おぉ、それは楽しみじゃのう。』
「…」
ロクシスは自分が反対するより先にマナに言われてしまいそれ以上何も言えなかった。
実際に出来あがった衣装はヴェインのは黒を基調として猫耳尻尾つき。ロクシスのは白を基調として狼耳尻尾つき。
お互い衣装を着替えて終って無言でお互いを見ていた。
「え~と…」
ヴェインは何か言わなくちゃいけないのかなととりあえず声をだすが何を言っていいのか特に思いつかなかった。
「何も言うな。黙ってろ。」
ロクシスはいつもより低い声できっぱりと言い放った。確実に不機嫌らしい。
サルファはヴェインの服に爪をたてて肩までのぼると前足でヴェインの猫耳に触れた後、頬擦りをした。
『なかなかいい毛並みだ。』
「そう…サルファはかなり気にいったみたいだよ。」
「そう、良かったわ~。ロクシス君の方も気にいってくれたみたい。」
ちらりと見るとロクシスはどう見ても不愉快そうな表情をしていたがマナの方はかなり嬉しそうだった。
「そう…かな?」
「それにしても残念だわ~。私も仮装したいけど着替えられないし…」
パメラははふうと大きな溜め息をついた。
「そうなんだ。それにしてもフィロ。」
「え、なぁに?」
「その格好は?」
「ミイラ女だよ。」
いつもの制服を着ているが手足のみではなく顔にまで包帯を巻いている。
「そういうのがいるんだ。」
「うちみたいにスタンダードのにすればいいのにさ。」
ニケはほうきを片手に持ち、ピンクを基調とした袖なしの上着、短いスカート、グローブと長いブーツ、とんがり帽子という服装だった。
「けど、アンナの格好はうち見たことないかな。」
「え、そうですか?私の国ではお化けはこういう格好だという話ですよ。」
見たことはないんですけれどもと言うアンナは白い着物に白い布を頭に巻いていた。
「むー、邪魔!」
ムーペは突然怒鳴ると頭にかぶっていたかぼちゃを頭からすぽっと外した。
「駄目だよ、ムーペ君。折角似合っているのに。」
「これがか?」
「うん、すっごく似合ってるよ。」
「むー。」
フィロの言葉を聞いて仕方ないというようにまたかぼちゃを頭にかぶせた。
「ムーペ、外見てくる。」
「あ、あたしも行く~。」
そう言うと窓からムーペとパメラは出ていってしまった。
「あーぁ、私も空を飛べたらな。」
フィロは窓からムーペを見送っていた。
「フィロ、うちはあんたのそういうとこよくわかんないわ。」
「さて、そろそろ俺たちもでかけるか。」
グンナル先輩はいつのまにかアトリエにいた。白いシャツ以外は全部黒で統一され長いマントを羽織っていた。
「あ、グンちゃん。やっと来た。うちはやきそばがいい。」
「私は林檎飴。」
ニケとフィロは先輩のマントをぎゅっとつかんだ。
「僕はわたあめがいいです。」
「普段アトリエで何もしてらっしゃらないのですからこういう時ぐらい先輩らしくしてくれてもいいかと思います。ということで私はたこ焼きで。」
「言われてみればそうだな。じゃあ、お好み焼きをお願いします。」
ヴェイン、アンナ、ロクシスも先輩のマントをつかんだ。
「いいたいことをいいおってからに…よし、全員まとめて面倒見てやる。行くぞ。」
先輩は眉をしかめたが男らしく断言するとすたすたと歩きだした。
ヴェインの肩で大人しくしていたサルファはにゃんとないた。
「先輩、サルファはとらふぐがいいそうです。」
「なにっ!そもそも出店の商品じゃないだろうが…えーい、わかった。後で買ってやる。」
サルファはそれを聞いて満足そうに尻尾の先端をぱたぱたと動かした。
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マナケミアでハロウィンがあって仮装パーティーとかやる場合はこんな感じになったのかなと思って書いた物です。