華琳さんたち、今頃だったら戦っているところでしょうかね。
【…大丈夫かな】
まぁ、心配にはなりますけど…きっと大丈夫ですよ。強いですから、華琳さんたちは。
「……(こくっ)」
ところで、
ピカッ!!
「!!(カタカタブルブル)」
陳留はいい加減天気酷すぎですね。
【ここ最近ずっと稲妻走ってるよ?嫌がらせなの?ボクがあんなことして罰当たったのぉ!?】
ピカッ!!!
「!!(うるうる)」
もう三日も陳留には夜になったらすごい雨と共に稲妻が走り続けています。
一刀ちゃん、ここ最近ずっと部屋の中で布団で体包んでカタブル状態であります。
【ぅぅ…もう怒られてもいい、華琳お姉ちゃんのところに行く】
まぁ、そう来ましたか。
仕方ないですね。
まだ寝るには早い時間ですし、もうちょっと待ってたほうがいいですよ
「…ぅ…」
ゴロゴロ!!
【もういやー!】
その頃華琳さんたちなんですが…
ピカッ!
「これじゃあ進軍が遅れてしまうわね…」
案の定、こっちにも雷が…
ちなみにこの現状は中原全体で観測されています。
人工衛s……いや、上から見てみて、なんとなく解りました。
「天気の悪さは予想のうちです。問題ありません」
「そう。まぁ、私もこんな天災によってあなたの首が落ちることをみたくはないけどね」
「………」
華琳さんの言葉を聴きながら、何故か許緒、季衣さんに目が行っている桂花さんでした。
何故でしょうね。
そういう季衣さんはどうしているのかというと、
「あの…春蘭さま」
「うん?どうした、季衣」
「あの…その…今日、春蘭さまと一緒に寝てもいいですか?」
「うん?…別に構わんが、何故だ?」
「いえ、特に理由はないんですけど…なんとなく、そこはかとなく……」
「??」
「…姉者、季衣は最近天気が悪いから一人で寝るのが怖いのだ」
季衣がもじもじしているのを見て、側にいた秋蘭さんが言いました。
「しゅ、秋蘭さまぁ」
「何だー、そういうことだったのか」
「うぅ……」
「しかし、季衣もまだ子供だな。雷など何が怖いというのだ?」
「それは…その……音大きいし、ぴかってするし…木とかに当たったら焦げ焦げになるし……」
「解った。私は構わないよ。どうしてもっと早くいわなかったのだ?」
「うぅぅ…恥ずかしいです」
「まあ、良い。今夜は私のところに来い」
「はい」
何か、この人たちの中でこんな話をすると、すごく不穏な気がするのですが……
「…!あ、あの、華琳さま」
「?何かしら、桂花」
「あの…その…実は、私もその……雷が怖いというか……」
「………」
………
嘘だろ、絶対。
「あははは!!何だお前は。その年になって雷が怖いと言うのか?」
「お、大きいなお世話よ!怖いんだから仕方ないじゃない!」
「解ったわよ。二人とも騒ぐのはやめなさい」
ピカッ!
「キャー」
「き、きゃぁ(棒読み)」
各々春蘭さん、華琳さんの腰を掴まえる季衣さんと桂花さんでしたが……
「「「………」」」
オイ、そこの猫耳、それでも策士か?あぁ?
「はぁ……まぁ、いいわ。後で私の閨に来なさい」
「は、はい」
「……」
うわ、華琳さん、何か企みがある顔。お仕置き決定ですね、わかります。
「………」
??
秋蘭さん?
ちょっと気になったので秋蘭さんのところに来ました。
「……さて、困ったな」
はい?
ピカッ
「………」
「………」
「……(ブルブル)」
…秋蘭さん?
脚、震えてますけど……ほんのちょっとだけど。
「姉者は季衣に持っていかれたし、華琳さまのところも先に乗っ取られてしまっては……今日も一人で寝るしかないか」
うへぇ、まさかこんなところに隠れた雷怖がりやがいたとは……
って、ちょっと待ってください。
今華琳さんのところに桂花さんがいますね。
ということは……
うお!!一刀ちゃん、そっちに行っちゃダメ!!
スッ
「……」
「ぁぁんー!華琳さまー!私、もう……」
「こうなろうと嘘をついたのでしょ?いけない子ね……」
「あぁぁ……」
「……」
【さっちゃん、何でボクの耳を塞ぐの?】
間に合った……
一刀ちゃん、華琳さんのところは先客があるんだそうです。
【えー?じゃあ、どうするn…】
ピカッ!
「ぁ゛!……」
耳を塞いで座りこみました。
【じゃあ、どうするの?ボクもう一人で寝るのヤダよぉ】
秋蘭さんのところに行きましょう。そこならいいでしょ?
【うぅ…解った】
スッ
「……」
あれ?秋蘭さん、いませんね……
どこに行ったんでしょうか。
【……ねぇ、さっちゃん】
はい?
【ボク泣いていい?】
何故泣くのに僕の許可が必要なんですか、ってマジで潤わないでください。直ぐに戻ってきます。
ピカッ
ゴロゴロ
「!!」
あまりにも怖くて秋蘭さんの寝台に飛び込む一刀ちゃん。
どすっ!
「うぐぅっ!!」
「??」
「ぅ…ぅぅ……」
「!!」
あれ?秋蘭さんベッドの中にいたんですか。
布団、何枚も重ねておいてあったから人があるのに見えませんでしたよ。
「ほ、北郷か?お前がどうしてここにいるんだ?」
「………(ぐすん)」
「北郷?」
ピカッ!
「!」
「…ぅ……(カタカタブルブル)」
秋蘭さんの腰を掴まえて絶対放さないかのようにじっとしている一刀ちゃん。
「……雷が怖くて来たのか?」
「……ぅぅ…(こくっ)」
腰を掴まえて上目付きで目を潤わせながら一刀ちゃんが頷きました。
「…そうか。だが、ここにお前がいることを華琳さまが知れば、うっ!」
「……!!」
華琳さんのことを言うと、もっと強く抱きついてくる一刀ちゃんでした。
それも嫌なんですね。
というかそっちのほうがもっと嫌じゃないですか?
「わ、解った、華琳さまには内緒にするから先ずは放せ」
「……」
『本当に、言っちゃダメだからね?』
「ああ、解った」
「……(にぱっ)」
「……ふふっ」
笑顔の一刀ちゃんを見て、秋蘭さんも笑いますが、
ピカッ!
ゴロゴロ!!
「ぅ…!!」
「!!」
今度、先に相手を抱きしめたのは秋蘭さんでした。
「…???」
「……(ブルブル)」
【…ねぇ、さっちゃん】
はい?
【秋蘭お姉ちゃんって……】
はい、一刀ちゃんの考えている通りかと。
「……」
「……うん?」
震えていた秋蘭さんの頭を撫でる一刀ちゃんでした。
いつもと逆ですね。
あまり似合いません。
「(むっ)」
いや、まぁ…似てるとかそういうの関係ないですね、はい。
「それじゃあ、灯りを消すぞ」
『消さないほうがいい』
「…そうだな。それじゃあ、このまま寝よう」
「(こくっ)」
そしてそのまま寝台に戻る秋蘭さん。
「久しぶりだな、北郷と一緒に寝るのも」
『うん、…あ、あのね、あの城壁の上の時ね』
「ああ、解っている。怖かったんだろ?私たちがお前の親みたいに変わってしまうのが」
「……(こくっ)」
「大丈夫さ。華琳さまも私も、決してお前を遠ざかるようなことはしない」
「……ぅ…」
「寧ろ、華琳さまは北郷が私たちを遠ざかることを心配しているだろう」
「??」
「北郷、私たちはこれからも…この山賊討伐だけではなくて、たくさんの敵と戦わなければならなくなる。それは、今みたいに単に相手が悪者だからだけではなく、華琳さまの道に邪魔者になるとしたら誰でもだ」
「………」
「そんなことになったら、北郷、お前は華琳さまや私たちのことを怖く感じてしまうかも知れない。華琳さまがお前にここに来れないようにいっておいたのも、その理由だろう」
実際のところ、危ないからというのは少し言い訳としては劣ることがなくもないですね。
どっちかというと、猛者たちが集まっているここの方が、陳留の空の城よりは安全と言えるでしょうし。
「……」『嫌いにならない』
「…北郷」
『約束する。秋蘭お姉ちゃんたちのこと、嫌いにならない。これからも、ずっと一緒にいるだから、秋蘭お姉ちゃんも約束して。ボクのこと嫌いにならないって。ボクのこと見捨てないって』
「……ああ、約束するさ」
「……(てへ)」
約束するという秋蘭さんの言葉を聞いた一刀ちゃんは、嬉しそうに秋蘭さんの体にもっとくっつくのでありました。
ピカッ
ゴロゴロ!!
稲妻は続いていましたが、二人とももう気にしていないようです。
「……お休み、北郷」
「………(こくっ)」
二人とも、お休みなさい。
・・・
・・
・
「アハハハー、跪いて脚をお舐め!」
「あぁぁん、華琳さまー」
うっせぇわ、お前らもう寝ろ!
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昔は本当に雷が怖いでしたね。
弟といつも一緒にねたからあまり怖くなかったんですけど。
一人で寝るようになった今になっても夜の雷に驚いちゃってパッと起きてしまうことがあります。
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