一刀視点
「えぇっと。工兵隊の詰め所は……。いや、それよりも先に警備隊の方に行くか」
荀彧に行くように言われて、工兵隊の詰め所を探していたけれど、それよりも先に、馴染みのある警備隊の方に行って、からくり同好会の人たちを集めておいた方がいいだろうと思った。
「なんか、久しぶりだなぁ」
親衛隊の人に連れていかれてから、そんなに長い期間が経った訳ではなかったけど、それでも久しぶりに出る洛陽の町は、なんだかとても懐かしいものに思えた。
(ま、今はそんな感慨に浸っている時間なんてないか)
そう思って気持ちを切り替えてから、俺は警備隊の詰め所を訪ねた。
「お疲れさまでーす」
久しぶりだったので、恐る恐る詰め所に入って行くと、警備隊時代の先輩たちが数人、椅子に座っていた。
「お。北郷じゃねーか。どうした? 今日は楽進親衛隊の集会の日じゃないぞ?」
俺の顔を見た先輩の一人がそう声を上げた。
「おしゃれ同好会も、于禁隊長が忙しいようだから、集まる日じゃないだろ?」
「からくり同好会は、李典隊長がいないからな。各自、からくりの腕を磨く以外に予定はないぞ?」
周りの先輩たちがそう続けたのを聞いて、俺はすこし頬を緩めていた。
「俺は同好会の集会がある日じゃないと、警備隊に来ちゃいけないんですか?」
そう笑いながら言うと、先輩たちも笑った。
「いや。そんなことはないぞ? 警備隊の雑用としての復隊なら、いつでも大歓迎だ」
「いやいや。僕まだ文官を首になってませんから」
そんな他愛のない会話が、なぜかとても楽しくて、俺は心底笑顔になっていた。
(やっぱり、この人たちと居るのは楽しいな……。でも、今はこうやって笑ってる場合じゃない)
そう思って、自分に喝を入れてから、俺は先輩たちに話した。
「えぇっと。この度、漢土に侵攻してきた五胡を撃滅するために、大遠征を行うことが決定されました。それに伴い、輸送用の兵器の生産が急務とされ、第一の拠点である漢中において、その兵器の大量生産を行うこととなりました」
それがそう話すのを、先輩たちは真剣な表情で聞いていた。
「その際、工兵隊だけでは技術指南が足りないため、警備隊内のからくり同好会に所属する隊員も、漢中まで同行し、生産の補助をするようにとの命令が下されました」
俺は軽く間をおいてから、ここに来た理由を話した。
「そこで、からくり同好会のみなさんに、そのことを伝え、出立の準備をするように伝えていただきたいのですが……」
そういうと、先輩たちは真面目そうな表情で答えた。
「はっ! 了解しました!」
まるで上官の命令に答えるかのように、そう返事をされたけれど、それがなんだかとてもおかしくて、俺は少し笑ってしまっていた。
「ククっ。なんかこれじゃあ、俺が偉くなったみたいですね。すっごく変な感じです」
「確かに、北郷が俺らの上官ってのは変な感じだな」
先輩の一人がそう言いながら笑うと、周りの先輩たちも笑い始めた。
「バカ野郎。けじめって言うもんはな、つけて置かなきゃいけねぇもんなんだよ」
そんな中でそう言った先輩も、笑うのを堪えたような表情で、それを見た先輩たちと俺は、また笑ってしまった。
その後、どうにか警備隊の先輩たちにからくり同好会の事をお願いしてから、俺は工兵隊の隊舎に向かった。
桂花視点
私が考えた作戦案は、華琳さまに大筋で認可して頂いたけれど、以下の点が新たに加わった。
・漢中から五胡を討ちに向かう軍は、華琳さまが直接率いると言うこと。
・その際、稟が直属の軍師として華琳さまに同行し、私(荀彧)は漢中に残り、その後の手はずを万事整えておくこと。
・春蘭たちがはじめから率いていた3万の部隊は、漢中に帰還後、漢中に駐留し、各方面への情報伝達の要として動くこと。
これらの点も踏まえて、実際に細かい策を考える段階に入り、私と華琳さま、それに合肥と襄陽に伝令を出し終えた稟を加えて話し合い、様々なことが決まって行った。
そうして大まかな策に関しては、全て認可が出され、準備が必要なものに関してはすぐさま実行に移された。また、さらに細かい策に関しては移動中などに詰めて行くこととなった。
そうこうしているうちに、出立の日がやってきた。
一刀も、漢中での一輪車製作の指揮を執るために同行するのだけれど、当日になって馬に乗れないことが判明した。
「じゃあじゃあ、沙和の後ろに乗ればいいのー」
一刀が馬に乗れないことが解ると、警備隊であいつと付き合いのあった沙和が、そう言いだした。
(ちょっ、ちょっと待ちなさいよ! 同じ馬になんか乗ったら、密着したり、腕回したりしちゃうじゃないの!)
沙和の言葉を聞いて、私はそう思ったけれど、自分から一刀に“後ろに乗りなさい”と言う勇気はなくて、一刀が断ってくれるのを願うしかなかった。
「え、えーっと……」
そう少し困ったような顔をしている一刀に、私は心の中で叫んだ。
(私と乗りたいって言いなさいよ! あんた、私が好きなんでしょ!?)
心の中ではそう叫んでいるけど、考えてみれば、私は一刀に直接好きだと伝えたことがないし、一刀からしてみれば、私と乗りたいと言っていいのか解らないのかも知れない。
(あぁ、もう! こうなったら、私から言うしか……)
そう思い、意を決して口を開こうとした時、横から秋蘭が声をかけて来た。
「なぁ北郷、お前は桂花の後ろに乗った方がいいのではないか? 漢中に着いてからの予定などについて、話しておかねばならぬだろう?」
「は、はい!」
秋蘭の言葉に、一刀がほっとした顔で答えた。
「と、言うわけだが桂花。北郷を後ろに乗せてやってはくれないか?」
そう聞いてくる秋蘭に、私は視線をそらして答えた。
「しょ、しょうが――」
「何を騒いでいるの?」
私が“ない”と続けようとした時に、そう尋ねる華琳さまの声が聞こえて来た。
「華琳さま……。いえ、北郷が馬に乗れないと言うので、桂花の後ろに乗せてやってはと話していたのです。漢中での予定などもありますし、二人一緒の方が何かと良いだろうと思ったので」
そう秋蘭が答えると、沙和も声を出した。
「さ、沙和の後でもいいと思うのー」
二人の話しを聞いた後、華琳さまは一刀の方を見た。
「あぁ、そう言えば激しい運動は出来なかったのよね。ふむ……」
少し考えたあと、華琳さまが口を開いた。
「いえ、北郷には親衛隊の後ろに乗ってもらいましょう。漢中の事もあるかも知れないけど、後ろに人を乗せて馬を操るのには、体力を使うだろうし、桂花や沙和に余計な疲労をかけるのは良くないわ」
華琳さまがそう言うと、一刀は私の方に少し視線を向けた後に、華琳さまに答えた。
「解りました」
一刀はそう言うと、沙和と秋蘭に礼を言い、私の方にも一度頭を下げたあと、親衛隊がいる方に向かって歩いて行った。
一刀が親衛隊の方に行ってしばらくした後、いよいよ行軍が始まった。
(はじめから、私の後ろに乗れと言っておけば、今頃一刀は私の後ろに居たのかしら)
そう思うと少し悔しかったけど、いつまでもそれではいけないから、一度頭を振って気持ちを切り替えた。
(そう言えば、前にこうして洛陽から出立したのは、赤壁に向かう時だったわね……)
ふとその時のことを思い出した。あの時は一刀を助けることばかり考えていたけど、今回は一刀の事だけじゃなくて、自分の事、それに華琳さまの事も考えていた。
(五胡には勝たなきゃいけない。けど、私がしなければならないのは、華琳さまに天下を取って頂くこと。ただ……)
私は、自分よりも少し前にいらっしゃる華琳さまを見た。
(私はあくまで軍師。華琳さまが望むことを実現するのか仕事なのよ)
私は天下を取って頂くことで、自分の罪を償うと言ったけれど、華琳さまが常に天下の統一を願うとは限らない。
私は今回の五胡の撃退、そしてその後の事態において、華琳さまの天下統一を実現すると言ったけれど、外部に三国共通の敵が現れた以上、今回の五胡を倒した後、もう一度三国での争いになる可能性は低い。
(他の二国に戦う気がなく、しかも外部に三国共通の敵が居ると解った状況の中で、なおも武力で天下を統一しようとするのは、愚者の選択よ。仮にそれで天下を統一出来たとしても、民たちからの反発もあるだろうし、兵たちにしても、ともに死地をくぐり抜けた者たちと戦うことには抵抗があるはず)
五胡を完膚なきまでに倒す事ができ、なおかつこちらに相当の余力が残るのであれば、それらの問題も発生せずに、天下を統一できるかもしれないけど、騎馬を得意とする五胡80万の大部隊と戦って、余力を残して完勝することなど、ほぼ不可能に近いだろう。
(そう考えた時に、五胡を倒した後に、華琳さまがなおも天下統一を願う可能性は低いわ)
もちろんそうなるだろうと言うことは、前から解っていた。けれど、これは赤壁で華琳さまを謀ったことに対する、私なりの罪滅ぼしだった。
(この罪滅ぼしの中で、私は足掻くしかないの。どうにか足掻いて、私と一刀が生きることができるようにするだけ。それがどんな形であっても)
それができるかどうかは解らないけど、私はその枠の中でもがくと決めていた。
(一刀が大切なのはもう変えようのない事実。だけど……)
「華琳さまも私にとってかけがえのない方だから」
そう小さくつぶやいた言葉は、どこに辿りつくでもなく、馬蹄の音の中に消えて行った。
長距離の行軍を経て、私たちは漢中へと到着した。
洛陽から漢中まではそれなりの距離があるし、行軍してきた兵としても、それなりに疲労する距離ではあるけれど、ここで何日も休んでいる訳にも行かず、風達への援軍に向かう兵たち17万は、1日の大休止を経たのちに、すぐさま漢中を出ることになっていた。
「桂花、稟、秋蘭。疲れているところ悪いけど、一度集まってくれるかしら?」
そう華琳さまに声をかけられ、私たちは玉座の間に集まった。
「漢中に来るまでで解ったことを整理しておきたいの。稟」
華琳さまがそう言うと、稟がすっと前に出た。
「は。我々が漢中に至るまでに、送られてきた伝令の情報をまとめます」
稟は一度咳払いをした後に、話しを続けた。
「現在、五胡20万と戦っている部隊は、我らより先に洛陽を出立した部隊と合流し、崩れかけていた戦線をどうにか立て直したとのことです。ただ兵数としては、当初から防衛戦に当たっていた3万が、すでに1万にまで減ってしまっていたため、現在は11万ほどだと言う情報も来ています」
春蘭たちの部隊が、自軍の数倍の敵に対して、2万ほどしか被害を出さず、なおかつ未だに砦を守り続けていることは、さすがとしか言いようがなかった。もちろん、風の策などがあったからだろうけど、春蘭の統率力などは、やはり認めざるを得ない。
「また、敵の兵数に関しては、依然として20万近い数を保っており、こちらから攻勢に出るにしても、現状では数が足りないとのことでした。……あ、それと秋蘭さまに、風からこんな書状が届いています」
稟はそう言うと、秋蘭に書簡を渡した。
「……ふっ。これは風に礼を言わねばならんな」
書簡を見た秋蘭はそう言いながら苦笑し、その書簡を華琳さまに渡した。
「“桂花ちゃんではありませんが、猪さんを抑えるのは大変です”ね。何とも風らしいわ」
華琳さまもそう少し笑うと、稟も表情を崩しながら言った。
「この書簡は、一番新しい伝令が持っていたものですから、風たちは皆無事なようですね」
そう言うと、稟は表情を戻した。
「しかし、楽観できる状況ではありません。一刻も早く援軍に駆けつけなければ、今後の行動に影響が出かねません」
稟の言葉に、華琳さまや秋蘭も表情を戻した。
「そうね。今後のことも考えるなら、ここでゆっくりしてる訳にはいかないわね」
華琳さまはそう仕切り直すと、秋蘭の方を向いた。
「秋蘭、あなたには援軍の先鋒を任せるわ。私や稟は本隊を率いなければならないから、そう急ぐこともできないけど、秋蘭は援軍の内3万を率いて先行して。輜重隊の事は考えなくていいわ。速さを第一に考えてちょうだい」
「御意」
秋蘭がそう答えると、華琳さまは皆を見回しながら話した。
「五胡20万はまだ始まりに過ぎない。皆、心して任にあたってちょうだい」
「御意」
華琳さまの言葉に、皆がそう答えると、華琳さまが私の方を向いた。
「桂花」
「はっ」
私がそう答えると、華琳さまは先ほどより少し険しい表情で口を開いた。
「私たちが戻って来るまでに、蜀との交渉をしておいて、その結果がどうであれ、私たちは蜀に入るわ。あと……」
そこまで言った華琳さまは、少し間をおいた。その間も私から視線を外す事はなかった。
「今回の交渉は、あなたの好きにやりなさい。その結果を私は受け入れるから」
そう話す華琳さまの表情は、先ほどまでの険しいものではなく、どこかやさしげなものだった。
「……御意」
私は華琳さまの言葉の意味を考えながら、静かにそう答えた。
翌日、華琳さまをはじめ、秋蘭、稟、それと流琉が、春蘭たちが居る砦へと向けて出立した。沙和は留守を守る将として、漢中に残った。
昨日、華琳さまが言っていたことの意味は解っていた。
交渉の全てを任せると言うことは、やりようによっては、五胡を倒した後に、蜀や呉の方から戦闘を起こさせるようにでも出来ると言うことだ。
挑発なり、脅しなりを使えば、蜀、あるいは呉の中に、敵愾心を煽ることもできる。五胡80万を倒すために、他の二国と協力した後、魏に対して戦いを挑ませることができれば、今回の一件で、華琳さまに天下を取って頂くことも可能になる。
(好きにやれと言うことは、そうした交渉をして、結果として蜀や呉と戦うことになっても、それを受け入れると言うこと。華琳さまは、私に選択しろとおっしゃっているんだわ)
仮に、蜀や呉が戦いを仕掛けてくるように仕向けたとしよう。そうなれば、私たちが勝つ可能性もあるし、第一それで天下が統一出来れば、私が華琳さまの御前で言ったことを実現したことになり、私の罪は晴らされる。
(でも、それは華琳さまの望む形ではないはずよ)
その方法で天下統一ができたとしても、それは華琳さまの、覇王としての華琳さまのやり方ではないと思った。
(華琳さまが覇王たる所以は、拳を振り上げると宣言し、それを実行するからよ。そうであるからこそ、華琳さまは王の中の王、覇王たり得ている)
では、その華琳さまの行動として、蜀や呉を挑発し、作為的に戦いを引き起こす事は正しいのか。
その答えはすでに出ていた。
(正しいはずがないわ。その方法で天下をとれたとしても、華琳さまは覇王ではなくなってしまう)
かといって、はじめから蜀を滅ぼすと宣言しては、漢中から蜀へと入ることも容易ではなくなってしまうし、そもそも、三国が協力して五胡に当たることができなくなってしまう。
ではそれを防ぐためにはどうすればいいのか。それもすでに解っていた。
(挑発などしないで、五胡を倒すために尽力する)
でも、そうしてしまえば、今回の一件で華琳さまに天下を取って頂くことがほぼ不可能になる。
(つまりは、一刀をとるか、それとも華琳さまを取るかと言うことね)
その選択をしろと、華琳さまはそうおっしゃったんだ。
(またこの選択を迫られるなんて思ってなかったわね。……でも、今回は悩むまでもないわ)
この選択は玉座の間で、華琳さまに天下を取って頂くと言った時から決まっていた。
「これじゃあ、一刀を怒れないわね」
そう呟いてから、私は蜀へと送る書簡を書き始めた。
一刀視点
漢中に到着してから、俺は一輪車づくりの指揮にあたっていた。
「副会長! 第6班から応援要請が来ています!」
そう俺に声をかけたのは、工兵隊の分隊長だった。俺がからくり同好会の副会長をやっていたからか、工兵隊の人からはそう呼ばれていた。
「6班って言うと、車輪ですね。解りました、すぐに行きます」
そう答えた俺は、車輪を作っている6班のもとに向かった。
今回の一輪車づくりでは、その工程を細かく分けていた。車輪を作る班なら車輪だけを作り、荷台を作る班は荷台だけを、組み立てる班は組み立てだけを行うと言う形にして、少しでも生産性を上げた。
こうしたことは、些細なことではあるけど、一つの班に生産の全工程を任せるよりもずっと早いし、何より、工兵隊やからくり同好会以外の、一般の兵に手伝ってもらう時にも、教えることが少なくなるため、効率が良かった。
(何の意味もないと思ってた、社会の授業も、こう言うところに来れば役に立つもんだな)
と元いた世界の事を少し思いだしたけど、俺はすぐに首を振って気持ちを切り替えた。
(そんなことよりも、今はより多くの一輪車を作らなきゃだな。曹操さまが天下を取るためには、まず五胡を倒さなきゃいけないんだし、そのためにも、輸送の問題を解決しないと)
曹操さまが天下を取ることが、荀彧が罪を許される条件なのだから、俺もできることはしっかりやらなければと思っていた。
(できることはやらなきゃだけど、やっぱりたまには荀彧に会いたいなぁ)
今回の移動では、親衛隊の人の後ろに乗せてもらったし、漢中に着いてからは、荀彧が忙しそうにしているから、話しかけ難かった。
(今回の移動の時も、もう少しで荀彧の後ろに乗れそうだったのに、結局曹操さまの指示で親衛隊の人に乗せてもらうことになっちゃったし……。この前の真名の時と良い、タイミングが良すぎるんだよなぁ)
そんなことを考えていると、ふと夏侯淵さまの言葉を思い出した。
(“曹操さまはああ見えて独占欲のお強いお方なのだ”か。まぁ、俺の世界の歴史だと、人の奥さんとっちゃうような人だからなぁ)
そう自分で考えておきながら、俺は首を振った。
(い、いかんいかん! 荀彧を持って行かれちゃうとこを想像してしまった)
けれど、荀彧が曹操さまを好いていることは、城の中で働いていれば衆知の事実だった。
(それに対して俺のことは、嫌ってはいないと思うけど、決定的に好いてるとまで言い切れる証拠とかがなぁ……)
俺のために赤壁の戦いで負けたり、その結果を見れば、好いていると言えなくもないことはあるけれど、実際に荀彧の口からそう言った言葉を聞いていないことが、“荀彧は俺を好いている”と断言することを許してくれなかった。
「あ。副会長! すみません、来てもらっちゃって。ここの軸の繋げ方をどう説明すればいいか解らなくて……」
荀彧の事を考えながら歩いていると、いつの間にか目的の場所に着いていたらしく、そう声をかけられた。
「…………」
(けど、男嫌いの荀彧が、ここまで俺の事を案じてくれているんだから、やっぱり好いてくれてると思っても……)
「ふ、副会長?」
もう一度声をかけられて、ようやく目的の場所に着いたことに気が付き、俺はひとまず荀彧の事を考えることをやめた。
「あ、あぁ、ごめんなさい! えっと、救援要請って聞いたんですけど、どうしたんですか?」
そう聞くと、工兵隊の人が、車輪の作り方をうまく説明できないのだと教えてくれた。
「うーん……。ここはですね――」
少し考えた後に、そう説明を始めた俺は、また頭のどこかで荀彧の事を考えていた。
(あぁ、荀彧に会いたいなぁ…………)
あとがき
どうも、komanariです。
前回の更新から、またも期間が開いてしまい、申し訳ありませんでした。
前までは、今回の話しでもっと先まで進める予定だったのですが、書き始めたら寄り道と言うか、色々と多くなってしまい、結果としてあまり話しが進みませんでしたw
なので、前々回? に言っていた、あと3,4話と言うのもあやふやになってしまいました。
クライマックスであることは確かなので、そんなに多くはならないと思いますが、きちんとお話をまとめられる話数にしたいと思っております。
さて今回のお話は、魏軍の漢中への移動と、一刀くん、桂花さんそれぞれの現状? のような感じで書いて行きました。
だいぶ前に出てきた、警備隊の同好会について、せっかくそう言うものをこのSSで創作したので、どうせだったらもう少し出してみようと思い、からくり同好会のみなさんを出してみました。
あと、華琳さまに関しては、天下の曹操さまなので、あれくらいの介入はあってしかるべきだと考えました。
もし、桂花がそれを嫌がっているのなら、華琳さまもやめると思うのですが、残念には思っても、嫌がってはいないはず(華琳さまを好きな桂花さんの部分は、むしろそこまで大事にしてもらって喜んでいるのでは?)と思い。今回も介入をして頂きましたw
そんな感じで書いたお話ですが、いつものように不安はいっぱいです。
少しでもお話を楽しんでいただければ、幸いです。
PS.
恋姫にはまったく関係がありませんが、一言だけ……
“りっちゃんのプロデュース……したかったなぁ……”
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またもお久しぶりです。
今回はいつもより少し短めです。
softalk済ですw
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