No.167079 真・恋姫†無双 頑張れ一刀くん改 その112010-08-21 00:48:47 投稿 / 全11ページ 総閲覧数:14780 閲覧ユーザー数:10558 |
「どういうことですか皆さん?」
汜水関にて事情聴取を受ける者たちは今まで感じたことの無い恐怖に陥っていた。
「…………(ガタガタ)」
「な、なんやこの覇気は?」
「と、董卓様?」
「ぐすっ」
「これは凄い威圧感ですねー」
「フガフガ。……また鼻血が」
「メンマの小瓶が割れただと……!」
泣きだす者や震える者が続出した。
「霞さん?」
「はいっ!」
標的となった霞は背筋をピンと伸ばす。
全身から汗が噴き出していた。
「どうして一刀くんが連合軍に捕らわれているのですか?」
「そ、それはウチは戦っていたので星が知っています!」
「私かっ!?」
星に標的が移った。
「星さん?」
「わ、私も戦っていたので恋が知っているかと……」
「…………(ビクッ)」
月の鋭い視線が恋を捉える。
「………………ねねが知ってる」
「なんですとっ!?」
こうして次々に標的が変わっていった。
そのやり取りに痺れを切らした月。
その瞬間、汜水関に轟音が鳴り響く。
「もういいです。一刀くんを助けに行きます」
「ゆ、月? 机が……いえ、なんでもないです!」
机を真っ二つにした月に突っ込もうとした霞は鋭い眼光に怯えた。
「詠ちゃん、策は考えた?」
「もちろんよ。月の怒りを具現化したような策よ」
「へっへっへぅ。楽しみにしてるね」
「まかせなさい」
引き続き軍議に入る月たち。
作戦は至ってシンプルだった。
「皆さん、準備は出来ましたか?」
後ろを振り向き皆に問いかける月。
『うおおおおおおおおおおーーーーーーーーーー!』
魔王董卓自ら先頭に立つことで兵の士気はうなぎ登りだった。
ほとんどの者が月が先頭に立つことを反対した。
なぜなら敵は『反董卓連合』なので月が捕まればそこでおしまいなのだから。
しかしそんなことは知ってか知らずか月は周囲の反対を押し切った。
「一刀くん、今行きます!」
「なんか寒気がしてきた」
孫策軍の天幕で一夜を過ごした一刀くん。
ちなみにじゃんけんで勝利した雪蓮と一緒に寝た。
「なんか汜水関から嫌な気配がするわ」
「確かに、何か叫び声も聞こえるわね」
持ち前の勘で汜水関の異常さを察知する雪蓮。
ちなみに今の汜水関はと言えば、
「へぅ来々!」
『へぅ来々!』
「へぅ来々!」
『へぅ来々!』
気合いを入れていた。
「恐らく董卓軍は一刀くんを取り戻すことに必死になるだろう」
「そうねー。私が董卓軍の立場なら死兵になってるわね」
「ははっ。おおげさだなー」
真顔で言う雪蓮を笑い飛ばす一刀。
一刀は自分の価値を理解していなかった。
「今日は曹操軍と私たちが先鋒だし油断出来ないわね」
前の戦いで大きな被害を受けた袁紹軍はほぼ無傷だった曹操軍と孫策軍を先鋒に命じたのである。
「まっ、後ろは袁術ちゃんだしいざとなったら前の劉備軍たちみたいに押しつけちゃいましょ」
「華琳様」
「なにかしら桂花?」
雪蓮たちと共に先鋒を任された華琳。
「斥候からの情報によると、董卓軍は全軍が汜水関に集まっているようです」
「なんですって!?」
「は、はい。信じられませんが董卓本人が虎牢関の兵も引き連れて来たようです」
「…………」
華琳は開いた口が塞がらなかった。
連合の目的は董卓の頸である。
その董卓が前線に出てくるなど愚の骨頂である。
「でもこれは好機ね……」
「はい。隙を見て汜水関を突破出来れば洛陽を無傷で得ることが出来ます」
「桂花、この情報を元に策を練り直しなさい。全てあなたに任せるわ」
「は、はい! お任せください」
華琳に任せると言われて幸せを感じる桂花だった。
「一刀くんは孫策が保護していると聞いたわね。…………後で尋ねてみようかしら」
一刀が気になる華琳。
強く言った事を謝り仲良くしたいのであった。
汜水関の門が開く。
「全軍、突撃ー!」
「うおおおおーーーーーー!」
董卓軍の作戦は全軍突撃。
月の怒りのままに連合軍を蹂躙する策だ。
「へぅ来々!」
『へぅ来々!』
「へぅ来々!」
『へぅ来々!』
けたたましい叫び声と共に進軍する董卓軍。
ただし数が多いので汜水関から出てくるのに時間がかかった。
「なんか凄い数ね……」
「凄いどころじゃないぞ!」
汜水関前にずらりと並ぶ董卓軍を見た雪蓮たちは焦る。
「こりゃ連合軍もおしまいねー、アハハハハ」
「雪蓮ェ」
壊れる雪蓮を憐れむ冥琳だった。
「あっ、月お姉ちゃんが先頭でいるし!」
一刀は一刀で月の姿を発見して、驚いていた。
「とりあえず全軍、逃げる準備を進めなさい」
冥琳は出来ることをするのだった。
「董卓軍の大半が孫策軍に向かっています!」
「そ、そう」
兵士の報告に苦笑いを隠せない華琳。
「か、華琳様、汜水関に兵はいないとのことです」
「そこまでする!?」
おもわず大声で桂花にツッコミを入れる華琳。
「ま、まあいいわ。先程編成した別働隊を汜水関制圧に向かわせなさい」
「は、はい」
労せず汜水関を落とすことになるのだった。
「さて春蘭!」
「はっ」
「今度こそは張遼か趙雲を連れて来てくれるわよね?」
「もちろんです!」
人材発掘大好きッ子華琳が早速見つけた有能な霞と星を諦めるわけがなかった。
「連れてきたらご褒美をあげるわ」
「は、はい!」
ご褒美を想像して恍惚の表情をする春蘭は兵を引き連れ董卓軍へ向かって行った。
「孫策軍が反転して逃げていきます!」
「関係ありません! 地の果てまで追います!」
『はいっ!』
逃げ出す雪蓮たちを追いかける董卓軍。
そして孫策軍の後ろにいた袁術軍と会敵する。
「七乃ー! 怖いのじゃー!」
「泣き喚く美羽様も素敵ですけど今はそれどころじゃありませんね。とりあえず逃げちゃいましょ」
君主が逃げ出した袁術軍。
そんなことを知らない兵士たちは必死に戦うがたちまち蹂躙されていく。
「待て! 董卓軍!」
そこに春蘭が到着する。
「お主のような可憐な少女まで戦場にいるとはな。しかし私は華琳様の命を果たさなくてはならんのだ。すまんが通してもらうぞ」
可憐な少女――月と対峙する春蘭。
「邪魔をしないでください!」
「ぐっ! なんという速さだ!」
高速で右の手刀を繰り出す月。
ギリギリのところでかわす春蘭。
しかし、それは布石だった。
「これで終わりです!」
「ぐわぁー! 目がぁーー!」
よけた先には月の左手があった。
月の手刀は春蘭の目を傷つける。
「それでは」
「ま、待て!」
左目をやられながらも抵抗する春蘭だが、すでに月はいなかった。
「春蘭様! その怪我では無理です! お戻りください!」
楽進――凪は春蘭を説得する。
しかし春蘭は痛みで気を失っていた。
「春蘭様……。全軍、退けー!」
こうして曹操軍は撤退した。
「やばいわよー!」
「揺れるー!」
馬で駆ける雪蓮の前に座る一刀は時折感じる胸の柔らかさを堪能する余裕などなく揺れに耐えていた。
「袁術ちゃんも持ちそうにないしどうすればいいのよー!」
「俺が戻ればいいんじゃないのー?」
「そ、それはダメよ!」
少し速度を落とし、会話をする。
「だって、月お姉ちゃんの目的が俺なら俺が戻れば暴走も止まるだろうし」
「そ、それはそうだけど」
「敵の俺によくしてくれた雪蓮お姉ちゃんたちが傷つくのは嫌だからお願い!」
「一刀……」
「それにきっとまた会えるからさ」
少し思案して雪蓮は決意する。
「そうね。私たちはここで倒れるわけにはいかない。……お願いするわ一刀」
「ありがとう雪蓮お姉ちゃん」
「そうと決まったら行くわよ!」
「へっ?」
雪蓮は馬首を返して逆走を始める。
そして混戦の中を駆けて行った。
「へぅ!」
先頭で袁術兵を次々に戦闘不能にしていく月。
「へぅ来々!」
ちょっぴり気に入ってたりする。
「月お姉ちゃん!」
「へぅ来――。へぅ?」
忘れるわけがないこの声。
名前を呼ばれるだけでイってしまいそうだ。
「一刀くん!」
「月お姉ちゃん!」
月は雪蓮の馬にのる一刀を見つける。
「ねえ一刀。あの可愛い子が董卓?」
「そうだよ」
想像していた董卓と全く違っていたことに驚きを隠せない。
「か、一刀くん! 誰ですかその女の人は!」
「あっ、この人は孫策さんだよ」
「孫策…………殺す!」
孫策と聞いた途端月から殺気が溢れ出る。
「ダメだよ月お姉ちゃん! 雪蓮お姉ちゃんはとてもよくしてくれたんだから!」
「へぅ!? そ、そうなのですか?」
「そうだよ。それにここまで送ってくれたんだから」
「へぅ~。勘違いしちゃいました~」
「ダメだよ月お姉ちゃん」
「ごめんなさい~」
和み始める二人。
「よ、よくあの殺気を前に喋れたわね一刀……」
「……?」
首を傾げる一刀。
雪蓮は虎に睨まれたかのように声が出せなかったのである。
月の殺気は一刀には作用しなかった。
「そ、そういうわけだから一刀は届けたわよ」
「はい。ありがとうございます孫策さん」
「た、たいしたことないわ」
内心ビクビクで受け答えする雪蓮。
一刀は無事に月に引き渡された。
「じゃあまた会おうね雪蓮お姉ちゃん」
「え、ええ。元気でね一刀」
「孫策さん、また正式にお礼に向かいますね」
「べ、べべべべ別にいいわよ」
「そんなわけにはいきません! 後日しっかりとお礼をさせていただきます」
「わ、わかったわ……」
これ以上断れば命が危ない気がしたので仕方なく了承した。
「ゆえ~~!」
「あっ、詠ちゃんだ!
「本当だ! それに他のみんなもいる」
向こうも一刀がいることに気付いて速度を上げて来た。
『一刀くん!』
一斉に一刀に抱きつく皆。
ここは戦場である。
しかし、袁術軍は壊滅し、敗走兵だけだった。
「大変よ! 曹操軍に汜水関を占拠されたわ。おまけに守備兵が一人もいないからそのまま虎牢関もやられるわ」
「ということは……」
「洛陽もおしまいね」
『………………』
全員が沈黙した。
「なんで全員で来たの!?」
「へぅ~、そこまで頭が回りませんでした~」
「詠お姉ちゃん!?」
「右に同じよ」
こうして董卓軍は路頭に迷うのだった。
「じゃあとりあえず徐州に来る?」
一同は顔を見合わせる。
『お願いします」
頭を下げるのだった。
この後、強行軍で徐州まで退いて行った。
「董卓軍が逃げていきます!」
「えっ! どこに行くんだろう?」
「はわわ、おそらく天の御遣いが治める地、徐州です」
「か、一刀くんが……」
「一刀も行っちゃったのか?」
「あわわ、孫策さんが一刀くんを渡してしまったので間違いないです」
「それじゃあ私たちも追いかけよう!」
「はわ!?」
「私たちの理想を叶えるための近道だよこれは!」
「あわ!?」
「その通りです桃香様!」
「さすがお姉ちゃんなのだ!」
「はわわ、確かに平原はこれからのことを考えると厳しいでしゅ」
「あわわ、曹操さんや袁紹さんの争いに巻き込まれてしまいましゅ」
「でしょでしょ! じゃあ早く帰って準備しよう!」
『おおー!』
完。
途中から何を書いてるか分からなくなったww
酔っ払いはダメですね( ゚∀゚)o彡°
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アスカの暴走はすぐに終わる(´Д⊂