No.179349

真・恋姫無双 魏end 凪の伝 8

北山秋三さん

真・恋姫無双の魏end後の二次創作SSになります。
凪すきーの凪すきーによる、自分の為のSSです。ご注意ください。

2010-10-20 09:18:43 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:5087   閲覧ユーザー数:4341

 

 

 

※この作品は魏endで一刀が"完全"に消滅した事を前提としているため、

 

記憶が戻るとかは無いので御容赦下さい。

 

後、オリジナル設定もあり、登場人物の行動や言動が原作と一致しない場合も

 

多々ございますので、その点も御容赦下さい。

 

 

 

"それ"は遠くから飛来する。

 

────比喩表現ではなく、実際に空を飛んでくるうすらデカイ"それ"を前に一刀は覚悟を決めた。

 

人生最高の一撃を与えれるように────

 

「死ねぇぇぇぇぇ!!!」

 

「ぬおぉぉぉぉぉぉぉーーーー!!!」

 

着地した瞬間を狙って正眼の構えから放たれた、人生でも一度放てるかどうかの一撃を

 

"それ"がブリッジで交わす。

 

「ちょっとおおーーーん!何があっても殺しはしないんじゃなかったかしらぁーーん!?」

 

「化物は別だっ!!」

 

くねくねと動く"それ"に本日二度目の『もう一度放てないような一撃』を放つ。

 

「だぁーーれが、絵にも書けないじゃなくて書きたくない化物ですってーーー!!」

 

だが再びその攻撃もかわされた。

 

「そこまでいってねーよ!!」

 

目の前にはピンクのビキニパンツの膨らみが。

 

追撃しようとした理性と触りたくないという本能が刹那にせめぎ合い、本能が勝った。

 

バッ!と距離を取って"それ"を見直────さないで逃げる!

 

「まってぇーーーん♪ご主人様ぁぁーん」

 

「こっちくるなぁーーー!!!」

 

「あらぁん・・・ご主人様を襲った凪ちゃんの事・・・知りたくなぁい?」

 

ピタリと足が止まった。

 

「何だって・・・?」

 

振り返ると、そこには笑みを浮かべる筋肉があった。

 

ピンクのビキニパンツ一つでムキムキの筋肉はテカテカと輝き、頭をみればツルリと禿げ上がっているが

 

その後ろからは小さなお下げ髪が二つ伸びている。

 

「うふぅ~ん♪今回のご主人様はちょっと年上でまさにい・い・お・と・こねぇ~ん」

 

「は・や・く・しゃ・べ・れ・!」

 

一刀が剣をチクチクと刺されば、筋肉ダルマがオウッオウッとハートマークを飛ばしながら悶えていた。

「まずは自己紹介ねぇん。私は貂蝉。愛すべき漢女よぉーん」

 

「そうか。オレを襲ったニセ凪の事を知っているのか」

 

貂蝉という名前と漢女(おとめ)という単語を華麗にスルーして話を進める。

 

「ご主人様を襲ったのは、外史の凪ちゃんなのん」

 

「外史・・・の、凪・・・?」

 

「ここは外史と呼ばれる世界。三国志の世界なのよん」

 

「────はあ・・・?」

 

「ご主人様のいた世界を正史、別の世界を外史と呼ぶのよん。簡単に言えばパラレルワールドねん」

 

口調こそふざけているが、真剣そのものの目に愕然としてしまう。

 

普通なら信じれる筈の無い話────

 

だが、何故かそれが真実だと分かった。

 

自分の不思議な感覚に戸惑うが、それが・・・右手から伝わっているような気がした・・・。

 

「な・・・なんでその外史の凪がオレを襲うんだ・・・?」

 

「正確に言えば、体は正史の凪ちゃんのものなのよぅ。正し、心は外史の凪ちゃんだけどねぇん」

 

意味が飲み込めない。頭がクラクラしそうだった。

 

ここは三国志の世界で、凪の体は本物だけど心は外史の凪で・・・。

 

「少し長くなるけど、しっかりと聞いて欲しいのねん・・・事の起こりは、ある『鏡』が割れてしまったことで

 

いくつもの外史が作られてしまったの。ここはその外史の中でも、『ありえなかった筈の外史』なのね」

 

「『ありえなかった筈の外史』?」

 

「三国志の世界は蜀・呉・そして魏が戦っていたという事は知ってるわよねん」

 

頷く一刀を見て、満足そうに貂蝉が微笑んだ。キモイ。

 

「数多くある外史の中でこの外史だけ、魏が勝ってしまった。本来ならありえない筈の出来事だったの」

 

「何故・・・?」

 

「そこは規定で話す事は出来ないけど、それが世界の決まりだったのねん・・・。

 

でも、それを打ち破った人がいたのよぅ。それがご主人様」

 

「・・・ん?それだと、オレがその打ち破った人・・・ということになるのか?」

 

「それは正解でもあり、外れでもあるのねぇ。打ち破ったのは、この外史のご主人様・・・。

 

『もう一人のご主人様』なのねん」

「オレがもう一人・・・?」

 

「そう。でも、この外史のご主人様はそのせいで消されてしまった・・・」

 

「死んだ・・・って事・・・か?」

 

「ある意味ではそうだけど、それより酷いの・・・正史と外史の狭間に封じられて、ゆっくりと消えて

 

しまったのねん・・・」

 

沈黙がその場に流れた。

 

貂蝉の辛そうな顔が・・・キモイ。

 

「でも、納得できない者達がいたの・・・それがこの外史の凪ちゃん・・・」

 

「え・・・」

 

「ご主人様が消えてしまったのは自分のせいだ、と苦しみ続けた彼女はついに外史に影響を与えて

 

しまったのねぇん。自らの体を二つに分けて、そのうちの一つを正史に送り出す事に成功したのよ。

 

でも、外史から送れるのは自分の想いを乗せた何かだけ・・・それに想いを乗せる事で正史にいる自分、

 

ご主人様の知る凪ちゃんに憑依したのねぇ・・・」

 

ハッと思い出す。凪の片腕につけられた『閻王』────あれが・・・そうか・・・。

 

「何故、憑依してまで鏡と剣を盗み出そうとしたんだ?この外史の凪の目的は何だ・・・?」

 

「それは鏡と剣が他の二つの外史のものだからよ。その二つもご主人様が関係するものだから、

 

『鍵』として使う事ができるの・・・その『鍵』の使い道は正史と外史の狭間を開く事・・・」

 

「そして・・・狭間を開く目的は・・・そこでご主人様と同じように消える為・・・」

 

言葉が・・・出ない。

 

その想いが理解できてしまったから。

 

苦しみが理解できてしまった。

 

「それを防ぐために、ご主人様にこの世界に来てもらったのねん。ギリギリだったわん。

 

『鏡』は持って行かれたけど、『剣』はご主人様がしっかりと握っててくれたから一緒に飛ばせたわ」

 

「オレは・・・戻れるのか・・・?」

 

「それは大丈夫よ。"もう一つの目的"を果たしたら無事に元の正史に戻って、そっちの凪ちゃんと暮らせるわん。

 

正史にはもう『鏡』も『剣』も無いから凪ちゃんは元に戻っているのねん」

 

「"もう一つの目的"?」

 

「いくら凪ちゃんの想いが強くても、それだけで外史に影響を与えれる事はないのねぇん・・・。

 

その想いを利用したヤツがいるのよ」

 

ザワリ、と一刀の胸に殺意が湧いた。

 

「誰だ・・・それは・・・」

 

怒りが、弾けそうになるのを抑えるのがやっとだった。

 

「そいつは『太平妖術の書・真書』と呼ばれる妖術書を手に入れた者・・・でもまだ誰かはわからないのねん。

 

そいつが『鏡』の外史、『剣』の外史、そしてこの外史と3つの外史を支配しようとしているのねん。

 

そして、それを成すためにも『鏡』と『剣』が必要だったの・・・」

 

「その為に・・・この外史の凪の想いを利用したのか!」

 

ぐぐっ・・・と剣を握る手が痛くなるほど握られた。

 

「ご主人様にはその『太平妖術の書・真書』を破壊して欲しいのねん。それが出来るのは、いくつもの乙女の

 

想いに守られたご主人様だけ・・・」

 

それに頷く。

 

「今ご主人様が持っている剣は、『剣』の外史で同じようにご主人様を愛した二人の乙女の想いがあるから、

 

きっとご主人様を守ってくれるのねん・・・」

 

キラリと剣が光った気がする。

 

「その剣の名前は『南海覇王』毒矢に倒れた乙女と病に倒れた乙女の想いの剣よ────」

 

お送りしました第8話。

 

もし・・・凪なら、一刀が消えた後どうするかな・・・という自分の考えがこうでした。

 

さて、これからどうなるかお楽しみに!

 

それはそうと、7話でちょっとヒント出しすぎたかな?と思いましたけど、

 

一刀の持っているのは南海覇王です。なので今この世界には南海覇王が2本あります。

 

それとちょっと補足。

 

『鏡』の外史とは無印の恋姫。

 

『剣』の外史とは真・恋姫の呉ルートの事。

 

そして今いる『魏』ルートの3つの外史となります。

 

・・・え・・・?真・恋姫の蜀ルート・・・?ナニソレコワイ。

 

ではちょこっと予告。

 

「みんなー・・・どこいっちゃったんだよぅー・・・」

 

一刀の前に現れた赤髪で白馬に跨る、影の薄そうな女性は何者か!?

 

では、また。

 

 


 
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