No.179020

真・恋姫無双 魏end 凪の伝 7

北山秋三さん

真・恋姫無双の魏end後の二次創作SSになります。凪すきーの凪すきーによる、自分の為のSSです。ご注意ください。

2010-10-18 19:08:37 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:5114   閲覧ユーザー数:4346

 

 

 

※この作品は魏endで一刀が"完全"に消滅した事を前提としているため、

 

記憶が戻るとかは無いので御容赦下さい。

 

後、オリジナル設定もあり、登場人物の行動や言動が原作と一致しない場合も

 

多々ございますので、その点も御容赦下さい。

 

 

 

一刀が目を覚ますと、目の前には荒野が広がっていた。

 

上には青い空・・・いや、その濃さは蒼い空だ。

 

「なん・・・だ・・・?ここは・・・?」

 

周りを見渡せば針の如くそびえる岩の山と、ただひたすら続く赤茶けた荒野。

 

周りの景色と乾いた風がここは日本ではないと強く訴えていた。

 

「凪と中国に行った時に見たような・・・」

 

そこでハッと気がつく。

 

「────凪、凪!────ああ、いや!違う!いや、でも凪か?」

 

一刀はパニックになりかけるが、気を失う前の事を思い出す。

 

顔に傷跡のある・・・思い返せば全身に傷跡のある、泣きそうな凪の顔と「隊長」という言葉。

 

相手は自分の事を知っている様子で顔は確かに凪そのままだが、一刀の愛した凪では無い。

 

でも・・・と、一刀は思いなおす。

 

(凪と同じ顔の人に・・・あんな顔はして欲しくないな・・・)

 

泣きそうな凪の顔はプロポーズした時の嬉し泣きしか見たことが無い。

 

その時、手元からカチリという金属のような音が聞こえた。

 

「あれ・・・なんだこれ?」

 

自分の右手を見れば、剣の柄をしっかりと握り締めている。

 

古い剣・・・の筈だった。

 

だが今持っているのは錆付いて鞘から抜けない筈の剣などでは無く、

 

金色の柄と豪華な鞘を持つ長い両刃の剣。

 

鞘をスラリと引き抜けば、その刃は全ての物を絶つ事すら出来そうな輝きを放っていた。

(黒いスーツ姿で剣を持つオレ・・・普通なら恥ずかしくて出来ん)

 

とは思うものの、そこは男の子。

 

剣を振ってみればその剣はまるで自分の手に吸い付くように馴染み、軽い。

 

ちょっとはしゃいでしばらく振っていたが、唐突に沸き起こる気恥ずかしさに思わず赤面する。

 

「何やってんだオレ・・・」

 

しばらく自己嫌悪に陥ったが、見渡す限りの荒野。

 

こんな所で剣を持っていれば銃刀法で捕まるんじゃないか、とも思ったが誰もいないからまぁいいか

 

と剣を鞘に閉まって肩に乗せる。

 

ここがどこかはわからない。少なくとも日本では無い。中国のどこかに似ているがこれだけ周りに

 

何も無いという事はなかった筈だ。

 

道路らしいものすら無い。空を見て飛行機の一つでも見えないかと空を見上げても眩しいだけ。

 

溜息をついて原因を考えてみるが、あの凪・・・とりあえず区別する為に『ニセ凪』と呼ぼう。

 

原因はニセ凪に間違いないだろう。

 

だが何の目的で・・・?

 

考えてみてもざぁっと流れる風が吹くだけで、誰も答えを持ってきてくれない。

 

溜息をついてポケットに手を突っ込むと、カサリとした手応えが。

 

出して見れば『卒業記念パーティーのご案内』というチラシだった。

 

他に何か持っていないか確認する。

 

ボールペンと手帳、携帯とハンカチ、これは今朝凪が持たせてくれたものだ。

 

後はいざという時の為用の千円札が一枚。

 

そして・・・内ポケットから出てくるのは小さな袋。

 

中には入籍した後渡そうと思っていた結婚指輪が2つ。

 

指輪の内側にはそれぞれ『Kazuto』『Nagi』と刻まれていた。

 

その『Nagi』と刻まれた指輪を自分の左手の薬指にはめる。

 

本来であれば今頃は役所に婚姻届を提出して、凪と正式な夫婦になれる筈だった・・・。

 

もう一つの『Kazuto』と刻まれた指輪を見つめていると、ポツッと水滴が落ちた。

 

「あれ・・・オレ・・・泣いてる・・・?」

一刀が袖で涙をぬぐった時────

 

「おう兄ちゃん。いいモンもってるじゃねえか」

 

後ろから声が掛かり、ふり向けば三人組の男。

 

だがその格好は・・・。

 

「鎧に黄色い布・・・と・・・黄色いネコミミ・・・?何のコスプレだ?」

 

「・・・はぁ?おメェ、何言ってんだ?」

 

真ん中の男がイラ立つような口調で一刀を睨むが、その黄色い布の頭巾の頭には

 

黄色いネコミミがぴょこんと乗っていた。

 

もう一度一刀が目をこすって見るが、確かにネコミミだ。

 

「アニキ。こいつ、見たこと無いけどかなりいい服着てますぜ」

 

横の小男が厭らしい笑みで真ん中の男に告げると、

 

「んだんだ。どごがの貴族のぼっちゃんでねーが?」

 

もう一人の太った男がゆさゆさと体を揺らしながら笑う。

 

その二人の頭の上にも、黄色いネコミミが乗っている。

 

「まとめて売りゃあ『らいぶ』のいい資金にはなるかもしれねぇなぁ」

 

ニヤニヤ顔のアニキの言葉に、一刀がキョトンとする。

 

「はぁ?ライブ?────何の?」

 

「「「ああぁん!!!???」」」

 

三人の顔が物凄く迫る。

「何言ってんだおメェ!!今、らいぶっつったら、今をトキメクあいどる!!

 

『娘々㊥姉妹(にゃんにゃん・しすたぁず)』に決まってるだろうがよ!!!」

 

「オイラ達は名誉ある『にゃあ黄巾党』のめんばあだぜ!!ねぇ!アニキ!」

 

「ああー。はやぐ張梁ちゃんの『ななの~助けてたもれ~』が聞きだいんだなー!」

 

「おぅおぅ。お前ら!やっぱり張角ちゃんの高笑いが最高だろうがよ!

 

あの脳天にズキュウンと来る『おーーっほっほっほ』が癖になるぜ!!」

 

「張宝ちゃんの恥ずかしげな『とし~助けてくれ~』も最高でヤンスよ!!」

 

目をキラキラさせながら恍惚の表情を浮かべる三人に、一刀はスウッとドン引き

 

してその場をそそくさと立ち去る。

 

「三人のうち二人が助けてくれって言ってるアイドルって何だよ」

 

まったく意味が分からない会話だったが、分かった事は会話の中に

 

『張角、張宝、張梁』と『黄巾党』という名前が出てきた事だ。

 

その名は三国志で有名だが・・・。

 

「『にゃあ黄巾党』って・・・」

 

剣を腰のベルトにさし、とりあえずここから離れようとスタスタと歩いていると、

 

「待てやコラァ!!ここは『娘々㊥姉妹』の名曲『ふあんねるでつついて』を

 

歌う所だろうが!!」

 

三人がナタのようなものを抜くのを見て、即座に一刀が反応する。

 

中国で旅行した時も変なやつらに襲われた。

 

その時も凪と一緒に撃退したっけと考えている間に三人の急所に剣の鞘がめり込み、三人は

 

武器を取り落として悶絶する。

 

「オレは何があっても殺しはしない。とっとと立ち去れ!」

 

一刀の気迫に三人はヒィッと悲鳴を上げて、股間を押さえながら千鳥足で逃げていった。

「はぁー・・・何なんだよまったく・・・」

 

溜息をついた時────遠くから何かが聞こえた。

 

"それ"は高速でここに近づいてきている。

 

"それ"を見た一刀の目が驚愕に見開かれた。

 

鞘から剣を抜き正眼に構える。

 

(殺さなければこっちがやられる!)

 

────本能が、危機を知らせた。

 

"それ"を見る事はできたが、何なのか認識する事が出来ない。

 

冷や汗が流れ心臓の鼓動が激しくなる。

 

「凪・・・オレは絶対生きて帰る!!生きて帰ったら、絶対結婚しよう!」

「ぶるぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!ごっしゅじん様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

お送りしました第7話。

 

さて。謎の人物の登場です。

 

果たして敵か味方か・・・。

 

謎ですよ?

 

 

皆様、コメントや支援大変ありがたく思います。

 

この場を借りてお礼させていただきます。

 

ありがとうございました!

 

ちょっとした一言コメントが新しいアイディアの元になったり

 

と初めての体験でワクワクしております。

 

これからもどうぞよろしくお願いします。

 

ではちょこっと予告。

 

謎の人物の語る『3つの外史』とは何か?

 

では、また。

 

 

 

 

 


 
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