真・恋姫†無双~赤龍伝~第2話「少年 対 孫策」
孫策「はっ!!」
少年「くっ…」
少年はいきなり飛び込んできた孫策の攻撃を辛うじて避ける。
少年(なんて速さだ!)
雪蓮「どうしたの? あなたも攻撃してみなさいよ!!」
孫策は少年に襲いかかる。
少年は手に持つ木製の棒で、剣の刃をずらして斬撃をいなしていく。
孫策「少しはやるじゃない! でも。これならどう!」
攻撃のスピードが上げた。
“スパッ”
きれいな音を立てて棒は真っ二つに斬られた。
孫策「ふふ、これでお終いね」
そう言いながら、勝ち誇ったような顔をする。
少年「はぁ、はぁ、はぁ」
少年(やっぱりこの人強い。こうなったら)
少年は二つに斬られた棒を1本ずつ両手に持ち直す。二刀流の下段に構えて息を整える。
孫策「ん、何? まだやる……」
まだやる気?と孫策は言い終える前に少年の変化に気がついた。
孫策(さっきと雰囲気が変わった)
少年は息を整え心を落ち着かせて、孫策を見た。
腕や足、身体の動きはもちろんのこと、呼吸や視線あらゆる“流れ”を見逃さないように。
孫策「まだ楽しめそうね♪」
少年の変化が嬉しく、ついつい思ったことを口に出す。
周瑜「雪蓮 !!」
孫策「大丈夫よ。冥琳。はっ!」
周瑜の心配そうな声に答えて、孫策は少年に再び斬り込んだ。
少年「“浮葉”」
そう静かに言って少年は孫策の剣撃を避けた。
孫策「なっ!」
孫策から驚きの声が上がった。
孫策「へぇー、今ので終わりにするつもりだったんだけどな。さっきまでのあなただったら終わっていたはずよ。何をしたの?」
孫策が楽しそうに少年に問う。
少年「別に。……ただ“流れ”を読んだだけだよ」
孫策「ふーん。“流れ”ねぇ。じゃあ……これなら、どお!」
先程より速く、先程より鋭く孫策は少年に斬り込んだ。
孫策の目にも止まらない剣撃を少年は紙一重で躱していく。
一撃目。
―― 二撃目。
――― 三撃目。
―――― 四撃目。
――――― 五撃目。
―――――― 六撃目。
―――――――― 七撃目。
――――――――― 八撃目。
―――――――――― 九撃目。
――――――――――― 十撃目。
孫策「たしかに躱すのは凄いけど、躱しているばかりじゃ勝てないわよ!」
孫策の剣撃を紙一重で躱しながら少年は待っていた。孫策の隙を。
孫策の隙をつかなければ少年に勝ち目はない。
だから少年は待っていた。いつ出来るか分からない孫策の隙を、いつ倒れてもおかしくない身体で……。
孫堅「雪蓮に先をこされたか!」
黄蓋「そのようですな」
少年と孫策の闘いを見守っていた周瑜のもとに、孫堅と黄蓋がやってきた。
周瑜「文台様、黄蓋殿。よく此処だと分かりましたね」
黄蓋「堅殿の勘じゃ」
周瑜(やはり母娘だな)
心の中で関心した。
孫堅「そんなことより、あの孺子。雪蓮の攻撃をあそこまで躱すか」
黄蓋「大したもんじゃ」
三人は少年と孫策の闘いに目を向ける。
孫策「ほら、ほら、ほら! そろそろ限界みたいね!」
少年(たしかに、そろそろ限界かな……だけど……だけど)
孫策が言うように少年は限界に近付いていた。
足は重く、意識は朦朧としてきた。
けれど少年は倒れるわけにはいかなかった。
孫策「ほら、ほら、ほら♪」
孫策は攻撃の手を緩めない。むしろ、獲物をいたぶる事を楽しむかのように攻撃をしてきた。
少年(だけど……)
孫策「ほら、ほら、ほら♪ もうお終いかしら♪」
孫策は楽しそうに剣を振り上げた。その瞬間――――
少年(こんな何処だか分からない所で……)
少年「やられて、たまるかーーっ!!」
孫策「え!?」
周瑜「雪蓮!!」
孫策の何撃目かの剣撃。
その一瞬に見せた本人も気づかないであろう小さな隙。
その隙を少年は見逃さなかった。
二刀流に構えられていた棒。左の棒が孫策の剣を弾き孫策の体勢を崩す。そして、右の棒が孫策の首元を襲う。
孫策「くっ!!」
しかし、孫策も瞬時に体勢を立て直し少年に剣を振り下ろした。
次の瞬間、少年と孫策二人の間に一つ影が割って入った。
少年が放った一撃は素手で掴まれ、孫策の剣は南海覇王で受け止められていた。
孫堅「まったく、何をしている」
二人の攻撃を受け止めながら、呆れた口調で孫堅は言った。
孫策「母様!!」
孫堅「雪蓮。孺子を殺すつもりか?」
孫堅に睨まれ、孫策は離れて剣を鞘に納める。
孫策「ごめんなさい。その子が意外と強いんで、つい♪」
孫堅「つい♪ じゃない。まったく。まあ良い。こうして孺子を捕まえることが出来たしな」
欲しかった玩具を手に入れた子供のような顔で孫堅は言う。
孫策「あっ……その子」
先程から動かない少年を見て孫策は気がついた。
孫堅「ああ、気を失っているみたいだな。傷も少し開いてしまっている」
少年は孫堅に身体を預けように気を失っていた。
孫堅「まったく、苦労をかけおって。祭、戻って孺子の手当てをするぞ。雪蓮、冥琳、後の始末は任せたぞ」
そう言って孫堅は少年を担ぎ、黄蓋と共に蔵を後にするのだった。
孫策「はぁ、母様に良いとこ持っていかれたわね」
周瑜「はは、仕方がないさ。文台様にかかれば誰もが形無しさ」
残された孫策と周瑜はそれぞれ思ったことを口にするのだった。
黄蓋「その孺子、策殿と互角とは予想以上でしたな」
孫堅「私もここまでとは思わなかったよ」
部屋へと戻る途中、二人は少年と孫策の闘いについて話していた。
黄蓋「堅殿が言っていたように、本当に良い拾い物かもしれませんな」
孫堅「今度は逃げられないようにしないとな」
黄蓋「了解じゃ♪」
つづく
~あとがき~
呂です。第2話では雪蓮との対決をお送りしました。
次回、主人公の名前が判明する予定です。
真・恋姫†無双~赤龍伝~に出てくるオリジナルキャラクターの紹介
オリジナルキャラクター①「?」
姓 :不明
名 :不明
字 :なし
真名:なし
武器:不明
本編主人公の少年。
この外史では“北郷一刀”が主人公ではありません。
古武術を学んでおり、今回はその内の奥義の一つ“浮葉”を使用。
“浮葉”相手の腕や足、身体の動き、呼吸や視線あらゆる“流れ”を見て、
相手の攻撃を水面に浮く木の葉のように避ける奥義。カウンター等の攻撃にも転用可。最大捕捉は1~2人。
能力値:統率?・武力?・知力?・政治?・魅力?
オリジナルキャラクター②『孫堅』
姓 :孫
名 :堅
字 :文台
真名:火蓮(かれん)
武器:南海覇王……やや長めの刀身を持つ、両刃の直刀。派手な装飾はないものの、孫家伝統の宝刀。
孫策(雪蓮)たちの母親。
身長173㌢。腰まで伸びる燃えるような赤い髪の持ち主。
血を見ると雪蓮以上に興奮してしまう。
この外史“赤龍伝”では孫堅は死んでいない。
能力値:統率5・武力5・知力3・政治4・魅力5
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真・恋姫†無双の二次創作の小説です。この作品には主人公も含めてオリジナルのキャラクターが存在します。その事をご了承の上、ご覧ください。