「あの頃の僕らはきっと全力でニートだった♪」
「何があの頃じゃ。今でも立派な全力ニートじゃよ」
替え歌を歌いながら朝食を食べる雪蓮。
それを掃除をしながら呆れる祭。
「だって働きたくないんだも~ん」
「はあ。こんなんじゃ嫁の貰い手が現れんじゃろうなー」
「一刀がいればそれでいいわよ♪」
愛すべき義弟さえいれば他に何もいらなかった。
「それより今日は冥琳が家に来るわよー」
「なんじゃと!? あの口うるさい娘が来るのか!」
「そうよー。ガミガミと説教ばっかりしてくる堅物が」
言いながら二人で笑う。
「めーりん! めーりん!」
「こーきん! こーきん!」
無意識のうちにこう叫んでいた。
そしてヒートアップした二人は振付も加える。
「めーりん( ゚∀゚)o彡° めーりん( ゚∀゚)o彡°」
「こーきん( ゚∀゚)o彡° こーきん( ゚∀゚)o彡°」
しばらくをそれを続ける謎の親子。
『ぷっ。あははははは!』
そして盛大に噴き出して笑った。
「なんか冥琳って聞けばこれやっちゃうのよねー」
「うむ。無意識に振付も加えてしまうのじゃ」
条件反射らしい。
「それにしても母さんの『こーきん( ゚∀゚)o彡°』ってなによ?」
「それが良く分からんのじゃ。無意識に『こーきん( ゚∀゚)o彡°』と言ってしまうのじゃ」
「何よそれー」
「分からん」
『ぷっ。あははははは!』
再び盛大に笑いだす愉快な親子だった。
「何がそんなに楽しいのだ?」
二人は背後にいてはいけない気配を感じた。
「母さんご飯おかわり!」
「う、うむ。ほら、たんとお食べ」
無視を決め込む二人。
しかし、動揺は隠せない。
なんせ祭は炊飯器ごと雪蓮に渡し、雪蓮もそれを食べていた。
「ほう。私を無視するのですかな?」
「あっ、冥琳おはよー!」
「おう。来ていたのか冥琳よ」
何事もなかったかのように挨拶をかわす。
「ええ、おはようございます。それより少しお話をしましょうかお二方」
「わ、儂は部屋の掃除が……」
「わ、私もやりかけの孫策無双Ⅶが……」
「さあ、行きましょうか」
冥琳は二人をどこかに引きずっていった。
『ぎゃーーーー!』
断末魔の叫びが響き渡った。
「ん? 今なんか聞こえたような?」
通学中の一刀は何か聞こえた気がしたのだが、気のせいだということにした。
「それにしても一人で学校は久しぶりだなー」
他の者たちは委員会だったらり日直だったりでめずらしく一人での登校だった。
「なんか、いいことあるかなー?」
「そこのあなた、私を拾いなさい」
のっけから良くない事が起きる予感、いや起きてしまった。
「ごめんね、ウチ姉ちゃんが猫アレルギーなんだ」
むしろ猫のような自由な姉だった。
「私は人間よ!」
金髪ツインでくるっくるの髪の少女はそれを否定する。
なんでダンボールの中で座っているのかはおいといて、このままでは学校に遅刻してしまいそうなので軽くあしらうことに。
「人間も飼っちゃダメなんだ。ゴメンネ。学校に遅刻するから行くね」
「あっ、ちょっと待ちなさいよ!」
一刀は逃げ出すように学校に向かった。
「むう。作戦を間違えたようね。次の作戦に移りましょう。風、いるかしら?」
「なんすか?」
風と呼ばれた少女はどこからか突然現れた。
「次は学校に向かうから車を出しなさい」
「ういーっす」
そして風は背中に華琳を背負って学校に向かって走り出した。
「へぅ来々!」
「うるさいわねへぅへぅと。あっ一刀くんおはよー」
朝からうるさい友人をあしらう詠は一刀の登校に気付いて挨拶をする。
「おはよう。詠ちゃん、ついでに月ちゃん」
「私はついで……」
ショックを受ける月を余所に詠に今朝の出来事を話す一刀。
「それなんてエロゲ?」
「だよねー。でもウチは姉ちゃんに妹もいるから養う余裕がないっちゅうねん」
「そうねー。雪蓮先輩は元気?」
「全力ニートしてるよ」
「相変わらずねー」
そこでチャイムが鳴り、同時に桔梗が入って来た。
「一刀くんにエロゲ展開は無効……っと」
思春は早速メモった。
「おっ、今日は全員そろっとるな。突然じゃが今日は転校生がおるでのー。まあ百聞は一見に如かずじゃ。入ってこい」
そして教室に入って来たのは今朝会った金髪くるっくる。
「あー!」
「あら、あなたは今朝の」
「それなんてエロゲ?」
詠は転校生パターンにエロゲを想像した。
「…………一刀くんには無効」
早速情報と照らし合わせる思春。
「華琳よ。よろしくしてあげるわ」
「なんともめんどくさそうな奴じゃな。席は……」
「そこのあなたどきなさい」
「はっ?」
華琳が目をつけた席は一刀の隣の席の詠。
「なんでボクがどかなきゃなんないのよ?」
「そ、それは自然の摂理よ」
「意味分かんないし」
確かに。
「いいからどきなさい」
「いやよ。そこのへぅッ子に頼みなさいよ」
詠の反対側に座っている月に華琳の目がいく。
「へぅ来々!」
「どけ?」
「へぅ……」
あっさりと負けた月は教室の端に追いやられた。
「よろしくね一刀」
「なんで俺の名前を?」
「な、なんとなくそんな気がしたのよ」
「ふーん。まあよろしく」
その可愛らしい小さな手を出す一刀。
「はぁはぁ一刀くんの手」
血走った目でその手を見つめる華琳。
もはや犯罪者のそれに近かった。
そして恐る恐るその手を握った。
「ああん! イクー!」
のけぞった身体はビクビクしていた。
「はっ! これからよろしく頼むわね」
「う、うん」
一刀は……というかクラスの全員が華琳を不審な目で見つめていた。
「一刀くんの手…………侮りがたし。…………いつか私も…………じゅる」
そんな日はくるのだろうか。
「ちょっとお手洗いに行ってきます」
「う、うむ」
桔梗に許可を取りトイレに駈け出した華琳。
「風!」
「あいよー」
個室に入った華琳は風を呼ぶ。
またしてもどこからか現れた風。
「新しいパンツは」
「ほれ」
濡れてしまった下着を交換する華琳。
「この私をいとも簡単にイカせるなんて……。一刀くん、恐ろしい子!」
「あんたが淫乱で痴女なだけだろー」
「うるさいわね!」
「濡れたパンツ持って帰る風の身にもなってくれよー」
「これからは気をつけるわ」
「頼むよー。んじゃなー」
「ええ。ありがとう」
そして風はどこかに消えた。
「一刀くん、いつか私なしではいられなくしてみせるわ!」
拳を突き上げ宣言する華琳。
それが逆になることは明らかだった。
がってーん!
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この話したらやばいんだろうなー。
ん? いや別に? 続けて続けて?