第六章 ~赤薔薇 胡王 沙摩柯と出会う~
先日の孫堅達との出会いの後、私達は更に南下し、交州に入った。
交州は中華帝国の最南端にあり、漢の武帝が紀元前111年に南越国を滅ぼして七郡を置いたことにはじまる。交州とは後漢になってからの呼ばれ方である。
交州は人口も豊かで(当時の予想人口200万とも言われている)、南海の珍宝の宝庫であり、確か地理志によると、犀角・象牙・玳瑁・真珠・銀・銅・果実・織物などを豊富に産し、この地にて中国商人が巨利を得たとい記録があったこ事を思い出し、ここを将来の拠点とする為に足を運んだ。
だが、現在はほぼ未開の地であり、正式にここを治める者もいない状態であり、どこの者ともしれない私にとっては都合がよかったのもある。
交州入りしてすぐ、私達はまずとある部族と接触することにした。胡王 沙摩柯と呼ばれる女性率いる交州最大の部族である。本来の歴史では胡王 沙摩柯は男性であり、蜀の劉備が関羽、張飛の仇討ちで呉と争った、夷陵の戦いで戦死した人物である。
街に入り、昼食を取りながら、どのように接触すべきか考えていた所、多くの人々がゾロゾロと街の中央を目指しているのが眼に入った。料理店の店主に尋ねてみた。
「店主よ。彼らは何をしにいくのだ?」
「ん?ああ、これから胡王様の決闘が見られるからね。それ目当てさね。お客さん」
「ほう。この国では、王が決闘を行うのか。それは何でだね?」
「それはだね、この国では一番強い者が王となるからだよ。今の王を負かせば勝った者が王となる。また、王となった者は王の地位を賭けた決闘を申し込まれたら断ってはいけないと決まってるからさね。」
「なるほど・・・よい話を聞かせてもらった。これは情報料と昼食代だ。ごちそうさま」
「ありがとよ♪」
「ストラウス様、これはいい事を聞きましたね。」
「ん?桂花、どこがだ?」
「は~~~~~~~~~っ。蘭・・・・・・あなたもその無い頭を少しは使いなさい・・・」
「誰が脳味噌筋肉のうすらとんかちだって~~~~~~~~!!!!!」
「そこまでいってないでしょ!!」
「まぁまぁ、二人とも~落ち着いてね~♪ で、ストラウス~私もわからなかったんだけど・・・てへっ♪」
「兄様、私はわかりました。」
「私もです。」
「愛紗と灯はわかったか。では蘭とステラに説明してあげてくれるかい?」
「はい!兄様! ステラさんに蘭さん、今回この交州で私達のする事はなんですか?」
「えっと・・・ストラウス様がここを私達の拠点にすることだっけ?」
「そうです。その為にはここの王となる必要があります。」
「でもどうやって王様になるの?」
「ステラ様そこで先程のお話です。ここの王は一番強い者が選ばれるとのこと・・・」
「わかった!ストラウスが今の王様に決闘を申し込んで勝てばいんだね!」
「はい。その通りです。相手がどの程度の実力かわかりませんが、ストラウス様ならおそらく勝てるはずです。しかし、念の為今から相手の力量を見にいきましょうか。」
「桂花のいう通りそれが一番早く、確実に、被害を出さずにいく方法だね。では、早速いってみるとするか。」
「ふむ。武人として楽しみですね。」
「ワクワクドキドキ」
「決闘ですか・・・私もしてみたいですね・・・」
「どんな人なんだろうな~♪」
「はぁ~~っ。もう!皆おきらくなんだから!!」
人の集まっている所について見ると、人の輪の中央に2人の武装した者が見える。
一人は赤顔、碧眼、緑髪の美しい女性である。おそらく彼女こそが胡王 沙摩柯であろう。
もう一人は同じ赤顔に黒い瞳、黒髪、筋肉隆々の大男であったが初見で勝負は見えていた。
「ぐへへへへ、今日こそお前を倒し、俺の物にしてやるぜ!」
「へん!俺様をやれるものならやってみな!」
「いくぞ!」「こい!」
決闘は終始、沙摩柯有利で進んでいた。沙摩柯の方が早さ、力、技の全てにおいて勝っていたからだ。開始から10合程も打ち合ったであろうところで、大男が沙摩柯に向かって全力で剣を振り降ろしたが、そこに既に彼女の姿はなかった。そして、大男の後ろから、
「なんだい。その程度かい。がっかりしたよ・・・じゃ・・・おやすみなさい。永遠にね・・・」
といい、慌てて振り向こうとした大男の首を一刀の元に切り捨てた。
その瞬間周りから溢れんばかりの歓声と拍手が巻き起こった。
そんな中私は、民衆の間を通り、沙摩柯の前に着くと彼女にこういった。
「沙摩柯殿とお見受けする。私の名はローズレッド・ストラウス。人からは赤薔薇、天の御遣いとも呼ばれている。」
「ほう、その天の御遣いとやらが俺様に何のようだ?」
「単刀直入に言わせてもらう。私はここに私の国を作りにきた。ついては君の力が欲しい。」
「ふん。何を言うかと思えば下らん。俺様の力が欲しいなら俺様に勝って見せろ!それがこの国のやり方だ!」
「それは先程耳にした。なので、私はここで貴方に王の座をかけた決闘を申し込む。よろしく頼む。」
「ふふふ、面白いじゃないか。受けて立とう!丁度さっきの雑魚じゃ物足りなかったところだ!」
Side 沙摩柯
あ~くだらない。退屈でしょうがない。この国にはもう俺様より強いやつはいないのだろうか?
さっきの奴も口と図体ばかりで、どうしようもない雑魚だったしな~と考えていると、一人の男が私の前に進み出て、決闘を申し込んできた。
最初はただの優男かと思い、断ろうと思ったのだが、その吸い込まれそうな赤い眼とその身に纏う風格、覇気を見て瞬時にその感想を取り下げた。この男・・・強い!俺様より強いかもしれない!面白い!と思い、気がついたら決闘を受けていた。
今、私達はそれぞれの得物を持ち向かい合っている。眼の前に立っているだけで冷や汗が止まらない。対照的にゾクゾクする程興奮している自分がいる。怖い、でも嬉しい、楽しい!そんな相反する想いを胸に私の方からしかける。
「いくよ!御遣いとやら!」
と剣を振りかぶり、飛び掛りながら振り下ろす。彼は同じく剣で受け止める。そのまま鍔迫り合いになると思いきや、俺様はそのまま剣ごと飛ばされていた・・・。驚きつつ着地を決め、再度踊りかかる。しかし、いくら攻撃をしても今度は柳の葉を相手にしているかのように、回避される。良く見ると、足を支点に行っていることに気づき、俺様は彼の足に向かって攻撃をしかけた。しかし、攻撃をしかけた剣は彼の剣によりあっさりとはじかれてしまった。その時、彼が言葉を発した。
「素晴しいね、君は、初見で私の柳の体術を見破るとは・・・」
「へっ!恐れ入ったか!」と強がってみる。
「ああ、見た所我流のようだが、素晴しい武の才能を秘めているのがわかる。私の家族同様に。」
「///い、いきなり何いってるんだ!照れるじゃね~か!話は終わりだ!まだまだいくよ!」
と強引に会話を終わらせ突っ込んでいく。しかし、この俺様の攻撃が悉くに回避され、時に吹き飛ばされ、息が荒れ、汗が噴出している。しかし、あいつは息は整っているし、汗すらかいていない・・・その力量差に唖然としつつ、最後の攻撃をしかける。
「はぁ、はぁ、はぁ」
「息が上がっているぞ。」
「う、うるさい!これで・・・最後だ~~~~~~~!!!!」
「その心意気は買おう。では、こちらもいかせてもらう。」
とお互い最後の攻撃を行うと同時に俺様の意識は途絶えた・・・。
次に眼を覚ました時は俺様の私室だった。辺りを見回した所、俺様の寝台の横で彼は本を読んでいた。そして、俺様がおきたのに気がついたのか、こちらに眼を向け話かけてきた。
「沙摩柯殿、納得してくれたかな?」
俺様は現在の状況から彼に負けたのだと気がつき、彼にいった。
「ああ、俺様の負けだ。今日からあんたがここの王だ。好きに処分してくれ。」
「わかった。では、沙摩柯よ。本日より我が幕下に入れ!そして共に天下安寧の道を進むことを命ずる!」
その言葉に俺様は寝台から飛びだし、片膝をついて誓った。
「はは!我が命、我が力、あなたに捧げます。我が王よ。その証として真名を差し上げます。我が真名は沙良。」
「沙良!今後共よろしく頼む!」
「はっ!」
Side end
私は沙摩柯を決闘で打ち破り、配下に加えたことで交州の支配権を確立した。その後、私の家族達とも自己紹介を終え、親交を深めた。
沙摩柯の武は素晴しいものが本当にあった。将来は愛紗達に並ぶ我が軍の将となってくれることだろう。
さて、支配権は得たものの、まだまだ未開の地であるここで行うことは多々あるであろう。会ってみたい人物はまだまだいたが、それはここが安定するまで待つことにしよう。
ようやくここに大陸統一の第一歩を踏み出したのだから・・・
あとがき
完全オリキャラの沙摩柯こと沙良登場~♪
今まで誰も出したことのないキャラなので・・・どうしようか考え中(’’
ゲームでは武力のみなんだよな~・・・演義では周泰に殺されてるし・・・
後、交州を拠点にして見ました♪名のある君主が誰もまだいなくて、でも人口産物が豊かだったというのが理由っすw
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遂に赤薔薇の拠点となるべき場所に・・・