第一話 北郷家の日常~旅立ち~
「お、一刀~!あっさだぞ~!可愛い幼馴染警報発令であります!総員!起床っ!」
ドバーーーーーーン!!!!
扉を勢い良くあけた際の衝撃波で部屋全体が軋む。
ベッドに寝ている一刀と呼ばれた少年は目を瞑ったまま眉間に皺をよせる。
(く・・・。誰だ、この愚昧に間違った知識を植えつけた奴は・・・)
そんな一刀の心の叫びなど部屋の侵入者には届くはずも無く
「お、一刀ってばまだ寝てるの~?んもぅ、仕方が無いな~」
などど言いながら一刀の横たわるベッドに近づく。
そして一呼吸置き、
「いざ!!尋常に!!いただきます!!!」
侵入者はこの発言の後、一気に加速。一刀の唇目掛けて自分の口を3にしながら急接近する。
「やめいっ!!」
ガッ!
侵入者の額に一刀の拳があたり停止する。
額にクリティカルヒットをかまされた侵入者は
「おふぅ・・朝からこんな仕打ち・・・でもこんな愛の形でも薙沙はいいの。あたし全て受け止める!」
などと額を押さえながら悶絶している。そんな妹の姿をじと目でみながら一刀は声をかける。
「これ、薙沙さんや。これは一体どういう事なのですかな?」
薙沙と呼ばれた少女は目に涙を滲ませながら愛しい兄に答える。
「お兄ちゃんはぬかしました。俺にも可愛い彼女がほしいと。なんで俺には可愛い幼馴染がいないんだ、と」
「はい。言いましたね」
「だから可愛い可愛い妹の薙沙ちゃんは考えました。お兄ちゃんの願いを叶えられるか、を」
「・・・・・」
「お兄ちゃんには彼女がいません。しかしながら愛する妹はいます。ならば!!!!」
「無い物は在る物でまかなえばよい!と!!!」
「お兄ちゃんのさわやかな朝を演出する為、この妹めが幼馴染をかってでてみました!」
「もはやお兄ちゃんのライフは零のはず。さぁ、お気に召したら私とお付き合いされませい!」
「お断りします」
一気にまくしたてた薙沙のながーい説明に対して一刀は一言で切り捨てる。
「なんで~~~???どこで狂った私のプラン!さ、参考までに点数と感想をおねがいします」
妹の頭の痛くなる発言にため息をつきながら一刀は律儀にも答える。
「点数は・・・・0点んんん!!!」
「うぐ・・・」
「幼馴染といいましたが、最初から二回目くらいまでお兄ちゃんっていおうとしてましたよね?」
「うぐぐ・・・」
「おかずと、って何?ご飯でも進むの?」
「うぐぐぐ・・・でもお兄ちゃんなら私ご飯すすむよ!」
「・・・・。ま、まぁいいや。で、幼馴染警報ってなに?衝撃波でおこすから警報なの?馬鹿なの?」
「いざ!!尋常に!!ってどこぞの武将ですか?薙沙さん」
「そ、そこはお兄ちゃん武将マニアだから・・・・」
もう薙沙のライフこそ零です。
「誰にこれ入れ知恵されたの?」
呆れながら一刀は妹を見る。
「と、友達から幼馴染プレイはいいってきいて・・・。でもほとんど私のアレンジです!萌えた?」
「萌えるか!!!」
一刀は健気で可愛い妹の行動に苦笑しながら愛情をこめてアイアンクローをかける。
「ぎぎぎぎ・・・いたいいたい。いたいけどこれもいい」
そんな仲睦ましい兄妹のじゃれあいを見ながら部屋の入り口で一人の少女が声をかけてくる。
「兄さん、薙沙、朝から騒がしいですよ?」
一刀の妹、薙沙の姉である弓音である。
「あぁ、弓音、おはよう」
「あ!ゆみねぇ、お兄ちゃんと愛のすきんし・・・ガハッ!」
「兄さん、おはようございます。薙沙下にいきましょう。兄さんも朝食できてますから支度を終えたら下にきてくださいね?」
「あ、あぁ。ありがとう。わかりました」
一刀は冷や汗をたらしながら答える。なぜ、冷や汗をかいたかというと弓音の言葉は穏やかではあるが有無を言わさぬ迫力と薙沙をのこめかみを片手でつかみ持ち上げ去っていったからである
(やばい。弓音なんであんなに機嫌がわるいんだろう?)
着替えをしながら首をかしげる一刀であった。
北郷一刀は聖フランチェスカ学園の二年生。弓音は一年生、薙沙は付属の中等部二年生である。
一刀は去年までは学園の寮で生活していたが、妹が本校に進学してきたのを機会に祖父の意向により三人で協力しながら借家での生活を進められた。
学園の敷地に入り校舎に向かっていると眼鏡をかけた男子が声をかけてきた。
「おはようさん!かずピ~、弓音ちゃん、薙沙たん」
「おう、おはよう、及川」
「おはようございます、及川さん」
「おはよー!眼鏡!」
三人がそれぞれ朝の挨拶を返す。
「薙沙たん、眼鏡はないわー。でも、親愛の証だと思えば・・・アリやな!」
「眼鏡は眼鏡だからお友達で!」
薙沙の言葉に及川は
「うっは!俺振られてもうた。弓音ちゃんなぐさめてや~」
いつものノリだと大して気にもせず弓音にもそのノリをぶつける。弓音はそのノリにいつもの笑顔で
「寝言はねてから言ってくださいね、眼鏡」
そんないつものやり取りを見ていた一刀は及川に声をかける。
「及川、相変わらずキモイな・・・」
「うるさいわ!ボケ!かずピ~に美少女にいじられる良さがわかってたまるかいな!新入生の有望株こと弓音ちゃんとロリ巨乳薙沙たんがどれだけの逸材かわかっとらん奴はこれだから~」
悶えながら言う及川に生ごみをみるかのような目でみる妹二人。そんな視線を全く気にせず及川は
「そういやかずピ~、剣道部やめたんやって?爺さんの道場の件で」
と一刀に話かける。
「あぁ。道場と部活の両立が厳しくてね。というより去年から爺さんのしごきが苛烈になってきてさ、しごきでへばった状態で部活で打ち合いすると危ないんだよね」
「どういうことなん?」
「今の武道ってルールの則った範囲で打ち合うだろ?俺らがやってるのは武術なんだよ。人を殺すための技をみがいてる。疲れすぎてるとついでちゃうんだよ。爺さんに仕込まれた技が。もちろんこんな平和な時代じゃ何の役にも立たないけどな。それでも先祖様が残してくれた技を後世に伝えるために修行するのもいいもんだよ」
「はぁ~さすが北郷サド左右衛門やな。言う事ちがうわ~」
「それじゃ妹ちゃん達ももう部活やらんの?」
と、及川が妹達に会話をふる。
「そうですね、私達も去年から道場での修練を本格化させましたし、ゆくゆくは兄さんのお手伝いをするために部活をやってる時間はありませんね」
「そうだね~!」
「は~、北郷家って生まれてくる時代まちごうたんじゃないやろか・・・、ってそうや!部活といえば!!かずピ~!!」
北郷家の事情に呆れていた及川がいきなり声を荒げた。きょとんとする一刀に及川は詰め寄る。
「かずピ~!俺は知ってるんやで!部活の後輩のあのk・・・・」
「薙沙!!!」
「りょ~かい!」
及川が何かを言い終える前にそれまで話を聞いているだけの二人が動いた。薙沙が一刀に抱きつくように飛び掛る。
「お兄ちゅわ~ん」
「うわなにするやめろー!」
一刀に薙沙が絡みだしたのを確認した後、弓音が及川に静かに話しかける。
「及川さん」
及川は静かな言葉とは裏腹な圧力に後ずさる。
「ま、まさか・・・かずピ~はぎょうさんラブレターもろてるはずなのに本人が一切そういうこと話さないのって・・・」
後ずさる及川を一歩、また一歩と追い詰めながら弓音は言う。
「厳密にいえば・・・兄さんはラブレターなんて一通ももらっていませんよ?いえ、届いていない、と言うべきでしょうか?」
ゴクリ・・・と及川は喉をならす。
「毎日下駄箱をチェックするのも大変なんですよ?本人に直接わたそうとする輩もいますしね、うふふ」
及川は弓音と薙沙が兄へのラブレターをどう処分しているのか気になったが空気もとい圧力を読んで考えるのをやめた。
学園での授業を終えた三人は祖父が構える道場にて祖父の監視下の元、修練を行っていた。
それぞれ孫の動きをみながら祖父は一人呟く。
「どうやら間に合ったようじゃの・・・」
孫達の成長を嬉しくも思いながら今後孫達におとずれる境遇に複雑な思いを抱きながら。
「三人共、少し話がある。今日の修練はこれで終いじゃ。着替えてからここに集まりなさい」
・・・・・・・
・・・・・
・・・
自分の目の前で正座して言葉を発するのを待っている孫達を見ながら祖父は語りかける。
「一刀、弓音、薙沙よ。」
「「「はい」」」
「お前達は心は未だ未熟ではあるが技の方は昔の武将に引けをとらぬほどにも成長した」
「これからは心を鍛えその武と心を融合させる事に精進せよ!」
「世に生を得るは事を為すにあり」
「体を捨て、待を捨て去れば、心は自在となる。これが北郷流の極意じゃ!」
いきなりのこの言葉に三人は驚いたが祖父の目の奥の光に気付き
「「「はい!!」」」
と、答えた。
「そこでじゃ、一刀にはこれを。弓音にはこれを。薙沙にはこれをぷれぜんとじゃぁ!」
「こっこれは・・・!」
驚く一刀。
「なんですこの武器は?」
素直に疑問をぶつける弓音。
「・・・・・・。弓音、これ読める?」
生徒手帳に書いた字を弓音にみせる一刀。
「くうき、でしょ?兄さん。馬鹿にしないでくださいね。犯しますよ」
「えっ」
弓音からとんでもない言葉が出た気がするが一刀以外があまり驚かなかった事にしょんぼりしてる祖父を気遣う一刀。
「じ、爺さん!これもしかして名刀じゃないの!?」
その言葉にょぼょぼになっていた祖父の身体に力が漲る。
「そうなんじゃよ!一刀のはのぅ、備前長船兼光、日向正宗じゃ!」
「弓音のはのぅ、重籐の弓にこれまた日向正宗じゃ!弓音は近接もなかなかのものじゃからな!」
「それでの!なんと!!薙沙のは、岩融という薙刀じゃよ!あの武蔵坊弁慶の!!・・・たぶん本物じゃ」
嬉々として説明する祖父の言に対して
「なんだってーーーー!?」
と声を上げたのは一刀だけであった。
「三人共これから我が北郷流を背負う立場の者じゃからな。じいちゃん奮発しちゃった」
妹二人は反応こそ薄いものであったが、祖父の期待と初めて目の当たりにする業物に心を躍らせていた。
「技においては免許皆伝じゃ。これをもらってこれからも精進するようにの!今日は皆で宴じゃ宴!!わっははははは!」
祖父と孫三人水入らずで賑わう北郷家の夜であった。
月が蒼く輝く夜
誰もいない道場で唯一人、座している老人がいる
一刀達の祖父である
そこに歩み寄る一つの影
「ふむ・・・。来たか」
「あらん、またせちゃったかしらん」
「わしとしては来てくれなかったほうが嬉しいんじゃがの」
「つれないわねぇ~。でも安心してご主人様達は向こうにいっても私達がフォローするわ」
「なぜ・・・あの子達なのじゃ。明日の命もわからぬ世界に・・・なぜ・・・・」
「・・・・」
「あの子達はわしが責任をもって武を育てた。しかしあの子達はこの世界で育った。戦もしらぬ。優しい子達じゃ。これから行く世界であの子達は苦しむであろう。それが不憫でならぬ・・・」
「なぜ・・・わしではいかんのじゃ・・・!!」
二人の間に静寂が訪れる
「あなたの息子、あの子達の両親は他の外史で立派にいきているわ」
「・・・・!!!」
その言葉に老人の目が見開かれる
「私がこんな事を言えた義理じゃないけどね、あの子達の事を信じてあげて」
「そう・・・じゃな。貂蝉よ、あの子達をくれぐれも頼む・・・・」
そういって老人は夜空に浮かぶ月を見上げた
あとがきっぽいもの
初めまして、おまめと申します。
萌将伝発売して少し経ちましたね。今回のでとりあえず恋姫終わりみたいなんですが、寂しいですね。
萌将伝については、予約して手に入れるまであれこれ妄想してた時期が一番楽しかったですwww
一部不遇なキャラがいるのと一刀さんの扱い、ここでイベント絵必要でしょうがああああって所が不満な点ではありましたが、国をこえたキャラの駆け引きは楽しめたところもありました。
それはさておき、萌将伝冒頭で、一刀さんから衝撃の言葉が!
妹・・・・・だと・・・・・!?
これで妄想が爆発w
一応最後までお話の流れは考えておりますが、文を書くのは初めて故、表現が稚拙だったり言葉がたりなかったりします。ご了承ください。
このお話のキモは
重度のブラコン姉妹が、一刀争奪戦に加わって寝取るのか?寝取られるのか!?(もち妹視点です)・・・・というのはちょっと冗談で、北郷兄妹達がどのように各国の武将とからみ、どう生き抜くのか、外史に来た理由とは?見たいな所を表現できたらいいなとおもいます。
それでは、ここまで付き合ってくださった方、ありがとうございました。
すこしでも皆様の暇つぶしになれればいいな、と思います。
では、次回またお会いしましょう。
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オリキャラが苦手な方
一刀さんが強いのはありえない
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