No.172723 黙々・恋姫無双 弐黙
真・恋姫無双
恋姫
一刀ちゃん
黙黙
なんとなくESP的な何かを使われる天の御使いさん
春蘭が華琳さまに文句言いすぎな件について
何故か子供に優しい華琳さん
飴はその後美味しくいただきました
黙黙
韓国人
2010-09-15 22:46:42 投稿 / 全7ページ 総閲覧数:7354 閲覧ユーザー数:5621 |
「いい子ね」
そこに立っていた人は……
「……」
小柄、だけどその心の中の野望だけは誰よりも広く、その誇り誰にも及ばぬほど深く、覇道を目指すものが誰よりも警戒すべき人。
曹操孟徳はそこに立っていました。
「華琳さま、この子は…」
「どうやらあの輩に捕まっていたようね。あなた、あいつらがどこに行ったかわかるかしら」
「??」
あいつらって、もしかして先の馬鹿トリオのことでしょうかね?
「……」
一刀ちゃん、相変わらず何も言わず空を指しました。
「…は?この子何を言ってるんだ?」
「どうやら逃げたようね」
逃げたというか、飛んで言っちゃったんですけどね…まぁ、見てなかった人なら理解できなくて当然ですけどね。
「秋蘭、部隊を再編成して、逃げたやつらを探すように言いなさい。深追いはしないように」
「御意」
そう答えた曹操さんの左の人は夏侯淵。弓の名手、一矢一殺とはまさに彼女のための存在する言葉。
「なっ!ここで追撃を止めるのですか?」
そう残念そうにいる人は、未来の魏の大剣、曹操の右腕、夏侯惇さんです。
「ええ、これ以上我々が追う必要はないわ。それに、この子の親を探さないとダメだしね」
「そんなことこそ!他の兵たちに任せれば良いではないですか!たかが子一人のために、ここで追撃を止めたら…」
「はぁ…姉者、その辺にしておけ」
「なっ、秋蘭」
「…子が怯えているぞ?」
「はぁ?」
「………(カタカタブルブル)」
ああ、春蘭さんが大声出すから一刀ちゃん怖がってるし。
「わ、私が何をしたとぉ!」
「(びくっ)」
「春蘭…?」
「うぅぅ……」
小動物のようにふるえている一刀ちゃんを見て、
「大丈夫だぞ。姉者はこう見えて、本性はやさしい。それに、別にお前のことを脅かそうとしたわけでもない」
「……」
夏侯淵さん、一刀ちゃんを慰めようと手を伸ばしますが、
「!?」
ああ、案の定、まるで最初からそこにはいなかったのように、夏侯淵さんの手の一歩後ろに立っている一刀ちゃんです。
「秋蘭、今のは…」
「私も何が何だか……」
もう一度手を伸ばす夏侯淵さん。
けど結果は同じです。一刀ちゃんは夏侯淵さんの手から離れていました。
「華琳さま!離れてください!この者、きっと我々を誑かそうとする妖術使いです!」
「落ち着きなさい、春蘭」
まったくです。もう一叫びで一刀ちゃんの涙腺が千切れそうですから。
一方、一刀ちゃん、怖くてもあの三人から逃げない理由がありますね。
ここで頼りにできそうな人が、この三人しかないのです。
しかも、先あの三人から見捨てられたばかりで、ここでまた見捨てられたら、一刀ちゃん本当にここでどうすればいいか解らなくなっちゃうのです。
でも、近づきたくもない。
何より、
「……(カタカタ」
いえ、いえ、こっちをみながら震えても困りますよ。あの人怖いからなんとかしてとか言いたいみたいですけど、そんなの無理ですから…
「…ぅ……(じー)」
うぅ…僕他には役立ちますから、そんな涙でいっぱいな目でうらむように見るのは勘弁してください。傷つきちゃいますよぉ。
「あなた、何者なの?何か言って見なさい」
曹操さんがそう言ってますけど、無理なんですね。だって一刀ちゃんは喋れないのですから。
「……(あわあわ)」
慌てて一刀ちゃんも何かをしようとしますけど、口を動かしても言葉はでませんし、手は何の意味もなく宙を泳いでいるだけです。
「…どうやら「喋れない」みたいですね」
「(こく、こくっ)」
一刀ちゃんが夏侯淵さんの言葉に頷けば、曹操さんがジド目になって、そのあまり高くもない背で一刀ちゃんを下目線で見ます。
「喋れない、ね……」
「そんなの嘘に決まってます。それに、こいつが着ている服、どう考えてもこの大陸のものではありません」
「うむ…」
「そこは私も気にしていたわ。触れないからちゃんとは解らないけど、私たちが知っている素材ではないようね」
そういいながら、先夏侯淵さんがしたように一刀ちゃんに手を伸ばす曹操さん。
「(びくっ)」
「あら?」
あれ?曹操さんの手には触れるんですね。
「華琳さま!」
夏侯惇さんが止めようと曹操さんが触れた一刀ちゃんの肩に手を伸ばしたら、
「あ」
「あ」
また曹操さんの手から離れている一刀ちゃん。
「……(カタカタ」
「どうやら、私にしか触れないようね。どういうことかしら」
どういうことかしらね。私にも良くわかりません。私も一刀ちゃんのことを詳しく知っているというわけでもないですので。
少なくとも、一刀ちゃんが普通の子じゃないことは良く解ります。
「あなた、ちょっと、こっちに来て見なさい」
「華琳さま?!」
「……(カタカタ」
「いくらなんでも、華琳さま一人で触れるということは危険です」
「大丈夫よ。何か私たちに何か脅威をしているわけでもないし、単に怯えてるだけでしょうよ」
「怯えてるなどと!私がそんな扱いをされるようなことは…!」
「…ひくっ」
「姉者…もういいから我々は一歩下がっておくとしよう」
「秋蘭?」
まったくだ。もう泣き声が声零れようとしてるではないか。
「うぅぅ……」
仕方なく下がる夏侯姉妹。
「さあ、こっちに来て見なさい」
「……」
…行ったらいいと思いますよ。
「…(こくっ)」
そしててくてくと曹操さんの前に近づく一刀ちゃん。
「大丈夫ですか?華琳さま」
「少し静かに…」
夏侯惇さんの心配の心は曹操さんに届かず。
曹操さんは手を伸ばして、一刀ちゃんの頭に手をのせました。
「……」
「大丈夫よ。私たちは悪い人じゃないからね。…私たちに付いてきてくれるかしら」
「……(こくっ)」
「いい子ね。それじゃあ」
そう言った曹操さん、一刀ちゃんを手を掴みました。
「……」
「華琳さま、大丈夫ですか?」
「ええ、もう大丈夫よ。取り合えず一度城に戻ってこの子について詳しく聞いてみることにしましょう。口は言えなくても、話は通じるみたいだからね」
その時、
ぐー
「む?」
「…おなかが空いたようね」
「……???」
いやいや、先お腹から大きい出たばかりなのに、しらんぶりしましてもね……
「先ずは何か食べさせることが先のようね。まぁ、とにかく城に戻りましょう」
「「はっ」」
「…ぉ…(キラキラ)」
一刀ちゃんがまた目を輝かせている理由は、他でもないです。
それは、自分の目に広げられてる、はじめてみる豪華な中華料理の存在でした。
「……」
一度曹操さんを見る一刀ちゃん。これ本当に食べていいんでしょうか。
「お食べなさい。空腹なんでしょ?」
「……」
許可も落ちました。遠慮なく食べていいみたいです。
先ずは、目の前の炒飯に手を出す一刀ちゃん。
「華琳さま、この子ですが、陳留の民の子ではないようです」
一刀ちゃんがおいしく食べてる間、夏侯淵さんが心配そうに曹操さんに言いました。
「そう、まぁそうは思っていたけどね」
「え?じゃあ、華琳さまはこいつの正体を知ってここまでつれてきたのですか?」
「そういうわけではないわ。ただ、この子が着ている服といい、それに、先あなたたちには捕まえられなかったことといい、どうやら普通の子供ではないようね」
「やはり五胡の妖術使いとか何かなのです」
「その可能性もあるでしょうよ。だけど、私たちに害を与えそうにない以上、こんな子供を殺すというのも、」
「(びくっ)!」
殺すと言う言葉に反応して蓮華を止める一刀ちゃん。
「あ、大丈夫よ。殺すとかしないから。それより、もういっぱい食べたかしら」
「…(こくっ)」
え?もうなの?小腹だね。まだ子供だからもっと食べないと……
「じゃあ、聞くけど、あなたはどこから来たの?何故そんなところに居たのかしら」
「……」
いや、喋れない子にそんな書術型の質問しましてもねぇ。
……あ、一刀ちゃん。
「??」
一刀ちゃん、書くのはできる?
「…(こくっ、こくっ)」
まぁね、小3が字書けないというほうが可笑しいし。
でも、やっぱりここって中国だし、書くのは漢文じゃないとダメなんだよね……ちょっと待っててね。私が何とかするから。
「質問の仕方が悪かったわね。……そうね、あなた自分の名前は書けるかしら」
「……(こくっ、こくっ)」
「じゃあ、ここに書いてみなさい」
曹操さん、どこから持ってきたのか竹簡と筆を一刀ちゃんをくれます。
「……」
あ、ここではそれが紙と鉛筆と一緒なんですよ。ちょっと書きづらいかも知れないけど……
『北郷 一刀』
ってちょー達筆!?
「『ほんごう かずと』ね…不思議名前ね。字は…まだ子供だからないでしょうね」
「……」
あ、字というのはですね。
『知ってる』
あ、そうですか。あ、後、私には書かなくていいですよ。前の人たちに気にしてください。余計なことになるかも知れませんからね。
「あなた、字をかくのが上手ね。もしかして、どこかで学を学んでいたのかしら」
『学校』
「がっこう?何なの、それは」
「……」
学校が何かというとても基本的は質問にどう答えすればいいのかわからない様子です。私にも言いにくいですけどね。
「なら、あなたが住んでるところを言ってくれるかしら」
「東京 浅草」
「……??」
「とうきょう……あさくさ?」
「そんなところ聞いたことないぞ」
「……」
いや、だからそんなこと言われましても小3の子には付加説明は…しかも漢字しか書けない状況ですからね……
「どこの州なの?」
「…?」
『しゅうってなに?』
いや、だからその竹簡で平仮名を書いてこっちに向けないでくださいってば?!
「うん?ね、それなんと書いたの、ちょっと見せて?」
あ、取られた!
「……これも文字なの?」
「見たことがないですか……やはりこの大陸の出生ではないようですね」
「ならやはり五胡の…」
「五胡でこういう文字を使うという話は聞いたことがないわ…あなた、どの国から来たの?」
やっと話がそこに向かいましたね。
一刀ちゃん、竹簡をもらって「日本」とか……
…日本?
「日本(ひのもと)?」
「「!!」」
うわぁ、その発想はなかった。
竹簡に作家の力で少し工夫をしてみました。日本語で書いても、相手には漢文のように見えるようにしました。
その後話はもう少し進んで、
「では、話をまとめるが…お前の名前は北郷一刀、日本(ひのもと)というところから来て、ここまでどうやって来たか、どうやってその場所にあったのかは解らないと…」
「…(こくっ)」
「そして、物心がつく頃からもう喋れなくなったと」
「…ぁ…」
「声は少し出てくるけど、言葉にはならないようね」
「信用していいのですか?」
まだ疑ってる夏侯惇さん。
「…嘘をついてるようには見えん。何より、そうやってこんな子供になんの取り得もない」
「うぅむ……」
「でも、何より驚くのはこの国の名前ね」
日本(ひのもと)そう読むと、まるで……。
「天の御使い、ね……」
「……??」
「…いいことを思いついたわ。この子を私たちが保護することにしましょう」
「華琳さま!?」
「まさか、華琳さま、先見た流星のことを…」
「確信はないけどね。けど、この子の説明や、そこに居た理由が不明だということ、可能性は十分にあるわ」
む?何の話でしょうかね。
「しかし、城の中にこんな子供を入らせるなど……」
「何か問題になるかしら」
「それは…!!その…華琳さまがこんな子供の面倒を見てやる必要は……」
「……」
うん?一刀ちゃん?
タッ
「ん?北郷?」
話から離れていた夏侯淵さんが、一刀ちゃんが椅子から降りることに気づきました。
『ボク、邪魔みたいだから行く』
「あ」
一刀ちゃん?
『御飯、有難う』
すっ
あっ?あれ?一刀ちゃん、どこ行きました?
急に消えて……
「なっ……」
「な?あいつはどこに消えたんだ?」
「急に消えてしまった……自分が邪魔そうだから行くと言って…」
「なっ!」
一刀ちゃんがいたところには、使ってた竹簡と筆に、一刀ちゃんが持っていた飴が全部テーブルの上に乗せられてました。
「……春蘭、秋蘭、」
「「!!」」
!
突然空気が重く……
「今直ぐあの子を探しなさい。街の隅々まで」
「わ、解りました」
「…御意」
「…この曹孟徳から勝手に逃げるなんて、許さないわよ」
あらら…曹操さん怒ってらっしゃいますね。自分に何も言わずに消えてしまって…
これは、私も早く探してみないとダメですね。
あ、見つかりました。
人が通らない寄り道の隅っこで俯いています。
一刀ちゃん?
「……」
どうしたんですか?何で急に消えちゃって……
「……」
……はい?お父さんとお母さんと……
……ああ、そうだったんですか。
ご両親が離婚するとき、一刀ちゃんのせいで喧嘩をしてたのですね。
それが先の二人の姿と重ねて見えて……
「……」
けど、こんなところで俯いていても何もいいことはないのですよ?
あの人たちが一刀ちゃんを探してますよ。あそこに戻りましょう?
「……」
迷惑って、そんなに急にいなくなっちゃうのがもっと迷惑ですよ。皆心配してます。主に曹操さんが。
「……」
ぼたぼた
一刀ちゃん……
…いえ、私には一刀ちゃんをここで安全に守る義務があります。
こんなところに一人にさせるわけにはいきません。
待っててください。
私がなんとかして、曹操さんをここに連れてきま…
ぐいっ
「……」
えっ?え、ちょっと待ってください。
どうやって私を捕まえたのですか?
いや、放してくださ、
【一人にしないで】
あ
「……」
一刀ちゃん……
「一刀」
「(びくっ)」
「こんなところで何をしているのかしら」
曹操さん。よく見つけましたね。
「…どうして逃げたの」
「……」
一刀ちゃんの口から言葉が出るはずもなく。
「あなたはどうか知らないけどね。私はあなたに用があるわ」
そして一刀ちゃんに手を伸ばす曹操さん。
けど、
「……もう私も拒むというの?」
「……」
もう曹操さんの手にも触れないようになりました。
「あなたが何故私たちを怖がる理由はわからなくもないわ。知らないところに一人に置かれて不安なんでしょうよ」
「……」
「けど、いつまでも現実から見ないで前に進まなければ、そこでおしまいよ。さあ、どうするの?一刀。私に付いてくる?それとも、ここでそのまま俯いているのかしら」
「……」
一刀ちゃんは動きません。
僕は、一刀ちゃんの判断を直接にどうする権利はありません。
選ぶなら、それは一刀自身の考えです。
けど、
僕は、一刀ちゃんがあの人について行って欲しいです。
「……」
「私についてきなさい。私はあなたが必要よ」
「……ぁ…」
―一刀、
―一刀がいないとお母さんは……
「……ぁ」
一刀ちゃんが立ちました。
「うっ!」
そしていつの間にか曹操さんの目の前にいる一刀ちゃん。
「……」
「なっ!ちょっと」
そして、曹操さんの腰に抱きつきました。
「ちょっ、よしなさい」
でもまぁ、子供と言っても男にそこまで接触は拒むことは仕方ないですね。
「??」
曹操さんが嫌そうにするので一度離れます。
「はぁ……まぁ、とにかくついてきてくれるということに理解するわ」
そして今度は、曹操さんから、一刀の頭をなでてあげます。
「……(きゅー)」
嬉しいのか、うれしくないのかよく解らない表情ですね。
「一刀」
「??」
「あなたを天の御使いとして、私たちのところに身をゆだねることを許すわ。これから、私たちのためにその力を使わせてもらうわよ」
「……」
その時は、一刀ちゃんはきっと曹操さんの言った言葉の意味が解らなかったと思います。
けど、
「(こくっ)」
その時頷いたことに、悔いはないでしょう。
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五日が経ったところ、盲目の作者様がTINAMIに接続していないご様子です。
というわけで、後で来られてダメ食らったら消すおつもりで弐黙をあげたいと思います。
p.s. 許可をもらいました。わーい