この小説は、北郷一刀、呉の主要キャラほぼ全てと華陀に
いろいろな設定を作っていますので、キャラ崩壊必死です。
その点を踏まえて、お読みください。
「……じ、死ぬぅ…………」
「……おまえも大変なんだな、一刀」
一刀は薄れ行く意識の中で視界の端に凱を見つけながら、この一週間の事を振り返っていた。
一日目の夜。
お姉様方と夜の営み。
「少し激しかったかな……まぁ久しぶりだったし、仕方ないか」
三人にせがまれ、一刀は久しぶりに熱い夜をすごした。
二日目の夜。
妹達の成長記録。
「雪蓮は母さんに、冥琳は結羽さんに似てたな」
雪蓮の大胆な責め、冥琳の優しい責めどちらも堪能した一刀。
一刀の髪に少し、艶が無くなる。
三日目の夜。
孫家親子丼。
「……流石親娘。 虎二匹の相手は、きつかった」
一刀の顔が少し、やつれる。
四日目の夜
周家親子丼。
「……計算しつくされていた。 全く無駄が無かった」
一刀の顔が目に見えて、顔がやつれる。
五日目の夜
思い人との交わり。
「……ど、どれだけ搾り取るんだ……祭……」
一刀の顔が大幅に、顔がやつれ、少し肌がカサカサしだす。
六日目の夜
大、大、大好き幼女(?)組。
「……ご馳走、様で、した」
一刀の顔が見せられないぐらいにやつれ、
髪の艶が完全に無くなり、肌はカサカサ、声も掠れる状態に成る。
そして、現在。
干からびる一歩手前で、凱に拾われ、連行された。
「うぅぅ……うぃ?」
「お! 目、覚めたか」
一刀が目を開けると、其処は凱の部屋だった。
「おはよう……凱」
喋り方に、全く元気が無い。
余程、疲れているのだろう。
「おはよう。 それにしても、何であんな所で寝てたんだ?」
一刀が凱の話を聞くと、廊下の道端で干からびている所を拾われたらしい。
「きつかったから、おまえに薬を貰いに行こうと思ってたんだ」
「なるほど、その途中で事切れたと?」
「いや、まだ死んでないけどね」
軽口が叩ける分、先程よりは平気のようだ。
文字通り、一刀は6日間寝ずに相手をしていたのだから、睡眠不足も凄かったようだ。
「寝ている間に、診察をしたが――。
六日間ぶっ通しで、相手にしていたから、色々体調不良を起こしているみたいだぞ。
よくもまあ死ななかったな」
「ホントにね。 戰より、俺は是で死ぬかもしれん」
是は本当に洒落にならないと、自分でも思う一刀。
そんな一刀の様子に、溜息をつき部屋の奥に行った後、一斗入る壷と小瓶を机の上に置いた。
「? 何だ是?」
「俺から処方する、おまえに現在適している二つだ。 好きな方を選べ」
そう言って、凱は壷の蓋を開けて、説明する。
中には、蒼い液体が入っていた。
「壷の中身は、『蒼麒麟(あおきりん)』と言う薬で、
新陳代謝の促進、水分補給、疲労回復、糖分補給などの、
滋養分を多く含んだ物を、一斗程入れてある。
量は多いが吸収速度がとんでもないから、飲めば直ぐに回復する」
「俺に是を飲み干せと?」
「少しじゃ、体調が良くならんし、水分もたりんからな」
一刀のその言葉に、凱はそう言って大きく頷く。
どこぞのグラップラーがやっていた事を、まさか一刀が勧められるとは思わなかった。
しかも、凱が作っている分、信憑性は抜群だ。
続いて凱は、小瓶の蓋を開いて説明をする。
此方は、紅い液体が入っていた。
「こっちは『艶媚紅(えんびこう)』といって、
鳳凰の尾羽、九尾の狐の爪、麒麟の鬣(たてがみ)、赫龍(かくりゅう)のタマとサオなどを煎じて、漉し出した物だ。
効能は無論、此方も全部飲んでもらう」
此方は、見た目は普通のようだ。
匂いも、薬独特の臭いはしないし、量も普通。
だが、一刀はとても気になるフレーズが凱のセリフにあった。
「なぁ凱……赫龍って言った? 確か其れって、物凄く精力の強い龍だったよな?」
「博識だな。 ああその通りだ。 元々、媚薬に使うんだがな。 他の効果もあるから、どうしても必要なんだよ」
『赫龍:人間の女性を見るとすぐ孕ませようとする悪癖を持つ龍である』
と言う記述を、何かで読んだ事があったのだ。
思ったとおり、媚薬の材料らしい。
そのタマとサオと言ったらどうなるのだろうか。
「ちなみに、是全部飲んだらどうなる?」
「濃縮してあるから、最低五日五晩は、猛りが治まらんな」
「……なんですと?」
凱の話を聞いて、一刀は冗談ではないと思った。
そんな事になったら、確実に襲われる。
あの面子を一昼夜五日も不眠不休で相手にしていたら、今度こそ本当に干からびてしまう。
しかも最低であり、もっと伸びるかもしれないと。
冗談ではなく、死んでしまいかねない。
一刀は迷わず、蒼麒麟の入った壷を持ち上げ一気に呷った。
ゴクっ! ゴクっ! ゴクっ! ゴクっ! ゴクっ!
ゴクっ! ゴクっ! ゴクっ! ゴクっ! ゴクっ!
ゴクっ! ゴクっ! ゴクっ! ゴクっ! ゴクっ!
「ゴクリ……」
そして、飲み干し終わると、
「フォォォォォっ!!! ふっかぁぁっつっ!!!」
先ほどまで干からびる寸前だった者が、嘘のようだ。
髪と肌には艶が戻り、生き生きとした表情を取り戻していた。
「ふぅ……ホントに、死ぬかと思った」
そう言って、凱に礼を言う。
暫く、凱と他愛も無い雑談をしていて、帰ってきたときから、気になっていた事を聞いてみる事にした。
「なぁ? 何で、美蓮達が若返ってるんだ?」
何故一刀が、美蓮を呼び捨てにしているかと言うと、帰ってきた初日に、
一刀の実年齢を言った後、自分より年上ならば呼び捨てになさいと、美蓮、結羽、祭に強制されたからだ。
実際の所、実年齢が近しい事に三人は大喜びしていたらしいが――。
閑話休題。
ともかく、一刀は何故三人が若返っていたのかを聞いた。
「ああ、実はアレは俺のせいなんだ」
「は? 如何言う事だ?」
凱のセリフに、一刀はいまいち要領を得ない。
「俺が彼女等に施した治療はな、直後に酒を飲むと若返ってしまうと、あの本に書いてあった」
と言う凱に、一刀は疑問を抱く。
「? 祭もなんか病気していたのか?」
「いや。 祭殿は、傍らでその治療を見ていたんだ。 そのせいで、影響が出てしまったのかもしれない。
祭殿の若返り方が二人に比べて若返らなかったのは、治療を受けなかったからだと言う事だと思う。
祭殿が治療を受けていたら、おまえか俺と変わらん年になっていたかもな」
説明を聞くと、とんでもない医術である。
確かに、強烈な薬にはそれなりの副作用があると聞くが、是は本当にとんでもない。
酒好き三人に良かれと思って、焼酎の試作品を置いていったのだが、完全に裏目に出てしまった。
「……ま、若返ろうが若返るまいが、俺に三人が三人で居る事に、変わり無いから良いや。
じゃ、俺、穏に挨拶してくるわ。 宴会時は、ろくに会話できなかったからな」
「そうか。 彼女、本が好きだからお勧めのやつ持って行ってやったらどうだ?」
「分かった。 あんがとな。 あ、今度その本渡しに来た人の話するぜ」
そう言って、一刀は凱の部屋から出た。
そう言えば、本当に誰がこの本を一刀に渡したのだろうか。
気になり、何か手がかりは無いか奥医書を読む凱。
そして暫くして、凱がハッとした顔になる。
「失敗した。 彼女の、性癖を忘れてた。 一刀……すまん」
そう、彼は忘れていたのだ。
彼女の特殊な性癖を。
書を読んでいて思い出した。
すまなそうな顔をした後、もう一度『蒼麒麟』を作る凱だった。
SIDE一刀
その頃、一刀は穏の私室にいた。
今日は、穏は非番らしいので、部屋を訪ねたのだが一向に返事が無い。
気配はあるのに全く反応しないので、少し扉を開いて中をのぞくと、当の本人は書を読んでいた。
すごく集中しているのか、此方の事に全く気が付いていないようだ。
一刀は少しの悪戯心が働き、勝手に中に入って後ろから声をかけた。
「の~ん」
「はやっ!? あら~一刀さまじゃないですかぁ。 どうなさいましたぁ?」
やはりかなり吃驚したようで、その反則的過ぎる物が大きく揺れた。
その後、一刀だと分かると、蕩けそうな口調で穏は一刀に答える。
「驚かせて悪かったな。 其れより穏は、本当に本が好きなんだな。
外から呼びかけても、聞こえてないみたいだったし」
「あや~すいません。 どうも御本を読んでいると、入っちゃうみたいなのです」
少しシュンとする穏。
「そんな事で一々落ち込むなよ」
「あ……」
一刀はそんな穏の頭を優しく撫でる。
穏が顔を上げると、優しく自分の頭を撫でる一刀と目があった。
すると、にこりと優しい笑顔を浮かべる。
意識はしていないが、俗に言う殺しの微笑み(キラースマイル)と言うやつだった。
「!?!?」
その笑顔に、穏はドキッとする。
心臓は早鐘を打ち、顔が紅くなって熱くなるのが分かり、恥ずかしそうに再び視線を下にする。
それを見た一刀は、持っている物が気になるという風に勘違いしたのか、本を袋から取り出すと言う。
「そうそう、穏。 本の好きな穏にコレをあげよう。 俺のお勧めの本なんだ」
そう言って穏は渡された書を何気なく見る。
「こ、これは!!」
其れは、穏が読みたくてたまらない本ベストNo.2の書だった。
読みたくてたまらなかった本を、こうも無防備に眼の前に出された穏はたまったものではない。
「ああ、其れと是も出来れば読んで、感想くれねえか? まぁ、これは一部だけどな」
そう言って、さらに袋のごと穏に渡す。
「こ、こここっこれはぁ!!」
その中は、一刀の自作『虎之巻』が入っていた。
是は穏が、読みたくてたまらない本ベストNo.1の書だ。
実は穏は冥琳、結羽から新しい書物の読書を禁止されていたのだが、
一刀が帰ってきてから、何故か解禁となった事を穏は不思議に思っていた。
まぁ理由としては、相手をする人間が着たからと言うことだからだだが、本人の知る由もない。
本人も知らないので当然の事ながら知らない一刀は、穏に書物を渡してしまった。
この後に、自身に降りかかる獄楽の渦を知らぬままに。
「ハァハァ……ハァハァ……ァン♡」
「何ぞ是……」
一時後、やはりと言うべきか其処には、
発情しきった穏と、それを目玉が飛び出すのではないかと言う位、驚いて見ている一刀の図があった。
そして、穏が蕩けきった瞳を一刀に向けた。
「一刀さまぁ~。 穏の……穏のこの猛りを鎮めてくださぁい♡♡」
「ちょ、穏!? あーー!!」
一刀の悲鳴と供に、椿の花が落ちる音がした。
~その夜~
ギィィ……バタン。
夜中、穏の部屋から何かが這いずって出てきた。
「が、凱……あれもう一回くれぇ……っ……」
翌日、妙に艶々した穏が片足を引きずるように歩く姿が目撃され、
同時に、廊下で干からびかけた一刀が凱に連行されている姿が発見された。
この日より、穏は一刀に熱い視線―好き好き大好き光線―を送り、二人っきりのときはベッタリになった。
周りの将や王はそれを見て、ようこそと迎え入れたそうな。
そして、一刀はこの事からある教訓を得た。
『穏に無闇に書物をあげてはいけません』
でも、この教訓は生かされる事無く、冥琳や結羽が穏の勉強会だと称して、
度々一刀を部屋に引きずり込むのだった。
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ちわっす!
タンデムです!
今回は、久方ぶりに帰ってきた一刀の郷土!
ゆくっりしたのも束の間、やはり彼にはドタバタ騒ぎがつき物なのだろうか?
そして、無事に穏を攻略した一刀でした。
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