No.178889

北郷一刀、逃走中~軍師達の願い事編~

よしお。さん

書いては消し、消しては書いての繰り返しで投稿が遅れました。
それと思ったより長編になってしまいそう……申し訳ないです><
諸将のテンションの高さややる気に繋がる部分なので、願い事編は外せないのです。
次回は武将達の願い事編、その次が本編となっていく次第です。(構想)
仕事の合間を縫って執筆していきますので、気長に待っていて下さるととても嬉しいです!

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2010-10-17 23:11:41 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:7351   閲覧ユーザー数:5936

場所は三国の中心の都のとある部屋―――。

 

 

 

「シャオ、それは本当なの?」

「ほんとーよ!しっかりこの耳で聞いたんだから♪」

「そお?ふーん、そうなんだ……ふふ♪これは楽しくなりそうね♪華琳達にも話してきなさい」

「はーい♪」

 

 

たたっ、と軽快に走る末妹の後ろ姿を見て表情を綻ばせるのは、

元孫呉の王にして、現在絶賛遊び人の孫策―雪蓮その人である。

小蓮が先ほど扉越しで耳にした「鬼ごっこ」なるものの詳細を聞いたところであった。

 

 

 

 

「ふふ♪……冥琳に相談してこよ♪」

拳を胸の前でギュッと握り、気合いを入れる雪蓮は、そのまま冥琳の元へと歩んでいった。

 

 

◆◆◆

「ふぅーん。じゃあたんぽぽが鬼役決めていーい?あの人数でじゃんけんして決めるのって難しくない?」

「うーん……それもそうだな。それじゃあお願いしようかな」

「まっかせてー♪」

 

ニコニコと片手を天に掲げながら言う蒲公英に、一刀はついぞ頬を緩ませる。

―いい気分転換ができそうだな、と。

 

蒲公英が指摘した人数の問題。なにせ三国の主な将総出でやるのだ、50名は軽く超えてしまう。

じゃんけんで決めるにしても確かに時間が掛かり過ぎてしまうし、細かくグループ分けしてじゃんけんしても大差はないだろう。

それならば蒲公英の独断によって決めてもらうのが一刀からしてもラクだ。

と、いつの間にか運営の補佐的立場を確保した蒲公英なのであった。

 

 

 

「(うっふっふ……鬼は鉄板の脳筋はまず確定としてー、紫苑も鬼にしちゃお♪ご主人様と愛の逃避行をするのはたんぽぽだよ♪)」

 

蒲公英のお尻の少し上らへんに『小悪魔のしっぽ』がふりふりと揺れている事に一刀は気づかない。

そんな感じで蒲公英が悪だくみをしている時に、ふとコンコンッ、と扉が叩かれた。

 

「はーい、開いてるよー」

「入るわよ」

 

そうして、『大陸の覇者』曹操―華琳が部屋に入ってきた。

 

 

 

「ん、どうしたんだ?華琳」

「いえ、鬼ごっこをすると小耳に挟んだから一枚噛ませて貰おうと思ったのよ」

「あー、悪いんだけど今、たんぽぽに鬼を決めてもらってるところなんだ」

「その必要はないわ。るーるは私たちが決めるから」

「えぇー!?ちょっと横暴過ぎないー!?」

蒲公英が反論する。このままでは一刀との愛の逃避行という名の鬼ごっこが完成しない!

その為、相手が覇王であろうが引くわけにはいかないのである。

そんな蒲公英に華琳が近づいて行く。思わず身構える蒲公英であったが―。

 

「もう、そんなに身構えなくても取って食いはしないわよ。こしょこしょ……」

「ぁんっ♪吐息が……ってそれホント!?」

「ええ。今ならこしょこしょり、こしょこしょこしょしょ……」

「たんぽぽもそれやるー♪」

 

 

耳元で何やら囁かれていた蒲公英。一刀の補佐的立場をかなぐり捨て、華琳たちとルールを作ることにしたのだ。

「話が見えないんだけど……結局ルールは華琳たちが作ってくれるってことでいいのか?」

「ええ。それで問題ないわ。楽しみにしていなさい」

「ああ」

 

そうして蒲公英を連れて部屋から出る華琳。

部屋から出る途中、「まったね~♪ご主人様!」と笑顔で手を振る事を忘れない蒲公英。

 

いっぽう、残された一刀はというと……。

「んー。まぁ皆も乗り気みたいだし、いっか」

と気楽に事を構えていた。この後、何が起こるか分かる訳も無く……。

 

 

 

 

「これで全員、集まっただろうか」

「ええ。全員いるわよ冥琳」

「ではこれより、鬼ごっこのるーる規定を行う。みなの意見を尊重し、みなでるーるを決めようではないか」

おー!と相槌を打つ乙女たち。

周喩―冥琳ら軍師を中心に、鬼ごっこのルールを決めるつもりらしい。

 

「逃げるのはご主人様だけでよくなぁい?たんぽぽ、ご主人様の事追いかけまわしたい♪」

「うむ。元よりそのつもりだ。だが我ら全員が鬼をやればすぐに勝負は決しよう。北郷もそれでは納得いくまい」

「ではぁ……時間が経つ毎、もしくは任務遂行に失敗したら鬼を増やすということでどうでしょう~?」

「ふむ……それでいこう。さて、景品なのだが……何か希望のものがあれば挙手していってくれ」

シーン、と場が鎮まった。

 

「……まさか全員『アレ』か?」

呆れた風に冥琳が言う。

「金銀財宝には興味ないわ」

「わ、私もよ!そんなものより一刀の方が……あ」

急いで口を両手で塞ぐも時既にタイムアウト。

にまぁ、と厭らしい笑みを作る華琳がそこにいた。

「ふーん?誰も一刀だなんて一言も言っていないのだけど。そうー。蓮華は一刀が欲しいのね?」

「な!?ち、違うっ!!」

一生懸命蓮華が否定していると、

「あらそう?じゃあ私がもらっちゃお♪」

と雪蓮がからかってくる。

話が脱線しそうになったところで冥琳が諌めた。

「……景品については後ほど竹簡を人数分送るからそれに書いて、三日後に私の部屋の前の箱の中に入れてくれ」

「冥琳、その……読むの?」

「ええ、運営する側としましては把握しておかなければいけませんから。……確かに覗き読まれるのは良い気持ちではありませんね。

では我らの願いを先に公表しておきましょう。良いかな?穏、亞莎、朱里、雛里、桂花、稟、風、音々音、詠、七乃」

軍師諸君はあまり良い顔はしなかったが、公正な運営の為には致しかなかったので渋々と願い事を竹簡に書き始めていった。

 

 

 

 

「では私から」

冥琳が竹簡を部屋に壁に掛けた。

―北郷と蜜月を過ごす―

「うわー……冥琳ったら大胆……」

「最近北郷に甘えていないからな。これを機に甘えるさ」

雪蓮が冥琳の大胆さに驚いているのを横目に、冥琳はほのかに赤くなった自らの顔を横に向けて隠した。

 

 

「次は穏ですね~」

―一刀さんと本を読む―

「へぅぅ……穏さん大胆ですぅ……」

「ちょっと穏!ヤる気満々じゃないっ!」

「あはは~」

 

 

「わわ、私ですね!次はっ!」

―一刀様と一緒にごま団子を作って、一緒に食べに出かけたい―

「乙女ねぇ♪」

「うむ。それに比べて私は……ゴニョゴニョ」

黄忠―紫苑と関羽―愛紗が呂蒙―亞莎の乙女さを素直に評した。

 

 

「はわわ!は、恥ずかしいです!」

「だめだよ朱里ちゃん、冥琳さん達も見せてくれたんだから♪」

「う、うぅー!」

「朱里ちゃん……一緒に出そう?」

「雛里ちゃん……うん、分かったよ……」

諸葛亮―朱里と、鳳統―雛里が同時に竹簡を壁に掛けた。

 

―ご主人様と一緒に遠くに出かけたい―

―ご主人様と一緒に部屋でのんびりと過ごしたい―

 

「ふん、あんな男のどこがいいんだか……」

「そういう貴女は何を書いたのですか?桂花」

「あっ!ちょっと返しなさいよ、稟!」

「……ふむ、これはこれは……」

「稟ちゃーん、風にも見せてくださーい」

荀彧―桂花と呼ばれた子が、郭嘉―稟に持っていた竹簡をヒョイっと奪われてしまった。

好奇心から自分も覗こうとぴょんぴょんと稟の隣で跳ねる程昱―風。

「まぁまぁ、私たちも3人で出しましょう」

「はーい」

「全く……ぶつぶつ」

 

 

―万年発情男を奴隷にする―

―ゆっくりと同じ時を過ごしたい―

―お兄さんと猫さんと一緒にお昼寝したいですー。閨では風が猫になって甘えます♪―

 

「ふ、風……ぶはっ」

「ふふふー♪……稟ちゃんにはちょっと刺激が強すぎたみたいですねー」

「稟、あなたそれちょっと抽象的すぎない?」

風の竹簡を読んで、思わず想像してしまい鼻血を噴きだす稟。そしていつものようにとんとんする風。

桂花は稟の竹簡について指摘するが本人は妄想の世界に入ってしまっていて返事を返せないでいた。

 

 

 

「混沌とし始めたわね……」

「ボンクラが絡むといつものことなのです……」

「~♪」

 

賈駆―詠と陳宮―音々音が話している隙に、竹簡が飾られている壁に向かう張勲―七乃。

そして竹簡を飾るのだが……その竹簡の内容を読んで、一部の一刀スキーの方々が反発した。

「ちょっと七乃!これはどういうことなの!?一刀をその……ちょ、ちょちょ……」

「そ、そうだぞ七乃!ご、ご主人様をその……ちょ、ちょちょちょ……!」

言い掛け、やはり妄想してしまったのか赤くなってしまう蓮華と愛紗の二人。

 

七乃が壁に掛けた竹簡には、

―一刀さんをお嬢様も一緒に調教してやりたいです♪―

と書いてあった。

 

「む?七乃ぉ、これは妾もやってよいのかのぉ?」

「ふふふー、理解できていないお嬢様、可愛すぎますよー♪いよっ!未来の私の愛玩具♪」

「わははー!もっと褒めるのじゃー!」

 

いつもの七乃と袁術―美羽なのであった。

「……はぁ。私たちも掛けましょう」

「そうですね……」

 

疲れ切った表情の詠とねねが竹簡を掛ける。

 

―月と一緒に一刀と過ごす―

―恋殿が望んでおられるので3人で過ごすです!―

 

「まぁ、似たようなものね」

「恋殿がどうしてもと言うから仕方なくなのです!」

「恋、言ってない……………けどぐっじょぶ」

ここでねねの独断であの内容の竹簡を書いたことが判明したが、なんだか微笑ましかったので触れなかった乙女達。

呂布―恋も親指をぐっ、とねねに向けているし結果オーライであった。

 

 

「さて。やはりというべきか……北郷がご所望の者ばかりだったな」

軍師であり運営の乙女たちが竹簡を壁に飾ったのを見やると、冥琳が言った。

 

「ま、ある程度予想はついてたけどねー。華琳も言ってたけど、私達金銀財宝なんて欲しくないしー。どうせならいつでも好きな男に抱かれていたいし抱いていたいものね♪」

「やれやれ、苦労するな、北郷は……。さて、では約束通り」

「分かったわ……願い事を書けばいいのよね?」

「お姉ちゃんの願い事なんて分かりきってるけどねー♪」

「シャ、シャオ!」

 

暫くして部屋から解散し、各々の部屋に戻っていく。

こうして、それぞれが願い事の内容を考えたり、溜まった仕事を一気に片付ける緒将なのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある一室。そこには一際気合いを入れる者たちがいた。

 

 

「……来た……遂に時代が私に追いついた……!」

「これに勝てれば北郷、いや!か、一刀と……!」

 

 

この二人は一体誰なのか……。え?ホント誰ですか?


 
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