ゼロが華々しく?デビューを飾ったその日、世界はゼロという者の存在を認識する。それはギアスにも似た強烈なまでのセンセーションだった。ニュースはクロヴィス殿下を殺したとされていた枢木スザクの無罪の可能性と、クロヴィス殿下殺害の真犯人のゼロの話題で持ちきりだった。様々な憶測が飛び交う中、ナナリーはシーツーと一緒にクラブハウスのリビングルームで一緒に折り紙を持っていた。
その日、ルルーシュはシーツーとの再会を果たす。シーツーにとっては予定通りの、ルルーシュにとっては予想外の再会。事情を知っているナナリーは、心の中でくすくすと笑いをこぼしていた。
クロヴィス殺害という事実に対し、自ら名乗りを上げたゼロ。エリア11に住む者にとっては、皇族殺害という大逆を犯したテロリストという認識だった。結局はまだ認めることも拒むことも無く、ただ当たり障り無く傍観する。それが属領にすむ敗戦国の人々の生きるための手段。
まだ誰も知る事は無い。ゼロがブリタニアを、世界を震撼させることなど今はまだ誰も思いもしなかった。
エリア11から遠く離れた砂漠地帯。美しい紫の胸元まで有る長さの髪を、右側にまとめて肩から胸の辺りへ降ろしている。敵国が恐れるブリタニアの魔女と名高い女、自身の髪と同じ紫のルージュで唇を染め、紅紫の皇族の服を身に纏う。首元から腰元へ金色の模様が豊満な胸を強調し、引き締まったウエストが彼女のスタイルのよさを際立たせている。クロヴィスと同様に首には白いスカーフ、手には白い手袋、足元は白いのブーツを着用し皇族を象徴する白い羽の様なマントを掛けている。
高い指揮能力にKMFの操作技術を併せ持ち、自ら専用のKMFグロースターで戦場を駆け抜ける。近接用武器の大型のランスを持ち、敵対するものをすべて貫き蹴散らすその姿に敵味方から尊敬と畏怖の念を持たれるほどの実力と美貌を兼ね備えていた。
また一つ…今日も彼女に心を折られた国が一つ。紅く燃え上がる炎の中で、KMFの右手に持つランスの柄底を地面に突き立てコーネリア専用グロースターがたたずみ、今は無き弟へ祈りを捧げた。ゼロへの復讐心と共に……。
「ナナリー、お茶にしましょう」
肌からあふれ出す汗をタオルで拭い、咲世子がお茶を入れたティーカップをテーブルへ並べて行く。咲世子は相変わらずメイド服を着ているが、一緒にいるミレイとナナリーはいつもと違いハーフスパッツに、上はTシャツとラフな格好をしている。
「はい」
そういってナナリーはテーブル方へとやってくる。そして一度ティーカップに口をつけると、隣に居るミレイを上から下まで舐めるように見つめる。男女共に人気があり周りがうらやむほどの美貌、破壊力抜群の大きな胸、引き締まったウエストにヒップ。今日はぴっちりとしたスパッツをはいていて、しかも汗を吸っているため余計ぴっちりとしパンティラインがくっきりと浮かび上がる。
これが兄の恋人で自分のライバル(・・・・)と思うと、泣きたくなってくる心をぐっとこらえる。ライバルだとしても兄妹の命の恩人であり、さらにナナリーは自分の姉のように慕っている。兄の傍に居てもいい女性として認めている数少ない女性の一人。
たくさん汗を掻いたミレイは、咲世子にお茶のおかわりをお願いしお茶で満たされたティーカップを、「ありがとう」と言って受け取る。
隣でおいしそうにお茶を飲むナナリーを微笑みながらも、上から下まで舐めるように見つめる。
アッシュフォード学園高等部の生徒会準メンバーとして高等部の生徒に知られており、さらにルルーシュの妹ということもあってか認知度は高い。盲目で足が不自由ということも有り、いじめにもあっていたこともあるのだが仲良しの友達のおかげで今は無くなったと聞いている。
盲目で足が不自由というのは既に過去の事。今ではリハビリのおかげで人並以上に動けるようになった。そんな彼女は、澄んだ瞳に優しい心を持ったかわいらしい少女。バランスよく鍛えられてスレンダーなボディラインがとても健康的だ。一緒にお風呂に入る時に確認しているが、以前より少し胸が大きくなっている。まさに萌えの権化とミレイは思っている。
守ってあげたいオーラ全快の彼女は、自分の恋人――ルルーシュの妹…だけどライバルと思っている。自分の兄に対して兄妹や家族以上の感情を抱いているのは知っているし、面と向かって宣言されたこともある。今まで兄にしか拠り所がなかった事を考えれば、しかたがないのかと感じてはいる。ライバルだけれども自分にとっては、実の妹のように思っており可愛がっている。ルルーシュの傍に居てもいいと認めている数少ない女性の一人。
そんな二人だが、結局はルルーシュを守りたいという気持ちは一緒であり、その気持ちを理解している咲世子は二人を見て微笑ましく思う。本当の姉妹のように仲がよく、ライバルとして認め合っている。だから二人が咲世子の弟子入りを志願した時は驚きはしたが、二つ返事で二人の指導をする事にした。
アッシュフォード学園の校舎から少し離れた場所に、特設のトレーニングルームを地下に建設をした。ナナリーのリハビリの為、そしていつか来る立ち上がるときの為にラクシャータ協力の下作成したKMFのシミュレータ装置等が設置されている。他にも各種トレーニング機材は、ミレイとナナリーと咲世子用ですべて3つずつ設置するようミレイが手配していた。そのトレーニング施設でいつもの様に軽く機材で汗を流し、咲世子指導の下体術や銃器の取り扱いなどの訓練を行っており、今では咲世子くらいの強さの相手ででなければ負けないほどに二人は成長していた。
シーツーからギアスを与えられた日から、ただ一人ルルーシュを守るためだけに。
ヴヴヴヴ、とミレイの携帯がテーブルの上で振動を始める。それに気づいた咲世子は、先ほどからナナリーと組み手を始めているミレイの所へと携帯をもって近づいた。二人とも本気ではないのか、笑みを浮かべたまま攻防を交互に繰り返している。咲世子は携帯を上に投げると、二人の攻防の間に入り流れるような手さばきで二人の攻撃を受け流し。ナナリーの拳とミレイの手刀をそれぞれの両手を掴み動きを止める。掴んだミレイの手を動かし掌を上に向けさせると、先ほど咲世子が投げた携帯が落ち掌の上で受けとった。
「あ…」
「ミレイ様、お電話です」
「ありがとう……はい、ミレイです」
咲世子はミレイの手首から手を離すと、ミレイは二人から離れ先ほどのテーブルの所まで移動した。
「ナナリー様、お相手は私が」
「お手柔らかに、咲世子さん」
ミレイの変わりになった咲世子相手に、微笑を浮かべたまま攻撃を繰り出す。
そんな二人から離れたミレイは、電話の向こう側の声に耳を傾ける。
「あら、ラクシャータさん。どうかしたの?」
「ちょっとさぁ、試作部品のテストしたいから協力して欲しいのよ」
「相変わらず突然ねぇ」
電話の向こうのラクシャータの言葉に、軽く苦笑いをしながら答える。それでも試作部品のテストということは、ミレイとナナリー用のKMF完成の為に必須であるし、何より実戦というのは魅力的である。
「いいわよ♪」
「さっすが、あんたはそう言ってくれると思ってたよ」
「それでいつ来られるの?」
「それが……」
ピッと通話終了のボタンを押して、携帯をテーブルの上に置いた。
ラクシャータが現在所属するのはインドの研究機関。アッシュフォードが医療関係に力を注いでいた頃の縁で、インドのKMF等の兵器研究機関の所属していたラクシャータに会い、ミレイはラクシャータにKMF製造の依頼をしていた。最初は難色を示していたラクシャータだったが試しにやらせたシミュレータの数値が高く、技術発展に繋がると感じたラクシャータは協力を受け入れた。
あの日から3年……。やっと最終段階へ入れそうだというラクシャータの言葉に、ミレイの心は高鳴った。それが表情に出ていたのか、ナナリーから「良い事ありましたか?」と聞かれたのでミレイは先ほどまでの会話をナナリーに伝えると、やはりミレイと同じように胸の高鳴りが表情へと表れていた。
「ミレイ様、ナナリー様」
咲世子に呼ばれた二人が振り向くと、咲世子は手にした携帯を操作し画面を二人が見えるように向きを変える。
「エリア11の次の総督に、コーネリア・リ・ブリタニアが着任するのが濃厚のようです」
「コーネリア姉様が…」
「ブリタニアの魔女…」
ナナリーとミレイはお互いを見やり、口の端を上げてにやりと笑う。
「相手にとって不足はないわねぇ♪」
「ミレイさん…、どうしましょう。私…私…、胸がドキドキします」
「それはね…高鳴ってるって言うのよ」
「高鳴る……」
ナナリーは胸の辺りで手をギュっと握る。それにミレイが手を重ね、最後に咲世子が手を重ねた。
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アニメを元にしたIF話です。
STAGE05では、ミレイもナナリーもほとんど出てこなかったので、
完全に捏造しちゃってます(笑)